ストレス?セルフチェック&病院に行くべき目安も紹介

朝の吐き気の原因は病気?気持ち悪いときの対処法

横倉恒雄さん(横倉クリニック)
監修者
横倉クリニック
横倉恒雄

公開日:2023.12.15

「朝起きたときに気持ち悪い」「午前中に吐き気がする、胃もたれがする」など、朝に胃の不調を感じている人は少なくありません。朝の胃の不快感の原因や考えられる病気、セルフチェック、対処法、病院を受診する目安を紹介!悪化する前に対処しましょう。

朝や午前中に気持ち悪い・吐き気がする原因

朝や午前中に気持ち悪い・吐き気がする原因

「朝起きたときに気持ち悪いと感じる」「起床時に不調を感じる」など、朝に吐き気や胃のむかつき、胃もたれを感じる人も多いようです。

ここからは、朝や午前中に気持ち悪い・吐き気がする原因について解説します。

ストレス・自律神経の乱れ

ストレスを受けると、体の機能を調節する役割を果たしている自律神経に乱れが起こります。

自律神経には体を活発にする「交感神経」と、体をリラックスさせる「副交感神経」がありますが、これらのバランスが崩れると、さまざまな不調が起こることに。吐き気や胃のむかつき、食欲不振などもその一つです。

胃腸は、ストレスの影響を受けやすい臓器です。過度なストレスがかかると胃酸が過剰に分泌され、胃粘膜が傷ついて胃潰瘍になってしまうこともあります。

睡眠不足

ストレスだけでなく、睡眠不足も自律神経を乱してしまう原因の一つです。睡眠不足など不規則な生活が続くと、自律神経が乱れてしまい、吐き気につながります。

自律神経の乱れは胃腸の調子に影響するため、胃痛や下痢、便秘といった症状が起こることも。

ストレスが不眠や寝付きの悪さにつながることもあり、ストレスと睡眠不足による悪循環には注意が必要です。

食べ過ぎ・寝る前の食事

食べたものは、食後2~3時間ほど胃の中に留まって消化され、十二指腸へと送り出されます。そして食後8時間ほどすると内容物のほとんどが送り出され、胃の中が空っぽに。

その後は、食べ物を食べない就寝中に胃が収縮し、食べ物の残りカスや剥がれ落ちた細胞などを掃除します。

このように、起きている間は「食べ物の消化」、寝ているときは「胃の掃除」というのが胃の働きのリズムです。

しかし、寝る前など遅い時間に食事をしたり、食べ過ぎたりすると、消化や胃の掃除がしっかり行われず、食べ物が胃の中に残ったままになってしまいます。

これにより胃もたれやむかつき、不快感、食欲不振といった症状が起こるのです。

消化管の不調

暴飲暴食や寝る前の食事、インスタント食品やジャンクフードが中心の食生活、脂っこいものや甘い物の食べ過ぎといった食生活を続けていると、胃や食道に負担がかかり、炎症につながることがあります。

吐き気や胃の重苦しさ、ゲップが出る、食欲がない、胃がキリキリ痛むといった症状は、胃からのSOSのようなもの。放置すると胃が荒れ、穴が開いてしまうこともあるため注意が必要です。

朝や午前中に気持ち悪い・吐き気がする│考えられる病気

朝や午前中に気持ち悪い・吐き気がする│考えられる病気

朝や午前中に気持ち悪い・吐き気がするという症状がある場合、なんらかの病気が原因となっている可能性があります。

ここからは、朝の吐き気の原因として考えられる病気をご紹介します。

胃腸の病気

以下のような胃腸の病気によって、朝に吐き気が起こっている可能性も考えられます。放置すると悪化してしまう可能性もあるため、つらい症状が続く場合は早めに病院を受診しましょう。

  • 逆流性食道炎
  • 胃食道逆流症
  • 十二指腸潰瘍
  • 慢性胃炎

機能性ディスペプシア

機能性ディスペプシアとは、吐き気や胃もたれ、胸焼け、ゲップなどの症状があるものの、調べても原因となる異常が見つからない病気です。

ストレスや疲労を感じやすい人、睡眠不足、喫煙や飲酒習慣がある人は機能性ディスペプシアになりやすいといわれています。

片頭痛・緊張型頭痛

寝起きで吐き気だけでなく頭痛もあるという場合「片頭痛」や「緊張型頭痛」の可能性が考えられます。

片頭痛は、頭にズキズキと脈打つような痛みが起こることが特徴です。頭の左右どちらかに痛みが起こるといわれていますが、両側が痛むこともあります。睡眠不足やストレスを抱えていると、片頭痛の痛みが強く出ることも。

