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- 蕁麻疹はストレスのせい?原因や治療・予防法を解説!
ストレスは蕁麻疹の原因の一つです。さまざまな原因が複雑に絡み合って引き起こされるという蕁麻疹は約7割が原因不明といわれており、症状が長引くことも。医師監修のもと、蕁麻疹の治療法や予防法、控えたい食べ物などについて解説します。
ストレスが蕁麻疹の原因となることがある
過度のストレスは心身に多くの悪影響を与えますが、蕁麻疹もそのうちの一つです。
しかし、蕁麻疹を引き起こす原因は数多くあり、ストレスの一つのみが原因になっているとは限りません。ストレスの他にも、肌への刺激や食品、植物、生活習慣などいくつもの要因が複雑に絡み合うことで蕁麻疹を発症している可能性があります。
蕁麻疹とは?
蕁麻疹(じんましん)とは、突然、蚊に刺されたときのように皮膚の一部が赤く盛り上がって、強いかゆみが出る皮膚の病気を指します。虫刺されとは異なり、蕁麻疹は痕が残らず、短時間で消えることが特徴です。
「蕁麻(じんま。日本ではイラクサと呼ばれる)」という植物には葉や茎に細かなトゲがあり、これに触れると皮膚にかゆみや痛みが起こります。このときの症状に似ているため、蕁麻疹と呼ばれるようになったことが由来です。
- 虫刺されのように皮膚が赤く盛り上がる(小さいものから、大きなものまでサイズはさまざま)
- かゆみ
- 赤く点々と広がる
- べったり広がる
- ミミズ腫れのように赤く盛り上がる
- 血管性浮腫(唇やまぶたが突然大きく腫れ上がる。かゆみはなく、2〜3日ほどで消える)
蕁麻疹の症状には、上記のようなものがあります。
血管性浮腫の場合、遺伝性血管性浮腫(HAE)の可能性が考えられ、原因不明の腹痛、手足の腫れ、排尿時に痛い、お腹が膨らむなどの症状が見られます。遺伝性血管性浮腫の発作は命に関わることもあるため、早めに病院に行くことが大切です。
蕁麻疹の種類
蕁麻疹には多くの種類があり、大きく分けると「刺激誘発型蕁麻疹」と「特発性蕁麻疹」の2つがあります。ここからは、それぞれについて詳しく解説します。
刺激誘発型蕁麻疹
刺激誘発型蕁麻疹は、原因がはっきりしているタイプの蕁麻疹です。アレルギーや寒暖差、こすれや圧迫、振動などが原因となって引き起こされます。
- アレルギー性蕁麻疹
- 食物依存性運動誘発アナフィラキシー
- 物理性蕁麻疹
- 非アレルギー性蕁麻疹
- アスピリン蕁麻疹
- コリン性蕁麻疹
- 接触蕁麻疹
これらは、刺激誘発型蕁麻疹に分類されます。
特発性蕁麻疹
特発性蕁麻疹は、原因がわからないタイプの蕁麻疹です。ストレスや疲労、食べ物、ウイルスや細菌感染などの原因が複雑に絡み合って引き起こされると考えられています。
原因がわからないと不安になってしまいがちですが、特発性蕁麻疹は全体の約7割を占めており、珍しい症状ではありません。原因がわからなくても、薬を使うことで蕁麻疹の多くは治療できます。
特発性蕁麻疹は、症状が続く期間によって「急性蕁麻疹」と「慢性蕁麻疹」の2つに分けられます。
急性蕁麻疹は、6週間以内に症状が治まる蕁麻疹です。例えば、子どもが風邪をひいたとき出ることがある蕁麻疹がこれにあたり、感染症が治れば蕁麻疹の症状も改善します。
慢性蕁麻疹は、6週間以上症状が続くタイプの蕁麻疹です。夕方から夜にかけて症状が悪化する人が多く、翌朝〜翌午前中には蕁麻疹が消えて、また夕方から現れることを繰り返します。
自覚できる症状が皮膚の蕁麻疹のみの場合、何か月や何年間か症状が続いた後で、やがて治まっていくといわれています。
蕁麻疹の原因
蕁麻疹を発症する原因は「マスト細胞」と呼ばれる皮膚組織内にある細胞が関係しています。
マスト細胞には、「ヒスタミン」という成分が蓄えられており、これが蕁麻疹の原因となります。なんらかの刺激を受けるとヒスタミンを放出することで、かゆみが起こるという仕組みです。
マスト細胞への刺激となる原因は多岐にわたり、蕁麻疹の原因が特定できないこともあります。蕁麻疹の原因を特定できるケースは約3割弱といわれており、全体の約7割は原因不明です。
ここからは、蕁麻疹の原因として考えられるものをご紹介します。
ストレス
