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- 20年かけて進行する認知症!チェックリストと予防法
認知症は先手のケアで進行を防げます。「最近もの忘れが少し増えたみたい」「人の名前を思い出せない」「買い物の計算が面倒」などと感じることが増えている人は要注意。これらはアルツハイマー病の超早期サインかもしれません。今すぐ対策を始めましょう。
教えてくれた人:新井平伊(あらい・へいい)さん
アルツクリニック東京(東京都千代田区)院長。順天堂大学医学部名誉教授。1984年、順天堂大学大学院修了。同大学大学院精神・行動科学教授などを経て、2019年から現職。世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。「認知症になっても人生終わりじゃない」がモットー。著書は『脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法』(文春新書)など多数。
アルツハイマー病は症状が現れる20年前から発症
認知症全体の約7割を占めるのが、アルツハイマー病。この病気は症状が現れる20年以上も前から始まっていることをご存じでしょうか。アルツクリニック東京院長の新井平伊さんは、こう話します。
「アルツハイマー病は、脳内にアミロイドβ(ベータ)というたんぱく質が異常にたまり、神経細胞が死滅して脳が萎縮する病気です。実は、このアミロイドβがたまり始めるのが、病気の発症の20年以上前。つまり、明らかな認知機能の低下が現れるずっと前から、脳の中では徐々に病変が形成されているのです」
例えば80代でアルツハイマー病と診断された場合、病気自体は60代頃から始まっていたと考えられます。ごく初期の段階では生活に影響の出るような症状はありませんが、「最近、人の名前が出てこないことがある」「うっかりミスが増えた」など、自分だけが気付く“変化”が現れるといいます。これが「主観的認知機能低下(SCD)」。
以前は加齢によるもの忘れといわれていましたが、この中にもアルツハイマー病の初期段階の人が含まれていることが近年の研究でわかってきました。
自分だけが気付いている変化、あなたにも心当たりはありませんか。
まずは自分の症状12項目をチェック!
下記の12項目について自身が以前と比べて思い当たるようになったり、頻度が増えたりしたものはありますか(チェックリスト監修:新井さん)
1.今、やろうとしていたことを忘れることがある
2.同僚や友人など、身近な知り合いの名前を思い出せないことがある
3.以前買ったことを忘れて、同じものを買ってしまうことがある
4.表現したい言葉が、すぐに出てこないことがある
5.相手に話を聞き返すことが多くなった
6.先のことを予測したり、計画を立てるのが苦手になってきた
7.うっかりミスをすることが多くなった
8.買い物時のおつりなど、簡単な計算が面倒になってきた
9.別々の作業を同時進行で行うことが、うまくできなくなってきた
10.新しい家電の操作などが覚えられなくなってきた
11.ちょっとしたことで怒ったり、気分が落ち込むことが増えた
12.趣味などにあまり関心がなくなってきた
以前の自分と比べて頻度や程度が増していると感じるものが1つでもあれば、SCDとみなされます。今すぐ対策を始めましょう。
先手のケアで認知症の発症を遠ざけましょう!
アルツハイマー病はSCDから始まり、次に生活に支障はないものの、もの忘れが増えて周囲も異変に気付き始める「軽度認知障害(MCI)」、そしてさらに認知機能低下が進んで生活に支障を来すようになる「アルツハイマー型認知症」へと進んでいきます。
MCIは認知症の前段階で、放っておくと5年間で約半数の人が認知症に進むといわれています。
「ただし、MCIの段階でも適切な対策を講じれば、約4割の人が正常な状態に戻ることができると報告されています。認知症にまで進むと元に戻すのは難しいですが、SCDやMCIの段階なら、対応次第で健康な方向に引き戻すことが可能なのです」と新井さんは強調します。
今、認知症対策はいかに進行を予防するかが鍵になっています。できるだけ早い段階で変化や異変に気付き、生活改善などに取り組むことが、病気の進行を遅らせ、認知症の発症を遠ざけていくのです。先のチェックでSCDに該当した方は、今が、先手のケアを始めるチャンスです!
次回から、認知症の発症を遠ざける生活習慣について詳しく解説していきます。
取材・文=佐田節子、イラストレーション=藤原なおこ、構成=大矢詠美(編集部)
※この記事は、雑誌「ハルメク」2023年2月号を再編集しています。
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