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更新日:2022年02月21日 公開日:2022年02月17日
撮る側と撮られる側の両方を知る強み
スクリーンで唯一無二の存在感を放つ演技派俳優の永瀬正敏さん。彼は表現者として、写真家という肩書も持っています。今回は写真家としての顔に加え、プライベートな一面にも迫ります。
国内外で、さまざまな名監督からのオファーが絶えない永瀬正敏さん。最新主演映画は、「黒四角」の鬼才・奥原浩志監督が、小川洋子さんの人気小説を映画化した「ホテルアイリス」で、台湾の新進スターであるルシアさんと共に、禁断の愛を体現しました。その一方で、写真家としても名を馳せる永瀬さんに、写真を撮ることのやりがいやプライベートでの癒やしについて話を伺いました。
――2021年12月に、EXILEの岩田剛典さんを撮った写真集「Spin」に続く2冊目となる「layer」を発行され話題となりましたが、写真家として撮る側での面白さをどう感じていますか?
永瀬正敏
僕の周りには俳優さんたちをはじめ「絶品の被写体」が大勢いらっしゃるわけですから、写真を撮らせてもらう立場からすると最高の環境です。また、自分は俳優で、いつも撮っていただく側にいるという意味で、被写体の方々は同業者だから、そこも特殊ですね。彼らはひとことヒントを出せば、自分からいろいろなことを表現してくれるので、僕自身は何もすることがないんです。
――映画の現場にも、常にカメラを持ちこまれているそうですね。
永瀬正敏
最近は芝居そっちのけで、現場で共演者を撮らせていただいてます(笑)。でも、できることなら、共演者の方々やスタッフの方々全員、これはデビュー作から撮っておきたかなったなぁと後悔しているんです。そうすれば、何も語らずとも、自伝的なものというか、一つの自分史が出来上がるので。もちろん、いつも迷惑かなと思いつつ、撮らせてもらっていますが。
――永瀬さんに撮ってもらえるなんて、きっと大喜びだと思いますが、何か印象的なエピソードを教えてください。
永瀬正敏
一度だけ、渥美清さんを撮らせてもらったことがあって。渥美さんは「男はつらいよ」の寅次郎というキャラクターを非常に大事にされている方で、普段は渥美清というものを表に出さない方なんです。
いつセットに入られるのかもわからない、帰られたのかもわからない、まるで風のような方でした。ある日、僕も一度だけ、渥美さんにスタッフの皆さんの影からカメラを向けさせてもらった事があるですが、なんと…ポーズをつけてくれたんです!
――それはかなり貴重な体験ですね!
永瀬正敏
最高にうれしくて、うわあ!と思いつつ、慌てて撮ったんですが、ピントがずれてるどころか、全くピンが来てなかったんです…。一生に一度あるかないかのチャンスだったのに…。
――緊張しすぎて失敗してしまったということですか?
永瀬正敏
その時のカメラは、「オータム・ムーン–アジアン・ビート 香港篇」という映画の撮影をしていた時、香港の古道具屋さんで買ったライカでした。買う前に2週間くらい毎日その店に通っていて、欲しいなと思いつつも高くて買えなくて。でも、ある日、突然半額以下になっていたので買ったものですが、機能的に全然ダメでした。いわゆる偽物、バッタモンだったんですね。だからその時から、ちゃんとしたカメラを買おうと思いました(笑)
――まだまだ続くコロナ禍ですが、家での癒やしやストレス解消法などについても教えてください。
永瀬正敏
最初の緊急事態宣言が出された時、僕も一歩も外に出なかったんですが、その時僕なりに何か伝えることは出来ないか?と思い僕のInstagram等で今まで撮らせていただいた写真の中から、笑顔の写真や、ふれあいを感じる写真を毎日1枚ずつアップさせてもらっていました。それは自分にとっても今考えたら、実は癒しというか大きなものにもなっていた気がします。
あと、飼っている猫ですね。2022年1月7日で15歳になりましたが、彼の存在が一番大きくて、自分の息子みたいなものです。いわゆる言葉でのコミュニケーションは取れないですが、気持ちが伝わるし、一緒にいると一人じゃないと思えるんです。癒やされるし、愛を向けられる存在ですよね。
――50代を楽しく生きていくために、何か心掛けていることはありますか?
永瀬正敏
健康法とかは特にないんですが、自分たちが若かった頃のことを思い出すということでしょうか。若い頃は、上の人から経験値を踏まえて何かを押し付けられたとき、僕たちは反発していたと思うんです。だからそうじゃなくて、一歩下がって、一緒に悩んだり、一緒に考えたりする日々を過ごしていければいいんじゃないかと思います。
――では、年を重ねていくと、男性女性ともに容姿が衰えていきますが、永瀬さんは大人な女性たちについてどう思われますか?
永瀬正敏
僕は、年を重ねるのは素晴らしいことだと思っているので、そこを楽しんでもらいたいです。
僕が若い頃、香港映画「オータム・ムーン」に出演した時、先輩の女優チョイ・シウ・ワンさんと共演させてもらったのですが、 当時70歳くらいで、いろんな経験を積まれた方でした。それで、ケガをされて入院するシーンを撮っているとき、なぜか僕が呼ばれたんです。
彼女は日本語をしゃべれないし、僕も広東語をしゃべれないけど、通訳さんを通じて彼女から「今の私はきれいですか?」と聞かれたんです。なぜなら、このあと私は映画の中で死んでいくけど、天国では夫が待っていると。夫に会うときはきれいでいたいからと。実際にそのとき、僕は彼女を見て、めちゃくちゃきれいだと思いました。
やはり、人って気持ちの持ちようで全然変わるし、気持ちが美しければ年齢は関係ないと、そのときに改めて思いました。だから年を重ねると深まる美しさってあると、僕は思います。
永瀬正敏(ながせ・まさとし)
1966年生まれ、宮崎県出身。83年、映画「ションベン・ライダー」でデビュー。「息子」(91年)で日本アカデミー賞新人俳優賞・最優秀助演男優賞他、国内映画賞を受賞。その後日本アカデミー賞は、優秀主演男優賞1回、優秀助演男優賞2回受賞。「ミステリー・トレイン」(89年)、「オータム・ムーン」(91年)、「コールド・フィーバー」(95年)など、海外作品にも多数出演。台湾映画「KANO 1931海の向こうの甲子園」(2015年)では、金馬奨で主演男優賞にノミネート。近作は「名も無い日」(21年)、「茜色に焼かれる」(21年)など。「ノイズ」、「ちょっと思い出しただけ」が公開中。
新宿ピカデリー他にて全国公開中
監督:奥原浩志
原作:小川洋子「ホテル・アイリス」(幻冬舎)
出演:永瀬正敏、ルシア、菜葉菜、寛一郎、大島葉子、マー・ジーシャン、バオ・ジョンファン、リー・カンション
配給:リアリーライクフィルムズ+長谷工作室
(C)長谷工作室
衣装=コート29万9200円、シャツ4万8400円、パンツ7万7000円ともにYOHJI YAMAMOTO(プレスルーム03-5463-1500)
取材・文=山崎伸子 写真=泉三郎 スタイリスト=渡辺康裕(W)・桶谷梨乃(W) ヘアメイク=勇見勝彦(THYMON Inc.) 編集=鳥居史(ハルメクWEB)
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