50代のダイエットも即効性を求められる?健康的に痩せる正しいやり方とは

50代のダイエットも即効性を求められる?健康的に痩せる正しいやり方とは

公開日:2025年08月27日

50代のダイエットも即効性を求められる?健康的に痩せる正しいやり方とは

50代になり「痩せにくくなった」「ダイエットが上手くいかない」と感じていませんか?原因を理解すると、即効性だけでなく継続しやすいことも大切だとわかります。50代に合ったダイエット法で、健康的に痩せやすくなる体質を目指しましょう。

岡田 眞
監修者
岡田 眞
監修者 岡田 眞 予防医学研究所

50代女性がダイエットでつまずきやすい理由

50代女性がダイエットでつまずきやすい理由
ペイレスイメージズ1(モデル) / PIXTA

年齢とともに身体の仕組みが変化して、20代や30代の頃と同じ方法では痩せにくくなることでお悩みの50代の方は少なくありません。

どうして思うような結果が出なくなったのか、理由を知ることが大切です。

基礎代謝が落ちて痩せにくくなる

50代になると、筋肉量の減少により基礎代謝量が自然と低下する傾向があります。

基礎代謝とは、「何もしなくても消費されるエネルギー」のことで、これにより以前と同じ食生活をしていても太りやすくなるのです。

厚生労働省によると、50〜64歳女性の基礎代謝量は1日約1,100kcal(体重1kgあたり20.3kcal)とされています。

(参照:「日本人の食事摂取基準(2025年版)エネルギー」厚生労働省)

ホルモンバランスの乱れ

更年期の症状が出始める50代は、女性ホルモンの分泌が大きく変化し、エストロゲンの分泌量が減少します。

エストロゲンには脂肪代謝や脂肪合成の抑制などの作用もあるため、減少により体脂肪が増えやすくなる傾向があります。

他にも糖や脂質代謝や脂肪燃焼の促進などにも関わっていて、ダイエットの効果が出にくくなるのも要因のひとつです。

また、ホルモンバランスの乱れはストレスや睡眠の質の低下にもつながり、代謝の悪化を招く可能性があります。

若い頃のダイエット法が通用しない

50代になると、20代の頃に成功したダイエットをしても、痩せなくなります。

極端な食事制限や過剰な運動をしても、若い頃は見合う体力があり、ダイエットとして成り立っていたかもしれません。

しかし、50代には無理なダイエットは身体への負担が大きく、健康を損なう恐れがあるため、注意が必要です。

運動不足・睡眠不足・ストレスが重なる世代

仕事や家庭、介護など、50代は心身ともに多忙な世代でさまざまなことが起こる時期です。

運動をする時間どころか、睡眠をとる時間も足りなくて、ストレスが溜まっても発散することが難しい方もいるでしょう。

心の余裕を持つためにも、生活習慣の見直しをすることから始めてみるのがおすすめです。

「即効性を感じやすい」といわれるダイエットは本当に効果がある?

「即効性を感じやすい」といわれるダイエットは本当に効果がある?
beauty-box / PIXTA

食事内容の改善は、ダイエットの土台になる大切な要素です。

また、選択肢のひとつとして美容医療も挙げられます。

ただし、即効性を求めて過剰な制限をすると、健康を損なう恐れがあるため注意が必要です。

糖質コントロール

糖質を過剰に摂取すると血糖値が急上昇しやすくなり、インスリンの分泌が促されることで、結果的に脂肪が蓄積しやすくなります。

糖質コントロールは、炭水化物や砂糖を完全に抜くものと誤解されがちですが、糖質は身体にとって必要な栄養素のため、ゼロにするのは推奨されません。

16時間断食(オートファジーダイエット)

16時間断食とは、1日の中で16時間食事を控え、残りの8時間に食事をしていい方法で、プチ断食とも呼ばれています。

空腹時間を作ることでエネルギー源を糖から脂肪へ切り替えて、脂肪を燃焼させる方法です。

ただし、動物実験などでは代謝促進や免疫機能の維持につながる可能性が示唆されていますが、人における明確なエビデンスは研究段階です。

また、適度な運動をしていないと筋肉が落ちやすかったり、血糖値の急激な上下による血糖値スパイクに注意が必要だったりするため、身体の負担になる可能性があります。

16時間断食は、身体への過剰な負担になるケースもあるため、ダイエットに取り入れるのは慎重な判断をしなければなりません。

なお、糖尿病や高血圧などの持病がある方は、血糖値コントロールが乱れるリスクがあるため、医師への相談が必要です。

美容医療

食事や運動をしても痩せにくくなる50代ですが、即効性を求めるならば美容医療も選択肢のひとつです。

美容医療でダイエット効果が期待できる施術としては脂肪吸引や脂肪冷却、脂肪溶解注射などがあり、それぞれ特徴が異なります。

ただし、美容医療は痛みやダウンタイム、副作用などのリスクも伴い費用もかかるため、信頼できるクリニックで医師とよく相談し、納得のうえで行うことが重要です。

即効性のあるダイエット法を検討するときの注意点

SNSや広告で見かける「短期間で痩せる」サプリメントやダイエット法には注意が必要です。

短期間で急激に体重を落とすと、筋肉や体内の水分が減少するだけで、脂肪は減らないことが多く、結果的にリバウンドしてしまう可能性があります。

筋肉が落ちると基礎代謝も落ちてしまい、なかなか痩せられなくなってしまう悪循環に陥ることもあります。

また、完全な断食や無理な食事制限、ハードな運動などは栄養不足や身体を痛める原因になり、更年期症状を悪化させることもあるため、継続可能で身体に負担のかかりにくい方法を選びましょう。

