更年期?50代女性の倦怠感や眠気は病院に行くべき?

体がだるい・眠い原因は?女性に多い症状の対処法!

三橋裕一
監修者
ひなたクリニック
三橋裕一

公開日:2023.07.10

体がだるい・眠いのはなぜ?月経・閉経がある女性はホルモンバランスの変化により自律神経が乱れ、倦怠感や眠気などさまざまな不調につながることも。だるさや眠気の原因、考えられる病気、対処法をご紹介!病院を受診する目安についても解説します。

体がだるい・眠いときに考えられる原因

体がだるい・眠いときに考えられる原因

「原因不明の体のだるさや眠気」は、女性の多くが悩まされることのある症状です。ここからは、体がだるい・眠いときに考えられる原因をご紹介します。

体内時計が乱れている

体内時計は、人間の生体リズムを調整する重要な役割を果たしています。

不規則な生活や睡眠不足は体内時計を狂わせ、体がだるい・眠いといった状態を引き起こす原因です。体内時計が乱れると、体がだるい、疲れが取れない、めまい、頭痛、動悸、下痢など多岐にわたる症状が起こる自律神経失調症につながることも。

現代社会では、夜遅い時間でも常に明るい照明の光にさらされていますが、これも体内時計が乱れる原因の一つです。

月経・PMSなど女性ホルモンの影響

女性の場合、月経周期や月経前症候群(PMS)など女性ホルモンの影響によって、体のだるさや眠気が起きている可能性もあります。月経に関連する眠気は、多くの女性が経験する症状でもあります。

眠気に影響すると考えられているのが自律神経・体温・セロトニン・GABAの4つです。

  • 自律神経……睡眠中は副交感神経が優位になるが、生理前は副交感神経を優位にする作用のある女性ホルモン「エストロゲン」の分泌量が低下し、心身が活動的な状態が続くことで寝付きが悪くなる
  • 体温……生理前は体温が上昇するため、寝付きが悪くなったり、眠りの質が低下したりする
  • セロトニン……生理前は睡眠を促すホルモン「メラトニン」の原料になる「セロトニン」の分泌量が減少する。これによって眠りの質が下がる
  • GABA……GABAはアミノ酸の一種で、ストレス・緊張・脳の興奮を鎮静させる働きがある。生理前はGABAが減少するため不安感が起こったりして睡眠に影響する

また、月経前症候群(PMS)の症状の一つとして、倦怠感や眠気が現れることもあります。

更年期の影響

更年期以降、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が激減します。女性ホルモンの急激な低下は眠りの質を左右する自律神経の働きを乱し、これが慢性的な疲労感につながることがあります。

脳の疲労やストレス

疲労には、外出や運動などでの「肉体的な疲労」の他にも、仕事や人間関係、精神的ストレスによる「精神的な疲労」があります。

更年期の年代の女性は仕事や家庭のこと、自分の体のことや親の介護のことなど忙しい日々を送っていることも多く、身体的な疲労だけでなく精神的な疲労を抱えがちです。

このような脳の疲労が、倦怠感や眠気につながっている可能性も考えられるでしょう。

体がだるい・眠いときに考えられる病気

体がだるい・眠いときに考えられる病気

生活習慣や食生活、女性ホルモンの影響だけでなく、病気が影響して体がだるい・眠いという症状が引き起こされている可能性もあります。

体がだるい・眠いときに考えられる病気としては、以下があります。

特に、女性は月経があるため貧血が起こりやすいです。閉経に近づくにつれて月経には大きな変化が生じますが、これが負担になって貧血が起こりやすくなることも。

貧血とは、体内の赤血球の数と質が不足している状態です。赤血球は酸素を運ぶ役割を果たしており、不足すると酸素供給が減少するため、結果として疲労感や疲れやすさが生じます。

酸素は、全身の細胞にエネルギーを供給するために必要なものです。酸素不足になると階段を上るといったちょっとした動作でも疲れたり、息切れが起こったりします。

その他、頭が重い、頭痛、集中力の低下、めまい、顔色が悪くなるなどの症状がみられることもあります。貧血の中でも多いのが、体内のが不足する鉄欠乏性貧血です。

体がだるい・眠いときの対処法・セルフケア

ここからは、体がだるい・眠いときの対処法や予防法、セルフケアについて解説します。

更年期症状の対策をする

体のだるさや眠気が更年期の影響によるものだと考えられる場合は、更年期症状の対策をするといいでしょう。食事の改善や適度な運動、休息といった基本的なことが大切です。

更年期症状が強く、生活に支障をきたしている場合は更年期障害の可能性もあるため、女性外来・更年期外来の受診を検討しましょう。

トリプトファンを多く含む食材を食べる

トリプトファンを多く含む食材を食べる

倦怠感や睡眠、感情のコントロールや神経の安定に深く関わっている「セロトニン」を増やすことも大切です。セロトニンの原料となる「トリプトファン」が豊富に含まれる食べ物を食べるといいでしょう。

トリプトファンはチーズや牛乳、ヨーグルトといった乳製品、大豆製品、ナッツ類、バナナなどに多く含まれています。

栄養バランスのいい食事を取る

「寝ても寝ても眠い」「疲れが回復しない」という場合、活動のためのエネルギーが不足しているかもしれません。疲れを取るためには、栄養バランスのいい食事を取ることが大切です。

