炭水化物ダイエットのメリット・デメリット!やり方や摂取量目安も解説

炭水化物ダイエットのメリット・デメリット!やり方や摂取量目安も解説

公開日:2025年08月27日

炭水化物ダイエットのメリット・デメリット!やり方や摂取量目安も解説

炭水化物ダイエットは、ご飯やパンなどの量を減らすため、制限対象がわかりやすく継続しやすいダイエット方法です。メリット・デメリットを理解して、適切な摂取量をきちんと取ることで、リスクを減らして健康的に痩せることができます。

林安津美
監修者
林安津美
監修者 林安津美 たいや内科クリニック

炭水化物ダイエットとは?

炭水化物ダイエットとは?
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炭水化物ダイエットとは、日々の食事で摂取する炭水化物(糖質)の量を適切に調整することで、血糖値やインスリン分泌をコントロールし、体脂肪の蓄積を抑えることを目指すダイエット方法です。

ただし、炭水化物を完全に「抜く」のではなく、「減らす」のだと覚えておきましょう。

極端な糖質制限は健康を損なう可能性があるため、正しい知識のもとで実践することが大切です。

炭水化物とは?

炭水化物は、糖質と食物繊維から構成され、脳や体の主要なエネルギー源となる栄養素です。

白米やパン、麺類などの穀類、いも類、でんぷんを多く含む食品に豊富です。

糖質は体内でブドウ糖に分解されて血糖値を上げますが、その急激な変動は肥満や糖尿病のリスクを高める可能性があります。

そのため、糖質の摂取量や質(GI値など)に気をつけて、適切にコントロールすることが大切です。

なお、糖質は完全に排除すべきではなく、必要最低限の摂取は健康維持に欠かせません。

炭水化物とインスリン

炭水化物を摂取すると血糖値が上昇し、それに応じて膵臓からインスリンが分泌されます。

インスリンは血糖を筋肉や脂肪などの細胞に取り込ませることで、血糖値を正常範囲に保つ役割があります。

しかし、炭水化物を過剰に摂取すると、血糖値の急上昇を引き起こし、それに伴いインスリンも大量に分泌されるのです。

インスリンは脂肪の合成を促進し、分解を抑制する作用があるため、余分なエネルギーは脂肪として蓄積されやすくなります。

その結果、脂肪が蓄積しやすくなるため、炭水化物の「質」や「量」に気を配ることが大切です。

中性脂肪に効く

炭水化物を控えると、身体はエネルギー源を糖から脂肪に切り替えて使い始めるため、中性脂肪の減少に効果的です。

中性脂肪は糖質から合成され、体内の脂質の約9割を占めています。

炭水化物ダイエットで中性脂肪が分解されてケトン体が作られ、エネルギー源として使うことで、脂肪燃焼が促進されます。

糖質制限との違い

炭水化物ダイエットと糖質制限は、言葉は違いますが実際のところ大きな差はありません。

糖質制限は炭水化物だけでなく砂糖や果糖などの糖質も含めて制限する方法で、糖質制限の方が厳密な管理が必要なイメージはありますが、炭水化物をメインに控える点では同様とも言えます。

糖質制限との違い

また、ローカーボダイエットも糖質制限の一種ですが、極端に糖質を制限するわけではなく、緩やかなものです。

ただ、炭水化物ダイエットは控える対象がわかりやすいため、長期間続けやすいでしょう。

効果が出るまでの期間

炭水化物ダイエットは、比較的短期間で体重の変化を感じやすいとされる方法です。

糖質を控えることで、体内のグリコーゲンとともに蓄えられていた水分が排出されやすくなり、むくみの軽減や一時的な体重減少につながることがあります。

個人差はありますが、早い方では2〜4週間ほどで体重の変化や体形のスッキリ感を感じ始めることもあります。

ただし、この段階で減少するのは主に水分であり、脂肪が本格的に燃焼されるには、もう少し継続的な取り組みが必要です。

なお、食事内容を急に元に戻すと、リバウンドが起こりやすいため、食生活のバランスを保ちながら継続することが、効果を維持する鍵となります。

炭水化物の適切な摂取量

炭水化物の適切な摂取量
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炭水化物を制限するダイエットとはいえ、ゼロにするのは健康を害する恐れがあり、身体に必要なエネルギー源としての量は摂取しなければなりません。

ここでは、炭水化物の適切な摂取量と、調整方法について解説します。

1日の摂取目安

厚生労働省によると、炭水化物の推奨エネルギー比率は全体の50〜65%とされています。

(参照:「日本人の食事摂取基準(2025版)炭水化物」厚生労働省)

