マジメに考察!50代夫婦の性&セックスレス事情2

50代夫婦がセックスレスになる理由は疲労?家族化?

公開日:2021.09.28

更新日:2023.08.20

「50代夫婦の性&セックスレス事情」4回シリーズの2回目は、セックスレスの原因について迫ります。50代夫婦の7割以上がセックスレスといわれている日本で、セックスレス事情に詳しい三松真由美さんにお話を聞きました。

国民性!?日本人がセックスレスになってしまう理由

【1記事目】50代夫婦の7割超がセックスレス…何歳までする? >>

例えば、フランスをはじめ欧米の多くの国では年齢を重ねてもセックスを楽しんでいるカップルが多くいます。ではなぜ、日本では若い頃から一貫してセックスレス傾向にあるのでしょうか。カップル不仲の原因を「性」を通して考えるセックスレス改善専門家の三松真由美さんに聞いてみました。

「“アムールの国”フランスでは年を重ねたマダムがモテます。欧米では女性がもっと積極的です。

一方、韓国は比較的日本に近く、日本と同様にセックスレスに悩んでいるという話をよく聞きます。日本では歴史的に奥ゆかしい女性、いわゆる大和なでしこといわれる『一歩下がってタイプ』が好まれてきました。こうした根強い文化的背景を持った国民性の問題は大きいでしょう。

性に積極的な女性は、はしたないなどと罵られたり、年齢を問わず女性の方からセックスに誘うべきではないという感覚があったり……。セックスに不満があっても女性が口にしづらい国民性が原因の一つではないかと思います」(三松さん)

50代という年齢は「心と体のターニングポイント」

前回の50代夫婦の性生活記事でご紹介しましたが、閉経と更年期で体が大きく変化するのが50歳前後という時期。女性にとっては、性交痛がつらい、ホットフラッシュで汗が出すぎるなどで、体調不良面でセックスどころではないという状況にもなりえます。

「加齢による体力の衰えも重要な問題です。50代になると、20代の頃のように激しく動きながらの1時間以上の長いセックスはできません。逆に、夫の体力が続かなくて、満たされない妻の不満が蓄積することもあります。

『気乗りしない』という女性の中には、夫がずっと自分本位なセックスをしてきたことに限界を感じ始める人も。数十年という夫婦生活の中で、どのようなセックスをしてきたかが問われる年代ともいえますね」(三松さん)

お互いを、男として女として見ているか?

50代特有の心と体の変化が原因で「その気になれない」という妻の状況と同様に、夫側もED(勃起不全)の問題を抱えている場合もあります。EDにはさまざまな段階がありますが、妻を相手にしたときだけその気になれない、いわゆる「妻だけED」という男性も多いといいます。

「50代になると、妻に飽きた、夫に飽きた、いわゆるマンネリも深刻化してきます。20~30代のうちに、いろいろなセックスを試すなどしてエンタメ化することに成功している夫婦は、50代になってマンネリを感じたときでも『たまにはラブホテルに行ってみようよ!』という発想が生まれます」(三松さん)

出産や育児をしているうちに「家族」という感覚が強くなり、夫を男として見られなくなってしまったという話はよく聞きますが、この点について三松さんは、「子育て中でも夫婦が男と女でいることは可能だし、そこは問題ではない」と言います。

「女性にとって大切なのは、夫に女として認識されているかどうか。セックスは夫婦のコミュニケーションであり、相手があってこその行為。あからさまに『年とったな』『太ったな』といった身体的な部分を指摘されれば自信を失い、気持ちも冷めてしまいます。

『その服似合ってる』『今日はいつもより顔色が良くてきれいだよ』など気付きを言葉にしてくれるだけでも違ってきます。海外のようなレディファーストの仕草も女性にとってはうれしいものです。肉体的に、精神的に、相手が満足できているかを考えたり、互いに加齢を受け入れて相手の体調に気を配ったりできる、そんな思いやりの気持ちがあるといいですね」(三松さん)

夫婦間のコミュニケーションが足りていない

三松さんによると、夫婦で圧倒的に性について話さない、向き合っていないこともセックスレスの大きな原因なのだとか。

「住宅ローンや子どもの教育の話は頻繁にしても、自分たちの性生活については話さない夫婦が多いです。どこかで『セックスなんてなくても死なない』なんていう認識があり、確かに死ぬことはないので(笑)、どうしても優先順位が低くなってしまいます。言わないけどわかってほしい、というのは、コミュニケーションをないがしろにしていることへの言い訳。夫婦生活に不満があるなら、しっかりと話し合う必要があります。寝室問題に阿吽(あうん)の呼吸はありません」と話します。

セックスレスの夫婦にはこうした「言い訳」が多いという三松さん。

「子どもが小さいうちは、川の字で寝る寝室の事情や育児疲れなどでセックスができないという人が多いのですが、それなら子どもが巣立った50代は夫婦二人の生活になるので、セックスする環境としては恵まれているはずなんです。

すると今度は体調が悪い、マンネリだ、夫がお父さんにしか見えない……と別の理由が出現してきます。立て続けに言い訳をしているうちはセックスレスを解消するのは難しいですね」(三松さん)

「セックスなんかしなくても死なない」という認識でいるより、人生に艶をプラスしてくれるものを考えて、セックスのある毎日を続けるために、原因となる部分を一つずつ取り除く努力が必要と、三松さんは話します。まずは現実を受け止めて話し合うところから。数十年という日々を共に過ごしてきた夫婦の絆が試されているのかもしれません。

4回シリーズの第3回の記事では、セックスレスの解消法についてご紹介します。

50代夫婦のセックスレス事情について教えてくれたのは?

三松真由美

三松真由美(みまつ・まゆみ)

会員1万3000人超のコミュニティサイト『恋人・夫婦仲相談所』を運営し、夫婦関係やセックスレスの改善法、ED予防法を真剣に考える専門家。

取材・文=宮崎希奈子 

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