緊張型頭痛は一般的に多く見られる頭痛で、ストレスや目の疲れ、首や肩の筋肉の血行不良、睡眠不足、悪い姿勢などが影響しています。悪化すると頭全体が痛み、吐き気が起こることがあります。

神経性嘔吐症(心因性嘔吐症)

「仕事のある平日、朝起きると気持ち悪い」「仕事に向かう電車の中で嘔吐しそうになり電車を降りなければけなくなる」など、仕事の朝に気持ち悪くなったりする場合は、神経性嘔吐症(心因性嘔吐症)の可能性が考えられるでしょう。

子どもに多く見られますが、神経性嘔吐症に悩む大人もいます。中には自分が神経性嘔吐症であることに気づいていないこともあり、日常化する吐き気や嘔吐が大きな悩みやストレスになってしまうことも。

神経性嘔吐症は、心労、不安な気持ちや過度な緊張を感じたときなど、精神的なストレスによって引き起こされます。

神経質な人、真面目な性格な人は神経性嘔吐症を発症しやすい傾向にあるといわれています。

自律神経失調症

自律神経のバランスが崩れることで起こる「自律神経失調症」や、自律神経の働きが鈍くなることで起立時に身体や脳への血流が低下する「起立性調節障害」でも吐き気が起こることがあります。

自律神経失調症は、更年期のホルモンバランスの乱れが引き起こす更年期症状(更年期障害)が原因となっていることも。吐き気や胃のむかつきは、更年期に見られる症状の一つです。

更年期による吐き気だと考えられる場合は、ホルモン補充療法(HRT)漢方薬など、更年期に対する治療も検討しましょう。

精神疾患

パニック障害や適応障害といった精神的な病気でも、吐き気が見られることがあります。

ストレスが原因で心身にさまざまな症状が起こる適応障害は、うつ病の一歩手前の状態といわれており、我慢し過ぎず早めに病院を受診することが大切です。

良性発作性頭位めまい症(BPPV)

良性発作性頭位めまい症とは、朝起きたときや長時間頭を動かさず同じ姿勢でいたときなどに起こるめまいのことです。じっとしているときには起こらず、頭を動かしたときに起こります。

ぐるぐる回るような回転性めまいが多く、数秒〜2分ほどで治まります。良性発作性頭位めまい症はほとんどの場合、数日で自然に治ることが多く、閉経後の女性にもよく見られる症状です。

めまいは、日常生活の習慣によって改善することもできます。気になるめまいの症状がある人は、スキマ時間でできるめまいを改善する7つの習慣を取り入れてみましょう。

脳腫瘍

片頭痛や緊張型頭痛は「一次性頭痛」と呼ばれ、原因になる疾患がなく、頭痛そのものが病気というタイプの頭痛です。

一方で、なんらかの疾患が原因となって起こる「二次性頭痛」という頭痛もあります。二次性頭痛は、脳腫瘍やくも膜下出血、脳出血、慢性硬膜下血腫、脳動脈解離、髄膜炎、脳炎など命にかかわる危険な病気が隠れているケースも。

このような病気によって起こる頭痛は、急激に悪化するものもあれば、少しずつ悪化することもあるため、気づけないこともあります。

例えば、脳腫瘍による頭痛は、朝起きたときに強く日中に改善していく傾向にある。これを「morning headache(早朝時頭痛)」といい、脳腫瘍の特徴として知られています。

吐き気や嘔吐の他にも、目のかすみや痙攣などの症状が見られることがあり、気になる症状がある場合は放置せず、早めに病院で詳しい検査をすることが大切です。

朝気持ち悪いのはストレスのせい?セルフチェック

消化器内科・耳鼻科など病院で検査を受けたものの、朝の吐き気の原因となる病気が見つからなかった場合、ストレスが原因となった心因性の症状の可能性が考えられます。

  • 決まった場所や時間で吐き気が起こる
  • きっかけとなるイベントのない日は症状が起こらない(仕事の朝は吐き気がするが、休日の朝は吐き気がないなど)
  • 朝は吐き気があるが、昼〜夜にかけて改善する
  • 制吐剤(吐き気を抑える薬)を飲んでもあまり効果がない
  • 朝に頭が重たい感じがある
  • 頭にモヤがかかったようになり、人の話が頭に入ってこない
  • 特定のイベント(仕事など)に行く前から「帰りたい」という気持ちになる
  • 朝すっきり目覚められない、もしくは朝早く起き過ぎてしまう
  • 月経前になると特に症状が強くなる

上記に当てはまる場合、放置するとさらに心や体に負担がかかり、症状が悪化してしまう可能性があります。我慢し過ぎず、早めに病院を受診して原因を確かめ、症状に合った治療を受けることが大切です。

