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- 老け見えの原因「肌の酸化」!ポリフェノールで撃退
肌のシミやくすみの原因になる、肌と体の酸化。老け見えの原因になる活性酸素の悪影響を防いでくれるポリフェノールについて、消化器内科医で美腸・美肌評論家の工藤あきさんに教えてもらいます。肌の弾力をアップさせるレスベラトロールにも注目です!
身近な食品に豊富に含まれるポリフェノール
前回の記事では、紫外線ダメージの修復などに効果を発揮する抗酸化物質として、ポリフェノールを紹介しました。
そもそも、ポリフェノールとは植物の苦味や渋味、色の元になる成分で、植物の皮や葉っぱ、茎などに含まれています。果物の皮に感じる渋味や、鮮やかな緑黄色野菜の色は、ポリフェノールによってもたらされたものです。
そして、ひとくちにポリフェノールといってもたくさんの種類があり、自然界にはなんと8000種類も存在するといわれています。
代表的なポリフェノールの種類
- アントシアニン……ブルーベリーなど
- クルクミン……ウコンなど
- カテキン……緑茶など
- ケルセチン……玉ねぎなど
- イソフラボン……大豆など
- タンニン……紅茶など
- クロロゲン酸……コーヒーなど
こうしてみると、緑茶やコーヒーなど、とても身近な食べ物・飲み物にポリフェノールが含まれているとわかりますね。
ポリフェノールは種類によって期待できる効果が違う
ポリフェノールがなぜ植物の中にあるかというと、それは植物が光合成をしたり、紫外線を浴びたりしたときに発生する活性酸素の害から自らを守るためです。人間のように日陰に動いて隠れられない植物にとって、ポリフェノールは命を守るガードマンのような存在なのです。
そんな細胞の錆びを防ぐ抗酸化力を持つポリフェノールは、「老けない人」が上手に取り入れている定番の栄養素といえます。
ポリフェノールの種類ごとに期待できる効果
ポリフェノールにはたくさんの種類があると説明しましたが、期待される効果も種類によってさまざまです。代表的なものだけでも、次のようなものがあります。
アントシアニン
【主な効果】視覚機能の改善
【主な食べ物】ブルーベリー、赤ワインなど
カテキン
【主な効果】殺菌、口臭予防
【主な食べ物】緑茶、紅茶など
イソフラボン
【主な効果】女性ホルモンのバランス改善
【主な食べ物】大豆など
タンニン
【主な効果】毛穴の引き締め
【主な食べ物】渋柿、栗の皮など
レスベラトロール
【主な効果】肌の老化予防
【主な食べ物】リンゴンベリー、ピーナッツなど
ルチン
【主な効果】血行促進
【主な食べ物】そば、いちじくなど
カカオポリフェノール
【主な効果】血圧低下
【主な食べ物】高カカオチョコなど
クロロゲン酸
【主な効果】脂質の代謝促進
【主な食べ物】コーヒー、ゴボウなど
ジンゲロン
【主な効果】脂肪燃焼
【主な食べ物】しょうがなど
ポリフェノールは腸内環境の改善にも!
さらに、最近ではポリフェノールが「腸内フローラ(腸内細菌の群れ)」にも影響を与えることがわかっています。
私たちの腸には、数にして約100兆個、種類でいうとおよそ1000種類もの腸内細菌が住みついており、大きく次の3つに分けられます。
- 善玉菌
体にいい細菌。ビフィズス菌や乳酸菌が有名 - 悪玉菌
有害物質を作り出す悪い細菌。脂質や動物性タンパク質が大好物 - 日和見菌
善玉菌と悪玉菌の優勢な方に味方する調子のいい細菌
私たちの腸内では、この3種類が勢力争いをしています。3つのバランスが保たれていれば問題ないのですが、食生活の乱れや加齢、ストレスなどによって悪玉菌が優勢になってしまうとバランスが崩れ、日和見菌も悪玉菌に加担し始めます。
そうなるとお腹の調子が悪くなり、さらには生活習慣病や、肌荒れの原因になってしまうケースもあります。そこで、バランスを取り戻すために善玉菌に援軍を送り込まなくてはなりません。
ポリフェノールには、乳酸菌やビフィズス菌といった善玉菌を増やす働きがあることが報告されています。そのメカニズムはまだ完全には解明されていませんが、ポリフェノールが健康で若々しい体を作るのに重要な役割を果たしていることは確かのようです。
フランス人に心疾患が少ないのもポリフェノールのおかげ?
