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- 60歳を過ぎて更年期のような状態になる原因&対処法
「60歳を過ぎて更年期のような状態になることがあるって本当?」「更年期は50代までじゃないの?」更年期症状が長引く原因や、対処法などを詳しく解説!原因や症状は人によってさまざまです。自分に合った方法を見つけ、適切に対処しましょう。
60歳を過ぎて更年期のような状態になることはある?
更年期は閉経の平均年齢である51歳の前後約10年というイメージが強いですが、60歳を過ぎても更年期のような症状が現れて、不安を感じる人もいるようです。
ここでは、60歳を過ぎた女性と更年期の関係や、更年期のような状態になる原因などについてご紹介します。
60歳を過ぎて起こる不調は更年期症状の可能性もある
閉経を迎える時期は個人差が大きく、30代で閉経を迎える人もいれば50代中頃まで月経がある人もいて、60歳を過ぎても更年期症状が続く可能性もあることから、50歳前後の約10年を過ぎたら更年期ではないという従来のイメージには当てはまらない場合も。
また45〜55歳頃に更年期症状を経験し、その後体調が落ち着いてくる人が多い一方、そのままつらい症状が続いてしまったり、いったん改善したようにみえても再び症状が現れたりするケースもあります。
一生を通しての女性ホルモンの変化
更年期障害の症状は、女性ホルモンの中でも「エストロゲン(卵胞ホルモン)」の分泌量が強く影響します。
以下は、女性のライフステージによる女性ホルモンの変化です。
- 思春期:時間の経過とともに女性ホルモンの分泌量が増えて初潮を迎える
- 性成熟期:女性ホルモンの分泌量が安定して妊娠・出産に適した時期となる
- 更年期:閉経前後に女性ホルモンの分泌量が急激に減少して体内の環境が激しく変化する
- 老年期:女性ホルモンが低い値のままになる
エストロゲンには肌や骨、血管などを健康に保ったり自律神経を安定させたりする働きがあるため、閉経を迎える更年期にはエストロゲンの欠乏によりさまざまな心身の不調が生じます。
60歳を過ぎて受ける可能性がある更年期障害の影響
更年期になると、顔のほてりやのぼせ、発汗、頭痛、めまい、疲労感などの身体的な症状の他、イライラや憂うつ、不眠などの精神的な症状が起こります。
そして閉経して10年ほど経過する人が多い60歳女性は、更年期症状による体調不良が落ち着いていることが多いです。
その一方で、エストロゲンの欠乏により、頻尿や尿もれ、性交痛といったGSM(閉経後泌尿生殖器症候群)の症状に加え、骨粗鬆症や高血圧、心筋梗塞などの動脈硬化による症状が現れやすくなったり、アルツハイマー型認知症のリスクが高まったりします。
閉経後は、女性の体に大きな変化がもたらされるといえるでしょう。
更年期を過ぎても、更年期のような症状のような状態が続いている場合は、他の健康問題の可能性もあります。
例えば、甲状腺の病気は女性に多くみられ、体調不良や更年期の症状に似ていることから見逃されやすいです。
更年期のような症状に悩んでいるのであれば、更年期外来のある婦人科を受診することで症状を緩和する治療を受けることができますし、隠れた病気を見つけられるかもしれません。
体調不良を更年期のせいだからと思い込んで我慢せず、医療機関で適切な検査を受けるようにしましょう。
60歳を過ぎて更年期のような状態が続く原因
60歳を過ぎて更年期のような状態が続く場合、以下のような原因があると考えられます。
- 環境が変化した
- ストレスが多い生活をしている
- 生活リズムが不規則
- 免疫力が低下している
のぼせやほてり、動悸、めまいなど、更年期によくある症状の原因は女性ホルモンの変化だけではありません。
理由にはさまざまなものがあり、一人ひとり状況も大きく異なります。
例えば、親の介護が終わってひと段落したところで更年期のような症状が現れるなど、環境の変化が引き金となる他、人間関係のストレスや寝不足なども自律神経の乱れにつながり、体調不良の原因となることもあるでしょう。
エストロゲンが不足した状態では免疫力が低下するため、今までなんともなかったことでも影響を受けてしまうことも考えられます。
60歳を過ぎて更年期のような状態が続くときの対処法
更年期症状は、夜眠れなかったり料理をすることや出かけることがおっくうになったりなど、女性のQOL(生活の質)を低下させる要因となります。
更年期以降もいきいきとした人生を歩むためにも、つらい症状は早めに改善しましょう。
ここでは、60歳を過ぎて更年期のような状態が続くときの対処法をご紹介します。
栄養バランスの取れた食事
更年期症状を改善し、健やかに過ごすためには、栄養バランスの取れた食事を意識するのが基本です。
以下のことに注意して、食事の内容を吟味しましょう。
- 腹八分目を意識する
- 野菜を多めに使う
- 脂肪分を控えめにする
- カルシウムやビタミンDを摂取する
毎日の食事にさまざまな食材を取り入れ、適量をバランスよく取ることが大切です。
体重を増やさないためにも、野菜を中心に献立を考えるとよいでしょう。しかし50代以降の女性は、他の年代よりも野菜の摂取量が多い反面、塩分の取り過ぎが気になるため、薄味でも満足感を得られるよう、出汁を効かせたり酸味をプラスしたりなどして対処することをおすすめします。
