中性脂肪を減らすには?50代女性に多い原因&改善のための食事と生活習慣

中性脂肪を減らすには?50代女性に多い原因&改善のための食事と生活習慣

公開日:2025年07月16日

中性脂肪を減らすには?50代女性に多い原因&改善のための食事と生活習慣

中性脂肪が高いと指摘されても、何をすれば減らせるのか迷ってしまう方も多いでしょう。中性脂肪は高くても低くても健康には良くありません。これからの健康のために役立つ、50代女性に多い中性脂肪が高くなる原因や改善方法を紹介します。

髙橋 紘
監修者
髙橋 紘
監修者 髙橋 紘 いんざい糖尿病・甲状腺クリニック

中性脂肪とは?

中性脂肪とは?
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「中性脂肪が高い」と意識するのは、健康診断や病院の血液検査で基準値を超えていたから、という方も少なくありません。

中性脂肪とはどういうもので、高くなるとどんなことが起こるのかご存じでしょうか。

ここでは、中性脂肪の基礎知識や基準値から外れるとどうなるのかを、詳しく解説します。

中性脂肪の基礎知識

厚生労働省「健康日本21アクション支援システム〜健康づくりサポートネット〜」によると、中性脂肪はトリグリセリドとも呼ばれ、食品中の脂質や体内に存在する脂質の一つで、体内の脂質の約9割を占めています。

重要なエネルギー源であり、脂溶性ビタミンの吸収を助けたり、必須脂肪酸を摂取したりする栄養素でもありますが、取りすぎると体脂肪として体内に蓄えられて肥満を招くため注意が必要です。

中性脂肪は血液中の脂肪成分ではありますが、食事から摂取した脂肪は血液に溶けず、小腸や肝臓で合成されて全身に運ばれます。

食品成分としての中性脂肪は1gあたり9kcalのエネルギー源となり、体脂肪の主成分として、体内で消費しきれなかったエネルギーを溜めこむ役割があります。

中性脂肪の基準値

中性脂肪の値は健康診断の血液検査の項目に含まれていて、空腹時で30〜149mg/dLと定められています。

空腹時150mg/dL以上、随時175mg/dL以上の場合は、脂質異常症の一種である高トリグリセライド血症と診断され、治療が必要となる場合があります。

中性脂肪が高いとどうなる?

中性脂肪が基準値を超えている状態である「高トリグリセライド血症」は、自覚症状がほとんどありません。

このことから「サイレント・キラー」とも呼ばれ、気付かないうちに動脈硬化が進行して突然倒れることもあるため注意が必要です。

また、基準値を超えた状態が続くと肥満を始めとした生活習慣病の原因になりかねません。

中性脂肪が増えすぎると、悪玉コレステロール(LDL)の増加や善玉コレステロール(HDL)の減少を引き起こし、さまざまな病気を引き起こす可能性があります。

血管が硬く狭くなる動脈硬化が進むと血液の流れが悪くなり、高血圧や心筋梗塞、脳梗塞などが発症するリスクが高まります。

肝臓への影響も起こりやすく、脂肪肝と呼ばれる肝臓に中性脂肪が過剰に蓄積された状態が進行すると、肝硬変や肝臓がんの原因になることもあるため、注意が必要です。

中性脂肪が高いと、他の全身疾患(高血圧や糖尿病など)を併発しているケースも多く、治療が必要となります。

中性脂肪が低いとどうなる?

中性脂肪が基準より低すぎるのも、健康的とは言えません。

体内に蓄えられているエネルギーが少ないため、体温維持ができず冷え性だったり、疲れやすかったりする症状が現れる可能性があります。

遺伝やもともとの体質で中性脂肪の値が低い方もいますが、なんらかの疾患や過剰な食事制限、過度な運動などで中性脂肪が低すぎる場合は、基準値内に収まるように食事や運動内容を見直しましょう。

50代女性の中性脂肪が増えやすい原因

50代女性の中性脂肪が増えやすい原因
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今までは平気だったのに、急に中性脂肪が増えてしまったという40代後半〜50代の女性は少なくありません。

なぜ中性脂肪が増えやすいのか、女性特有の原因を中心に解説します。

更年期の影響

閉経前後に起こる更年期の影響により、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減ると、中性脂肪やコレステロールが増えやすくなる傾向があります。

エストロゲンは女性の身体を守るホルモンで、中性脂肪やコレステロールの上昇を抑えたり、動脈硬化に対して保護的に働いたりする機能を持っていますが、分泌量が減ると中性脂肪の上昇につながります。