日中の活動量が普通の場合、成人女性の食事摂取カロリーの目安は約2,000kcalです。

【2,000kcal × 0.5〜0.65 = 1,000〜1,300kcal】が炭水化物のエネルギー摂取目安となります。

炭水化物は1gが約4kcalのため、1,000〜1,300kcal÷4=250〜325gの炭水化物が健康維持のために必要です。

炊いた白米は茶碗1杯(約150g)でおよそ234kcal、炭水化物は約55g含まれます。

これを3食摂ると炭水化物量は約165gとなり、他の食品に含まれる糖質と合わせると推奨量に近づくため、主食以外の炭水化物も含めて調整することが大切です。

なお、炊き上がりご飯1合(約330g)を1日で食べきると、ご飯からだけで約120g以上の炭水化物を摂ることになり、他の糖質と合わせると過剰になる可能性があります。

炭水化物制限を始める際は、いきなり極端に減らすのではなく、今までの食事から10〜30%程度を目安に少しずつ調整していくのが継続しやすくおすすめです。

極端な制限のリスク

炭水化物を極端に制限しすぎると、エネルギー不足により頭痛・便秘・倦怠感・筋肉量の減少といった不調が起こることがあります。

糖質は脳の主要なエネルギー源でもあるため、不足すると集中力の低下や気分の不安定さ、低血糖症状が出ることもあります。

また、急激に体脂肪が減って体重が落ちたとしても、筋肉量も同時に減ると基礎代謝が低下し、結果的にリバウンドしやすくなるため注意が必要です。

たとえば、アトキンス式ダイエット(ロバート・アトキンス博士)は、初期段階で糖質を1日20g以下に制限し、その後50〜60gまで徐々に増やすという方法です。

脂質とタンパク質の摂取は比較的自由に行われますが、制限度が高いため、体質によっては脱水、下痢や便秘、疲労感、起立性低血圧などの症状が出ることもあります。

また、アメリカのリチャード・バーンスタイン博士は、糖尿病患者に対し、血糖管理の観点から1食あたり糖質43g以下、1日合計130g以下を目安に制限する方法を提唱しています。

ただし、これは医療的な指導のもとに行うべきであり、年齢・体重・活動量・合併症などによって適切な糖質量は異なるため、自己判断での極端な制限は避けるべきです。

自分に合った量の見つけ方

炭水化物ダイエットでは、自分に合った摂取量を見つけて継続することが大切です。

必要な炭水化物量は、年齢・性別・体型・活動量・減量の目標などによって異なります。

無理に初日から主食を完全に抜くと、エネルギー不足により体調不良(頭痛、だるさ、便秘など)を招く恐れがあるため、避けるようにしましょう。

まずは、これまでの食事に含まれる炭水化物量を把握し、そのうち10%程度を減らすことから始めるのがおすすめです(例:ご飯を1食につき大さじ1〜2杯減らすなど)。

体調や体重の変化を1〜2週間ごとに観察しながら、徐々に適正な量を見極めていくとよいでしょう。

食事内容や体調の変化を記録することで、自分にとって無理のない、持続可能な炭水化物量が見えてきます。

炭水化物ダイエットの取り入れ方

炭水化物ダイエットの取り入れ方
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炭水化物ダイエットを成功させるには、続けられることが大切です。

普段の生活に無理なく取り入れられるように、気をつける点を解説します。

主食の置き換えからスタート

「炭水化物を食べない=主食を食べない」はおすすめできません。

白米を玄米や雑穀米へ、食パンを全粒粉パンにするなど、血糖値の急上昇を抑えやすいGI値の低い主食に置き換えることから始めましょう。

GI値とは、糖質の吸収度合いを数値化したもので、グリセミック・インデックス(Glycemic Index)の略称です。この値が高いほど血糖値が上がりやすいため、血糖値を意識したい人はこの数字を食材選びに参考にしてください。

小麦粉を使用したものはGI値が高いため、全粒粉やオートミールなどを上手に活用すると、満腹感が持続して、食べ過ぎを抑える効果も期待できます。

タンパク質と野菜(食物繊維)をセットで摂取

炭水化物の摂取を減らす分、良質なタンパク質や食物繊維をしっかり食べることを意識しましょう。

タンパク質は、筋肉の維持と基礎代謝の保持に必要で、肉・魚・豆類・卵・乳製品などから、偏らないように取り入れるのが理想です。

国立がん研究センターが公表した「低炭水化物食と死亡リスクとの関連」によると、低炭水化物食で炭水化物を減らして動物性タンパク質や脂質を多く取った場合と、高炭水化物食は同様に死亡リスクが高いと報告があります。