50代のダイエットのやり方とは

50代のダイエットのやり方とは
saki / PIXTA

短期間でダイエットによる変化を感じたいと思うかもしれませんが、間違った方法で行うダイエットは逆効果になります。

ここでは、50代の正しいダイエットの基本を解説します。

食事・運動のセットが基本

筋肉量が低下し始め、脂肪がつきやすくなる50代のダイエットは、食事と運動をセットで行うのが基本です。

どちらか一方だけに偏ったダイエットでは、見た目の変化も体重の減少も限定的になってしまうため、適度な運動と食事管理の両方からアプローチしましょう。

筋肉を維持しながら脂肪を減らすためには、タンパク質を意識した食事と、筋トレが重要です。

摂取カロリーより消費カロリーを増やせば、自然に痩せやすくなります。

見た目に変化が出やすい部位に集中するのもよい

体重だけにこだわらず、ウエストや下腹部、顔周りなどの変化がわかりやすい部位を中心に、エクササイズをプラスしてみるましょう。

家族や友人に「痩せた?」と気づいてもらえることで、自信もつきモチベーションアップにつながります。

腸内環境を整える

腸内環境を整える=腸活も、50代のダイエットには重要です。

発酵食品(納豆、ヨーグルト、キムチなど)や食物繊維(ごぼう、わかめ、玄米など)を積極的に摂取することで、腸内フローラが整って便通がよくなる効果が期待できます。

腸内フローラとは、腸内に存在する100兆個以上の細菌がバランスを取りながら共存している状態のことで、善玉菌、悪玉菌、日和見菌の構成比が健康に影響を及ぼします。

腸活によりお腹がスッキリすることで、見た目の即効性と健康の両方にアプローチできるため、積極的にダイエット中に取り入れてみましょう。

50代におすすめ!健康的なダイエットのポイント

50代におすすめ!健康的なダイエットのポイント
YUME / PIXTA

無理なダイエットは身体への負担になってしまうため、無理なく行えるダイエットがおすすめです。

ここでは、健康的なダイエットのために気をつけたいポイントについて解説します。

食事の仕方

50代のダイエットは、食事の仕方を工夫するのがポイントになります。

特に、朝食時は前日の夕食から空腹状態が続いていて、より多くの栄養を身体が吸収してしまいます。

16時間断食を取り入れる場合は朝食を抜くスタイルが一般的ですが、朝食をとる場合は野菜・汁物、おかず(タンパク質)、主食(炭水化物)の順番で食べるとよいでしょう。

食物繊維を含む野菜や汁物から食べることで、糖の吸収を緩やかにして血糖値に急上昇を防ぐ効果が期待できます。

栄養バランスを意識する

4群食事法を参考にすると、ダイエットを効率よく進めるのと同時に、リバウンドしにくく太りにくい身体づくりに役立ちます。

4群食事法とは、食品を乳製品・卵、肉・魚介・豆・豆製品、野菜・イモ・果物、穀類・油脂・砂糖(その他)の4つに分類し、栄養バランスを整える考え方です。

それぞれの素材により適量が決められていますが、極端な食事制限をかけるのではなく、食事の質を高めるイメージです。

また、ダイエットに役立つ栄養素として、タンパク質やビタミンB群、ミネラルを摂取できるように食材を工夫しましょう。

タンパク質は筋肉量を維持して代謝を保つために、大切な栄養素です。

不足すると筋肉が減って基礎代謝が下がり、脂肪が燃えにくくなる可能性があります。

ビタミンB群、特にB1・B2・B6・B12は、糖質や脂質、タンパク質のエネルギー変換をサポートする代謝のビタミンでもあります。

疲労回復や神経の働きにも関係していて、ストレスが多い50代にとって積極的に取りたい栄養素です。

ミネラルの中でも、亜鉛や鉄、マグネシウム、カルシウムはダイエット中に意識して取るとよいでしょう。

サプリメントで補助するなら?

