続く疲労や頭痛…もしかして貧血が原因?鉄不足に注意

鉄分の多い食べ物ランキング&効率的な摂取のコツ!

公開日:2023.01.29

鉄分の多い食べ物を、ヘム鉄と非ヘム鉄の2種類に分けてランキング形式でご紹介!日本人女性に不足しがちといわれる鉄分が豊富な食材は、レバーの他にもたくさんあります。鉄を効率的に摂取するためのコツ、食べ合わせも解説!

鉄の1日の摂取量の目安

鉄の1日の摂取量の目安

鉄は、人間の体に不可欠なミネラルの一種です。代謝によって失われ、成人女性の場合は約0.8mg、成人男性の場合は約1mgの鉄が1日に消費されます。

月経のある日本人女性の5人に1人は貧血といわれており、中でも多いのが鉄欠乏性貧血です。また、「隠れ貧血(潜在性鉄欠乏症。ヘモグロビン値は正常だが体内の貯蔵鉄(フェリチン)が不足)」はさらに多いとされています。

1日に必要な鉄の摂取量は、性別・年齢・月経の有無・妊娠の有無によって変わります。厚生労働省「日本人の食事摂取基準」策定検討会の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」のデータによれば、鉄の1日の推奨量は以下(mg/日)です。

【女性(月経なし)】

  • 18~29歳……6.5
  • 30〜49歳……6.5
  • 50〜64歳……6.5
  • 65〜74歳……6.0
  • 75歳以上……6.0

【女性(月経あり)】

  • 18~29歳……10.5
  • 30〜49歳……10.5
  • 50〜64歳……11.0

【男性】

  • 18~29歳……7.5
  • 30〜49歳……7.5
  • 50〜64歳……7.5
  • 65〜74歳……7.5
  • 75歳以上……7.0

鉄分は「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類

食べ物に含まれる鉄には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類があります。

  • ヘム鉄……肉や魚の赤身に豊富
  • 非ヘム鉄……野菜、穀類、豆腐、海藻類などに豊富

「ヘム鉄」は、肉や魚の赤身といった動物性食品に豊富に含まれる鉄です。ヘム鉄は「ヘム」というタンパク質に包まれた状態なので、他の食品と一緒に摂取しても吸収を阻害されにくいというメリットがあります。

「非ヘム鉄」は野菜、穀類、豆腐、海藻類などの植物性食品に豊富に含まれています。ヘム鉄に比べると非ヘム鉄の吸収率は2~5%ほどと低いですが、タンパク質が豊富な動物性食品と組み合わせることで吸収率を高めることが可能です。

ヘム鉄の方が吸収率が高いものの、ヘム鉄のみを摂取すればいいわけではありません。ヘム鉄と非ヘム鉄、2種類の鉄分をバランスよく摂取できるようにすることが大切です。

ヘム鉄が豊富な食材ランキング

ヘム鉄が豊富な食材ランキング

ここからは、文部科学省の「食品成分データベース」を参考に、ヘム鉄が豊富な食材をご紹介します。(可食部100g当たりの含有量)

  1. 煮干し(かたくちいわし)……18.0mg
  2. 豚レバー(生)……13.0mg
  3. 鶏レバー(生)……9.0mg
  4. しじみ(生)……8.3mg 
  5. ビーフジャーキー……6.4mg
  6. 赤貝(生)……5.0mg
  7. ほっき貝……4.4mg 
  8. 牛レバー(生)……4.0mg
  9. あさり(生)……3.8mg
  10. 牛肉(生・赤身)……2.8mg
  11. めざし(生)……2.6mg
  12. 砂肝(生)……2.5mg
  13. まいわし(生)……2.1mg
  14. かつお(生)……1.9mg
  15. まぐろ(生・赤身)……1.8mg

ヘム鉄は、レバーや牛や豚の赤身肉、赤身の魚、赤貝などに豊富に含まれています。ヘム鉄は非ヘム鉄よりも吸収率が高いため、他の食品との食べ合わせで吸収が阻害されにくいというメリットがあります。

