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頻尿・尿もれ・冷えはセルフケアで治せる、予防できる
骨盤底筋を鍛える9つの方法!自宅で簡単尿漏れケア
佐井泌尿器科・皮フ科クリニック
佐井雄一
公開日:2021.05.14
更新日:2023.10.16
くしゃみをした瞬間にヒヤッとしたことはありませんか?加齢や女性ホルモン分泌の減少によって骨盤底筋の筋力が低下すると、尿漏れなどのトラブルが起こりやすくなります。まずは骨盤底筋の衰え度をセルフチェック! 骨盤底筋を鍛える9つの方法も必見です。
監修者プロフィール:佐井 雄一さん
佐井泌尿器科・皮フ科クリニック院長。泌尿器科、皮膚科の専門分野で保険診療では治しづらい疾患にレーザーなどの新しい治療を積極的に取り入れている。アンチエイジングにも力をいれ、外面的なアンチエイジングだけではなく内面からのアンチエイジングも重視し、漢方や点滴療法などにより未病を防ぐ意味での効果も期待し治療を行っている。
骨盤底筋を鍛えよう!「9つ」の方法
尿漏れ以外にも、さまざまな悪影響がある骨盤底筋のゆるみ。このような悩みは骨盤底筋を鍛えることで、予防や改善が期待できます。
骨盤底筋を鍛える方法は、筋力トレーニングや体操、エクササイズ、ヨガなどさまざま。腹式呼吸やウォーキングも骨盤底筋を鍛えることにつながるため、骨盤底筋トレーニング(ケーゲル体操)と合わせて取り入れていきましょう。
骨盤底筋トレーニングの前後には、骨盤底筋をほぐすマッサージもおすすめです。ここからは、それぞれの方法について詳しくご紹介していきます。
体勢別!基本の3つの骨盤底筋トレーニング
骨盤底筋は自分の意思で動かせる筋肉ですが、普段意識していない筋肉ですから、どんな鍛え方をすれば良いのかイメージが沸きづらいですよね。初心者でも簡単な、日常の生活の中で鍛えられる骨盤底筋トレーニングをご紹介します。
骨盤底筋トレーニングは仰向け、立ったまま、座ったままなどあらゆる体勢で行えます。特に、以下の基本の3つの骨盤底筋トレーニングは「ながらトレーニング」にもおすすめの方法です。
骨盤底筋トレーニングは継続して行うことが大切なので、ながらトレーニングとして取り入れて、習慣化していきましょう。
- 仰向けで骨盤底筋トレーニング
- 立ったまま骨盤底筋トレーニング
- 座ってできる骨盤底筋トレーニング
やり方は簡単で、それぞれ仰向けのまま、立ったまま、座ったまま5〜10秒ほど膣・尿道・肛門全体を締めるだけ。1セット10回を1日3〜5セットほど行いましょう。
まずは5秒の収縮から。それができるようになったら、次は10秒収縮させてみる、回数を10回にしてみるなど、回数や時間を段階的に増やしていくと効果的です。
四つん這いで行う骨盤底筋トレーニング
骨盤底筋を鍛えるときは「尿道、膣、肛門の順番で引き上げるように締める」ことがコツです。このコツを掴みやすいのが、四つん這いでの骨盤底筋トレーニング。動画を見ながら実践するとさらにコツが掴みやすくなります。
骨盤底筋を鍛えるヨガ「橋のポーズ(ヒップリフト)」
骨盤底筋は、ヨガで鍛えるのも効果的です。「橋のポーズ(ヒップリフト)」では、骨盤底筋と同時にお尻と内ももの筋肉も鍛えられ、ヒップアップ効果も期待できます。
ボリウッド音楽に合わせた骨盤底筋ダンスエクササイズ
ただトレーニングやヨガをするだけではなかなか続かないという人は、インド映画音楽を使った、ダンスエクササイズ「ボリウッドフィットネス」もおすすめです。音楽に合わせて楽しくストレッチをして、骨盤底筋を鍛えられます。
下着も活用して骨盤底筋を鍛える「も・れ・な・いトレーニング」
くしゃみをしたときや、重たいものを持ったときなど、ちょっとしたときに気になる尿漏れ。「も・れ・な・いトレーニング」は、簡単なのにとても効果的で、3週間ほどで効果を実感できる人も多いです。
簡単にできるながらケアにプラスして、サポート付きのインナーも活用してより効果的なトレーニングを行いましょう。