一方、低炭水化物食で植物由来のタンパク質と脂肪を取った場合はリスクが低減するとされているため、タンパク質は動物性だけでなく植物性からも摂取することが推奨されます。

(参照:「低炭水化物食と死亡リスクとの関連」国立がん研究センター)

食物繊維は水溶性と不溶性があり、水溶性は血糖値の上昇を抑え、コレステロール値を低下させ肥満予防の効果が期待できて、不溶性は便通の改善や腸内環境の改善にも役立ちます。

どちらもバランス良く、炭水化物ダイエット中は野菜・きのこ・海藻類を意識して取るようにしましょう。

間食・飲み物に注意

せっかく食事で炭水化物を控えていても、間食や飲み物で糖質を多く摂ってしまうと、その効果が薄れてしまいます。

砂糖を完全に断つ必要はありませんが、清涼飲料水や加糖コーヒー、菓子パン、スナック菓子など糖質の多い食品はなるべく控えましょう。

小腹が空いたときには、ナッツ類(無塩)、チーズ、ゆで卵などの低糖質・高たんぱく質な食品を「少量つまむ程度」で取り入れるのがおすすめです。

これらは血糖値を急激に上げにくく、満足感も得やすい間食です。

運動も組み合わせる

炭水化物ダイエット中は食事制限だけでなく、運動を組み合わせることで効率よく脂肪燃焼を促進することができます。

軽い有酸素運動(ウォーキングや水泳など)を1日20〜30分と、筋トレ(スクワットや腹筋など)を1日15分ほど週2〜3日行うと、筋肉量を増やせて基礎代謝が上がり、ダイエット効果が高まります。

炭水化物ダイエット中の食材の選び方

炭水化物ダイエット中の食材の選び方
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炭水化物ダイエット中でも食べられる食材は多く、選び方次第で食事の満足度は保てます。

しかし、主食以外で控えた方がよいものもあるため、どちらも理解しておくことが大切です。

食べていいものは?

食材を上手に組み合わせることで、栄養バランスを保ちつつ糖質を控えた食事が可能です。

主食は、白米や精製パンの代わりに、玄米・雑穀米・全粒粉パン・低糖質パスタ(大豆麺・こんにゃく麺)などに置き換えるのがおすすめです。

ただし、玄米や雑穀米も糖質は多いため、量の調整は必要と考えておきましょう。

タンパク質源としては、鶏むね肉・豚ヒレ肉・牛赤身肉・卵・豆腐・納豆・ヨーグルト(無糖)・チーズ(低糖質タイプ)などがあり、偏らずバランスよく取り入れるのが理想です。

また、ブロッコリー・ほうれん草・キャベツなどの葉物野菜、しめじ・えのき・舞茸などのきのこ類、わかめ・ひじき・もずくなどの海藻類も、食物繊維・ミネラルが豊富で糖質が少なく、積極的に摂ると良いでしょう。

食べ過ぎに注意すべき食材は?

主食以外の食品にも糖質は含まれているため、食べ過ぎに注意すべき食材を知っておくことが大切です。

野菜の中でも、じゃがいも・さつまいも・里芋などの芋類、かぼちゃ・とうもろこしといったでんぷん質の多い野菜は糖質量が高めです。

栄養価も高い食品ですが、糖質制限中は食べる量を控えめにすることを意識しましょう。

また、果物にも果糖やブドウ糖が含まれており、バナナ・ぶどう・りんご・メロン・パイナップルなどは比較的糖質が多めです。

1回の目安量としては果物なら1日あたり片手に乗る程度(約80〜100g)が目安になります。

食物繊維やビタミンを含むため、完全に避ける必要はありませんが、適量を守ることが大切です。

炭水化物ダイエットのメリット

炭水化物ダイエットのメリット
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炭水化物ダイエットにはさまざまなメリットがあります。

ここでは、ダイエットを行うにあたって、知っておくべきメリットを紹介します。

比較的効果が出やすい

炭水化物ダイエットでは、糖質の摂取量が減ることで、体内に蓄えられていたグリコーゲンが消費され、それに伴って結合していた水分も排出されます。

そのため、個人差はありますが、体重の減少やむくみの軽減といった変化を感じる人もいます。

ただし、食物繊維の摂取量が減ると便秘になる可能性もあるため、注意が必要です。

また、摂取カロリーが消費カロリーを下回れば体重は減少しますが、炭水化物ダイエットでは自然と摂取カロリーが抑えられやすく、初期段階では比較的効果が現れやすい傾向があります。

