爪を育てる栄養素・食べ物!爪の健康チェックやおすすめ生活習慣を紹介

爪を育てる栄養素・食べ物!爪の健康チェックやおすすめ生活習慣を紹介

公開日:2025年08月29日

爪を育てる栄養素・食べ物!爪の健康チェックやおすすめ生活習慣を紹介
Hu.MasSa / PIXTA

爪は全身の健康状態を映し出す「鏡」のような存在です。爪に必要な栄養素や、異常がないか爪のトラブルチェックをしてみましょう。保湿や保護、ちょっとした習慣に気をつけることも、健康な爪を育てるために大切です。

小阪 捺稀
監修者
小阪 捺稀
監修者 小阪 捺稀 仙台N美容クリニック

意外と知らない?爪の基本

意外と知らない?爪の基本
saki / PIXTA

私たちの指先にある「爪」は、毎日目にしていても、その構造や役割については意外と知られていないかもしれません。

ここでは、爪がどのように作られ、どのような働きをしているのかを解説します。

爪の構造と役割

爪は皮膚の角質が硬化したもので、主に「ケラチン」と呼ばれるタンパク質からできていて、成分は髪の毛や皮膚と同じです。

皮膚は軟ケラチン、爪や髪の毛は硬ケラチンでできていて、硬ケラチンは硫黄の含有量が多く、爪の強度を保つのに役立っています。

爪の根元にある「爪母(そうぼ)」は、爪を作り出す工場のような働きをしていて、ここで栄養が不足すると爪のトラブルが起こりやすくなります。

爪は、指先を保護して細かい作業を助ける役割や、足の爪は体重を支える役割も担っており、小さくても身体に必要なものです。

爪の生え変わりとは

爪は常に成長していて、手の爪は1日に約0.1mm、足の爪は約0.05mm伸びるとされていて、手の爪は約3〜6か月、足の爪は約12か月ですべて新しく生え変わります。

ただし、爪の成長スピードには個人差があり、年齢や健康状態、栄養の摂取状況などの影響を受けて速度が異なります。

加齢や栄養不足、外傷、なんらかの疾患などがあると、生え変わりのサイクルが遅くなることもあり、爪がなかなか伸びないと感じるのは体調や食生活を見直すサインかもしれません。

加齢による爪の変化

年齢とともに爪が乾燥しやすくなると、縦線が目立ったり、割れやすくなったりする傾向がありますが、これは水分量や油分の減少などによって弾力が失われるため起こります。

また、血流の低下で健康な爪を保つために必要な栄養が行き届かなくなることも関係しているとも考えられています。

更年期以降は女性ホルモンの変化の影響も大きく、爪の質が変わってくる時期でもあり、以前にはなかった爪の変化が現れる場合があるため、注意深く観察することが大切です。

爪の健康状態セルフチェック

爪の健康状態セルフチェック
ELUTAS / PIXTA

日々の生活の中で、「爪の様子が変わったかも?」と思う方も多いのではないでしょうか。

爪の状態は、体調や栄養状態を映し出す鏡のような存在です。

身体の変化が爪に現れることもあるため、セルフチェックをしてみましょう。

なお、以下に挙げた爪の変化がすべてではなく、他にも気になる症状がある場合は医療機関を受診してください。

爪が割れやすい・薄く感じる

爪がパキッと割れてしまったり、層が薄く感じるのは、爪の主成分であるケラチンの不足が原因の可能性があります。

栄養の偏りや乾燥、マニキュアや除光液の使用によっても引き起こされることがあります。

また、鉄分不足による血流の滞りで、爪に栄養が届きにくくなることも要因のひとつです。

乾燥する冬や、頻繁に洗剤を使う方にも見られやすい症状です。

二枚爪になる(爪甲層状分裂症)

