「老けない人」は体の糖化を防いで肌のくすみを退治!
2024.09.132024年04月10日
過剰な活性酸素を抑制する抗酸化作用のある食べ物とは
体の酸化を防ぐ栄養素&食べ物!何に多く含まれる?
「体の酸化を防ぐ食べ物ってどれ?」「抗酸化作用のある栄養素にはどんなものがあるの?」など、体の酸化を食べ物で防げないか考えている人も多いのではないでしょうか。活性酸素は老化や病気の原因となるため、抗酸化作用のある食べ物を知っておきましょう。
体の酸化は老化の原因の一つ
体を老化させる原因の一つとして、近年注目されているのが体の酸化です。切ったリンゴを放置しておくと茶色くなってしまうように、人間の体も酸化します。
酸化を引き起こすのは「活性酸素」という物質です。体にとってよい働きもしますが、作られ過ぎてしまうと、細胞を傷つけて肩こりや慢性疲労、シワやシミなどだけでなく、高血圧や動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病、がんを引き起こす原因になることもあります。
通常であれば、活性酸素が増え過ぎたときは「抗酸化作用」が守ってくれます。
しかし加齢や紫外線、過度の運動、ストレス、睡眠不足などによって体内で発生する活性酸素を分解するスピードが間に合わなくなると、「酸化ストレス」を引き起こしてさまざまなトラブルの元となることも。
活性酸素による影響は、すぐに現れるわけでなく徐々に進行するため、日頃から体の酸化を防ぐ対策を行っておく必要があります。
体の酸化を防ぐ栄養素と食べ物
人間の体では、もともとSOD(スーパーオキシドジスムターゼ)やグルタチオンペルオキシダーゼ、カタラーゼなどの酵素が合成されていて、増え過ぎた活性酸素を無毒化しています。
しかしこれらの酵素は40歳を過ぎると急激に産生量が減っていくため、普段の食事で酵素の産生を助けるタンパク質を取り、それと併せて抗酸化作用をもつ栄養素を積極的に取ることが非常に大切です。
では、タンパク質以外にどのような栄養素を取ればよいのでしょうか。ここでは、体の酸化を防ぐ栄養素と食べ物をご紹介します。
ビタミンA
ビタミンAは、皮膚や粘膜などの成長に関わる栄養素です。主に動物性食品に含まれる「レチノール」と緑黄色野菜などに含まれる「βカロテン」があり、特にβカロテンは抗酸化力が高いといわれているため、積極的に取りましょう。
以下は、βカロテン含有量(100gあたり)のランキングトップ10です。なお、含有量は、文部科学省の「食品成分データベース」を参照しています。
- あまのり ほしのり:3万8000μg
- まつも 素干し:3万μg
- あまのり 味付けのり:2万9000μg
- パセリ/乾:2万8000μg
- あまのり/焼きのり:2万5000μg
- いわのり/素干し:2万5000μg
- あおのり/素干し:2万μg
- とうがらし/果実/乾:1万4000μg
- しそ/葉/生:1万1000μg
- にんじん/根/冷凍/油いため:1万1000μg
βカロテン当量のランキングでは、海苔類が多くランクインしています。
ただし、これは100gに含まれる栄養素です。焼き海苔は1枚あたり3g程度であることが多いため、100gを食べるのはあまり現実的ではありません。
もちろん、毎日の食事に海苔を積極的に取り入れることは重要ですが、βカロテンが多く含まれる野菜を使った方が効率的であるといえます。
以下は、上記のランキングに含まれるにんじん以外で、βカロテンが多く含まれる野菜の例です。
- ほうれん草
- モロヘイヤ
- カボチャ
- 大根の葉
- 春菊
- あしたば
- ニラ
- 小松菜
- ブロッコリー など
βカロテンは生の状態では腸管で吸収されにくいのが特徴ですが、油で炒めたり肉と一緒に調理したりなどして油脂と一緒に摂取すると吸収率が高まります。
植物性食品に含まれるβカロテンなどの栄養は、ビタミンAに変換される前は「プロビタミンA」として体内に存在しています。体がビタミンAの不足を感じると、プロビタミンAから必要な分だけビタミンAに変換されるため、プロビタミンAはたくさん取っても取り過ぎになることはありません。
次に、レチノール含有量(100gあたり)の食品ランキングトップ10です。
- たらのあぶら:3万7000μg
- ぶた/その他/スモークレバー:1万7000μg
- にわとり/副品目/肝臓/生:1万4000μg