短期間で変化が見えることにより、モチベーションの維持につながり、継続しやすい点もメリットです。

脂肪が燃焼しやすくなる

炭水化物の摂取を控えることで、血糖値の急上昇が抑えられ、インスリンの分泌も抑制される傾向があります。

インスリンは脂肪の合成を促進し、分解を抑制する作用があるため、その分泌が抑えられることで、体は脂肪をエネルギー源として利用しやすくなります。

その結果、内臓脂肪の減少が期待でき、肥満や糖尿病、高血圧などの生活習慣病の予防にもつながる可能性があります。

ただし、効果には個人差があり、過度な制限は健康を損なう可能性もあるため、栄養バランスに配慮した実践が重要です。

血糖値が安定しやすくなる

炭水化物ダイエットでは、血糖値が安定しやすくなるのもメリットのひとつです。

血糖値が急上昇するたびに起こるインスリンの大量分泌は、身体への負担も大きく、エネルギーとして使われなかった余剰分の糖が脂肪として蓄積され、太りやすくなります。

また、血糖値が急激に下がると、身体や脳がエネルギー不足になって低血糖状態になる恐れもあります。

この急上昇・急下降が長期間続くと糖尿病の発症リスクが上がるため、注意が必要です。

食事内容の自由度が高い

炭水化物ダイエットは、主に糖質(炭水化物)の摂取量を抑えることを目的とした食事法であり、それ以外の栄養素(たんぱく質や脂質)は比較的自由に摂取できるため、全体としての食事内容の自由度が高いという特徴があります。

食べ過ぎに注意すべき食材や間食、1日の総摂取カロリーには留意する必要がありますが、主菜や副菜などのおかずは減らす必要がなく、たんぱく質や野菜をしっかり摂ることで満足感を得やすくなります。

また、糖質制限によって食後の血糖値の変動が緩やかになるため、空腹感に悩まされにくく、ストレスが少ないという点も、継続しやすい理由のひとつです。

炭水化物ダイエットのデメリット

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炭水化物ダイエットには、メリットだけでなくデメリットも存在します。

両方を理解して、何か問題が起こった場合は中断や医師に相談するなど対策しましょう。

食べ過ぎて逆に太ってしまう可能性がある

食事の自由度が高いとはいえ、炭水化物を控えているからと他のものを食べすぎてしまうと、ダイエットをしているはずなのに逆に太ってしまう可能性があります。

炭水化物以外の摂取カロリーが大幅に増加してしまっては、消費カロリーを上回って逆効果です。

暴飲暴食を避け、前述したようにタンパク質や食物繊維を意識しながら、バランスの良い食事を心がけましょう。

低血糖のリスク

炭水化物を減らしすぎると糖質の摂取も減ってしまい、エネルギー不足により低血糖状態に陥る可能性があります。

低血糖になると、めまいやふらつき、頭痛、手足の震え、冷や汗、集中力の低下などの症状が現れます。

低血糖が続き血糖値が50mg/dL未満になると、異常行動やけいれん、意識を失う可能性もあり、危険な状態です。

炭水化物ダイエットで体調に異常を感じたら、炭水化物の量を増やして様子を見るか中断して、症状が長引く場合は医療機関を受診しましょう。

口臭や体臭が気になる可能性

炭水化物を制限して体内でケトン体が脂肪を分解するようになると、アセトンが生成されます。

アセトンは甘酸っぱいようなにおいがして揮発性があり、呼吸や汗で体外に排出されると口臭や体臭が以前と変わって臭う可能性があります。

ほとんどは一時的なもので、必要な糖質を摂取していれば、数日〜2週間ほどで気にならなくなる場合が多いです。

こまめな水分補給やシャワーを浴びるなどで対策をすると、軽減できます。

炭水化物ダイエットは置き換えが鍵!無理なく続けよう

炭水化物ダイエットは、単に炭水化物を食べないだけでは健康を損ねる恐れがあります。

白米を玄米に、食パンを全粒粉パンに置き換えるなど、GI値の低いものを食べるようにして、血糖値の急上昇を防ぐのが鍵になります。

また、タンパク質や食物繊維など、積極的に摂取したい栄養素を知り、バランス良く取り入れるのが重要です。

過剰な制限をするとリスクもあるため、「炭水化物の取り過ぎに注意」することで、無理なく健康的なダイエットを目指しましょう。

監修者プロフィール:林安津美さん

監修者プロフィール:林安津美さん

大学卒業後JAあいち厚生連に入職し37年間病院の管理栄養士として勤務、その間豊田厚生病院・安城更生病院の技師長として17年間在籍。2022年5月よりたいや内科クリニックへ入職。病態栄養専門管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・腎臓病療養指導士・がん病態栄養専門管理栄養士・和漢薬膳師等の資格を生かし患者さんの思いを聴き・応え、患者目線でテーラーメイドの医療をお届けできるように努めています。

HALMEK up編集部
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