しかし、毎日食べ続けることが難しい食品が多く、日々のメニューに取り入れにくいため、工夫してさまざまな食品を取り入れるといいでしょう。

しじみやあさりは、ヘム鉄と非ヘム鉄の両方が含まれており、鉄分が豊富です。

非ヘム鉄が豊富な食材ランキング

非ヘム鉄が豊富な食材ランキング

ここからは、文部科学省の「食品成分データベース」を参考に、非ヘム鉄が豊富な食材をご紹介します。(可食部100g当たりの含有量)

  1. レンズ豆(全粒・ゆで)……4.3mg
  2. 納豆……3.3mg
  3. 小松菜……2.8mg
  4. 枝豆……2.7mg
  5. ひじき(鉄釜・ゆで)……2.7mg
  6. 厚揚げ……2.6mg
  7. サラダ菜……2.4mg
  8. そら豆……2.3mg
  9. 水菜……2.1mg
  10. ほうれん草……2.0mg
  11. サニーレタス……1.8mg
  12. 高菜……1.7mg
  13. 春菊……1.7mg 
  14. ルッコラ……1.6mg 
  15. ブロッコリー……1.3mg

非ヘム鉄は、豆類や大豆加工品、小松菜やほうれん草、水菜や春菊といった葉物野菜、ひじきなどの海藻類に豊富に含まれます。

非ヘム鉄はヘム鉄と比較すると体内に吸収されにくいものの、タンパク質やビタミンC、クエン酸と合わせて摂取することで吸収率を高めることが可能です。

鉄分を効率的に摂取する方法

鉄分を効率的に摂取する方法

鉄分は不足しがちな栄養素であり、食べ合わせによっては吸収が妨げられてしまうこともあります。そのため、鉄分を効率的に摂取するためにはいくつかのポイントを押さえることが大切です。

鉄鍋を使って調理する

バランスのいい食事を心掛けている場合も、食事だけでは1日に必要な鉄分を摂取するのが難しいことがあります。

そんなときは、鉄鍋や鉄のフライパンなど、鉄製の調理器具を使うのがおすすめです。また、白湯やお茶、コーヒーを飲む時に鉄瓶でお湯を沸かすと、手軽に鉄分の摂取量を増やすことができます。

鉄鍋を使った調理のときは、トマト煮込みや酸辣湯スープなど、酸味の強い料理や酢を使った料理にすると鉄分の溶解率が高くなります。酸味のある食材は胃酸の分泌を高める効果もあり、鉄の吸収率を高くできます。

その他にも、鍋に入れるだけで鉄分補給ができる商品も売られています。卵型のシンプルなものから、かわいらしいキャラクターデザインのものまでいろいろあるため、楽しみながら鉄分を摂取できるでしょう。

サプリメントを活用する

鉄分を補うためのサプリメントを活用する方法もあります。

鉄分が不足すると貧血の他にもさまざまな不定愁訴を引き起こすことがあるため、不足しがちな人はサプリメントを摂取するのも一つの方法です。

ビタミンC・クエン酸・タンパク質・CPPと摂取する

鉄は、「ビタミンC」「クエン酸」「タンパク質」「CPP」といった栄養素と組み合わせることで吸収率を高められます。

ヘム鉄を含む肉類を使った料理にレモン汁をかけるなどは、手軽にできる工夫の一つです。さっぱりおいしくなり、鉄の吸収率も高くなります。

また、ビタミンC豊富なパプリカやブロッコリーと一緒に食べたり、食後にみかんを食べるのもOK。

CPP(カゼインホスホペプチド)とは、牛乳の主要タンパク質であるカゼインに酵素が作用した成分で、鉄分と一緒に摂取すると吸収を促せます。

鉄の吸収を阻害する食べ物に注意する

中には、鉄の吸収を阻害する食べ物もあります。

コーヒーや緑茶、紅茶などに含まれる「タンニン」、玄米などに含まれる「フィチン酸」、玄米、おから、ふすま、ごぼうやきのこ類に含まれる「不溶性食物繊維」は、鉄の吸収の妨げになることも。