更年期の時期はホルモンバランスの変化も大きく、脂質代謝が乱れて内臓脂肪の増加にも影響が出やすいため、注意が必要です。

筋肉量・基礎代謝の低下

50代女性は加齢や運動不足が原因で、筋肉量の減少とともに基礎代謝が低下しています。

基礎代謝が低下すると、動いていないときのエネルギー消費量が減るため、脂肪が蓄積して中性脂肪が高くなる傾向があります。

これまでと食事内容は変わらないのに急に太った、中性脂肪の数値が上がった場合は、基礎代謝の低下も原因の一つかもしれません。

食生活の影響

甘い物好きな女性は多いですが、含まれている糖質には注意が必要です。

エネルギーとして使われなかった糖質は、皮下脂肪や内臓脂肪として蓄えられてしまいます。

糖質は白米やパン、パスタなどの麺類の炭水化物にも含まれていて、主食中心の食事をしていると中性脂肪が増えやすくなります。

また、アルコールは肝臓で中性脂肪の合成を促進するため、摂取量には気を付けましょう。

生活習慣

50代女性は、更年期によるホルモンバランスの乱れやライフスタイルの変化などにストレスを感じることも多く、中性脂肪に影響を及ぼす可能性があります。

ストレスホルモンであるコルチゾールが増加すると、脂肪の蓄積や血糖値の上昇を促してしまいます。

睡眠不足が続くとホルモンバランスが崩れ、中性脂肪や食欲のコントロールに関わるホルモン(レプチン、グレリン)の分泌に影響して、無性に甘いものが食べたくなったり、動く気がしなくなったりすることもあるため、注意が必要です。

また、喫煙習慣がある方は、中性脂肪の増加や善玉コレステロール(HDL)の減少などに気をつけましょう。

喫煙は交感神経を刺激して血糖値を上昇しやすくさせ、体内のインスリンの働きを妨げる作用があり、糖が脂肪として蓄積しやすくなります。

中性脂肪を減らす!改善方法|食事

中性脂肪を減らす!改善方法|食事
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中性脂肪を減らすためには、食事内容を見直すのが重要です。

具体的に何を意識したら良いのか、おすすめの改善方法を紹介します。

糖分を控える

糖分の過剰摂取は中性脂肪の値に直結するため、糖質の摂取には注意が必要です。

  • お菓子や菓子パン
  • 果物
  • 炭水化物
  • 果糖が含まれたジュースなど

これらの食べ物には糖質が多く、体内で余った糖質は中性脂肪に変換されるため、過剰にならないように控えましょう。

ただし、体を動かすにはエネルギー(50〜64歳女性・身体活動レベルふつうの場合1950kcal)としての糖分は必要なため、極端な糖質制限はせずにバランスを考えた食事内容に留めることを意識してください。

どれくらいの量を取ればいいのか不安な方は、1日に必要な摂取カロリーを計算し、献立を組み立てると良いでしょう。

脂質を控える

脂質が多くなると、体内で余った分が肝臓や脂肪組織に中性脂肪として蓄積され、過剰に摂取されると血液中の中性脂肪値が上昇します。

飽和脂肪酸(脂身、バター、ラードなど)とトランス脂肪酸(マーガリン、加工肉など)は控えましょう。

揚げ物やインスタントラーメンなどに含まれる脂も、中性脂肪を増やしやすいため注意が必要です。

調理には動物性油脂ではなく、不飽和脂肪酸を多く含んでいる良質な植物油脂(なたね油、オリーブオイルなど)がおすすめです。

肉は少なめに、魚を多めに

肉類を全く食べてはいけないわけではないですが、牛肉や豚肉には飽和脂肪酸が含まれていて、悪玉コレステロール(LDL)が増えやすく、食べ過ぎると動脈硬化のリスクが増す傾向があります。

魚類、特に青魚にはDHAやEPA(n-3系不飽和脂肪酸)が多く含まれていて、中性脂肪を下げたり、血液をサラサラにする効果が期待できます。

サンマやサバ、イワシなどを焼くだけでも良いですが、サバ水煮缶なら簡単に骨ごと食べられておすすめです。

魚類を主菜に取り入れることにより、食事のバランスを整えやすくなるため、意識してみましょう。

食物繊維を多めに摂取

食物繊維は炭水化物の一種ですが、腸から吸収されない難消化性の成分で大腸まで到達して便として排出されます。

一緒に食べた糖質や脂質の吸収を穏やかにしてくれる働きもあり、満腹感を得やすく、腸内環境の改善にも役立つため、積極的に摂取しましょう。

  • 野菜(ごぼう、ほうれん草、にんじんなど)
  • きのこ類全般
  • 海藻類(わかめ、もずく、めかぶなど)
  • 大豆製品(納豆、豆腐など)