三大栄養素(タンパク質・脂質・糖質)に加えて、疲労回復にいい栄養素であるビタミンB1を積極的に食事に取り入れるといいでしょう。

適度な運動を取り入れる

心が疲れていても、体が疲れていないと眠れないことがあります。

精神的なストレスや脳の疲労を感じている場合は、無理のない範囲で適度な運動を取り入れるのもおすすめです。

ウォーキングやストレッチ、ヨガなどの軽い運動は、血行を改善する効果やリフレッシュ効果があります。運動する時間がない人は、階段の上り下りやちょっとしたストレッチをするだけでもOKです。

質の高い睡眠を取る

睡眠の質が低いと、倦怠感や眠気につながります。適切な睡眠時間を確保するとともに、睡眠の質を高める工夫をするといいでしょう。

質の高い睡眠には、寝具や光、音、寝室の湿度や温度といった「睡眠環境」も影響します。睡眠環境がよくないと考えられる場合は、自分が心地よく快適に眠るための環境づくりを行いましょう。

光には覚醒作用があるため、スマートフォンやパソコンは寝る30分ぐらい前から見ないようにすることも大切です。

ランチ後の眠気には昼寝や会話がおすすめ

生物には、地球の自転による24時間周期の昼夜変化に合わせ、体内環境をほぼ24時間の周期で変化させる機能があります。この約24時間周期のリズムをサーカディアンリズム(概日リズム)といいます。

サーカディアンリズムの中で、ランチ後の時間帯にあたる14時頃の眠気は「アフタヌーンディップ」と呼ばれています。

これは1日のリズムによるものと考えられており、ランチ後の眠気に悩まされている場合は10〜20分ほどの昼寝、誰かと会話する、ガムを噛むなどをすると、脳が活性化されて眠気対策になるでしょう。

リフレッシュ・ストレス解消をする

ストレスがたまり過ぎると、体のだるさや睡眠障害につながることがあります。

デスクワークなど同じ環境が長く続く作業をするときは1時間ごとに小休憩を挟んだり、休みの日にストレス解消をしたり、適度にリフレッシュするのがおすすめです。

体がだるい・眠いときに気を付けたいポイント

コーヒーや紅茶などに含まれるカフェインには覚醒作用があるため、寝る前は控えるのがおすすめです。

また、アルコールはアセトアルデヒドの覚醒作用によって浅い眠りを増加させ、眠りの質を下げてしまいます。「ぐっすり眠るために」と思ってアルコールを飲むと逆効果になってしまう可能性があるため、注意が必要です。タバコも、ニコチンの刺激によって睡眠を妨げます。

睡眠の質が低下すると、体のだるさや眠気につながります。質の高い睡眠を保つためにも、食生活や生活習慣に気を付けて過ごすことが大切です。

体がだるい・眠いときは何時間眠ればいい?

ベストな睡眠時間は6〜8時間が目安といわれています。ただし、睡眠は個人差も大きく、季節や体の疲れ具合によっても適切な睡眠時間は変わるものです。

極端に長過ぎる、短過ぎるのはよくないため、「すっきりと目覚められて日中も眠気を感じない」ことを目安として、自分とってベストな睡眠時間を探ってみるといいでしょう。

疲れているときや生理前後は睡眠時間を1時間増やすなど、状況に応じて調節することも大切です。

体がだるい・眠いのが続くときは病院に行くべき?

体がだるい・眠いのが続くときは病院に行くべき?

体がだるい・眠い症状が続く場合やその他にも症状がある場合は、病気が隠れている可能性も考えられます。例えば、以下のような症状が続く場合は病院を受診しましょう。

  • 発熱がある
  • 立ちくらみ、めまいの症状がある
  • 皮膚症状がある
  • 体がむくむ
  • 尿の色や便の色に変化が見られる
  • 倦怠感や眠れない症状が続く など

膠原病、血液疾患や癌、感染症、うつ病などの心の病気、糖尿病、内分泌・代謝疾患、睡眠時無呼吸症候群があると、全身倦怠感がみられることがあります。

なかなか症状が改善されない場合は、我慢せずに早めに病院を受診して検査を受け、適切な治療を受けることが大切です。

体がだるい・眠いのが続くときに受診すべき科は?

全身倦怠感の他にも熱っぽい感じがある場合は、膠原病や感染症が考えられます。この場合は、一般内科を受診するといいでしょう。

全身倦怠感の他、むくみや足のしびれ、体重減少などが見られる場合は内分泌内科や糖尿病専門外来などが考えられます。

「眠れずに午前中も眠気がある」「1時間以上寝付けないのが続く」「眠っても夜間に何度も目覚めてしまう」といった場合は、心療内科を受診するといいでしょう。

また、不眠や倦怠感といった症状は更年期症状の一つでもあります。

ホットフラッシュ(のぼせ、ほてり)や耳鳴り、めまい、口の渇き(ドライマウス)、不安感、イライラなどの症状がある場合は、更年期に伴う症状の可能性もあるため、更年期の影響が疑われる場合は更年期外来・女性外来の受診を検討してもいいかもしれません。

体がだるい・眠いときは無理せず休息を

女性は女性ホルモンの影響によって、倦怠感や眠気を経験する人も多いです。

一時的なものであれば睡眠や休息を取って様子をみても問題ありませんが、長く続く場合は病気が隠れている可能性もあるため、早めに病院を受診しましょう。

※効果には個人差があります。試してみて異変を感じる場合はおやめください。

監修者プロフィール:三橋裕一さん

三橋裕一さん

1964年生まれ。福島県会津若松市出身で2007年に札幌でひなたクリニックを開業。産婦人科医の傍ら、総合格闘技のリングドクターとしても活動。趣味はお酒とバイクジムカーナ。利き酒師やフードマイスターの資格も保有。新事業の『内診台を使用したVIO脱毛』に日々奮闘中。

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