市原隼人!俳優に反発した10代と愛することへの情熱
2022.05.192022年05月15日
映画「おいしい給食」で演じたコミカル教師の役作り
市原隼人が給食偏愛キャラ熱演!好きな物は好きでいい
市原隼人さん主演の最新作「劇場版 おいしい給食 卒業」は、同名連続ドラマの劇場版第二弾。給食が人生最大の楽しみ!という甘利田先生を演じる市原隼人さんに、役作り、撮影の裏話から、趣味についてなど、さまざまなお話しを伺いました。
給食に並々ならぬ愛を注ぐ教師を怪演
「劇場版 おいしい給食 卒業」は、1980年代の中学校が舞台。給食に並々ならぬ愛を注ぐ教師の甘利田幸男(市原隼人)と、同じく給食愛が強い生徒・神野ゴウ(佐藤大志)が「いかにおいしく給食を食べるか」を競い合う給食バトルです。連続ドラマ(シーズン1&2)で好評を博し、劇場版「おいしい給食 Final Battle」(2020年)も人気を集めました。本作では、甘利田先生のライバルでもある、生徒・神野が中学を卒業することになり、ついに甘利田VS神野の給食バトルに終止符が打たれるのです。
「おいしい給食」はオリジナルストーリーゆえに、市原さんは甘利田のキャラ作りに情熱を燃やしていたそう。給食を前にすると独特なアクションを披露する甘利田について、お話を伺いました。
給食を愛しすぎる個性的な甘利田先生は、どうやってキャラが作られた?
――ドラマがシーズン1&2作られ、劇場版も2作目。甘利田先生の独特なキャラクターも定着していますが、オリジナルストーリーなので、最初のキャラ作りは大変だったのではないでしょうか?
市原隼人さん(以下、市原隼人)
お話をいただいたとき、完全オリジナル作品ということで、0から1を作れる喜びを感じていました。俳優がいろいろな芝居にチャレンジできるように、脚本上もキャラ設定などを固めず余白を残して書かれていたので、10人の俳優がチャレンジしたら、10通りの甘利田が出来上がっていたと思います。なので「市原隼人の甘利田とは、どういうキャラクターなのか」と考えて、思い切り挑戦させていただきました。
――とても真面目で硬派なイメージの甘利田先生が、給食の時間になると突然キャラ変するのが面白かったです。振り切ったお芝居をしていますね。
市原隼人
「おいしい給食」は小さなお子さんから、100歳を超える方まで楽しめる、キング・オブ・ポップな作品にしたいと思っていました。給食を前にしたときの甘利田の動きのインパクトはもちろんですが、教育者でもあるので、知識や教養に裏打ちされた内面の魅力も必要でした。さまざまな年代の方に楽しんでもらうためには、やりすぎてニッチにかたより過ぎてもダメだし、引きすぎても面白くなくなってしまう、そのさじ加減が難しかったです。
それに舞台が1980年代で、今よりもずっと人間関係が密だったと思うんです。地域で大人たちが子どもを見守り、子育てに参加し、支え合った、古き良き時代というのでしょうか。子どもたちがスクスクと成長していく中で、給食をめぐるとても愛くるしい時間をお届けしたい! そういう思いで、この作品に取り組みました。
好きな物は好き!人生を思い切り謳歌する主人公のように生きたい
――甘利田の魅力について、市原さんはどのように感じていますか。
市原隼人
甘利田の魅力は、激しいくらいの給食愛。給食を食べるために学校に行っていると言っても過言ではない男が、生徒たちの前でコミカルな姿を見せながらも「好きなものを好きだ!」とはっきり言い、表現し、思い切り人生を謳歌しているところが好きですね。
――劇場版とドラマ版、甘利田先生の違いはありますか?
市原隼人
一貫して滑稽な姿を観客のみなさまにたくさん見ていただくことが甘利田のポイントなので、これはドラマも劇場版も一緒です。こんなにすべてをさらけだして、一生懸命、給食と向き合い、相手が生徒でも本気でぶつかり、負けたときは素直に負けを認める。そんな男はあまりいないのではないでしょうか。
僕は甘利田のような男になりたいと思っているので、彼の魅力がブレないように。また給食のライバル、神野が卒業することで、彼の旅立ちに対する愛惜、別れを惜しむ感覚も大事に演じました。
現代の教育問題もわかりやすく描く
――この映画は、生徒との給食バトルだけでなく、教育についても大事なことが描かれていますね。市原さんは演じていてどう感じましたか?
市原隼人
この映画でも、給食を楽しみにしている生徒の喜びを、大人たちが奪うという展開があります。教育において、本当に大切にしなくてはいけないのは、子どもたちの成長と彼らの世界をきちんと見つめることだと思うのですが、大人の作ったルールを押し付けてしまうことも時々あるのではないかと。僕は、教育において大人の立場を優先させたら、生徒たちとの間にゆがみが生じてしまうと思うんです。どうやったらうまくいくのかは、難しいですね……。永遠のテーマだと思います。
特に現代は、コンプライアンスがあり、先生も厳しい環境で教育に従事されていると思います。だからこそ、先生たちにも輝ける場が必要ですよね。学校に来ればこんなに素晴らしいことがあるというご褒美みたいな。甘利田にとってはそれが給食なのです(笑)。
トム・ソーヤみたいだったヤンチャな少年時代
――ライバルの神野くんにとって甘利田先生は一生忘れられない先生になると思いますが、市原さんにとって、小中学時代など忘れられない先生はいますか?
市原隼人
お世話になった先生は覚えています、たくさん褒めていただいて、たくさん怒られました(笑)。僕は探究心と冒険心の塊で、トム・ソーヤみたいな子どもだったので、扱いづらかったと思いますが(笑)、お世話になったすべての先生が、自分の考えを押し付けることなく、愛情深く、人間味ある先生方でした。とても恵まれていたと思います。
市原隼人(いちはら・はやと)プロフィール
1987年東京生まれ。2002年、岩井俊二監督作「リリイ・シュシュのすべて」の主演で俳優デビュー。その後、映画、ドラマなど多数出演。主な出演作に、映画「偶然にも最悪な少年」(03年/日本アカデミー賞新人賞受賞)、「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」(08年)、「ボックス!」(10年)、「無限の住人」(17年)、「ヤクザと家族」(21年)など。ドラマ「ウォーターボーイズ2」(05年/フジテレビ)、「ROOKIES」(08年/TBS)など。近作はドラマ「正直不動産」(NHK)、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(NHK)のほか映画「レッド・シューズ」(2022年秋公開予定)。
「おいしい給食 卒業」
(2022年5月13日公開)
監督:綾部真哉 出演:市原隼人、土方芳、佐藤大志、勇翔、いとうまい子、直江喜一、木野花、酒井敏也、 山﨑玲奈、田村侑久、登坂淳一
取材・文=斎藤香 写真=岡田直記 編集=鳥居史(ハルメクWEB)
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