二枚爪とは、爪の先端が2枚に剥がれる症状で爪甲層状分裂症(そうこうそうじょうぶんれつしょう)と呼ばれ、外部からの刺激や水分・油分の不足、栄養不足などが原因です。

マニキュアや除光液などの頻繁な使用も、爪の表面を弱くして剥がれやすくします。

保湿不足や栄養バランスの偏りも二枚爪になる原因のため、内側からのケアにも注意が必要です。

縦割れする(爪甲縦裂症)

爪が縦に割れてしまうのは、爪甲縦裂症(そうこうじゅうれつしょう)の可能性があり、栄養不足や乾燥の影響が考えられます。

タンパク質・ミネラル(鉄・亜鉛)が不足すると、爪が脆くなり縦割れしやすくなります。

外傷によるものではなく、繰り返し起きる場合は栄養不足のサインかもしれません。

また、爪上皮(甘皮部分)の異常による場合や、爪の根元に腫瘍がある場合もあります。

縦線がある(爪甲縦条)

加齢に伴う油分の減少により、爪の表面に縦線が現れることを爪甲縦条(そうこうじゅうじょう)と呼びます。

ストレスや睡眠不足、栄養の偏りが爪の線の濃さや数に影響を及ぼすことがあります。

深い溝のようになっている場合は、病気のサインのサインではありませんので、あまり心配することはありません。

反り返っている(さじ状爪・スプーンネイル)

爪がスプーン状に反り返っている症状は、さじ状爪またはスプーンネイルとも呼ばれています。

主に鉄分不足が原因で、鉄欠乏性貧血のサインの可能性があります。

鉄が不足すると酸素を運ぶ能力が低下し、末端の血行が悪くなり、爪の変形が起きやすくなるのです。

また、まれですが、女性の場合は婦人科系の疾患が原因の場合もあります。

色の異常

健康な爪は薄いピンク色をしていますが、明らかに色味が異なる場合は体調不良や疾患のサインの可能性があります。

以下のような爪の色の変化には注意が必要です。

  • 白(白濁)
  • 黄色
  • 赤~赤紫
  • 黒い線

爪の色の異常はすべての爪に現れる場合もありますが、一部の爪だけのこともあります。

他の色に変色することもあり、治療が必要なケースもあるため、爪の色に異常を感じたら医療機関を受診しましょう。

爪の変化の主な原因

爪の変化の主な原因
Ushico / PIXTA

爪のトラブルには、いくつかの原因があります。

日々の生活習慣や身体の健康状態が大きく影響するため、爪の様子をよく観察しましょう。

ここでは、爪の変化が現れた場合の主な原因について、詳しく解説します。

爪の栄養不足

爪は血管が通っていない角質層の一部ですが、生成や維持には十分な栄養が必要です。

身体の末端にあり栄養が届きにくいため、栄養不足の影響が特に大きく現れます。

後述する栄養素が不足すると、爪が弱くなり、縦線や割れが起こりやすくなります。

栄養バランスの偏りも、爪の生成に必要な成分が不足して、表面の凹凸や成長の遅れにつながるため、食事の影響もあると知っておきましょう。

爪への物理的ダメージ

爪への物理的ダメージとは、外傷や乾燥、過度なネイルなどのことです。

爪に衝撃を受けたり、傷付けたりすると、その部分だけ変色や割れが発生することがあります。

石鹸や洗剤を使用すると、爪に必要な水分や油分なども洗い流してしまい、乾燥しやすくなります。

過度なネイルカラーやジェルネイルは、爪を傷める原因になるため、注意が必要です。

頻繁に変更すると、その度ネイルオフすることになり、除光液の刺激や施術過程の力などで爪がダメージを受けて乾燥しやすくなってしまいます。

爪に影響を及ぼす病気

前述しましたが、爪の色の異常は病気のサインのケースもあります。

他に、糖尿病や甲状腺機能の異常などの内臓疾患、カンジダの感染などが爪の異常に現れることもあります。

爪が以前よりボコボコしている、縦や横の線がある、爪の周りに異常があるなどの場合は、病気の可能性もあるため、医療機関を受診しましょう。

健康な爪のために必要な栄養素

健康な爪のために必要な栄養素
shimi / PIXTA

美しく健康な爪を育てるには、身体の内側からの栄養補給が重要です。

加齢により栄養の吸収力が落ちる50代以降は、意識的に栄養素を取り入れる必要があります。

ここでは、爪の成長や保湿、血流を改善するために必要な栄養素を紹介します。

(参照:「日本人の食事摂取基準(2025年版)」厚生労働省)