また、牛乳や小松菜、イワシなどカルシウムを多く含む食品や、干ししいたけ、キクラゲ、鮭などビタミンDを多く含む食品、牛もも肉や鶏もも肉、卵などタンパク質を多く含む食品は骨粗鬆症の予防にもなるため、積極的に取りたいところ。
それと同時に、エストロゲンと似た働きを持つ大豆イソフラボンを含む大豆製品も意識して取ると、骨からのカルシウム溶出を抑える効果が期待できます。
料理をするのが面倒なときはお惣菜や加工品を利用してもよいですが、魚や野菜を使ったものや、油や添加物が少なめのものを選ぶようにしましょう。
適度な運動
更年期症状の改善には、適度な運動を取り入れることも大切。
これまで運動習慣がなかった方は、誰でも手軽に始められて歩く速さや距離などを自分で調整できるウォーキングがおすすめです。
運動する時間を取れないという方は、家事をしながらできる「ながら筋トレ」を取り入れることから始めてみましょう。
掃除機をかけているときは「沈み込みウォーキング」。
- 掃除機をかけながら片足を前に踏み出し、膝を深く曲げてそのまま静止する
- 逆の足を前に出し、腰を下に落としながらゆっくりと前進する
上記が基本の動きですが、慣れてきたらレベルアップしてみましょう。同じ要領でより深く沈み、その状態で2秒キープしてから逆の足を出して前進すると、太ももやお尻の筋肉を鍛えられます。
それに加えて日光浴をすると、体内のビタミンD生成を促進して、骨の健康を維持する効果が期待できるでしょう。
また、就寝前にストレッチなどの軽い運動をすると寝付きがよくなり、寝不足を解消できる可能性があります。
医療機関を受診
更年期症状がつらいときは、我慢せずに医療機関を受診して、適切な治療を受けることも大切です。
更年期症状に対する治療で一般的に行われているのは「ホルモン補充療法(HRT)」や「薬物療法」など。
日本女性医学学会・日本産科婦人科学会発表の「HRT(ホルモン補充療法)ガイドライン」にも「明確な適応があり、そのベネフィットがリスクを上回る場合に限り可能」と記載されています。
ただし、60歳以上の人が新規でホルモン補充療法を行う場合、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患や、肺塞栓症や深部静脈血栓症などの静脈血栓閉塞症のリスクが高まります。また、保険的にホルモン剤は適応外となるため、比較的安全に使用できる漢方薬を勧められることもあります。
50代でホルモン補充療法を始めている場合でも、同様の理由から60代になったら漢方薬に変更します。
ホルモン補充療法を避けたい場合は、のぼせやほてり、発汗などの症状に対しては自律神経調整剤を、抑うつや不安感、不眠、イライラなどの症状がある場合は自律神経症状と精神症状の両方がある場合は漢方薬を使うなど、症状に合わせて薬物療法を行うこともあります。
また、ホルモン補充療法や薬物療法とは別に、心理療法やカウンセリングを行うことも。
「60歳を過ぎて更年期症状を訴えて医療機関を受診するのは気が引ける」といって食事や運動で症状の緩和を目指している人もいるかもしれませんが、原因がはっきりしないときや症状が改善しないときは、我慢せずに医師に相談しましょう。
ストレスをためない
イライラしたり怒りやすくなったりなど、感情のコントロールが難しくなるのも、更年期症状の特徴です。
更年期症状によるストレスを和らげるためにも、リラックスしてプラス思考で過ごし、疲れを溜めないようしっかりと睡眠を取ることを心がけましょう。
例えば、音楽鑑賞や旅行など趣味の時間を取ったり、気の合う友人と食事をするなどして気分転換をするのもおすすめ。
自分に合ったストレス解消法を見つけるためにも、趣味や運動、学習などいろいろなことに挑戦してみましょう。
体を温める
女性はもともと体が冷えやすい傾向にありますが、更年期以降はさらに症状がきつくなったり、顔はほてっているのに足は冷たかったりすることがあります。
冷たい飲み物や締め付けるような衣服や下着、冷房の効かせ過ぎは、冷えや血行不良の原因となるため控えることが重要です。
また、シャワーだけで済まさず40度くらいのお湯に15分以上浸かる、飲み物に生姜をプラスする、レッグウォーマーやもこもこ靴下を取り入れるなどして体を温めるようにしましょう。
更年期症状を改善して健やかに過ごそう!
60歳を過ぎても更年期のような状態が続いている場合、日常生活に支障が出ることも多いため、いつ楽になるのかと不安になってしまいますが、食事や運動などのセルフケアによって緩和できる可能性があります。
気を付けたいのは、「更年期症状だと決めつけて医療機関を受診しないこと」。
似たような症状でも、甲状腺の病気や心臓疾患、リウマチ、うつなど他の病気が原因となっている可能性もあるため、まずは医療機関を受診して適切な検査を受け、そのうえで必要な治療を受けるようにしましょう。
※効果には個人差があります。試してみて異変を感じる場合はおやめください。
監修者プロフィール:三橋裕一さん
1964年生まれ。福島県会津若松市出身で2007年に札幌でひなたクリニックを開業。産婦人科医の傍ら、総合格闘技のリングドクターとしても活動。趣味はお酒とバイクジムカーナ。利き酒師やフードマイスターの資格も保有。新事業の『内診台を使用したVIO脱毛』に日々奮闘中。
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