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更年期障害の症状と対処法
更年期うつは早めの治療を!女性ホルモンの減少に注意
クレアージュ エイジングケアクリニック総院長
浜中聡子
公開日:2018.07.02
更新日:2023.08.22
女性ホルモンが減る更年期はうつになりやすい、その事実をご存じですか? 理由もなく落ち込む、不安になるのも、更年期によくある症状です。タイミング的に子どもの独立や親の介護が重なることが引き金になる場合も。症状・対処法を医師が解説します。
監修者プロフィール:浜中聡子さん
クレアージュ東京エイジングケアクリニック院長。女性の頭髪に関する悩みから更年期・女性ホルモンといった悩みが専門分野。14年にわたり女性の髪の悩みに携わってきた女性専門・頭髪治療の第一人者として、心身ともに健康で充実した毎日を過ごすことができるよう、医療面からのサポートを行っている。
更年期はうつになりやすいのはなぜ?
更年期には、体だけでなく心のバランスも崩しやすくなります。些細なことでイライラしたり、カッと腹が立ったりすることが増える一方で、わけもなく悲しくなったり、落ち込んだり、憂うつな気持ちになったりすることが少なくありません。
こうした気分の変調にも女性ホルモンの減少が関わっています。エストロゲンの分泌が急激に減ると、脳内のセロトニンという神経伝達物質も減少することがわかっています。
セロトニンには気持ちを明るく前向きにさせる作用があります。そのため、セロトニンが減少するとうつ病にかかりやすくなり、いわゆる「更年期うつ」と呼ばれる状態になってしまうことがあるのです。
特徴的な症状は、気分の落ち込みや意欲の減退、食欲不振、睡眠障害などがあります。寝つきが悪いのに早朝に目が覚め、そのまま眠れなくなる人も。悪化すると朝起きられなくなり、入浴や洗顔、着替えすら面倒に感じる場合も多いようです。
仕事や家事など、日常生活にも影響が出るため、こうした状態に自分でも嫌気がさし、「もう死にたい」とか「いっそ消えてしまいたい」などと思ったり、口にしたりすることもあるほどです。
家事や仕事をペースダウンしてリラックスを
更年期女性は、家庭内でも社会的にも複数の役割をこなさなければならないことがしばしばです。
家事や仕事に加え、地域や近所の付き合いもあったり、中には孫の世話や親の介護などが重なったりと、自分の時間がほとんどないという人も多いもの。ちょっとくらい体調が悪くても休めず、無理をしがちです。
特に、真面目で几帳面な人ほど自分のことを後回しにしてしまいます。中には、「更年期障害くらいで休むなんて」「昔の人はみんな我慢していた」というような周囲の心ない発言から、つらいと言い出せず、じっと耐えている人もいます。
しかし、心身の不調を我慢して無理をすることで、次第に追い詰められ、深刻なうつ状態に陥ることになるのです。
うつになる50代女性は多いものです。つらいと感じたらペースダウンして心と体をゆっくり休ませましょう。自分のつらさや体調の悪さを他人と比較するのは無意味です。自分が苦しいと感じたのなら、休養するのが第一です。
更年期うつの治療にはホルモン補充療法も効果的
憂うつな気分が続き、食欲不振や不眠といった症状があるときは、早めに心療内科やメンタルクリニックを受診します。必要に応じて、抗うつ薬や気分安定薬、睡眠薬などの薬を処方してもらいましょう。
また、かかりつけの婦人科も頼れる相談先です。医師に話を聞いてもらうだけで気分が晴れることもあります。更年期うつは女性ホルモンの減少が原因なので、ホルモン補充療法を先に行うことで、抗うつ薬などを使わないで済む場合もあります。
治療中は仕事や家事のことなどは忘れてゆっくり休みます。リラックスできるように、自分の好きなことをしながら過ごすとよいでしょう。ただし、昼夜が逆転するような不規則な生活は避けます。
決まった時間に食事を取り、できるだけ規則正しい生活をして、体調が安定してきたら適度な運動を心掛けます。体を動かすことはストレス解消につながりますし、外の空気を吸うとよい気分転換になります。
うつ状態のときは食事をおいしいと感じず、食欲がないことも多いのですが、少しでもよいので栄養バランスのとれた食事を心掛けましょう。
お酒で気晴らししようとするのはNG。女性はアルコール依存になりやすく、抗うつ薬など薬を服用している場合は作用を増強するので、お酒は控えます。
体が女性ホルモンの減少に慣れてくるにつれ、体調が徐々に上向きになることも多いものです。回復に多少時間がかかっても焦らずに、ゆっくり治療していきましょう。
※この記事は2018年7月の記事を再編集をして掲載しています。
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