更年期&アフター更年期で気を付けるべき病気
2024.09.272023年10月17日
更年期障害の症状と対処法・7
イライラ、八つ当たり、心にも影響するのが更年期です
最近、生理前でもないのに、なんだか怒りっぽい気がする……。更年期は、女性ホルモンのエストロゲンが減少し、体だけでなく心にも影響を及ぼします。今回のテーマは「更年期のイライラ」。ホルモンのせいと受け入れて、対処法を身につけましょう。
監修者プロフィール:浜中聡子さん
クレアージュ東京エイジングケアクリニック院長。女性の頭髪に関する悩みから更年期・女性ホルモンといった悩みが専門分野。14年にわたり女性の髪の悩みに携わってきた女性専門・頭髪治療の第一人者として、心身ともに健康で充実した毎日を過ごすことができるよう、医療面からのサポートを行っている。
更年期、女性ホルモンの減少でイライラするのは当然!
女性ホルモンのエストロゲンは、体だけでなく心にも影響を及ぼします。エストロゲンには脳内の気分を調整する働きもあり、十分な量が分泌されているときは気分も明るく前向きで、活動的になります。
ところが、更年期になるとエストロゲンの分泌が急激に低下するため、気分も揺らぎやすくなってくるのです。すぐにイライラしたり、些細なことで腹が立ったり、急に泣きたくなったりするのはそのせいです。
実は、女性はこうした状態を若い頃から幾度となく経験しています。月経前になると体がだるくなったり、乳房が張ったりするといった体調の変化だけでなく、イライラした経験はありませんか?
月経前のイライラの原因もエストロゲンです。月経が始まる前にはエストロゲンの分泌が一時的に減少するため、月経前症候群(PMS)の症状として、さまざまな心身の不調が現れます。
つまり、更年期は月経前のあの不快な期間が続いているのと同じ状態ともいえます。問題なのは、月経と違ってその期間がとても長いということ。このように、よくも悪くも女性の体は女性ホルモンの影響を大きく受けるようにできているのです。
ホルモンのせいなので気にしすぎないこと
更年期にはイライラしたり腹が立ったり、そうかと思えば急に気持ちが沈んでしまったりと感情の起伏が激しく、自分でも嫌になってしまうことが増えてくるかもしれません。
しかし、女性ホルモンのせいなのであまり気にしすぎないこと。 「しっかりしなくちゃダメ」とか「私はこんな嫌な性格じゃないのに」などと、自分を責めるとますます悪化します。ネガティブにとらえすぎると、うつ病になってしまうこともあります。
更年期には、エストロゲンの減少によって脳内のセロトニンという物質も減少します。セロトニンは脳内の神経伝達物質の一つで、気持ちを明るく前向きにさせる働きがあります。セロトニンが不足するとうつ病になりやすいので、更年期には特に注意が必要なのです。
つらいときは自分一人で抱え込まず、家族や友人に話を聞いてもらってもよいし、「今、ちょっと気持ちが不安定な状態なの」と思い切って伝えておくのも一つの方法です。もちろん、婦人科やメンタルクリニックなどを受診して積極的に治療を受けるのもよいでしょう。
イライラしたら気分転換!散歩や読書など趣味もおすすめ
運動や散歩などで体を動かすと、精神安定に効果があります。特におすすめしたいのが、午前中に屋外で過ごすこと。太陽の光を浴びると神経伝達物質のセロトニンの分泌が促され、気分転換になります。
また、セロトニンは夜には安眠をもたらすメラトニンに変化するので、ぐっすり眠れるようになります。イライラするとか気分が晴れないときには、気持ちを切り替えて外に出てみましょう。
映画やドラマなどで思い切り感情を発散させるのもおすすめです。テレビや本、漫画、音楽など何でもかまいません。大いに笑ったり泣いたりしましょう。号泣して涙を流したら、気分がスッキリしたという経験をした人も多いはずです。このように感情を大きく揺さぶることで強制的に交感神経から副交感神経に切り替わり、リラックスできるのです。
落ち込んだりイライラしたときに、気持ちをスパッと切り替えるクセをつけるのもおすすめ。「やめた!」「ストップ!」などと声に出し、一旦その場を離れて気分を切り替えます。単純な方法ですが意外と効果がありますよ。
撮影=中西裕人 ヘアメイク=小島けさき モデル=桂智子(末尾)、それ以外のイメージ写真:PIXTA
※この記事は2018年7月の記事を再編集して掲載しています。
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