2024年07月13日

陰部がムズムズ、トイレが近いのはどうして!?

美容家・吉川千明さんデリケートゾーンのお悩み体験記

「最近デリケートゾーンが気になるけど、私だけ……?」人に聞きづらい悩みですが、実は多くの女性が同じ不安を抱えています。美容家の吉川千明さんもその一人。どんなデリケートゾーンのトラブルを抱え、どのように乗り越えたか、リアルなお話を伺いました。

デリケートゾーン悩みのお話を伺った、美容家の吉川千明さん

吉川千明(よしかわ・ちあき)さん

美容家・オーガニックスペシャリスト・認定メノポーズ(更年期)カウンセラー。コスメのみならず、食や植物療法などナチュラルでヘルシーな女性のライフスタイルを提案。近年は更年期ケアの専門家として、女性の健康啓発を行う。

50歳、急激にデリケートゾーンが”不快”に!

私がデリケートゾーンの違和感に気付いたのは、50歳直前くらい。まさに閉経を迎える前でした。
下着が当たるたびにゴワゴワ、ムズムズしたり……“膣がすごく乾く”と感じていました。そのため顔用の保湿オイルを塗ったりもしたのですが、よくはならず……。

それと同時に、ひどい尿もれにも悩まされました。尿が膀胱にたまっていないはずなのに、すぐにトイレに行きたくなるんです。最初は冷えのせいかと思っていたのですが、段々と深刻になり、1日に何十回もトイレに行き、我慢もできず漏れてしまうことも。今から思えば、仕事やプライベートが忙しい時期で、ストレスも影響していたのかなと思います。

これらが同時期に起こり、当時の私は困り果ててしまいました。どうしてこんなことが起こるのか、私だけなのか……? 悩んだあげく、意を決して相談したのが産婦人科医でした。

なかなか相談できなかった理由は、こういったデリケートゾーンまわりの症状がそもそも何が原因で起きるのかがわからなかったから。

私たち世代って、いわゆる性教育を受けていないんです。性教育というとセックスの話と思われがちですが、例えば月経の話。月経のときにお風呂に入ってもいいか、おりものが出たらどうすればいいか、どんな症状になったら何科のお医者さんに行くべきなのか……全然教わっていない。

なんだったらデリケートゾーンを『自分の手で触ったらいけない』って、まるで不浄なもののようにとらえているレベル。しっかり自分のデリケートゾーンを見たこともない人も居るのではないでしょうか?

今でこそ“デリケートゾーン”“フェムケア”などといった言葉がありますが、当時はこの部位を何と呼べばいいのかもわからず、受診するのはだいぶ勇気がいりました。

原因は「女性ホルモンの減少」受診の結果に衝撃

「外陰部や膣が乾くのは、女性ホルモンが減少してくるから。閉経が近づき女性ホルモンの分泌が減少する女性は、100%誰しもに起こります」――そう産婦人科医に聞き、目からうろこでした。

早めにケアをしないと、60代、70代になって症状が悪化してしまう。予防のためには、デリケートゾーン専用のもので洗ってあげなければならない。何より専用のもので保湿してあげなければいけない――そういうものがあることを知り、私の心に光が差したようでした。

さらに私の尿もれについても“過活動膀胱”という病名があり、それは排尿を司る“骨盤底筋”の緩みが原因であること。薬を処方してもらうと同時に、シニア女性は緩みやすく、骨盤底筋はトレーニングが必要だということも知りました。

私は女性専用の泌尿器科医にも診察してもらい、膣圧をチェックしてもらったり、締めて緩めて……などのトレーニングも始めました。今思うと、時代に先駆けてさまざまなデリケートゾーンケアを行ったと思います。

このときケアしたおかげか、60代となった今、とても穏やかに毎日を過ごせています。
しかしケアをやめたわけではなく、デリケートゾーンの保湿も骨盤底筋のケアも、毎日欠かさず続けています。

女性は誰でも100%起こるトラブル。だから今すぐケアを!

私は今メノポーズ(更年期)カウンセラーとして、50代以降の女性の悩みに向き合う活動をしています。深刻に悩んでいる方のお話を聞くことが多いですが、少しは症状があるけれど「まだ大丈夫」と思っていたり、更年期を認めたくなくて、ほったらかしにしていたりする方も多いんじゃないかと思うのです。

どうしても「恥ずかしいこと」と思ってしまうのですが、女性は全員閉経しますから、こういった症状は誰でも避けて通れないこと。

膣まわり、外陰部はそもそも女性ホルモンの影響を受けやすい場所。そのため、デリケートゾーンのトラブルは更年期を節目に多くなります。でも、そこからずっと人にも相談できず、治療もせず、ケアをしないで放っていては悪くなり続けてしまいます。

デリケートゾーンが乾燥すると、下着が当たってすれて痛い。歩くとこすれて気になる。ジーンズなど硬いボトムスをはくと、出血する人さえいるんです。だから外にも出られない、普通に生活することも難しくなる、そんなことが実際に起こりうるのです。

また、性生活がある方は、痛くて困っているという問題もあると思います。膣が萎縮して乾いて、ペン1本くらいも入らない、でも我慢。そんなことが続くと、パートナーとの関係も微妙になってきてしまいますよね。

私がお伝えしたいことは、今すぐデリケートゾーンを保湿したり、骨盤底筋のトレーニングを行うなどして、ケアをしてほしいということ。そして、困ったら迷わず産婦人科に行って相談してほしいということです。

私は50代からの女性の三大悩みは「脳」「骨」「デリケートゾーン」だと思っています。そのくらい大切なことなのです。デリケートゾーンに悩みがあると、日常的に笑顔も減っていきます。かつての私がそうでしたから。

「恥ずかしい」など思い込んでいないで、見えないところに手をかけていきましょう。そうすれば自分自身に自信が持ててきます。デリケートゾーンを健やかに保てば、年を重ねてもお出掛けも快適に自由にでき、笑顔の毎日を過ごせますよ!

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取材・文=水野 愛(ハルメク 健康と暮らし編集部) 写真=宮村次郎


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水野 愛
水野 愛

2019年12月より「ハルメク 健康と暮らし」食品記事編集に携わる。好きなものは漫画・歴史・音楽・一人旅。特技は赤ちゃんをあやすこと。今の夢は、習い始めた三線で、沖縄のおばあ・おじいたちとセッションすること!

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