朝や午前中に気持ち悪い・吐き気がするときの対処法

朝や午前中に気持ち悪い・吐き気がするときの対処法

ここからは、朝や午前中に気持ち悪い・吐き気がするときの対処法について解説します。

ストレスを減らしリラックスする

朝に気持ち悪い原因がストレスだと考えられる場合は、横になり、深呼吸してリラックスしましょう。温かい飲み物を飲むのもおすすめです。

カフェインは取り過ぎると吐き気につながることもあるため、白湯やカフェインの入っていない温かい飲み物を選ぶといいでしょう。

ストレスは吐き気だけでなく、腹痛や下痢蕁麻疹発熱(心因性発熱)など、さまざまな不調を引き起こす原因になります。

ストレスを減らしたり、ストレス解消をしたりなど、原因となっているストレスに対処することが大切です。

十分な睡眠を取る

睡眠不足になると自律神経が乱れてしまい、胃腸の働きが悪くなって吐き気につながります。

十分な睡眠が取れていないと疲れが取れず、吐き気以外の不調やストレスにつながることもあるため、しっかりと睡眠を取って心と体を休めることが大切です。

食生活に注意する

気持ち悪い、吐き気がする、胃がムカムカするといった症状があるときは、胃腸が弱ってしまっています。症状の悪化や慢性化を防ぐためにも、以下のように食生活に注意しましょう。

  • よく噛んでゆっくり食べる
  • 腹八分目にして食べ過ぎない
  • 飲酒や喫煙は控える
  • 消化の良い食べ物胃に優しい飲み物を選ぶ
  • 脂っこいものを食べ過ぎない
  • 遅い時間の食事を避ける
  • 朝食を食べる

吐き気に効くツボを押す

気持ち悪いときは、吐き気に効く以下のツボを押すのもおすすめです。いつでもどこでも簡単にできるので、痛気持ちいいくらいの強さで押してみましょう。

  • 足三里(あしさんり)……膝の皿の下、靭帯の外側にあるくぼみから指4本分下のところにあるツボ
  • 中脘(ちゅうかん)……みぞおちとへその中間点にあるツボ
  • 労宮(ろうきゅう)……手を握ったときに中指が当たるところにあるツボ

市販薬を飲む

吐き気の原因が胃もたれなど胃腸にある場合、市販薬を飲むことで吐き気や胃もたれの軽減につながります。

胃酸の分泌を抑える薬、食事前に飲むことで胃を守る薬、胃腸の調子を整える作用のある薬、二日酔いのときにおすすめの薬など、さまざまな種類があるため、薬剤師に相談しましょう。

ただし、常に市販薬を飲んで吐き気を抑えるのはよくありません。根本から治療しないと、吐き気の原因となっている病気が悪化してしまう可能性もあります。

市販薬は病院に行くまでにどうしても気持ち悪いときなどに使用するようにして、後できちんと病院で見てもらうようにしましょう。

朝の吐き気で病院を受診する目安

朝の吐き気が、食べ過ぎや飲み過ぎ、寝る前の食事が原因であると考えられる場合は、様子を見ても問題ありません。しかし、以下のような場合は病院を受診しましょう。

  • 毎朝のように気持ち悪い・吐き気がする
  • 吐き気の症状が強くつらい
  • 痛みや立ちくらみ、目のかすみなど他の症状がある

胃腸が原因と考えられる場合は消化器内科を、それでも異常がない場合は脳神経科の受診を検討するといいでしょう。ストレスなど精神的なことが原因と考えられる場合は、心療内科や精神科を受診してみるのもいいかもしれません。

更年期が原因と考えられる場合は、更年期外来や女性外来、婦人科の受診がおすすめです。

つらい朝の吐き気は早めに病院へ

朝に気持ち悪い、午前中に吐き気があるといった場合、胃腸の不調、ストレスや睡眠不足による自律神経の乱れ、病気の影響など、さまざまな原因が考えられます。

食べ過ぎ・飲み過ぎなどが原因とわかる一時的な吐き気であれば問題ないことがほとんどですが、症状が続く場合は我慢せず、早めに病院を受診しましょう。

※効果には個人差があります。試してみて異変を感じる場合はおやめください。

監修者プロフィール:横倉恒雄さん(横倉クリニック)

横倉恒雄さん

よこくら・つねお 医学博士。医師。横倉クリニック・健幸外来サロン(港区芝)院長。東京都済生会中央病院に日本初の「健康外来」を開設。故・日野原重明先生に師事。婦人科、心療内科、内科などが専門。病名がないものの不調を訴える患者さんにも常に寄り添った診療を心がけている。著書『病気が治る脳の健康法』『脳疲労に克つ』『今朝の院長の独り言』他。日本産婦人科学会認定医 /日本医師会健康スポーツ医/日本女性医学学会 /更年期と加齢のヘルスケア学会ほか。

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