長澤まさみ!松山ケンイチとは現場で一切しゃべらない
2023.03.262023年03月26日
どちらの正義が正しいか?検事 VS 殺人介護士
長澤まさみ!松山ケンイチとは現場で一切しゃべらない
介護、家族、そして殺人。現代の世の中を映し出すテーマを含む、映画「ロストケア」に出演した、長澤まさみさん。検事の役で、正義とは何かを追求しながらも犯人に心揺さぶられるという、難しい役どころを演じた舞台裏について話を聞きました。
松山ケンイチとは、意外にも「初共演」
――映画「ロストケア」は、介護を背景に起きた殺人事件を描いた作品ですが、出演されることになった理由を教えていただけますか?
長澤まさみさん(以下、長澤まさみ)
まず台本を読ませていただきました。私が演じる検事・大友秀美が事件を調べていくうちに、殺人を犯してしまった主人公の介護士・斯波(しば)に共感して、だんだん飲み込まれていく感覚が面白くて。
凶悪な殺人犯なのに言っていることに正しいところがあるから、引き込まれていってしまう。その言葉の一つ一つが印象に残って、面白そうな作品だと思って出演を決めました。
――主人公を演じる、松山ケンイチさんとの共演は初めてですか?
長澤まさみ
はい。みなさん「意外だな」とおっしゃいますが、実は初共演なんです。主人公が松山さんだと聞いて、あ、共演してみたいなと思ったのも出演理由の一つです。
私は検事役なのに、犯人に「人として向き合う」場面が多くあり、生身の自分で向き合っていると、つい犯人の言葉に共感してしまう。でもそれは、松山さん演じる犯人が魅力的だからなんですよね。
――あまり「ネタバレ」はできませんが、映画の後半は2人の対峙する場面が見どころですね。
長澤まさみ
殺人者なのに魅力があるからこそ人を引きつけてしまう。犯人と検事、どちらが間違っていたんだろうと、現実との境界がわらなくなるような感覚が面白いと思います。
緊張感をつくるため、現場ではセリフ以外しゃべらなかった
――松山ケンイチさんの演じる殺人犯と、長澤さん演じる検事の緊張感あふれるやりとりが続きますが、このシーンはどんなふうに撮影しましたか?
長澤まさみ
松山さんとのシーンは緊張感を持たせたかったので、2人で話し合って決めたわけではないですが、現場では顔を合わせてもほとんどしゃべらなかったんですよ。
私自身は撮影に入る前にそうしようと密かに決めていたんですが、松山さんも同じ気持ちでいてくれたみたいで。2人とも現場ではセリフでしかしゃべらなかったんです。その環境が、いい緊張感を作り上げました。
普段から老後の生活について考えている
――映画で描かれている「介護」や「ケア」についてどう思われますか? 自分の老後はどうしたい、などと考えることもありますか?
長澤まさみ
実は、そういう話は普段から親ともしています。親自身の希望や、自分の将来の老後についても、きちんと話し合って言葉にしておくことが大事だと思いますし、もともと関心のあるテーマだったので、この作品にも興味を持ちました。
「老後なんてまだまだ先でしょ」という人もいますけど、その時になってからでは遅いから、何事も準備しておかないと。スケジュールを立てて考えるって大事ですよね(笑)。
老後や介護について話し合うきっかけになる作品に
――この映画はフィクションであっても、社会に何かを訴えるきっかけになる作品だと思います。作品を通じて、長澤さんが一番伝えたいことは何でしょうか。
長澤まさみ
介護にまつわる殺人事件は、現実でも起こり得るかもしれません。見終わった後に介護や老後について、自然と話し合うきっかけになる作品であってほしいと思います。
出演した作品についていつもそう思いますが、この作品はまさに、見終わった後に何かを話し合いたくなる作品だと思います。映画とかエンタメって、そういうきっかけをくれるっていうのがいいところですよね。介護や老後については、若いから関係ないということではないので、いろいろな年齢の方に見てほしいです。