(参照:「健康長寿ネット 栄養素」公益財団法人 長寿科学振興財団)

タンパク質

爪の大部分を占める「ケラチン」はタンパク質の一種で、爪の健康のために必要不可欠な栄養素です。

タンパク質が不足すると、爪が薄くなったり、割れやすくなったりします。

  • 肉類(鶏むね肉、豚ヒレ肉など)
  • 魚(サバ、鮭など)
  • 大豆製品(納豆、豆腐など)

動物性と植物性のタンパク質をバランス良く取るように意識しましょう。

ミネラル

ミネラルの中でも、爪の健康維持にとって重要なのが亜鉛です。

亜鉛は細胞分裂を助ける働きがあり、爪の正常な再生を促進して、鉄は赤血球の生成に関わり、血液の酸素運搬を助けて、爪の栄養状態を支えます。

ミネラルが不足すると、爪の縦割れや白い点、反り返りなどの症状が起こることがあります。

  • 亜鉛(牡蠣、牛肉、納豆など)
  • 鉄(レバー、赤身肉、小松菜、あさりなど)

特に、卵などの植物性食品に含まれる非ヘム鉄はタンパク質やビタミンCと一緒に摂取すると吸収率が高まります。

ただし、ほうれん草に含まれるシュウ酸や、緑茶や紅茶に含まれるタンニン、米ぬかに含まれるフィチン酸は鉄分の吸収を抑制する働きがあるため、食材の組み合わせに気をつけましょう。

ビタミンA

ビタミンAは、粘膜や皮膚、爪の乾燥を防ぎ、爪の表面を滑らかに保つ働きがあります。

ケラチンを合成するために必要な栄養素であり、ビタミンAが不足すると爪の生え変わりが遅くなる可能性があります。

ビタミンAは脂溶性ビタミンであり、油と一緒に取ることで吸収率が高まるため、一緒に摂取するのがおすすめです。

  • 緑黄色野菜(にんじん、かぼちゃ、ほうれん草など)
  • 鶏レバー
  • ウナギ
  • チーズ
  • 卵黄

緑黄色野菜に含まれるβカロテンは、体内でビタミンAに変わります。

爪だけでなく、乾燥や肌のかさつきが気になる季節にもおすすめの栄養素です。

ただし、ビタミンAは摂り過ぎると過剰症になることもあるため、サプリメントの併用や過剰摂取には注意が必要です。

ビタミンB群

ビタミンB群の中でも、特にビオチン(ビタミンB7)は、爪や髪、肌の成長を促進する「美容ビタミン」とも呼ばれています。

ビオチンが不足すると、爪が薄くなったり、割れたりしやすくなります。

  • 魚(鮭、イワシなど)
  • レバー
  • 玉ねぎ
  • きのこ類
  • 納豆
  • 卵黄
  • 豆・ナッツ類(ピーナッツ、アーモンドなど)

また、ビタミンB2やB6など、他のビタミンB群も代謝を助ける働きがあります。

  • 豚肉
  • 緑黄色野菜(にんじん、アスパラガスなど)
  • 果物(パパイヤ、リンゴなど)
  • 玄米

これらを一緒に取ることで、相乗効果が期待できるため、積極的に取り入れましょう。

ビタミンC

ビタミンCはコラーゲンの合成に不可欠な栄養素です。

爪の土台である皮膚や血管を健康に保つサポートや、爪に栄養を届けるための血行促進にも役立ちます。

ビタミンCは水溶性ビタミンで体外に排出されやすいため、毎日継続して取ることを意識しましょう。

  • 果物(アセロラ、いちご、キウイ、オレンジなど)
  • 野菜(ブロッコリー、パプリカ、じゃがいも、さつまいもなど)

