有酸素運動は空腹時が効果的?メリットやおすすめの運動&ポイントを紹介
有酸素運動は空腹時が効果的?メリットやおすすめの運動&ポイントを紹介
公開日:2025年08月28日
有酸素運動を取り入れる重要性と空腹時に脂肪が燃えるメカニズム
ダイエットのために行ったほうがよいことはよく知られている有酸素運動。空腹時に有酸素運動を行うことで、効率的に痩せられるとされています。
ここではまず、有酸素運動を取り入れる重要性と、空腹時に脂肪が燃えるメカニズムについて詳しく紹介します。
有酸素運動を取り入れる重要性
有酸素運動は、ウォーキングやジョギング、エアロビクスなど、長時間継続して行う中で、筋肉を収縮させるためのエネルギーを、体内の糖や脂肪が酸素とともに作り出す運動です。健康維持や体重管理、生活習慣病予防などに効果的だとされます。
また、全身の筋肉をバランスよく使うため、心肺機能を高める効果が期待できます。
特に運動不足の人は、日常的に有酸素運動を取り入れることで基礎代謝が向上し、脂肪燃焼効率もアップ。さらに、血流改善やストレス解消、睡眠の質向上にもつながります。
年齢や性別を問わず、幅広い層におすすめの運動だといえるでしょう。
空腹時に脂肪が燃えるメカニズム
空腹時に有酸素運動を行うと、体内の糖質(グリコーゲン)が減少しているため、体はエネルギー源として脂肪を優先的に使いやすくなります。これは「脂肪の動員」と呼ばれ、運動時に脂肪分解酵素「リパーゼ」が活性化し、体脂肪が効率よくエネルギーへ変換される現象です。
特に朝食前は体内の糖質がグンと減った状態になっていることから、運動時の脂肪燃焼効果が高いとされています。
空腹時に有酸素運動を行うメリット
空腹時に有酸素運動を行うことには、さまざまなメリットがあります。特にハルメク世代は積極的に行うのがおすすめです。
ここでは、空腹時に有酸素運動を行うメリットを5つ紹介します。
脂肪燃焼の効率がアップしやすい
一般的に、50代頃になると基礎代謝が低下しやすく、痩せにくくなる傾向があります。これまでと変わらない生活をしているはずなのに、太りやすくなったという人も多いことでしょう。
そのような場合でも、空腹時に有酸素運動を取り入れることで、満腹時よりも効率的に脂肪を燃焼でき、体型を維持しやすくなります。
心身の健康の維持につながる
50代の女性は、更年期による体調の変化や不調を感じやすい時期です。
個人差はありますが、更年期とは一般的に閉経前後の5年間にあたる45〜55歳頃のことで、女性ホルモン「エストロゲン」の分泌が減り、頭痛や肩こり、イライラ、ホットフラッシュなどのさまざまな症状が現れます。
空腹時の有酸素運動は脂肪燃焼を促進するだけでなく、心肺機能や血液循環を高めて心身のリズムを整える効果が期待できるため、更年期の症状を緩和・改善し、心身の健康を維持することにつながります。
運動初心者でも始めやすい
有酸素運動は、ウォーキングや軽いジョギング、水中ウォーキングなど体への負担が少ない運動が多いです。
特別な道具を用意する必要もなく、朝食前のちょっとした時間にできる運動からスタートできるため、これまで運動習慣がなかった人でも、「お腹がすいた状態で運動しなければ」と気負わずに無理なく続けられます。
短期間で効果を実感しやすい
空腹時に有酸素運動を行うと、糖質が体内にないことで脂肪が燃焼されるまでの時間が短く済むため、比較的短期間で体重や体脂肪率の変化を感じやすくなります。
特にダイエットをしたい人は、短期間で効果を実感しやすいことで、モチベーションの維持につながりやすいのがメリットです。
空腹時の有酸素運動を継続すれば、見た目や体調の変化を実感できるようになるでしょう。
生活リズムや気分の改善につながる
空腹時に有酸素運動を行うことで、体内時計がリセットされ、生活リズムが整いやすくなります。
特に朝食前の運動は、日中の予定に左右されることもなく、運動を習慣化しやすいため、習慣化しやすいのもメリットです。