ダイエットでサプリメントを飲むのは、あくまで補助的な役割です。

例えば前述したタンパク質を補うためのプロテインや、ビタミンB群、鉄、マグネシウムなど、食事で十分な量が取れないときにサプリメントを飲むイメージです。

ただし、「サプリメントを飲むだけで痩せる」わけではなく、ダイエットの基本は食事と運動、生活習慣の改善が前提です。

また、服用中の薬や持病がある方は、飲んではいけないサプリメントもあるため、医師や薬剤師に相談が必要です。

水分補給

体内の水分が不足すると代謝が落ちやすくなり、老廃物の排出が滞りがちになります。

水分は少量をこまめに分けて飲み、1日あたり1.5〜2Lを目安に摂取しましょう。

ただし、年齢や持病により水分の適量は異なるため、かかりつけ医に相談して適切な量を知っておくのが重要です。

冷たい水は身体を冷やして代謝が低下するため、常温や白湯がおすすめです。

睡眠の大切さを見直す

ダイエットと睡眠は、深い関係があります。

良い睡眠には、量(睡眠時間)と、質(睡眠休養感)の両方が大切です。

睡眠休養感(睡眠で十分休養がとれている感覚)が低いと肥満や糖尿病、脂質異常症を含めた代謝機能障害にも関連し、過食にもつながりやすく、ダイエットにとっても避けたい状態です。

年齢や健康状態、生活スタイルにより必要な睡眠時間は異なりますが、一般的に成人では7時間前後、6〜8時間が適正な睡眠時間とされています。

(参照:「健康づくりのための睡眠ガイド2023」厚生労働省)

ストレス発散

ストレスが蓄積すると「コルチゾール」というホルモンが分泌され、食欲が増進されやすくなります。

多忙な50代女性はストレスも多く、適度なストレス発散方法を見つけるのが大切です。

ストレスを感じると、不快な状態を解消しようとして、本能的に三大欲求のうち満たしやすい食欲に頼ってしまいやすい傾向があります。

ストレスのはけ口として睡眠や性欲よりも、食欲は手の届きやすいところにあり、強力な本能を理性が抑えきれないことが多く、結果的に肥満につながりやすくなるのです。

そのため、ストレスを溜めず心身ともに健康でいることが、ダイエットの効率を高めてくれます。

50代のダイエットは運動を組み合わせると効果的

50代のダイエットは運動を組み合わせると効果的
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運動は体脂肪の燃焼を促すだけでなく、筋肉を維持・増強し、代謝アップにもつながります。

ただし、運動自体はダイエットに効果的ですが、苦手な方はそれがストレスになり逆効果になることもあります。

自分の体力に合った方法で、無理なく継続しやすい運動を続けるのが重要です。

有酸素運動

ウォーキングや軽いジョギング、水泳などの有酸素運動は、効率よく脂肪を燃焼させるのに適した運動です。

朝食前の空腹時は、体内の糖質が少ない状態のため、脂肪が燃焼されやすい時間です。

短時間ずつでも、1日の合計で20〜30分程度の運動を継続することを心がけてみましょう。

無酸素運動(筋トレ)

筋肉量の維持・増加には、無酸素運動(筋トレ)が有効です。

ジムに通うのが難しい方も、自重トレーニングなら特別な道具もいらず、自宅で始められます。

毎日激しい筋トレをする必要はなく、週に2〜3回、15分程度で効果が期待できます。

自宅で行える運動

自宅で運動できる運動として、動画やアプリにさまざまな種類の有酸素運動・無酸素運動のメニューがあります。

音楽に合わせて身体を動かすエアロビクスのような楽しめるものや、ラジオ体操と筋トレを組み合わせたトレーニングなど、自分に合ったものを見つけると始めやすいでしょう。

好きな時間に人目を気にせず運動ができるのも、忙しい方におすすめなポイントです。

ながら運動

日常生活の中で、少し意識して身体を動かす「ながら運動」だけでも消費カロリーを増やすことができます。

例えば、洗い物をしながらかかとを上下させたり、テレビを見ながらストレッチをしたり、軽い動作で構いません。

「この動作をするときはこの運動をする」と決めておけば、1日数回繰り返せます。

太ももやお尻などの下半身を中心に鍛えると、代謝が上がるだけでなく引き締めや血流改善にも役立ちます。

50代のダイエットは食事と運動!生活習慣の見直しも

代謝が落ちて痩せにくくなる50代は、即効性のあるダイエット法を慎重に選ばなくてはなりません。

急激に体重が減少する方法は身体への負担になる可能性もあり、健康的な痩せ方とは言えない場合もあります。

食事と運動の改善や生活習慣の見直しを取り入れて、無理なく継続可能なダイエットがおすすめです。

短期集中よりも、長期的に続けていける自分に合っている方法を、ライフスタイルを考えながら探してみましょう。

監修者プロフィール:岡田 眞さん(薬剤師)

岡田 眞さん(薬剤師)

日本大学理工学部薬学科卒業。株式会社 予防医学研究所 代表取締役。平成10年11月に独立し、医師・薬剤師・栄養士・心理カウンセラーがチームとなって“美と健康”をテーマに行うダイエット「メディケアダイエット」の肥満専門治療院をスタート。当初は体重を落とすきっかけとして食欲抑制剤を用いたプログラムを中心に行うも、リバウンドする人も多いことに着目。令和2年からは「生活習慣の乱れやズレ」に注目するように。肥満の解消は「本来の自分を取り戻すこと」であり、生き方に関わるテーマだと捉え、体重を気にするだけでなく「自分らしく健康的に生涯過ごせること」を最重視したダイエット指導を行っている。著書に『太らない体質は食事がつくる』(幻冬舎)他。

HALMEK up編集部
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