- ぶた/副生物/肝臓/生:1万3000μg
- あんこう/きも/生:8300μg
- やつめうなぎ/生:8200μg
- あゆ/養殖/内臓/焼き:6000μg
- うなぎ/きも/生:4400μg
- あゆ/養殖/内臓/生:4400μg
- ぶた/その他/レバーペースト:4300μg
レチノールは豚や鶏、魚などの動物性食品の中でも、特にレバーなどの内臓に多く含まれています。
上記の他には、ホタルイカや銀ダラ、バター、卵などにも含まれているため、さまざまな食品をまんべんなく取り入れましょう。
ビタミンC
ビタミンCは抗酸化力が非常に強く、活性酸素を抑制するため、体の酸化を防ぐ食べ物として積極的に取りたいところです。
以下は、ビタミンC含有量(100gあたり)のランキングトップ10です。含有量は、文部科学省の「食品成分データベース」を参照しています。
- アセロラ/酸味種/生:1700mg
- 青汁/ケール:1100mg
- パセリ/乾:820mg
- アセロラ/甘味種/生:800mg
- 茶類/緑茶類/せん茶/茶:260mg
- グァバ/赤肉種/生:220mg
- グァバ/白肉種/生:220mg
- あまのり/焼きのり:210mg
- トマピー/果実/生:200mg
- あまのり/味付けのり:200mg
ビタミンCは、主に緑黄色野菜や果物に多く含まれているのが特徴です。
果物では、アセロラが群を抜いて多く、グァバにも比較的多く含まれています。他には、レモンやゆずなどの柑橘類、キウイなどもビタミンCの含有量が多いため、積極的に取り入れてみましょう。
野菜では、ケールやパセリ、トマピーに多く含まれています。ランキングには入っていませんが、赤やオレンジ、黄色のカラーピーマンや芽キャベツ、ブロッコリーなども含有量が多くなっています。
ビタミンCは水溶性で熱によって壊れやすいため、できれば生食で食べるのがおすすめですが、加熱する必要がある場合は短時間にとどめるか、電子レンジ調理がおすすめです。
また、長期保存によってビタミンCの含有量を減らさないためにも、できるだけ新鮮なうちに食べましょう。
ビタミンE
ビタミンEは、細胞内に過酸化脂質が作られるのを抑える脂溶性のビタミンです。
脂質とともに腸管からリンパ管を経由して体内に吸収され、過酸化脂質の生成を抑制したり血管を健康に保ったりするほか、血中のLDLコレステロールの酸化抑制や赤血球の破壊予防などの作用があります。
ビタミンEには、4種類のトコフェロールと4種類のトコトリエノールの合計8種類がありますが、体内にもっとも多く分布しているのはα-トコフェロールです。
このことから、食事摂取基準では1日に必要なビタミンEの量を、α-トコフェロールの目安量で示しています。
以下は、α-トコフェロールの含有量ランキングトップ10です。含有量は、文部科学省の「食品成分データベース」を参照しています。
- 茶類/緑茶類/せん茶/茶:65mg
- 油脂類/植物油脂類/ひまわり油/ハイオレイック:39mg
- 油脂類/植物油脂類/ひまわり油/ハイリノール:39mg
- 油脂類/植物油脂類/ひまわり油/ミッドオレイック:39mg
- 種実類/アーモンド/乾:30mg
- 野菜類/とうがらし/果実/乾:30mg
- 種実類/アーモンド/いり/無塩:29mg
- 穀類/こむぎ/その他/小麦はいが:28mg
- 油脂類/植物油脂類/ぶどう油:28mg
- 油脂類/植物油脂類/綿実油:28mg
- 茶類/緑茶類/抹茶/茶:28mg
以下は、ビタミンEの含有量が多い食品の中で、一般的なスーパーなどで手軽に購入でき、食生活に取り入れやすい食品の例です。
- ナッツ類(アーモンド・ヘーゼルナッツ・ピーナッツなど)
- ごま
- 植物油(ひまわり油・オリーブオイルなど)
- うなぎ
- 大豆
- ニジマス
- モロヘイヤ
- アボカド
- カボチャ など
ビタミンEはβカロテンが捕まえた活性酸素を受け取って、ビタミンCに渡す重要な役割を担っています。
生よりも炒めるなどして油脂と一緒に摂取した方が吸収率が高まりますが、酸化しやすいため、できるだけ新鮮なうちに食べるのがポイントです。
ポリフェノール
ポリフェノールは、ほぼすべての植物がもつとされる苦味や渋味、色素の成分です。
自然界には8000種類以上存在するといわれ、代表的なものに「カテキン」や「イソフラボン」、「アントシアニン」などがあります。
以下は、それぞれを多く含む食品の例です。
