おすすめのお茶の温度・抽出時間は?

プロに学ぶ!カテキンたっぷり緑茶の美味しい入れ方

公開日:2021.03.15

抗ウイルス、体脂肪低減、血中コレステロール低減など、さまざまな健康効果がある茶カテキンに注目が集まっています。カテキンの量が多いお茶の種類やカテキンを多く抽出する緑茶の入れ方(温度・時間)を伊藤園ティーテイスター・西原佐栄さんに伺いました。

カテキンの量が最も多いお茶は?美味しい緑茶の入れ方
カテキンの量が最も多いお茶は?美味しい緑茶の入れ方

カテキンの効能とは?体脂肪低減・抗ウイルス効果に注目

茶カテキンの効能とは?

日本を代表するお茶のリーディングカンパニーとして、お茶のおいしさだけでなく、お茶の健康効果など、幅広い情報を発信している伊藤園。

その中でも、特にお茶に関する高い知識を有する社員のみが持つのが、社内検定資格の「伊藤園ティーテイスター」(厚生労働省認定資格)です。

「お茶のプロ」とも言うべき、ティーテイスター2級の資格を持ち、管理栄養士でもある西原さんに、まず茶カテキンの効能について教えてもらいました。

「茶カテキンは、お茶特有のポリフェノールです。いくつかの種類があり、お茶によって含まれるものが異なりますが、緑茶には8種類のカテキンが含まれています。茶カテキンの効能として、血中コレステロール低減、体脂肪低減、抗ウイルス、抗酸化、抗菌作用、虫歯予防などがあります」

お茶に含まれるカテキンは8種類ある
引用:伊藤園「お茶百科」お茶の成分と健康性 カテキン

今後の研究にも注目!

さらに今、コロナ禍で注目が高まっているのが、茶カテキンの抗ウイルス効果です。

「緑茶に含まれる茶カテキンがインフルエンザに対して抗ウイルス作用があるという研究結果を発表しており、現在もさまざまな研究を進めています。おいしく茶カテキンを摂取して、健康サポートをしていただければと思います。」

今後もますます、茶カテキンへの注目が高まりそうです。

カテキンの量が最も多いお茶は?種類別カテキン量の比較

茶カテキンは、緑茶や抹茶など、日常生活の中でお茶を飲むだけで手軽に摂取できるのが魅力です。しかし、お茶の種類やお茶を入れる際の温度によって、抽出されるカテキンの量が変化するため、注意が必要です。

「私達が飲むお茶は、不発酵茶(緑茶)・半発酵茶(ウーロン茶など)・発酵茶(紅茶)の3つに大きく分類されます。茶葉の品種によっても含まれるカテキンの種類が違うので一概に比較できませんが、一般的に、緑茶はカテキンの量が多いお茶として知られています」

抽出温度や時間などによっても変化するため、あくまで参考値とはなりますが、緑茶と比べるとウーロン茶は45~70%、紅茶は30~40%程度のカテキン量とのこと。カテキンの量が多いお茶を飲みたい時は、緑茶を選ぶのもいいようです。

茶葉の種類別カテキン量:緑茶・ウーロン茶・紅茶
引用:伊藤園『お茶の力。茶カテキンの力。BOOK』

緑茶はさらに玉露、煎茶、番茶類(ほうじ茶、玄米茶など)に大きく分かれますが、その中でも、煎茶や抹茶に多くカテキンが含まれているそう。

「カテキンをたっぷり抽出した煎茶をお飲みいただく他、茶葉を丸ごと粉状にしている抹茶も、成分を余すことなく摂ることができるのでおすすめです。最近は『お~いお茶 お抹茶POWDER』など、スティックタイプで気軽に飲める抹茶もあるので、煎茶と上手に組み合わせて取り入れてみてはいかがでしょうか」

美味しいお茶の入れ方!温度とカテキン量の関係

急須で煎茶を入れる方法で注意したいのが、お湯の温度。

「うま味成分であるアミノ酸は温度に関係なく抽出されますが、渋み成分であるカテキンは温度が高くなるほど多く抽出される特徴があります」

そのため、お湯の温度が高すぎると、カテキン量は多いものの、うま味を感じられず、渋いだけのお茶になってしまうそう。

種類別・美味しいお茶の温度

「一般的に、美味しいお茶の温度は、紅茶・玄米茶・ほうじ茶は90~100℃、煎茶・抹茶は70~80℃、玉露は50~60℃と言われています」と西原さん。

茶カテキンの量を増やしたい場合は、温度や抽出時間を調整しましょう。

「温度を80℃から95℃に上げる、抽出時間を40秒から60秒に延ばすなど、お湯の温度と抽出時間を調整することで、お茶に含まれる茶カテキンの量を増やすことができます」