ワイドスクワット
基本の骨盤底筋トレーニングに加え、ワイドスクワットも尿漏れ対策として取り入れたいポーズの一つです。
- 肩幅よりも広めに足を開いて立つ
- 両手を膝に置き、ひじは伸ばしたまま上体を前に傾け、お尻の穴を軽く締める
- そのまま両膝を曲げ、ゆっくり腰を落とす
- さらに膝を深く曲げ、床と太ももが平行になったら、息を吐きながらお尻の穴をぎゅっと締め、10秒キープ
- ここまでを2回行う
腹式呼吸
腹式呼吸は、骨盤底筋群・横隔膜・腹横筋・多裂筋という4つのインナーマッスルを鍛えられます。また、腹圧を高めることで内臓の位置を整え、ぽっこりと出た下腹部を解消する効果も。
まず、お腹に手を当てる
- 口をすぼめ、お腹をへこませながらゆっくり深く息を吐く
- 息を吸うときは、自然にお腹が膨らむように
ウォーキング
正しい方法で行うウォーキングは、筋肉も関節も使う全身運動です。現代人は歩行量が不足しているともいわれているため、積極的にウォーキングを日常生活に取り入れるのがおすすめ。
近くにちょっとした買い物に行くときは自転車ではなく歩く、自宅のひと駅前で下りて歩く距離を増やす、エスカレーターではなく階段を使うなど、ちょっとしたところから運動を取り入れていきましょう。
骨盤底筋マッサージ
骨盤底筋トレーニングやウォーキングなどに合わせて、骨盤底筋マッサージを取り入れるのもおすすめです。
マッサージクリームを両手に塗り、内ももの付け根から下へ、つまんでほぐすを繰り返しましょう。骨盤底筋をほぐすことで、骨盤まわりの血液の流れをよくできます。
骨盤底筋とは
骨盤底筋とは、骨盤の下にある筋肉です。股間に3層になってついている、9個の小さな筋肉が集合した筋肉群です。恥骨・坐骨・尾骨についていて、骨盤の底部をハンモック状に覆っています。
骨盤底筋がゆるむと尿漏れ・ぽっこりお腹の原因に
骨盤底筋には大事な役割が2つあります。まず1つ目が、子宮や膀胱、直腸などの臓器を下から支えること。もう2つ目は、尿や便など排泄をコントロールすることです。通常はキュッと締まっていますが、便意や尿意を感じるとゆるんで排泄の手助けをします。
排泄をコントロールする筋肉である骨盤底筋がゆるむことで、尿漏れが起きてしまうのです。
骨盤底筋はどこにある?
おしっこをしている途中で、尿を止めてみましょう。その時に力が入るところが、骨盤底筋です。骨盤底筋トレーニングを行うときは、骨盤底筋をしっかりと意識しながら行うことが大切です。
骨盤底筋トレーニングは男性にもおすすめの体操
骨盤底筋トレーニングは女性だけではなく、男性にもおすすめの体操です。男性は60歳以降になると過活動膀胱が増えてくるため、症状が起こる前に予防ケアを行うのがおすすめ。夫婦一緒に行えば、日課として習慣化もしやすくなるはずです。また骨盤底筋は尿道の奥に残った尿を切るために必要な筋肉ですが、これが衰えてくると排尿後、下着を整えた後にズボンの中で下着を濡らす排尿後尿滴下の原因になります。
骨盤底筋を鍛えるメリット
骨盤底筋を鍛えることには、メリットがいくつもあります。
尿漏れや便秘の予防・改善
尿漏れは女性に多い悩みです。出産や閉経が無いと言っても、加齢などで筋力が衰えるのは男性も同じのはず。なぜ尿漏れは女性に多いのでしょうか。
女性の尿道は3~4cmと男性に比べて短く、形も膀胱からまっすぐに繋がっています。そのため膀胱に力がかかると、女性は男性よりも尿漏れしやすい、という特徴があるのです。
さらに、尿道、膣、肛門を囲むように骨盤底筋がついており、それらすべてを骨盤底筋がコントロールしています。そのため、骨盤底筋がゆるむと尿漏れの他にも、便秘や痔、子宮が下がってしまう子宮脱などの症状が出ることもあります。
また、骨盤底筋がゆるむと排便時に力みにくくなり、便秘につながることも。骨盤底筋を鍛えれば、尿漏れや便秘の予防や改善につながるでしょう。
ぽっこりお腹を防ぐ
骨盤底筋は、横隔膜やお腹の内側の筋肉である腹横筋などとともに、姿勢を保つ体幹部を構成するインナーマッスルの一つです。骨盤底筋がゆるむことで、姿勢が保てず猫背になったり、お尻が垂れてしまいます。
