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更年期障害・症状は何歳まで?快適に過ごすポイントも
医師監修│更年期の終わりのサインは?いつまで続く?
横倉クリニック
横倉恒雄
公開日:2022.07.30
更新日:2023.02.15
更年期の終わりのサインは?更年期症状・更年期障害はいつまで続く?女性の体の変化にまつわる疑問について、医師監修のもと詳しく解説します。女性ホルモンの分泌量の急激な変化が起こる時期は、さまざまな不調が出ることも。詳しく知って対処しましょう。
更年期の期間はいつまで続く?
更年期とは閉経の前後5年間(合計10年間)のことを指します。厳密に「何歳から何歳まで」と決まっているわけではなく、一般的に日本人の閉経年齢は平均50歳前後といわれているため、45~55歳くらいが更年期にあたります。
閉経に向けて心身に変化が現れ始める30代後半~40代半ばは「プレ更年期」と呼ばれ、更年期ほど急激に減少するわけではないものの、女性ホルモンの分泌量が少なくなりはじめます。
更年期が過ぎた時期は「ポスト更年期」といい、閉経から5年経過した50代後半以降にあたるのがこの時期です。
「更年期が終わった」という感覚は人によって異なりますが、50代後半〜60代前半くらいになると、更年期障害による症状が治まる人が多いようです。
人生100年時代といわれる現代では、ポスト更年期は「第二の人生」ともいえる女性にとって大切な期間。快適に過ごすためにも、自分の体に起きている変化について詳しく知り、対応していくことが大切です。
【更年期にまつわる言葉の意味をチェック!】
- 閉経……月経が来ない状態が12か月以上続いた際に、1年を振り返って閉経と判断する
- プレ更年期……女性ホルモン分泌量が減りはじめ、閉経に向けて心身に変化が現れ始める。30代後半~40代半ば頃
- 更年期……閉経前後の10年間を指し、女性ホルモン分泌量が急激に減少。45~55歳頃
- ポスト更年期……更年期が過ぎた時期。閉経から5年経過した50代後半以降
- 更年期症状……更年期に現れるイライラ、のぼせ、ホットフラッシュ、めまいなどの症状
- 更年期障害……更年期症状が強く出て、日常生活に支障がある場合は更年期障害と呼ばれる
更年期の終わりのサイン
更年期は閉経の前後5年間を指す言葉であるため、閉経してから5年ほど経過すれば「更年期が終わった」と考えられますが、実際には更年期が終わるタイミングや更年期が終わるサインは曖昧です。
更年期や更年期障害の症状が見られなくなったからといって、更年期が終わったとは限らず「◯◯があれば確実に更年期が終わった」と判断できるようなはっきりとしたサインや基準はありません。
しかし、ポスト更年期と呼ばれる閉経から5年経過した50代後半以降は、基本的には更年期の症状が穏やかになり、心身が落ち着きを取り戻すようになってくることが一般的です。
更年期に見られる症状は、女性ホルモン分泌量の急激な減少に体が追いつかないことで起こります。
体が少しずつ変化に慣れてくると、更年期の代表的な症状であるホットフラッシュやのぼせ、落ち込みやイライラなどの気分障害が落ち着いてくることがあり、これらの症状が軽くなったと感じれば、それは更年期の終わりに近づいていると考えられるでしょう。
閉経したかどうかは検査で調べられる
更年期が終わる明確なサインはないものの、自分が閉経を迎えたかどうかは、検査によって調べることが可能です。
婦人科で血液検査を行い、エストロゲンの数値と卵胞刺激ホルモン(卵巣に向けてエストロゲン分泌の司令を出すホルモン)の数値を見れば、閉経しているかどうかがわかります。
また、同様の検査で「いつ頃閉経するのか」の予測も可能です。月経周期によって数値が変化するため正確な時期はわかりませんが、閉経が近いかどうか、ある程度予測はできます。
更年期が終わって起こる体と心の変化
更年期に入る頃から女性ホルモンは少しずつ減少し始め、閉経すると急激に減少し、ほとんど分泌されなくなります。