 

カテキンの量が多い美味しい緑茶の入れ方

いつもよりカテキンの量が多いお茶が飲みたいときは、熱湯&長めの時間で抽出するのがおすすめです。

カテキン量アップ!急須でおいしい煎茶を淹れる方法

「美味しいお茶を入れるには、うま味と渋みの絶妙なバランスが重要」と西原さん。煎茶の場合、80℃くらいがカテキン量とおいしさのバランスがベストだと言います。

以下が、西原さんおすすめの緑茶の美味しい入れ方(2人分)です。

  1. 急須に茶葉をティースプーン2杯分入れる(約4g。1人分:2g)。
  2. 80℃に冷ましたお湯を200mL入れる(1人分:100mL)。
  3. そのまま急須を動かさず、40秒待ってお茶を抽出する。
  4. 湯呑み2つに、お茶の濃さと量が均一になるように注ぐ(1→2→2→1のように交互に入れる:注ぎ分け)。

カテキンをたっぷり摂りたい、濃いお茶が好きなど、味の好みもあるかと思いますので、今回ご紹介した基本の入れ方をベースに、ぜひ自分にとって最適な方法を探してみてくださいね。

容器の入れ替え・湯気の立ち方でお湯の温度を調整

ただ、家庭でお湯の温度を正確に測るのは難しいことが多いもの。そんなときにおすすめの温度調整方法を西原さんに教えてもらいました。

「一般的に、容器を1つ移し替えると10℃くらいお湯の温度が下がると言われています。沸かしたお湯を湯呑みに注ぎ、そのまま30秒から1分程度待つと、だいたい80℃くらいになるので、それを急須に注げばOKです」

体内にとどまる茶カテキンは、時間とともに減少してしまいます。その効果を最大限に実感したいなら、一度にたくさんの量を取るよりも、こまめに摂取し、切らさないようにするのがおすすめ。

「もし同じ茶葉で複数回入れる場合、2煎目以降は高温で抽出時間は短くするのがポイントです」

また、湯気の立ち方でも温度を簡単に見極めることができるそう。

「湯気がまっすぐ上に上がっているときは温度が高く、80℃以上あります。それがゆらゆらと上がるようになったら70~80℃、斜めにゆっくり立ち上がるときはそれよりも低いと判断できます」

温度計やポットを使わず、簡単にお湯の温度を調整できるのは、うれしいですね!

茶殻にもカテキンがたくさん!簡単美味しい茶葉レシピ 

お茶を淹れた後に残る茶殻の活用法

最後に、お茶を淹れた後に残る茶殻の活用法についてもお聞きしました。

「実は、2煎目まで淹れた後の茶殻でも、まだ44%もの茶カテキンが残っています。もちろん、これは深蒸しや浅蒸しなど茶葉の種類によっても異なりますが、そのまま捨ててしまうのはもったいないですよね。特に新茶は柔らかいので、食べるのに適しています。簡単に調理して、茶葉に残ったカテキンを丸ごと食べることで、水に溶けないβカロテンや食物繊維も摂ることができます」

西原さんおすすめの簡単で美味しい「茶葉レシピ」を2つご紹介します。

おすすめ茶葉レシピ1:お茶ぽん

おすすめ茶葉レシピ1:お茶ぽん

茶殻の水気を切り、ポン酢しょうゆとかつお節を適量加えて和えます。お好みでゴマを入れても◎。

おすすめ茶葉レシピ2:お茶みそ

おすすめ茶葉レシピ2:お茶みそ

茶殻の水気を切り、みそ、砂糖、白すりごまを適量加えて混ぜます。おにぎりなどごはんとの相性抜群。

「茶殻を食べる際の注意点としては、『水気をしっかり切る』『茎の少ない茶葉を選ぶ』『保存に気を付けてなるべく早く食べる』ことです。本当に簡単にできるので、副菜にもう1品ほしいというときにぜひ活用してみてくださいね」

監修者プロフィール:西原 佐栄さん

伊藤園・管理栄養士:西原 佐栄さん

株式会社伊藤園 管理栄養士。厚生労働省認定社内検定‧伊藤園ティーテイスター2級。所属する販売促進部で食育関連企画の立案や実施をする傍ら、お茶の入れ方セミナーや社内教育なども担当している。

取材協力:伊藤園

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