ビタミンCは加熱に弱いため、生で食べるための工夫が必要です。

なお、じゃがいもはでんぷんにより保護されているため、加熱してもビタミンCが損なわれにくいとされています。

爪を守る生活習慣

爪を守る生活習慣
AntonioGuillem / PIXTA

健康的な爪を守るためには、栄養を届けると同時に日々の生活習慣の積み重ねも重要です。

外からの刺激を防いで潤いを保つことで、栄養素の効果もより高まります。

ここでは、すぐに始められる、爪を守る生活習慣を紹介します。

ハンドケアとネイルケア

乾燥が進むと爪が割れやすくなるため、ハンドケアとネイルケアを習慣にしましょう。

手洗いやアルコール消毒の後、乾燥する冬などは、特に保湿クリームやネイルオイルで指先や爪を保護するとよいでしょう。

保湿クリームを塗りながら指先を軽くマッサージするようにすると、血流が良くなり酸素や栄養が届きやすくなります。

また、甘皮を無理に剥がさず、オイルで柔らかくして保湿するのも大切です。

ネイルをしている方は、オフするときに爪へのダメージが少ない除光液を選ぶようにしましょう。

水仕事の前後にする工夫

食器洗いや洗濯の下洗いなどの水仕事は、素手で行うと爪や手が乾燥する原因になります。

水仕事の際はゴム手袋を着用して、冷たい水ではなくぬるま湯を使いましょう。

ゴム手袋の蒸れやアレルギーで手荒れしてしまう方は、中に綿手袋をするのがおすすめです。

また、水仕事の後は濡れたままにしておくと水分が蒸発して逆に乾燥を招くため、指先をよく拭いてから保湿クリームをすぐに塗りましょう。

爪切りのやり方

普段何気なくやっている爪切りも、少しやり方に気をつけるだけで爪への負担を減らせます。

乾いた爪は割れやすいため、お風呂上がりで柔らかくなっているときに爪切りを行いましょう。

深爪を避けて、角を作らず丸く整えることで、ひっかかりや割れを予防できます。

爪切りは切れが良く高品質のものを選び、最後に紙やガラス製の爪やすりで整えてください。

ただし、爪が弱っている方は、爪切りを使わず、爪やすりのみで一定方向に動かして整えるのがおすすめです。

爪切り後に保湿クリームやオイルを塗り込むと、爪や周辺の皮膚の保護になります。

更年期と爪の関係

更年期になると、女性ホルモンであるエストロゲンが急激に減少し、爪を含む全身の乾燥や弱りを引き起こします。

爪が縦に割れる、薄くなる、生え変わりが遅くなるなどの症状は、更年期の影響を受けている可能性があるため、よく観察してみましょう。

大豆製品に含まれるイソフラボンは、エストロゲンに似た働きを持っています。

毎日の食事でバランス良く摂取することで更年期のさまざまな変化に対応しやすくなるため、積極的に取りましょう。

栄養素をバランスよく取り入れて健康な爪を育てよう!

爪の異常に気付いたら、病気の可能性があるかをよく観察しましょう。

爪は、身体の状態を映し出す鏡のような存在です。

健康な爪を育てるためには、バランスの良い食事からの栄養が不可欠です。

タンパク質やミネラル、ビタミン類を意識して取り入れて、生活習慣にも気をつけることで、健康的なピンク色の爪を保ちましょう。

監修者プロフィール:小阪捺稀さん

監修者プロフィール:小阪捺稀さん

日本医科大学卒業。大手美容クリニックにて院長経験後、2024年に仙台駅前で「仙台N美容クリニック」を開業。カウンセリングからアフターサポートまで全て院長自らが行い、県外からも指名多数の人気クリニック。目元整形の症例は年間1500件以上を誇る。

HALMEK up編集部
HALMEK up編集部

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