更年期が終わる頃にはこのような更年期の女性ホルモン分泌量の急激な変化に体が慣れ、ホットフラッシュやのぼせ、異常発汗やめまいなどの更年期症状は落ち着いてくるものの、今度はエストロゲンの欠乏によって、体と心にさまざまな変化が現れます。
【体の変化】
- 骨がもろくなる
- 血管がもろくなる
- 太りやすくなる
- 疲れやすくなる
- 肌のハリやツヤが減少する
- 髪質が低下し、薄毛や白髪が気になり始める
- 尿漏れや膀胱炎、膣の乾燥や性交痛 など
【心の変化】
- 憂鬱な気分になったり、不安やイライラを感じる
- 涙もろくなる
- やる気が出ない
- 物忘れが多くなる、仕事のミスが増える など
上記は、更年期が終わって起こる体や心の変化の一例です。
更年期以降に注意したい病気
更年期になると女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が大きく減ることで、体には大きな変化が起こります。エストロゲンが十分に分泌されず、脳がホルモンをコントロールできなくなると、自律神経なども弱まってしまうことに。
このような変化によって起こるのが更年期の症状ですが、更年期障害と呼ぶほど症状が酷くなるかどうかは、個人差が大きいのが特徴です。
更年期症状の現れ方には、遺伝的な要因・社会的要因・健康状態・健康管理・ホルモン変化に対する感受性などが影響していると考えられています。
また、更年期症状だけではなく、その他の心身の不調が現れることもあります。以下は、更年期以降に注意したい病気です。
- 月経不順・月経異常
- 女性ホルモン欠乏症状(膣の乾燥、尿失禁、頻尿、皮膚のかゆみやドライマウス)
- 女性ホルモン低下により発症リスクが高まる疾患
関節炎、関節リウマチ、骨粗鬆症、自律神経失調症、萎縮性膣炎、卵巣がん、子宮体がん、乳がん、大腸がん、高血圧症、高脂血症、動脈硬化症、心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病、橋本病、認知症 など
HRT(ホルモン補充療法)を受けたり、エクオールのサプリメントを取ったりすると、月経が復活することがまれにあります。
しかし、閉経後に出血があった場合は病気の可能性もあるため、早めに婦人科で検査して、隠れた病気がないかしっかり調べるようにしましょう。
更年期の体験談
更年期症状の現れ方、閉経の仕方、更年期の終わり方は十人十色です。更年期の症状が軽い人もいれば、逆に更年期うつになりホルモン補充療法を開始した、更年期でつらいが仕事を休めない、気分の落ち込みと夫の無理解がつらいなど更年期のつらい症状を感じている人もいます。
更年期症状の治療はさまざまで、一人ひとりに適した方法があります。つらい更年期の症状を感じている場合は、我慢せずに婦人科に相談してみましょう。
不安感など心の症状は、誰かに相談するだけでも和らぐことがあります。
更年期の症状・不調の改善に効果的な方法
以下は、更年期の症状・不調の改善に効果的な方法です。
更年期の症状は生活習慣も影響するため、まずは生活習慣の見直しから行い、改善されない場合は他の方法を検討するといいでしょう。
ポスト更年期(アフター更年期)を快適に過ごすポイント
ここからは、ポスト更年期(アフター更年期)を快適に過ごすポイントをご紹介します。
生活のリズムを整える
生活のリズムが不規則になると、更年期に起こりがちなイライラや不安感、憂鬱などを強めてしまう原因になります。睡眠の質が低下すると、セロトニンの分泌が悪くなってしまいます。
「幸せホルモン」と呼ばれることもあるセロトニンは、精神の安定に重要な働きをしている物質です。
起きる時間や寝る時間、食事の時間を規則正しくすると、生活のリズムが整い、睡眠の質も高まるでしょう。
適度な運動を取り入れる
適度な運動を習慣化すると、更年期症状や骨粗鬆症のリスクを抑える効果が期待できます。その他にも、筋肉量の維持、ストレス解消、睡眠の質の向上などさまざまなうれしい効果があります。
ハードな運動をしたり、無理に運動を長時間続けたりしなくてもOK。これまで運動する習慣のなかった人や体力に自信のない人が無理をすると、逆に体調を崩してしまうかもしれません。
継続して運動を毎日の習慣にすることを目標に、まずは自分に合った無理のない運動を取り入れていきましょう。