また、運動によって脳内に分泌される神経伝達物質「エンドルフィン」は、幸せホルモンとも呼ばれ、ストレスを軽減して精神的な健康をサポートします。
空腹時に有酸素運動を行う際の注意点
空腹時の有酸素運動は、脂肪燃焼に効果的だといわれていますが、注意点もあります。
まず、極度の空腹状態や体調不良のときは避けましょう。エネルギー不足の状態で運動すると、低血糖を起こすリスクがあり、めまいやふらつき、集中力低下などの症状が現れやすくなります。
万が一、運動中に低血糖症状を感じたら、食事を取るよりも糖の吸収スピードが速い飴やジュースなどを摂取して安静にし、重度の場合は医療機関に相談も必要です。
また、激しい運動や長時間の運動で糖質や脂肪を消費してしまうと、体がエネルギー不足に陥り、筋肉の分解してタンパク質をエネルギーに変換しようとする働きが起こるため、筋肉量が減って代謝が悪くなってしまう恐れもあります。
運動前には水分補給を忘れずに行い、体調チェックもしっかりとしたうえで無理のない範囲で行うことが大切です。
ハルメク世代が空腹時に行うのにおすすめの有酸素運動
空腹時に有酸素運動を行う場合、体力や体への負担、継続のしやすさなどを十分に考慮することが大切です。
ここでは、おすすめの有酸素運動を5つ紹介します。この中で自分が空腹時でも取り組みやすいと思う運動を見つけてみてください。
ウォーキング
ウォーキングは、ハルメク世代にもっともおすすめの有酸素運動です。
特別な道具が不要で気軽に始められるうえ、ひざや腰への負担も少なく、安全性が高いのがメリットです。歩くことで全身の血行が促進され、脂肪燃焼効果や心肺機能の向上が期待できます。
また、外に出てウォーキングをすることで、気分転換やストレス解消にも役立ち、生活リズムの改善や更年期障害の緩和にもつながります。
厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」によると、1日60分程度、歩数にすると約8000歩以上の運動量が推奨されています。
しかし、もっとも重要なのは運動習慣をつけることです。空腹時に長時間のウォーキングを行うと、体の筋肉を分解してエネルギーを消費しようとするため、短い時間で行うのが望ましいでしょう。
踏み台昇降
踏み台昇降は、自宅の階段や専用のステッパーを使って上がり下がりを繰り返すだけで、簡単にできる有酸素運動です。
ひざや腰への負担が比較的少なく、天候に左右されずにテレビを見ながらでも行えるため、これまで運動習慣がなかった人や、わざわざ外出するのがおっくうな人でも始めやすいのが魅力です。
1日を通して20〜30分行うことで、有酸素運動としての効果が期待でき、全身の血行を促進できます。
まずは5分程度から始めていき、慣れてきたら徐々に時間を伸ばしていくと、自分のペースで無理なく継続できるでしょう。
水中ウォーキング
ひざや腰に不安がある人におすすめなのが、水中ウォーキングです。水の浮力で関節への負担が大幅に軽減されるだけでなく、水の抵抗によって消費エネルギーが増え、脂肪燃焼や筋力維持の効果も期待できます。
また、水中運動は血行促進やむくみの改善にもつながるため、更年期特有の不調対策としても注目されています。
気軽にプールへ通える環境があれば、ぜひ取り入れて欲しい有酸素運動ですが、空腹時はあくまでも軽めに行うことが大切です。めまいや立ちくらみなどの不調が起こったら、すぐに中止してください。
サイクリング・エアロバイク
ひざや腰への負担が少ないおすすめの有酸素運動として、サイクリングやエアロバイクが挙げられます。
下半身の筋力強化や心肺機能の向上に効果的で、自分のペースで強度や時間を調整できるため、体力に自信のない人や運動初心者にも向いています。
エアロバイクが自宅にある場合は、テレビを見ながら行うこともでき、運動習慣を付ける第一歩として取り入れやすい運動だといえるでしょう。
エアロビクス・ダンス