ポリフェノールは、植物が自らを活性酸素から守るために作り出す物質です。人間が摂取しても体内の活性酸素を吸収・除去したり、活性酸素によって傷ついた細胞を修復したりする働きがあります。
ポリフェノールは摂取から比較的短時間で効果を発揮するのがメリットですが、長期間続くわけではないため、いろいろな食品から毎日こまめに摂取しましょう。
アスタキサンチン
アスタキサンチンは、抗酸化作用が高いといわれるカロテノイドの中でも特に抗酸化作用が強力だといわれる成分で、赤い色素が特徴です。
海に住む生き物に多く含まれることから、「海のカロテノイド」とも呼ばれています。
以下は、アスタキサンチンを多く含む食品の例です。
アスタキサンチンは脂質過酸化反応を抑制する作用が強く、ビタミンEの1000倍もの抗酸化作用をもっていて、がんや生活習慣病予防だけでなく、疲労回復やメタボの予防・改善、美肌効果が期待できるといわれています。
赤い色が濃ければ濃いほどアスタキサンチンが豊富に含まれているため、食生活に積極的に取り入れましょう。
抗酸化点ランキングを活用するのも一つの方法
体の酸化を防ぐ栄養や食べ物がわかっても、どれをどのくらい食べればよいのかわからないという場合は、「食品別 抗酸化点ランキング(食品分析開発センターSUNATEC)」を活用するのもおすすめです。
抗酸化点ランキングは、食品がもつ活性酸素消去力を数値化したものです。以下のように野菜編と果物編があり、野菜と果物の合計で、1日1000点を目標に取ることが推奨されています。
抗酸化点ランキング(野菜編)
【500点】
パプリカ(赤)・パプリカ(黄)・こごみ・赤ピーマン
【200点】
わさび・レモンバーム・オレガノ・細たけのこ(水煮)・にがうり(水煮)・えのきだけ・エリンギ・レッドキャベツ・ぶなしめじ・プチトマト・新玉ねぎ・トマト・わけぎ・はなびらたけ・チンゲンサイ・姫まつたけ・小松菜・ホワイトアスパラガス・スペアミント・山椒・かぶ・チャイブ・コリアンダー・ふき(水煮)・しめじ・納豆・グリーンアスパラ・ふきのとう・三つ葉・しいたけ・キャベツ・ローリエ・菜ばな・なす・わらび(水煮)・玉ねぎ・ラディッシュ・まいたけ・キムチ(発酵あり)・根しょうが・れんこん・紅芯大根・にんにくの芽・にんにく・大根
【100点】
タアサイ・白菜・ローズマリー・ケール・いんげん豆・貝割れ大根・根深ねぎ・たけのこ(水煮)・マッシュルーム・赤しそ・えごまの葉・ペパーミント・新たけのこ・あさつき・ディル・アロエ・にんじん・ルバーブ・とうもろこし・やまいも・赤唐辛子・イタリアンパセリ・大豆・フレンチタラゴン・しし唐辛子・グリーンピース・ごぼう・黒豆(煮汁)・ほうれん草・練りごま(黒)・枝豆・青じそ・かぼちゃ・キムチ(発酵なし)
【50点】
そら豆・よもぎ・白ごま・とうがん・サニーレタス・ピーマン(緑)・グリーンリーフ・チャービル・せり・やまぶしたけ・黒豆(煮豆)・バジル・じゃがいも・そばの芽・筆しょうが・さつまいも・エンダイブ・マーシュレタス・サラダ菜・ぜんまい(水煮)・スプラウト(ブロッコリー)・クレソン・たらの芽・フェンネル(ウイキョウ)・ひじき・スナップえんどう・白菜漬け・スプラウト(マスタード)・春菊・さやえんどう・黒ごま・サラダほうれん草・酢漬けらっきょう・ナーベラ・スプラウト(クレス)・セロリー・ルッコラ・人参葉
【20点】
カリフラワー・パセリ・豆苗・レタス・水菜
【10点】
きゅうり・にら・みょうが・もやし・ズッキーニ
食品別抗酸化点ランキング(果物編)
【500点】
アセロラ・グァバ・じゃばら・でこぽん・レモン・キウイフルーツ・パッションフルーツ・グレープフルーツ・天草晩柑・いちご・すだち・パパイヤ・オレンジ・カシス・みかん
【200点】
晩白柚・ライム・ラズベリー・金柑・はっさく・アプリコット・日向夏・甘夏・いよかん・たんかん・ぶどう・シークワーサー・ドラゴンフルーツ・ハスカップ・パインアップル・プラム・マンゴー・すいか・チョークベリー(アロニア)
【100点】
クランベリー・プルーン・ブルーベリー・ライチ・西洋梨(ラ・フランス)・りんご・ぶどう(巨峰・デラウェア)・びわ・さくらんぼ・桃・アンデスメロン
【50点】
バナナ・ぶどう(スチューベン)・メロン(ルビー)・梨・アボカド・柿
いずれも可食部100gあたりの点数となっています。食べる量にも注意しながら、できるだけ多くの食品を組み合わせましょう。
体を酸化させる食べ物・飲み物とは?
