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- 終活とは?必要な準備とノート・遺言書の書き方
終活してる? という会話もすっかり日常に。気にはなっているけれど、何をしたらいいのかわからない……という方も、まだまだ多いのではないでしょうか。エンディングノートや遺言書、お墓や葬儀の準備、生前整理など、終活で必要なことを解説します!
知ってるようでよくわからない「終活」
そもそも終活とはどんな活動のことなのでしょうか。終活の意味や終活が一般的になった背景を解説していきます。
終活とは「自分の終わり方を考えること」
終活とは、自分の人生の終わり方を考えることです。簡単に言うと「人生の店閉まい」といったところでしょうか。
終活で自分の人生の終わりと向き合うことで、余生をどう過ごすか、人生が終わった後にどのようにしてほしいかを考えることができます。そして、自分の死にまつわる心配事と不安を整理しておくことで、残りの人生をより明るく前向きに過ごすことができるようになるのです。
終活が一般的になった理由
「終活」という言葉が一般的になったのは、2009年頃。この頃に、遺言書を自分で書くための「遺言書キット」や、終活に関する書籍が出版されたことがきっかけとされています。のちの2011年には、余命半年と宣告された男性のドキュメンタリー映画「エンディングノート」(監督・砂田麻美/プロデューサー・是枝裕和/キャスト・砂田知昭/配給・ビターズ・エンド)が公開。さらに翌年2012年には「ユーキャン新語・流行語大賞」に選ばれたことで終活という言葉が広く知られるようになりました。
また、日本の高齢化社会や核家族化が進んだことにより、「家族に迷惑をかけたくない」という考えを持つ人が多くなったことも、終活という言葉が一般化した理由と考えられます。
終活を行うメリットとは?
終活を行うと、自分自身にも、家族にもメリットがあります。そのメリットをご紹介します。
終活のメリット1:家族に負担がかからない
終活を行うことで、病気になったときにどうしたいか、介護はどうするか、遺産相続、葬儀のことなど、自分の意思を明確にできるため、自分も家族も死に対して準備をすることができます。そうすると、残された配偶者や子ども、親戚などの親族が、自分の死後の手続きをスムーズに行えるため、トラブルも回避できます。
終活のメリット2:心の整理ができる
自分の死と向き合うことで、介護や遺産相続問題など、もしものケースに備えておくことができます。実際に終活に取り組んだ人のなかには、将来の不安が解消できたという方も多くいるようです。
遺産相続についても事前に準備すべき場合がありますので、詳しくは「相続記事一覧」をご覧ください。
終活のメリット3:持ち物の整理ができる
終活の一つに、持ち物の整理も含まれます。着なくなった衣類や溜めていた不用品などを整理しておくことで、これからの生活も快適になります。生活をコンパクトにして持ち物を把握することで、無駄なお金を使わないようになるので節約につながるのもメリットです。
終活のメリット4:今までの人生を振り返ることができる
終活で自分史や家系図を作り、自分とは何か、自分の生き方はどうだったのかを振り返る方もいます。また、エンディングノートを書き、心や物の整理をすることで、これまでの人生を振り返ることができるのです。それによって、やり残したことにチャレンジしたり、やりたかったことを始めたりするきっかけにもなります。
終活のメリット5:余生を前向きに過ごせる
残りの人生をどう過ごすか考えることも、終活の重要なポイント。終活を機に余生に向き合うことは、新たな目標や生きがいを見つけることにもつながります。もしかしたら、健康寿命が伸びる可能性もあるかもしれません。
終活で行う必要がある代表的なことを挙げると、エンディングノートを書く、お墓や葬儀の準備、遺言書を書く、生前整理などがあります。それぞれどのようにすればよいのか、解説していきましょう。
