冷え対策におすすめの温活習慣・1

【医師監修】今すぐ冷えを撃退する!「温活」のすすめ

公開日:2021.02.24

更新日:2021.03.01

「冷えは万病のもと」と言われる通り、冷えは体にさまざまな不調や病気を呼び込む可能性があります。そこで取り組んでほしいのが、積極的に体を温める「温活」。冷え対策におすすめの温活習慣について、東京有明医療大学教授・川嶋朗さんに聞きました。

冷え対策におすすめの温活習慣
冷え対策におすすめの温活習慣

冷えは万病のもと!自律神経の乱れや免疫力低下の原因に

更年期の女性は冷えに注意!

寒さが厳しいこの季節。手足の凍るような冷たさや、体の芯から感じる冷えに悩まされている女性が多いはずです。

「女性はもともと男性と比べて熱を作り出す筋肉の量が少なく、冷えやすいといえます。さらに加齢にともなって筋肉量が減少すると、ますます冷えを感じやすくなります」

こう解説するのは、東洋医学や伝統医療に詳しい医師で、東京有明医療大学教授の川嶋朗(かわしま・あきら)さんです。50代以降の女性の冷えには、筋肉量の減少の他に、自律神経の乱れも深く関係していると話します。

「更年期以降は、体温をコントロールしている自律神経のバランスが乱れがちです。そのため『寒いときには心拍数を増やして体温を上げる』といった体温調節機能が低下し、低体温になりやすいのです。また夏の間、熱中症を心配するあまりエアコンをガンガンきかせて生活していると、自分で体温調節する機能が衰え、冬に冷えで悩まされるというケースも少なくありません」と川嶋さん。

こうした冷えや心身の強いストレスによって自律神経のバランスが乱れると、さらに体温が下がるという悪循環に陥ってしまうといいます。

自律神経の乱れと冷えの関係

では、冷えを放置していると体にどんな影響が及ぶのでしょうか。川嶋さんは、「冷えは体に蓄積し、疲れや痛みなどさまざまな不調を引き起こす他、高血圧やがんなど深刻な病気の引き金にもなります」と警鐘を鳴らします。

私たちの体内では、血液が全身を巡ってすべての細胞に酸素や栄養分を届け、老廃物を回収すると同時に熱を作り出しています。しかし、体が冷えて血行が悪くなると、酸素や栄養分が全身に行き届かず、細胞の働きが低下。

体内に老廃物がたまり、代謝が落ちる一方、体温の低下によって免疫力や酵素の働きも悪くなり、さまざまな病気のリスクが高まります。まさしく「冷えは万病のもと」なのです。

冷えから始まる病気への流れ

  1. 体が冷える
  2. 血行が悪化
  3. 酸素や栄養分が全身に回らない
  4. 細胞の働きが低下し、体のさまざまな機能が弱まる
  5. 老廃物が排出されない
  6. 新陳代謝が低下
  7. 酵素が働かない
  8. 免疫力も低下
  9. あらゆる病気のリスクが高まる

冷えから起こりやすい病気と冷え対策のための温活習慣

冷え対策のための温活習慣

冷えはさまざまな病気や不調の一因になります。ここではその一部と冷え対策の方法を紹介します。

動脈硬化

体内の温度(内臓付近の温度)は38度くらいが理想です。それ以下になると、血液が冷えて流れが悪くなります。体内温度が低い状態が続くと、血液がドロドロになって血管内にコレステロールが沈着。血管を狭く、もろくして動脈硬化の一因になります。

【冷え対策におすすめの温活習慣】
体の中心であるお腹や仙骨を重点的に温め、動脈が体表近くを通る首、手首、足首を冷やさない服装を心掛けましょう。

がん

私たちの体内では、免疫機能の働きやヒートショックプロテイン(HSP)というたんぱく質が生成されることにより、遺伝子を含めた細胞の異常を日々修復しています。しかし、体が冷えると免疫機能の働きもHPSの生成も低下。異常を修復できなくなり、がん細胞を増殖させてしまいます。

【冷え対策におすすめの温活習慣】
普段から入浴や食事、運動などで体を温めることが大切です。お腹を温め、全身の血の巡りをよくするのも効果的。

骨粗鬆症(こつそしょうしょう)

骨の組織がスカスカになり、もろくなってしまう骨粗鬆症。骨は代謝を繰り返し、毎日少しずつ生まれ変わっていますが、冷えで血流が悪くなると、骨の細胞に十分な栄養や酸素が行き届かず、丈夫な骨をつくれなくなります。

【冷え対策におすすめの温活習慣】
体温を上げて血流をよくするために、日常生活で体に少し負荷をかけるようにしましょう。ウォーキングなどもおすすめです。

頻尿

お腹が冷えると膀胱が過敏になり、少しの尿量でもトイレに行きたくなる症状を引き起こします。また、尿意は自律神経によってコントロールされているため、冷えで自律神経のバランスが乱れると頻尿になります。

【冷え対策におすすめの温活習慣】
蒸しタオルなどでお腹をしっかり温めましょう。就寝中も腹巻きなどを使ってお腹を冷やさない心掛けを。

心当たりはありませんか?「冷え」のセルフチェック

「冷えで受診される患者さんに、僕は一日の生活を振り返ってもらいます。すると、知らず知らずのうちに体を冷やす生活をしている人が多いのです」と川嶋さん。

病気の症状がまだ出ていない人も油断は禁物! セルフチェックで冷えにつながる生活習慣がないか、チェックしてみましょう。

  • 甘いものが好きでよく食べる
  • 冷暖房がきいた部屋にいることが多い
  • 冬でも冷たいものを食べたり飲んだりする
  • 体を動かす習慣がない
  • 入浴はシャワーで済ませることが多い
  • 暴飲暴食をしてしまうことがある
  • 睡眠不足である

ここで挙げた項目はすべて、体を冷やす習慣です。当てはまるものが多ければ多いほど、体が冷えて病を呼び込みやすくなっている可能性があります。チェックのついた習慣を見直して、積極的に体を温める「温活」を今すぐ始めましょう。

温活のポイントは大きく2つ。1つは、体を冷えから守り、効率よく温めること。2つ目は、生活習慣の間違いを正すことです。

次回は、体を冷えから守る、体の部位別冷え対策&温活グッズを紹介します。

監修者プロフィール

川嶋朗さん

監修者プロフィール:川嶋朗さん

かわしま・あきら 東京有明医療大学教授。1957(昭和32)年生まれ。北海道大学医学部卒業後、東京女子医科大学大学院修了。ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院、東京女子医科大学附属青山自然医療研究所クリニック所長などを経て、2014年から東京有明医療大学保健医療学部鍼灸学科教授、東洋医学研究所附属クリニック自然医療部門担当。

取材・文=五十嵐香奈(ハルメク編集部) イラストレーション=落合恵

※この記事は雑誌「ハルメク」2019年2月号に掲載したものを再編集しています。

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