また骨盤底筋はお腹を下から支えています。骨盤底筋がゆるむと内臓が下に落ちて、ぽっこりお腹が出てしまう要因に。ボディバランスが崩れ、脂肪もつきやすくなってしまいます。骨盤底筋を鍛え、ぽっこりお腹を防ぎましょう。
冷え性の緩和
骨盤底筋がゆるむと、冷え性になることもあります。
骨盤底筋は筋肉ですから、動かさないと血流が悪くなります。さらに骨盤底筋は体の内側の筋肉なので、動かさないと内臓も冷やされてしまいます。冷えは万病のもと。骨盤底筋を鍛えれば、骨盤まわりの血行がよくなり、手足の冷えの緩和が期待できます。
姿勢改善や腰痛の緩和
骨盤底筋は姿勢維持に欠かせない筋肉です。腰痛は、悪い姿勢も大きな原因の一つ。骨盤底筋トレーニングによって筋力をつけることで、姿勢の改善や腰痛の緩和も期待できます。
ダイエット効果
骨盤底筋を鍛え、正しい姿勢になると体幹部の筋肉を正しく使えるようになり、体が引き締まります。骨盤底筋トレーニングでは骨盤底筋だけではなく他の筋肉も使うため、ヒップアップ効果やぽっこりお腹解消効果も期待できるでしょう。
骨盤底筋の締め方がわからないときは?
骨盤底筋の締め方がわからないときは、以下の方法でチェックしてみましょう。
ハンカチを使ってチェック
まずは、ハンカチを使って骨盤底筋の締め方をチェックしてみましょう。
- 薄手のハンカチ用意する
- 底辺が15cm程度になるように三角形に折る
- 三角に折ったハンカチをいすの上に置き、ハンカチの形に合うように尿生殖三角を当てる
尾骨の先端に触れてチェック
次は、骨盤底筋をきちんと動かせているかチェックしてみましょう。
- 横になり、尾骨の先端(お尻の割れ目を上から下に触ったとき、尖ったようになっている部分)を探す
- 見つけたら、尾骨の先端を指で触っておく
- そのまま骨盤底筋を収縮させ、尾骨が指先から離れていく感覚があれば骨盤底筋を動かせている証拠
骨盤底筋がゆるむ・衰える原因
骨盤底筋がゆるむ・衰える原因として、まず加齢が挙げられます。骨盤底筋も筋肉ですから、鍛えなければ衰えていきます。さらに肥満もゆるみの要因になります。骨盤底筋は下から内臓を支えていますから、太るとその重みで筋肉が伸びてしまうのです。
また、女性特有の要因として、出産と閉経があります。出産時の会陰切開や会陰裂傷、吸引分娩などの分娩時の処置によって、さらに骨盤底筋にダメージが加わりやすく、大きく筋肉が引き伸ばされて収縮力が落ちてしまうのです。また妊娠中の赤ちゃんの重さも、骨盤底筋には負荷がかかるので、帝王切開をした人も骨盤底筋はゆるみやすくなっています。
さらに、閉経前後になると、女性ホルモンの分泌が低下します。女性ホルモンの1つ、エストロゲンには、筋肉の弾力や張りを保つ作用がありますが、閉経でエストロゲンが減ると、筋力が弱まってしまうのです。そのため出産を経験していない女性でも、骨盤底筋がゆるくなる可能性があります。
骨盤底筋の衰え度をセルフチェック
骨盤底筋がどの程度衰えているか、いくつかの項目を確認することでセルフチェックが可能です。
- 運動不足である
- 猫背になっている
- 長い時間座ったままになっていることが多い
- 座っているとき膝が開いてしまう
- 片足立ちが30秒以上できない
- 妊娠・出産の経験がある
- 妊娠中・産後に尿漏れしたことがある
- 35歳以上で第一子を出産した
- 閉経を迎えた
- 下腹がぽっこりと出ている
- お尻のたるみが気になってきた
- 排尿後も残尿感がある
- 突然、尿意に襲われることがある
- くしゃみや咳をすると、尿漏れすることがある
- 便秘がちで、頻繁にトイレで力むことが多い
チェックが0個であれば骨盤底筋は衰えていません。1〜3個の場合は、衰えが見られます。4〜6個の方の場合は、既に何らかの症状が出るまで機能低下している可能性あり。7個以上の場合は、排泄機能の低下が考えられるため、早めに病院に相談してみましょう。
骨盤底筋トレーニング・体操の効果はいつから現れる?