終活で必要なこと(1)エンディングノートを書く
エンディングノートとは、死に備えて、家族や大切な人に伝えたいことを書き留
めておくノートのことをいいます。 エンディングノートは、市販されているものや、WEB上で無料ダウンロードできるものもあります。もちろん、ご自身で1冊のノートを用意して書いてもいいでしょう。遺言書と異なり、法的な効力はありません。ここでは、エンディングノートにどんなことを書くのか、記載する項目をご紹介します。
エンディングノートの項目1:本人情報
まずはご自身の情報を記入しましょう。項目には次のようなものがあります。
- 名前
- 生年月日
- 血液型
- 住所
- 本籍地
- 住民票コード
- マイナンバーなど
これらの本人情報は、死亡後の、年金・保険、相続などの手続きに役立ちます。死後必要な手続きについては「【終活】保存版!家族の死後に必要な手続き一覧」でも解説しています。
エンディングノートの項目2:親戚、知人、友人の情報・連絡先
病気になり入院したとき、老人ホームに入ったとき、また、葬儀のときの希望や条件、それらを知らせたい人の名前や連絡先を記しておきましょう。一方、知らせたくない人のことも記載しておくといいでしょう。
エンディングノートの項目3:財産について
財産について書いておけば、死後の財産分与や相続手続きがスムーズになります。書いておきたいのは、次のようなことです。
- 預貯金(金融機関、支店名、種類、名義人)
- 保有不動産(所在、地番、建物番号)
- 有価証券(金融機関、支店名、名義人、銘柄)
- 生命保険などの保険加入状況(保険名、保険会社名、連絡先、契約者名、非保険者名、保険金受取人)
- クレジットカード情報
- 基礎年金番号
- 借入金やローンなど(借入先、借入額、借入残高、毎月の返済、返済方法)
エンディングノートの項目4:介護や医療について
介護や医療の希望についても、以下のように書いておきましょう。
- 病歴
- 現在服用している薬、常備薬など
- かかりつけの病院
- 希望する医療施設
- 延命治療、尊厳死の希望について(延命治療を希望する/しない、尊厳死の宣言書や事前指示書がある/ない)
- 臓器提供・献体の希望(臓器提供も提供も希望しない/臓器提供・献体・アイバンクなどに登録している)
- 介護を受けたい人と場所(自宅で家族に/自宅でプロの手で/介護施設/家族に任せる/その他)
- 介護の費用(預貯金/生命保険/家族に任せる/その他)
これらは、大きな病気にかかったときなどに有用な情報です。
エンディングノートの項目5:葬儀・お墓について
葬儀やお墓の希望を明記しておきます。葬儀については以下のようなことを記入しておくとよいでしょう。
- 葬儀の希望(してほしい、してほしくない)
- 宗派や宗教
- 戒名・法名・法号(すでにある/つけてほしい/いらない/家族に任せる/その他)
- どんな葬儀にしたいか
- どこで葬儀を行いたいか
- 遺影写真の指示
- 参列者リスト
- 喪主へのお願い
- 葬儀の費用(預貯金/生命保険/家族に任せる/その他)
お墓について記しておくべきことは以下となります。
- お墓を持っている場合(名称、所在地、連絡先)
- お墓を持っていない場合(希望の墓は寺院墓/霊園/永代供養墓/その他/家族に任せる)
- お墓の費用(預貯金、生命保険、家族に任せる、その他)
- 墓地の使用権者
- 墓地の継承者
- 墓地のお手入れの方法
- 住んでいる地域や家のお盆のやり方
※ただし、お金の情報などを書き留める場合は、エンディングノートの保管場所は信頼できる家族にのみわかるようにしておきましょう。
エンディングノートの書き方は「【終活】エンディングノートの書き方とおすすめ項目」でも詳しく解説しています。
終活で必要なこと(2)葬儀・お墓を決めておく
葬儀のやり方とお墓を決めておくことも重要です。葬儀やお墓選びのポイントをお伝えします。
葬儀・お墓の選び方1:宗教・宗派の確認
