閉経後の女性は要注意!国民病「慢性腎臓病」って?

更新日:2024年01月19日 公開日:2023年06月05日

健康寿命の要「腎臓」を強くして病気知らずに!#1

閉経後の女性は要注意!国民病「慢性腎臓病」って?

閉経後の女性は要注意!国民病「慢性腎臓病」って?

「慢性腎臓病」を知っていますか? 約20年前に登場した比較的新しい病名です。進行すると人工透析が必要、また心不全や脳卒中を起こし、健康寿命を脅かします。まずは「慢性腎臓病」のリスクをセルフチェック! 大病の発症を防ぐ方法を解説します。

新たな国民病「慢性腎臓病」成人の8人に1人が発症!?

成人8人に1人が発症!? 新たな国民病「慢性腎臓病」

「慢性腎臓病(CKD)」は、腎臓の障害が慢性的に続いている状態のこと。20年ほど前に登場した比較的新しい病名で、さまざまな腎臓病の総称です。この中には糖尿病から起こる「糖尿病性腎症」や、高血圧が原因で腎臓の血管の動脈硬化が進む「腎硬化症」などが含まれています。

「慢性腎臓病の患者数は約1330万人で、成人の8人に1人に相当します。糖尿病よりも多く、まさに国民病と言っても過言ではありません。女性の場合は閉経後から発症しやすくなり、加齢とともに患者数が増加します」と腎臓病に詳しい東北大学大学院医学系研究科内部障害学分野教授の上月正博(こうづき・まさひろ)さんは話します。

腎臓はそら豆のような形をした握りこぶし大の臓器で、腰の少し上に左右一つずつあります。最も大切な働きは、尿を作ること。「糸球体(しきゅうたい)」という組織で血液をろ過し、不要な老廃物や塩分を尿として体外に排出します。

他にも血圧や体液の調整、血液を作るホルモンの分泌、骨の強化などの役割も。腎臓は全身の健康に深く関わっているのです。

腎臓は老廃物をろ過し、尿として排出する臓器

腎臓は老廃物をろ過し、尿として排出する臓器

腎臓には毛細血管が毛糸玉のように丸まった糸球体が多数あり、血液をろ過して尿のもと(原尿)を作っています。この働きが損なわれると、たんぱく質が尿中に漏れ出る「たんぱく尿」に。腎臓の障害は心臓や脳の病気も招き、全身の健康を脅かします。

「腎臓」は健康寿命のカギを握る大切な臓器

「腎臓」は健康寿命のカギを握る大切な臓器

このような腎臓の働きが損なわれるのが、慢性腎臓病です。「たんぱく尿や血尿が出る」「糸球体のろ過量が健康な人の60%未満になる」という状態のいずれか、あるいは両方が3か月以上続く場合に診断が下されます。

危険因子としては糖尿病や高血圧、脂質異常症、肥満、高齢、喫煙、薬の常用歴などが挙げられます。

「薬で注意したいのが、非ステロイド性の消炎鎮痛薬です。市販の痛み止めや風邪薬などにも含まれていますが、腎臓の血流を低下させて腎障害を招くことがあるのです。女性は頭痛や月経痛などでよく使う方も多いでしょう。心当たりのある場合は、腎臓の検査をおすすめします」と上月さん。

慢性腎臓病は進行すると慢性腎不全になって人工透析が必要になります。また心筋梗塞や心不全、脳卒中などの病気を合併しやすく、これらの病気で亡くなる方も少なくありません。できるだけ早く検査で腎臓の異常を見つけて対処することが重要です。

「慢性腎臓病」のリスクをチェック!

「慢性腎臓病」のリスクをチェック!

以下の4つの項目に当てはまる人は要注意!まずは医療機関で検査を受けましょう。

  • 頭痛や月経痛などに痛み止めをよく使う
  • 尿検査でたんぱく尿を指摘されたことがある
  • 太っている
  • 糖尿病や高血圧などの持病がある

腎臓が慢性的に障害され、働きが徐々に低下すると「慢性腎臓病」に

下記のどちらか、または両方が3か月以上続く場合、慢性腎臓病と診断されます。

  1. たんぱく尿が出る〈腎臓の障害〉
  2. 腎臓の働きが健康な人の60%未満に低下〈腎機能の低下〉

症状が進行すると……

  • 腎臓の機能が悪化して老廃物を体外に十分排出できない「慢性腎不全」になり、人工透析や腎移植などの治療が必要になる
  • 脳卒中、心筋梗塞、心不全などの病気が起こりやすくなる

次回以降、こうした重大な病気の引き金になりうる「慢性腎臓病」を予防するために、日々気を付けたい生活習慣や簡単な運動について、上月さんに引き続き伺います。

教えてくれたのは:上月正博(こうづき・まさひろ)さん

教えてくれたのは:上月正博(こうづき・まさひろ)さん

公立大学法人山形県立保健医療大学理事長・学長、東北大学名誉教授
1981年、東北大学医学部卒業。同大医学部第二内科などを経て、2000年から現職。東北大学病院リハビリテーション部長も併任。日本腎臓学会腎臓専門医・指導医。日本腎臓リハビリテーション学会理事長なども歴任。『腎機能 自力で強化! 腎臓の名医が教える最新1分体操大全』(文響社刊)など著書多数。

取材・文=佐田節子 イラストレーション=ねもときょうこ 構成=大矢詠美(ハルメク編集部)
※この記事は雑誌「ハルメク」2022年2月号を再編集し、掲載しています。


■健康寿命の要「腎臓」を強くして病気知らずに!■

  1. 閉経後の女性は要注意!国民病「慢性腎臓病」って?
  2. 慢性腎臓病は定期健診と6つの生活習慣で予防!
  3. 簡単!1分間運動とウォーキングで慢性腎臓病を予防
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