蕁麻疹の原因はさまざまなものが考えられますが、毎日のように繰り返し症状が現れることが6週間以上続く「慢性蕁麻疹」の場合、ストレスで悪化することが多いといわれています。
ストレスや疲れ、精神的な病気やPTSDなどによって心に不調が起こると、それが蕁麻疹を引き起こすきっかけとなることがあります。
引っ越しで住む場所が変わる、職場での部署が変わる、生活環境が変わるなどの原因でストレスが増えると、蕁麻疹が出るケースも。逆に、ストレスが減れば蕁麻疹が出にくくなることもあります。
ストレスは、それ自体が直接蕁麻疹を引き起こしているわけではなく、体を「蕁麻疹が出やすい状態」にしてしまうと考えられています。
蕁麻疹は「反応閾値(一定の刺激の強さ)」を超えると発症しますが、ストレスは反応閾値を下げてしまいます。そのため、皮膚をこするなどの刺激にも敏感に反応し、蕁麻疹が起こるのです。
蕁麻疹が出て毎晩のようにかゆくてイライラしたり、治るのかと不安になったり、睡眠不足になると身体的にも精神的にもさらにストレスを生み出してしまうことになります。
このように、蕁麻疹の症状がさらなるストレスを生み出している場合は、早めに病院に足を運んで治療を受けることが大切です。
汗
入浴やシャワー、運動、緊張したときにかく汗が刺激となり、蕁麻疹を引き起こすことがあります。汗による蕁麻疹は「コリン性蕁麻疹」といい、蕁麻疹の大きさが1~4mmほどと小さいことが特徴です。
物理的な刺激
以下のようなさまざまな物理的な刺激が、蕁麻疹を引き起こすこともあります。
- 機械的擦過(引っ掻くなど)
- 圧迫
- こすれ
- 振動
- 暑さ、寒さ
- 日光
- 温熱
- 水
特定の食べ物や植物、薬品、ゴムなど
特定の食べ物や薬品などに対して抗体(体の中にある物質で、外部から侵入してきた異物を攻撃する)を持っていると、それらを摂取したときにアレルギー反応が起こり、蕁麻疹として現れることがあります。これを、アレルギー性蕁麻疹といいます。
蕁麻疹の原因となる代表的な食べ物としては、サバやアジなどの青魚、たけのこ、豚肉、カニやエビなどの甲殻類、果物があります。
食べ物が原因となった蕁麻疹には「アレルギー性のもの」と「非アレルギー性のもの」の2種類があり、非アレルギー性のものの場合、食品に含まれる成分の影響で蕁麻疹が出ます。
食物依存性運動誘発アナフィラキシー(食べ物と運動)
特定の食品を食べた後で運動をすると、蕁麻疹などの症状が出ることを「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」といいます。
食品を摂取するだけではなく、運動という条件が重なることで引き起こされることが特徴で、蕁麻疹以外にもむくみ、咳、血圧低下、呼吸困難などの症状が現れることもあります。
蕁麻疹の原因を調べる検査方法
蕁麻疹の原因を調べるためには「いつ・どんなときに・どんな症状が現れるか」を医師にしっかり伝えることが大切です。まずは問診で詳しく症状について話し、蕁麻疹のタイプを調べます。
特定の物資によるアレルギーが原因となっていると考えられる場合は、血液検査や、プリック検査を行います。プリック検査とは、皮膚にアレルギーの原因物質と考えられるものを少し垂らし、そこを専用の針(プリック針)で刺して、15分後に反応をチェックするというものです。
皮膚以外にも症状がある場合は、蕁麻疹ではない他の病気が原因となっていることも考えられるため、レントゲン検査を行うこともあります。
蕁麻疹の治療法・予防法
ここからは、蕁麻疹の治療法や予防法についてご紹介します。
蕁麻疹が出るタイミングを記録しておく
蕁麻疹が出るタイミングを記録しておくと、蕁麻疹の原因特定や、症状の改善・緩和につながります。
蕁麻疹が出る直前に食べたものやその日の過ごし方、どんなときに蕁麻疹が悪化したか、よくなるかなどを記録してみると、一定のパターンが見つけられる可能性があります。もしも特定の物質が原因になっていると考えられるのであれば、それを避けるのが治療の基本です。
また、蕁麻疹はすぐに消えてしまうことも多いため、蕁麻疹が出たときにスマホのカメラ機能を使って蕁麻疹を撮影しておくと、病院での診察のときに見せることで原因の特定に役立てられます。