映画「ロストケア」に出演をして、普段から親と話していた「老後」や「介護」についてもより関心が高まったという、長澤まさみさん。後半では、映画出演で多忙な毎日をどう健康的に過ごしているか、その秘訣などを伺います。
長澤まさみプロフィール
ながさわまさみ。1987年生まれ、静岡県出身。2000年、第5回「東宝シンデレラ」グランプリを受賞。同年、女優デビュー。映画「世界の中心で、愛をさけぶ」(04年)で、第28回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞・話題賞を受賞。「キングダム」(19年)では、日本アカデミー賞2度目の最優秀助演女優賞を受賞。20年「MOTHERマザー」で、第44回日本アカデミー賞 最優秀主演女優賞を受賞する。
ロストケア
ある早朝、民家で老人と訪問介護センター所長の死体が発見された。死んだ所長が勤める介護センターの介護士・斯波(しば)宗典(松山ケンイチ)が犯人として浮上するが、彼は介護家族から慕われる心優しい好青年だった。検事の大友秀美(長澤まさみ)は、斯波が働く介護センターで老人の死亡率が異常に高いことを突き止める。斯波は自分の行為は「殺人」ではなく「救い」であると主張。大友は事件の真相に迫る課程で、心を激しく揺さぶられる。
2023年3月24日(金)より、全国ロードショー
監督・脚本:前田哲
出演:松山ケンイチ、長澤まさみ、鈴鹿央士、藤田弓子、柄本 明ほか
配給:日活、東京テアトル
文=金田千里、写真=小倉啓芳、ヘアメイク=根本亜沙美 スタイリスト=MIYUKI UESUGI (SENSE OF HUMOUR) 編集=鳥居史(ハルメクWEB)
■もっと知りたい■
- YOUに聞く!人生後半を楽しむには?
- 黒木瞳!老化は怖がってもいい!
- 中山美穂のキレイの秘密は?
- 松嶋菜々子!女優と母親業を両立する秘訣
- 安田成美!外見ではなく内面を育てたい
- 高畑淳子!大人こそ恋愛や人生を楽しめ
- 戸田恵子!アンパンマンから吹替までの誇り
- 大沢たかお!俳優人生を見直す2年の休業
- 板谷由夏!焦りを経て気づいた自分
- 熊谷真実!18歳年下夫との幸せライフ
- 元・宝塚トップ真飛聖!遅咲きの女性
- 松雪泰子!運動とグルテンフリー
- 永作博美!ストレス解消術は〇〇?
- 室井滋!大人になって知った故郷愛
- 夏木マリの暮らし!格好良いの源
- 富司純子!女優業のこだわりと暮らし
- 国生さゆり!乃木坂46遠藤さくらの母に
- ミニスカ伝説!ツイッギーは今何してる?
- 松下由樹!葬儀社の役で気付いた終活
- 寺島しのぶ!息子の歌舞伎界デビュー
- 風吹ジュン!人生は飽きてもいい
- 鈴木保奈美!史上一番のダメ女を演じ
- 高岡早紀!魔性の女の素顔は?
- 高島礼子!看護師&娼婦を演じ
- 沢口靖子!実は体育会系で〇〇
- 坂井真紀!50代からポジティブな諦め
- 岩田剛典!ソロ活動を望んだ想い
- 永瀬正敏!後悔と愛すべき存在
- 平野レミ、最愛の夫との死別…
- 篠原涼子!年下男性との「禁断愛」
- 中井貴一!大人世代が目指すべき生き様
- 市原隼人!反発の10代と愛すること
- 松山ケンイチ!東京と田舎の二拠点生活
- 長谷川博己!人生の終わりを考える
- 磯村勇斗・恋愛に年齢は関係ない
- 氷川きよし!自分に正直に生きる理由
- 阿部寛!美しい皺で年齢を重ねたい
- 吉瀬美智子!きれい維持の秘訣は?
- 稲垣吾郎!新しい地図で起きた変化
- 豊川悦司!やりたい欲求こそがエネルギー
- 杉本彩!セクシーであり続けるために
- 役所広司!年齢を重ねると原点に戻る
- 阿川佐和子!実は主婦希望だった過去と仕事観