活性酸素は、激しい運動やストレスなどによって体内で増加しますが、日常生活の中ですべてを避けるのは難しいことです。
また、食べ物によって増えることもあるため、活性酸素を増やさない食事を心がけることが大切になります。
では、どのような食品に注意すればよいのでしょうか。
食品添加物を使った食べ物
食品添加物はもともと自然界にあるものではなく、人工的に作られたものであるため、体内では有害物質として認識され、肝臓で解毒される過程で活性酸素が過剰につくられてしまいます。
例えば、スーパーやコンビニなどで売られている惣菜、ウインナーやハムなどの加工肉、レトルト食品、チューブ入りのワサビやカラシ、酸化防止剤としてビタミンCが添加されている缶ジュースなど、実に多くの食品に食品添加物が使用されています。
食品添加物はその種類に関わらずどれも活性酸素が発生する原因となりますが、有毒度が高いとされる人工甘味料「アステルパーム」や保存料「ソルビン酸」、着色料「赤色⚪︎号」や「青色⚪︎号」などには特に注意が必要です。
なお、野菜の残留農薬も活性酸素が発生する原因になることがあります。有機栽培や自然栽培の野菜を選んだり、しっかりと洗って付着した農薬を落としたりして、できるだけ残留農薬を体内に入れないよう心がけましょう。
酸化した食べ物
時間が経過して古くなった食べ物は、酸化が進んでいる可能性があります。
例えば、皮を剥いて時間が経ったリンゴやジャガイモが茶色くなったり、揚げ油が黒く変色したりするのも、酸化によるものです。
特に揚げ物に使われる揚げ油は、肉や魚、野菜などを揚げたときにタンパク質や脂質、アミノ酸などが油へ移って酸化しやすくなっています。体内に入ると活性酸素を作り出す原因となるため、繰り返し使用するのは控えた方がよいでしょう。
また、油は空気に触れたり光や熱に当たったりすることによって酸化します。揚げ油だけでなく天ぷらやフライ自体も、揚げ終わった時点から急速に酸化が進むため、できるだけ早く食べましょう。
お酒
お酒は百薬の長ともいわれる通り、血流を促進して気分をリラックスさせたり血圧を下げたりなど、よい効果をもたらすこともありますが、飲み過ぎてしまうと活性酸素を発生させて体を酸化させる原因の一つになります。
アルコールは摂取すると胃腸で体内に吸収され、肝臓へ運ばれます。
肝臓では代謝酵素の働きにより、水と二酸化炭素に分解されますが、アルコールはあくまでも異物であるため、薬物や毒物と同じようにたくさんのエネルギーを使って解毒しなければいけません。
その過程で大量の活性酸素が発生し、細胞を酸化させてしまいます。
抗酸化作用をもつ食べ物で錆びない体を作ろう
体の酸化は老化や病気の原因となるため、元気に過ごすためには、抗酸化作用をもつビタミンA・C・E、ポリフェノール、アスタキサンチンなどの栄養を含む食べ物を積極的に摂取して、錆びない体を作ることが大切です。
とはいえ、何か一つの食べ物を一度に大量に食べればよいわけではありません。できるだけさまざまな食品をバランスよく摂取し、その中に抗酸化作用のある食べ物を取り入れていくようにしましょう。
※効果には個人差があります。試してみて異変を感じる場合はおやめください。
監修者プロフィール:林安津美さん
大学卒業後JAあいち厚生連に入職し37年間病院の管理栄養士として勤務、その間豊田厚生病院・安城更生病院の技師長として17年間在籍。2022年5月よりたいや内科クリニックへ入職。病態栄養専門管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・腎臓病療養指導士・がん病態栄養専門管理栄養士・和漢薬膳師等の資格を生かし患者さんの思いを聴き・応え、患者目線でテーラーメイドの医療をお届けできるように努めています。
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