骨盤底筋トレーニングや骨盤底筋体操などの効果の現れ方には個人差があり、3週間〜8か月ほどといわれています。
毎日欠かさずに続けていくことが大切です。筋肉の衰えは加齢とともに進行するため、ながらトレーニングでもいいので、継続していきましょう。
骨盤底筋を鍛えるときのポイント
ここからは、骨盤底筋を鍛えるときのポイントをご紹介します。
正しく筋肉を使う
骨盤底筋トレーニングは、正しい方法で行うことが大切です。
初めてエクササイズする時は、横になって行うと良いでしょう。どこに力が入るか意識しやすくなります。また間違ったところに力が入るのを防ぎます。お腹をわざと引っ込めたり、太ももを閉じては骨盤底筋には効果がありません。
また肛門側は筋肉が大きく比較的動かしやすいですが、膣や尿道側を動かす感覚には慣れが必要です。しかし力の入れ方が分かれば、座ったままでも鍛えることができるようになります。
椅子の背もたれに腰と背中をあずけて、肩の力を抜いて行うとやりやすいですよ。さらに慣れれば立ったまま行えるようにもなります。日常の中でも、思い出した時にやるよう習慣を付けましょう。
締めて、緩める
筋肉には、弾力が大切です。骨盤底筋に力を入れて硬く引き締めるだけではなく、緩めることも大切。締めたら、緩める。どちらも大切なので、この点を意識しながら骨盤底筋トレーニングを行ってみてください。
改善しない場合は専門クリニックへの相談も
骨盤底筋トレーニングや骨盤底筋体操などを行っても、尿漏れなどの症状がなかなか改善しない場合は、専門クリニックへ相談するのも一つの方法です。
女性専門クリニックもあり、今は薬もよくなっています。悪化する前に、早めの相談がおすすめです。
骨盤底筋を鍛えるグッズの活用もおすすめ!
骨盤底筋を鍛えたり、サポートするグッズの活用もおすすめです。骨盤底筋を意識しやすくするサポートショーツから、エクササイズができるトレーナーまで、さまざまなタイプの商品があります。ぜひ自分にぴったりのものを見つけてみましょう。
骨盤底筋トレーニングで尿漏れ・ぽっこりお腹を予防
骨盤底筋の仕組みを理解すると、健康にとても重要な筋肉だということがわかります。また、骨盤底筋を鍛えるエクササイズは、継続が大事です。毎日トレーニングすることで効果が期待できます。短い時間で良いので続けましょう。
骨盤底筋トレーニングを毎日続けると血行が良くなり、お腹もポカポカ気持ち良くなります。さらに姿勢も良くなり、冷え性も改善され基礎代謝が上がって痩せやすい体になるはず。
「まだ尿漏れしていないから大丈夫」と油断せず、早いうちから始めることが大切です。まずは簡単なエクササイズから始めてみてはいかがでしょうか。
※この記事は2021年5月の記事を再編集して掲載しています。
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