大豆製品に含まれるイソフラボンは女性ホルモンと似た働きをするため、ホルモンバランスが乱れやすい50代女性におすすめです。

食事の取り方を変える

食事の取り方に気を付けるのも、中性脂肪を減らすための改善方法の一つです。

お腹いっぱいまで食べずに、腹八分目までに留めることで、過剰なエネルギー摂取を予防できます。

早食いの習慣があると、食べ過ぎていることに気付きにくく、慢性的にエネルギーが余って中性脂肪へと変換されて蓄積していきます。

ゆっくりよく噛んで食べる癖をつけると、適度な量で満足できるようになり、消化も良くなるのです。

夜はエネルギー消費量が少なくなって食べたものが中性脂肪になりやすいため、夕食やその後の間食、夜食は控えましょう。

アルコールの適量を守る

アルコールは、適量ならば善玉コレステロール(HDL)を増やす効果があるともいわれていますが、飲みすぎると中性脂肪を増やしてしまう原因になります。

厚生労働省の「健康日本21(アルコール)」によると、節度ある適度な飲酒は1日にビール中瓶1本500mL、日本酒1合180mLなどが目安とされています。

ただし、毎日連続して飲むのは肝臓への負担につながるため、週に1〜2日は休肝日にして飲酒しない日を作ってください。

中性脂肪の値が高い方は、もっと減らす必要がある可能性も考え、医師に相談してみましょう。

特に、糖分が入っている梅酒や缶チューハイなどは、中性脂肪を上げやすいため、糖分が含まれていないものを適量に留めることが大切です。

中性脂肪を減らす!改善方法|運動・生活習慣

中性脂肪を減らす!改善方法|運動・生活習慣
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食生活の見直しとともに、運動や生活習慣の見直しも行いましょう。

ここでは、中性脂肪を減らすための運動・生活習慣の改善方法を紹介します。

有酸素運動

有酸素運動を時間をかけて行うことで、酸素を使って糖や脂肪を燃焼させる効果が期待できます。

  • ウォーキング
  • ランニング
  • エアロバイク
  • ヨガ
  • 踏み台昇降
  • ラジオ体操など

有酸素運動を1日の合計で20分以上続けると、基礎代謝や心肺機能を向上させることができて、脂肪燃焼効果が高まります。

最初からランニングを20分するのは難しいかもしれませんが、階段を多く使ったり、自転車をやめて歩いたりして、普段の生活の中で運動することを意識してみましょう。

また、スクワットやプランク(肘を床に付け、身体を真っ直ぐに保ち、肘とつま先または膝で身体を支える)などの筋トレを組み合わせることで、筋肉量を増やすことでより多くのエネルギー消費が可能になるため、効率よく脂肪を燃焼できます。

睡眠の改善

十分な睡眠時間を取るために、睡眠の改善に取り組みましょう。

睡眠不足はホルモンバランスの乱れにつながり、食欲のコントロールができなくなったり、インスリンの働きが悪くなったりして、中性脂肪が増加してしまいます。

必要な睡眠時間には個人差がありますが、一般的には6〜8時間が推奨されています。

なかなか眠れない場合は、午後のカフェイン摂取を控えたり、寝る前のリラックスタイムを取れるように工夫したりして、入眠の準備を整えてみましょう。

ストレスを溜めない

ストレスが溜まると自律神経やホルモンバランスの乱れ、睡眠不足などの症状を引き起こし、中性脂肪に影響する可能性があります。

ストレス解消法は人それぞれ異なり、一人で黙々と作業するのが好きな方も、大勢で集まっておしゃべりするのが好きな方もいます。

仕事や家庭など、ストレスを感じる箇所にも大きさにも個人差があるため、自分に合った方法を見つけるのが重要です。

中性脂肪を上げないためには予防が大切

中性脂肪が高いと指摘されたら、どうなってしまうのか不安を感じる方も少なくありません。

50代女性は更年期や基礎代謝の低下、生活環境の変化などにより、今までと血液検査の数値が変わってしまうこともあるため、結果を慎重に観察しましょう。

中性脂肪が高い状態が続くと、さまざまな病気を引き起こす可能性があるため、基準値内に収まるのが理想です。

まだ大丈夫と油断しすぎず、今から糖分や脂質を控える食事に変えたり、運動を意識したりして、予防が大切です。

今後の健康的な生活のためにも、食事や生活習慣の見直しを行い、中性脂肪を減らす工夫をしていきましょう。

監修者プロフィール:髙橋 紘さん

いんざい糖尿病・甲状腺クリニック院長。東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科に所属し医学博士取得。糖尿病・内分泌・肥満症・総合内科の専門医。糖尿病の最先端医療や肥満症専門外来も積極的に行う。糖尿病認定看護師、管理栄養士とともに地域の皆様の健康を守れるよう、努めている。院内で患者会や勉強会を定期的に開催し糖尿病の啓蒙活動も行っている。

 


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HALMEK up編集部
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