蕁麻疹の治療薬を飲む
蕁麻疹の薬には、多くの種類があります。
- 抗ヒスタミン剤
- ヒスタミンH2受容体拮抗薬
- ヒスタミン以外のかゆみの原因物質を抑える薬
- ステロイド内服薬
- オマリズマブ(ゾレア®)
蕁麻疹を薬で治療するときは、基本的に抗ヒスタミンの飲み薬が中心です。花粉症のときにも出される薬で、いくつもの種類があり、どれが合うかは人によって異なるため、個人に合わせて処方されます。
ストレスや疲れをため過ぎない
ストレスや疲れは、蕁麻疹を悪化させる原因になります。慢性蕁麻疹の人は、自覚していないがストレス状態にあることが多く、ストレスに対して内向的な傾向にあるという報告も。
ストレスの原因から距離を置く、定期的にストレス発散するなど、簡単ではないかもしれませんが、できることからやってみて、ストレスをため込まない工夫をしていきましょう。
肌にストレスを与えない
身体的なストレスも、蕁麻疹の原因になります。衣服のこすれや締め付け、圧迫によって蕁麻疹が引き起こされることもあるため、なるべく肌に負担をかけないようにするといいでしょう。
普段から蕁麻疹を掻いたり、こすったりしていると悪化してしまうため、注意が必要です。
心療内科や精神科を受診する
蕁麻疹の原因がストレスの場合、人によっては原因を完全に取り除いたり、減らすことが難しいこともあるでしょう。蕁麻疹の薬を飲んでもなかなか症状が治まらない場合は、心療内科や精神科の受診を検討するのも一つの方法です。
人に話を聞いてもらうだけでも心が軽くなったり、気持ちを整理できたりします。また、カウンセリングを重視してくれる皮膚科を受診するのもいいでしょう。
冷やす(寒冷蕁麻疹以外)
蕁麻疹は、温めるとかゆくなり、冷やすと腫れが治まる傾向にあります。冷やし過ぎもよくありませんが、かゆみが強いときは冷やしてみるといいでしょう。
ただし、寒冷蕁麻疹の場合は冷やすと悪化してしまう可能性があるため、冷やさないようにしましょう。
睡眠や生活習慣を改善する
不規則な生活や睡眠不足は、体に大きな悪影響を与えます。特に、睡眠が不規則になっていると蕁麻疹の悪化につながることがあります。
「蕁麻疹がかゆくて眠れない」という人は、寝不足やストレスで余計に蕁麻疹が悪化してしまう可能性があるため、なるべく早めに皮膚科など医療機関を受診するといいでしょう。
食生活を改善する
ヒスタミンやコリンなどの化学物質を含んでいたり、遊離させる食品を摂取すると、蕁麻疹の原因となることがあります。具体的には、青魚、甲殻類、貝類、豚肉、卵、チョコレートなどの食品です。
その他にも、たけのこやほうれん草、果物、ソバなどが原因となっていることもあります。食物が原因と考えられる場合は、病院で検査をして原因を特定し、これらの食べ物を控えるといいでしょう。
ストレスによる蕁麻疹は早めの対処を
ストレスは、蕁麻疹の原因の一つです。蕁麻疹は約7割が原因不明といわれていますが、原因がわからなくても、薬を使うことで治療できます。
蕁麻疹によるかゆみ、それに伴う寝不足などはさらなるストレスを生む原因になり、蕁麻疹の症状の悪化につながるため、蕁麻疹に悩んでいる人は早めに病院を受診して、自分の症状に合った治療を行うことが大切です。
監修者プロフィール:藤澤孝志郎さん(総合内科専門医)
Dr.孝志郎のクリニック院長。日本内科学会認定総合内科専門医。宮崎大学医学部卒業。医学教育の第一人者としても知られ「サマライズシリーズ」、「病態生理講座」、「ラストメッセージ」はその代表作。また、医学英語を取り入れたオリジナルの講座を国内でいち早く誕生させ多数の大学医学部で外部講師として活躍。今日までに海外出身者を含め約10万人の医学生と医師達がその講義を受けた。
著書に「内科系専門医試験 解法へのアプローチ第1集・第2集・第3集」(医学書院)、「糖尿病 自分で治す最強事典」(マキノ出版)、「世界一効率よく若返る!骨トレ!」(ビジネス社)など。監修は「肋骨締め」(KADOKAWA)など他多数。VOGUE JAPAN、an・an(アンアン)、Tarzan、ゆうゆう、ハルメクなど取材記事多数。
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