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- 【更年期体験談】気分の落ち込みと夫の無理解がツラい
女性は必ず閉経を迎えます。しかし、その前後で現れる更年期症状は人によって千差万別。そこでハルメクWEB読者Sさんの更年期の体験談を教えてもらいました。夫の無理解はどうすればいいの?産婦人科医の高尾美穂さんがアドバイスします。
50歳で始まったSさんの更年期症状
現在、57歳のSさん(自営業)。更年期症状を感じ始めたのは50歳を過ぎた頃だったそう。Sさんが、自覚した更年期症状は以下のものです。
Sさんが感じた更年期症状
- 不眠
- 頭痛
- 腰痛、背中痛など体が痛い
- 手足の関節が痛い、しびれる
- 体の重さ/倦怠感
- 冷え
- トイレが近い
- 何もする気が起きない、無気力感
- 肥満
特に、無気力感や気分の浮き沈みがつらかったと振り返ります。
「よくあるホットフラッシュの症状はありませんでしたが、気分の落ち込みがツラかったですね。ちょうど娘の独立と更年期の時期が重なりました。上の子(長男)とは10歳ぐらい年が離れて産まれた子で、受験させたりPTAをがんばったりなど、私自身も入れ込んでいました。いざ親元から離れていくと思うと、どうしようと……」
長い更年期を経て、ようやく閉経が訪れたのは55歳の頃。更年期症状を感じ始めてからも、ときどき生理痛のような痛みと生理前のような症状と出血が続いてたそう。
心配になったSさんは、病院で「まだ出血はあってもいいのか」と相談。しかし、そこで医師から「あるだけましじゃないか」と言われたそう。「男性の先生だったからか、そういうふうに見られるのかと、ショックでしたね」
夫のひと言を引きずり、より不調に…
「コロナ禍になってからは心配事も増えたせいか、夜も眠りの質が悪くなって、夜中に起きている状態が習慣化してしまいました。昼夜逆転して、昼はうとうとしちゃっている時間も長くなって、無気力状態。でも、家事や仕事はこなさないといけない。家族がそれぞれ帰ってくる時間もバラバラだし、テレワークになってから息子も夫も家にいるからゆっくりできなくて、まとまった睡眠時間は実質3~4時間ぐらいだったと思います」
漢方薬を処方してもらったり、ヨガ教室に通ったりするなど、Sさんなりに工夫をしましたが、なかなか不眠の状態は変わりませんでした。
そんなある日、夫から衝撃のひと言が、Sさんを襲います。
「世間話をしながらの食事中、夫に『今の若い女性は仕事も育児もあって大変だけど、がんばっている。お前は育児だけでラクできてよかったな』と、言われたんです。夫は、おむつ替えもしたことがないくせに。子どもが熱を出して家事が滞ったときも、自分の夕食だけ買ってきたくせに、と反論しました。産後クライシスが今頃来たかと思うほどつらかったです」
Sさんいわく、夫は「会社では理解のある上司」として部下からの信頼も厚い。しかし、夫の何気ないひと言は、Sさん自身が「働きたくても、働けなかった」という過去の後悔とともに、ずっしりと心の重荷になってしまったそう。
「私も夫と同じ会社に勤めていたんです。私が就職したのは男女雇用機会均等法1期生ともいえる年で、産休取得も”絵に描いた餅”だった時代。妊娠の報告をしたら、私の意志と関係なく退職日を決められたという経緯も、夫は知っているはずなのに。30年近く前のことを思い出して、今の子たちがうらやましい……そう思ったら、更年期がさらにつらくなりました」
閉経を迎えた後は、メンタルの落ち込み状態も徐々に回復。その時に始めた、ピラティスや、さんさんと日が差し込む市民プ―ルに通うことは、今も続けています。また、細かいことを気にしないためにも、片付けと生活のダウンサイジングを心掛けるようになったと言います。
「私はミニマリストのようにスッキリとした生活をしたいのに、夫は今もバブルを引きずっていて買い物好き。還暦近いおじさんなのに、高い洋服を買って、ゴルフ、ダイビング、冬でもサーフィンに行ったりする。サーフィンやダイビングの道具とか買い込んで、私とは趣味も金銭的価値観も違う人間なんだな、もう勝手にしてよと思うことにしました」
医師・高尾美穂さんのアドバイス
夫のことより自分のためにできることを
明らかに夫の方に非があります。更年期はホルモンバランスに大きく揺さぶられる状態なので、産後クライシスが戻ってきたかのように思えるあなたの感覚は間違っていません。
ただ、安心してほしいのは、産後の時より、更年期の方がなんとかできる対策方法がたくさんあるということ。産後は授乳中の場合も多く、薬は飲まない方がよいのではないかと思う気持ちになったりする方おられるかと思いますが、更年期にはその心配もありません。治療の選択肢もたくさんあります。
すでに閉経され、更年期症状は収まってきているとのことですが、こういうときは、ご主人に変わってほしいと思わずに、まずは「自分の不調を整えることを第一に考える」ことが正解だと思います。我慢せず、受診するなど自分にできることをやっていきましょう。
余裕が出てきたら、パートナーとは大人同士なので、お互いに理解をすることが必要です。「更年期にはこういうことがある」「自分は今、こういう状態だ」「でも、これならできる」「だから協力してほしい」といったように、具体的に丁寧に伝えることが大切です。不調の対策をした上で、まずはコミュニケーションから始めてみましょう。
高尾美穂さんのプロフィール
医学博士・産婦人科専門医。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。東京慈恵会医科大学大学院修了後、同大学附属病院産婦人科助教、東京労災病院女性総合外来などを経て、2013年から「イーク表参道」副院長を務める。婦人科外来に携わるほか、スポーツ庁国立スポーツ科学センター 女性アスリート育成・支援プロジェクトのメンバーとして、女性アスリートのサポートも行う。ヨガの指導者資格も持つ。著書に『いちばん親切な更年期の教科書【閉経完全マニュアル】 』(世界文化社ホールディングス)、『心が揺れがちな時代に「私は私」で生きるには』(日経BP刊)
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