エアロビクスやダンスは、音楽に合わせて楽しく体を動かせるため、運動が苦手な人は飽きやすい人、空腹が気になってしまう人におすすめです。自宅でお手本の動画を見ながら行えるのもメリットだといえます。
全身を使って動くことで、脂肪燃焼や心肺機能の向上に役立つだけでなく、リズム運動によるストレス解消や気分転換効果も期待できます。
空腹時の有酸素運動を安全かつ効果的に行うためのポイント
空腹時の有酸素運動を安全かつ効果的に行うために、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 短時間・軽めの運動から始める
- こまめに水分補給をする
- 運動前に体調をチェックする
- 運動後はしっかりと栄養補給する
- 筋トレやストレッチも取り入れる
ここでは、それぞれのポイントについて詳しく紹介します。
短時間・軽めの運動から始める
空腹時はエネルギーが不足しがちなため、まずは10〜20分程度の短時間、軽めの運動から始めるのが安全です。
慣れてきたら徐々に時間や強度を上げていき、無理をせずに自分の体調や体力に合わせて調整するようにしましょう。
水分補給をする
空腹時は体の中の栄養だけでなく、水分も失われている可能性があるため、運動前にしっかりと水分を補給しましょう。特に朝食前に運動する場合は、就寝中に多くの水分が失われているため、よりいっそう注意してください。
運動前でなく、途中でこまめに水分補給を心がけることも大切です。脱水症状や熱中症を予防するためにも、夏場や汗をかきやすい人は特に意識して水分を取るようにしましょう。
運動前に体調をチェックする
運動前には、めまいや頭痛、体調不良がないかどうか必ず確認しましょう。少しでも異常を感じた場合は、無理せず休むことが大切。特に50歳以上の人や基礎疾患のある人は、医師に相談してから運動を始めると安心です。
また、体重や体脂肪、体調の変化を記録しておくのもおすすめです。モチベーションにつながるだけでなく、体調管理がラクにできるようになります。
ただし、低血糖になりやすい人は医師に相談したうえで運動を行い、運動前に体調が悪いと感じたときは、無理せず休んで長期間続けることを目指してください。
運動後はしっかりと栄養補給する
空腹時に有酸素運動を行った後は、失われたエネルギーや栄養素をしっかりと補給しましょう。
タンパク質やビタミン、ミネラルをバランスよく取ることで、筋肉の回復や疲労回復をサポートします。
特に空腹時の運動後は血糖値が下がりやすいため、早めに栄養補給することが大切です。ただし、運動した後にお腹がすいたからといって、ドカ食いするのはやめましょう。
筋トレやストレッチも取り入れる
有酸素運動だけでなく、筋力トレーニングやストレッチも組み合わせることで、より効率的に健康維持ができるようになります。特にダイエットを目的としている場合は、積極的に取り入れると、運動後も脂肪を燃焼させてより痩せやすい体を目指せるためおすすめです。
筋トレは基礎代謝を上げ、ストレッチは怪我を予防して柔軟性を向上させるのに役立ちます。無理のない範囲でバランスよく取り入れましょう。
空腹時の有酸素運動で健康を維持しよう
空腹時の有酸素運動は、脂肪燃焼効率のアップや健康維持、生活リズムの改善など多くのメリットがあります。
ハルメク世代はウォーキングや踏み台昇降、水中ウォーキングなどの体力や体への負担を考慮した運動を選ぶことで、無理なく続けられるでしょう。
ただし、空腹時に有酸素運動を行う際は、体調管理や水分補給、運動後の栄養補給などの注意点を忘れず、安全を第一に考えて取り組むことが大切です。
自分に合ったペースで、毎日の生活に有酸素運動を取り入れてみましょう。
監修者プロフィール:三河聡志さん

2023年5月 みかわ整形外科クリニックを開院。「楽しく元気に」を合い言葉に職員一丸となり、治療に取り組んでいる。診療の中心は整形外科であり、関節の痛み、打撲や骨折等の怪我、交通事故、労災などに対応しており、患者層は乳幼児から100歳を超える高齢者まで幅広い。