そんなポリフェノールに大きな注目が集まるようになったのは、赤ワインがきっかけです。
「フレンチパラドックス」という言葉をご存じでしょうか?肉類、バター、生クリーム、チーズなどがよく使われ、飽和脂肪酸がたっぷりの、一見あまり健康的には思えないフランス料理を食べるフランス人が、実は健康であるという矛盾を指した言葉です。
一般的には、飽和脂肪酸は悪玉コレステロールを増やし、動脈硬化を促して脳卒中や心筋梗塞などを引き起こしやすいといわれています。ところが、フランス人は心臓病にかかって死亡する割合が他の欧米先進国に比べて少なく、割合の多いイギリス人と比べると3分の1程度です。
この矛盾をフランス・ボルドー大学のセルジュ・ルノー博士が研究し、「脂肪分の多い食事を食べるフランス人の心臓病死亡率が低いのは、抗酸化作用を持つ赤ワインを日常的に飲んでいるから」という結果を1991年に発表。それがアメリカのテレビ番組で放送されたときは、赤ワインが飛ぶように売れたそうです。
近年注目のポリフェノール「レスベラトロール」
赤ワインはアンチエイジングに効果がある健康的なお酒として、現在では定着しています。色が濃くタンニンが強い赤ワイン用のブドウは、ポリフェノールの含有量が多く、強い抗酸化作用を持つことがわかっています。
そして近年、特に注目されているのが「レスベラトロール」というポリフェノール。赤ワインに心疾患予防の効果があるのは、このレスベラトロールが含まれているためだとも考えられています。
レスベラトロールは、ブドウの果皮の他、ブルーベリーやクランベリーなどのベリー類にも含まれています。赤ワインでは、カベルネ・ソーヴィニヨンやピノ・ノワール、メルローなどの品種に特に多いことがわかっています。
レスベラトロールの老けない効果
レスベラトロールについては、抗酸化作用以外にも次のような健康効果が研究されてきました。
- 認知症予防
記憶学習能力の低下を抑制 - 血流改善、動脈硬化予防
冠動脈患者の血管を拡張 - 糖尿病予防、メタボ予防
Ⅱ型糖尿病患者のインシュリン抵抗性を改善 - 歯周病予防
歯周病に関する細菌を減少
これらに加えて、特に注目したいのが、リンゴンベリー由来のレスベラトロールが持つ美肌効果です。
この2つのグラフは、レスベラトロールを飲んでいた人と、飲んでいない人とで、顔にできたシミの減少具合と水分量をそれぞれ比較したものです。レスベラトロールを飲んでいた人の方が徐々にシミのスコアが下がり、潤いもアップしていることがわかります。
これは、リンゴンベリーのレスベラトロールが、肌の中でメラニンがつくられるのを抑制しているからと考えられます。メラニンができる原因の酵素「チロシナーゼ」の働きを、レスベラトロールが弱めるのです。
また、こちらの研究のように、レスベラトロールが肌の弾力をアップさせたというデータも発表されています。
さて、次回は今回も触れた腸内環境を改善し、肌のターンオーバーを促す二つの簡単な方法を紹介します。
教えてくれたのは工藤あき(くどう・あき)さん
消化器内科医、美腸・美肌評論家。一般内科医として地域医療に貢献する一方、腸内細菌・腸内フローラに精通。腸活×菌活を生かしたダイエット・美肌・エイジングケア治療にも力を注いでいる。また「植物由来で内面から美しく」をモットーに、日本でのインナーボタニカル研究の第一人者としても注目されている。
※本記事は、『老けない人が食べているもの』(株式会社アスコム/1540円・税込)より一部抜粋して構成しています。
工藤あきさんの著書をチェック!
この連載の引用元である『老けない人が食べているもの』(アスコム刊)では、消化器内科医で美腸・美肌評論家の工藤あきさんが、シワ、シミ、ガサガサ肌など、あれ?老けたかな?と思ったときに実践したい、体の中から若返る食事法を解説。気になる人はあわせてチェックしてみてください。
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