気軽に始められるウォーキングは筋トレ効果、脂肪燃焼効果、血流アップ効果など多くの効果があり、散歩感覚で続けられる健康維持にもぴったりの運動です。
食生活や食事の栄養バランスを整える
エストロゲンは脂肪やエネルギーなどの代謝にも関係しているホルモンです。減少することで、更年期は内臓脂肪がつきやすくなり、太りやすい体になります。若いときと同じような食生活を続けていると、肥満の原因になってしまうことも。
栄養バランスを意識して食事を取るようにしましょう。エストロゲンと似た分子構造を持つ「大豆イソフラボン」を豊富に含む納豆や豆腐、豆乳など大豆製品を積極的に食事に取り入れるのもおすすめです。
漢方薬を取り入れる
漢方薬は、女性のホルモンの乱れによって起こる不調改善を得意としています。
産婦人科学会でも推奨されている漢方薬は、血流を良くしたり、自律神経などに働きかけて心と体のバランスを整えたりすることで、症状の改善を行います。
血流が改善されると、消化・吸収も良くなるので、疲れやストレスに負けない体づくりにも役立ちます。
漢方薬は、人それぞれの症状や体質に合わせて選ぶことで素早い効き目を感じられ、体質を根本から改善することができます。ポスト更年期(アフター更年期)をいきいきと過ごしたいなら、漢方薬がおすすめです。
ポスト更年期(アフター更年期)におすすめの漢方薬
・加味逍遙散(かみしょうようさん)
ホットフラッシュやのぼせに効果が期待できます。肩こりやイライラ、疲れを感じやすい人におすすめの漢方薬です。
・牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
足腰の痛みやしびれを改善する漢方薬です。下半身の冷えや排尿トラブルがある人におすすめです。
体に適した漢方薬を使うなら、医師や薬剤師など、漢方に精通した専門家による診断と処方が大事です。
自分に合う漢方を探すなら、プロの力を借りるのがおすすめです。かかりつけの漢方医がいない場合には、お手頃価格で漢方を自宅に届けてくれる「あんしん漢方」などのオンライン漢方サービスを取り入れてみてはいかがでしょうか。
婦人科で定期的な健康チェックを受ける
更年期以降は、骨を丈夫にする、血管を保護するなどの役割を果たしていたエストロゲンが減少することで、さまざまな病気のリスクが高まります。
更年期に現れる症状は身体症状、精神症状など多岐にわたるため、内科や心療内科、整形外科など転々と受診する人も多いようですが、更年期にさまざまな不調を感じる場合は、婦人科を受診してみましょう。
また、女性は閉経後に内臓脂肪が増えますが、内臓脂肪の増やし過ぎは生活習慣病のリスクを高めることにつながります。生活習慣病は自覚症状のないまま進行していくため、定期的な検査を受けて、自分の健康状態をチェックしましょう。
更年期は変化の時期、自分の体をしっかり労って
更年期は女性の体に大きな変化が起こる時期です。急激な変化に体が慣れるまで、ホットフラッシュやのぼせ、めまいやイライラなどの更年期症状が現れることがあります。
更年期の終わり方は人それぞれで、明確な基準やサインなどはありません。しかし、多くの場合、50代後半頃には更年期や更年期障害の症状は落ち着いてくるといわれています。
更年期が終わる頃には女性ホルモンであるエストロゲンがほとんど分泌されない状態になり、さまざまな病気のリスクが高まるため、定期的な検査を行うなど、自分の体を労ってあげることが大切です。
監修者プロフィール:横倉恒雄さん(横倉クリニック)
よこくら・つねお 医学博士。医師。横倉クリニック・健康外来サロン(港区芝)院長。東京都済生会中央病院に日本初の「健康外来」を開設。故・日野原重明先生に師事。婦人科、心療内科、内科などが専門。病名がないものの不調を訴える患者さんにも常に寄り添った診療を心がけている。著書『病気が治る脳の健康法』『脳疲労に克つ』他。日本産婦人科学会認定医 /日本医師会健康スポーツ医/日本女性医学学会 /更年期と加齢のヘルスケア学会ほか。
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