普通の食事に含まれる程度の量であれば気にする必要はないとされていますが、気になる場合は食事中はタンニンを含まない麦茶や水を飲み、食事から2〜3時間ほど経過してからコーヒーや緑茶を飲むといいでしょう。

腸内環境を整える

腸内環境がよくないと、悪玉菌のカンジダ菌が腸内で増殖してしまいます。

カンジダ菌は常在菌の一種で、健康な人の腸にも存在しますが、腸内環境が乱れると過剰に増殖。カンジダ菌は鉄分を餌にするため、せっかく鉄分を摂取しても不足してしまうのです。

また、カンジダ菌が放出する物質は頭痛や慢性疲労症状、抑うつ症状、パニック障害などの症状にもつながります。

胃酸の十分な分泌を促す

十分に胃酸が分泌されていると、鉄の吸収がよくなります。胃酸の分泌を促すために、よく噛んで食べるようにしましょう。また、酢や柑橘類、梅干しなど酸味のあるものを食べるのもおすすめです。

コンビニ・スーパーでは鉄を強化した食品も

普段の食事で鉄分を十分に摂取するのが難しいときは、コンビニやスーパーで販売されている、鉄分が強化された食品を摂取するといいでしょう。

鉄分を加えた牛乳やヨーグルト、ウエハースなどのお菓子などもあります。

鉄が不足するとどうなる?

鉄が不足するとどうなる?

鉄分は基本的に食事や飲み物から補給することになりますが、栄養バランスが崩れていると不足しやすい栄養素です。必須栄養素である鉄分をしっかり摂取するためにも、バランスのいい食事を心掛けましょう。

鉄は赤血球のヘモグロビンに多く含まれており、血液中のヘモグロビン量が減少した状態を「貧血」といいます。ヘモグロビンには全身の隅々に酸素を届ける役割があるため、不足すると以下のような症状を引き起こします。

  • 疲れやすさ、倦怠感
  • めまい
  • 立ちくらみ
  • 息切れ
  • 動悸
  • 頭痛

この他、肌の乾燥や手足の冷えにつながることもあり、健康のためにも美容のためにも、鉄分は欠かせない栄養素です。

大人女性の場合、閉経によって月経が終わることで、経血によって失われる鉄分が減り、1日の鉄の必要量は少なくなります。しかし、更年期や閉経前には生理が長引く、過多月経(経血量が多くなる)、不正出血(月経期以外の出血)、過長月経(月経がだらだらと長引く)といった月経異常が起こることもあります。

女性はもともと体内に蓄えている鉄分量が不足している人も多く、このような月経異常が起こると貧血につながることも。立ちくらみがしたり、少し動いただけで動悸や息切れがする、疲れやすさや倦怠感を感じる場合は鉄分が不足している可能性があるため、注意しましょう。

鉄の過剰摂取のリスクは?

鉄は、取り過ぎもよくありません。サプリメントや医薬品で鉄を摂取している場合は、過剰摂取にならないよう注意する必要があります。

鉄を過剰摂取すると、胃の不快感や吐き気、嘔吐、腹痛や便秘につながります。重度の場合、昏睡、多臓器不全、昏睡につながることもあるため、過剰摂取にならないよう注意しましょう。

不足しがちな鉄分は摂取に工夫を

鉄分は不足しがちな栄養素といわれています。体に必要な鉄が不足して貧血になると、立ちくらみや動悸、息切れ、疲れやすさや倦怠感につながることもあるため、毎日の食事でしっかり摂取する必要があります。ヘム鉄、非ヘム鉄を含む食材をバランスよく取り入れましょう。

効率的に鉄分を摂取するには、調理のときに鉄鍋や鉄球を使うのが便利です。

※効果には個人差があります。試してみて異変を感じる場合はおやめください。

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