まず、自分の宗教や宗派を確認することから始めましょう。宗教や宗派によって、葬儀のやり方やお墓を立てる場所などが変わってくることもあります。檀家である場合は、どこのお寺に属するのかも確認しておくとよいでしょう。
葬儀・お墓の選び方2:誰が入るかによってお墓を選ぶ
先祖代々のお墓がある場合、自分がそこに入れるのかどうかを確認しておきましょう。入ることができない場合は、新たにお墓を建てる、納骨堂を購入するなどが必要となってきます。
新たにお墓を建てる場合、自分以外に誰が入るのかを考えて選ぶようにします。例えば、
- 夫婦のみなら一代限りのお墓である「夫婦墓」
- 子どもや孫も一緒のお墓にと考えるなら、「家族墓」
となります。
葬儀・お墓の選び方3:継承者にとって便利な場所を選ぶ
継承者がいる場合は、お参りや管理のしやすい場所を選ぶのがおすすめです。継承者がおらずお墓を持っている場合は、継承者を親戚の中から探したり、納骨堂に変えるという方法があります。お墓を持たない場合は、納骨堂で永代供養してもらったり、自然葬にするとよいでしょう。
葬儀・お墓の選び方4:費用で選ぶ
葬儀を行ったり、お墓を準備するには費用がかかります。葬儀はどのような形式にするのか、葬儀社や斎場はどこにするのかなどで費用が変わってきます。お墓購入時にかかる費用には、
- 墓石代
- 永代使用料
- 管理費
などがあります。いずれにせよ、予算内に収まるように考えていきましょう。
墓の価格については、「永代供養とは?普通のお墓と何が違うの?」でも解説しています。
葬儀・お墓の選び方5:葬儀の形式を決め、葬儀社を比較する
葬儀の形式には、
- 火葬のみの「直葬(火葬式)」
- 告別式と火葬のみの「一日葬」
- 近しい身内だけの「家族葬」
- 身内以外の人も呼ぶ「一般葬」
などがあります。どのような形式で葬儀をしたいかを決めて葬儀社を選んでおくとスムーズです。葬儀社を選ぶときは、事前相談会に足を運んだり、パンフレットを見たりして、いくつかの葬儀社を比較し、検討しましょう。詳しくは「葬儀費用の相場はいくら?内訳や備え方などを解説」でも説明をしています。
終活で必要なこと(3)遺言書を書く
遺言書は、財産分与について明確に示しておくものです。遺言書を書いておくことで、遺言者が自分の残した財産の帰属を決めておくことができます。それによって相続トラブルを回避したり、死後の手続きが滞りなく進められたりなど、残された人たちにとっ
て大いにメリットがあります。ここでは、法的効力のある遺言書の書き方をご紹介します。遺言書の書き方1:遺言書の種類を決める
遺言書には、
- 普通方式
- 特別方式
の2種類あります。一般的な遺言書は、「普通方式」です。死が迫っている場合や普通遺言ができない場所にいるときに「特別方式」の遺言を作成する場合があります。
「普通方式」には、
- 自筆証書遺言
- 公正証書遺言
- 秘密証書遺言
の3種類があります。
- 「自筆証書遺言」
遺言者が、遺言の全文・日付・氏名を自書し、捺印した遺言です。パソコンなどの印字文字は無効となるので注意しましょう。消しゴムなどで文字を消すことができないボールペンなどの筆記用具を使って書くようにします。遺言書の用紙は決まりがありませんので、どんな紙でも問題ありません。
死後は、その遺言書を発見した者が、家庭裁判所に遺言書を持参し、その遺言書を検認するための手続きをする必要があります
。デメリットとしては、不備があ ると無効になってしまう場合があることや、遺言書を発見した者によって破棄、隠ぺい、改ざん される可能性があることが挙げられます。- 「公正証書遺言」
遺言者の指示によって公証役場で法律の専門家である公証人が筆記
し、遺言者、公証人および2人以上の証人が内容を承認の上で署名、捺印した 遺言書を 公証役場に 保管する方式 。公正証書遺言は無 効に なることがなく、保管もしてくれるため、改ざんや紛失の心配もないのがメリッ トです。デメリットとしては、作成期間 や費用がかかることが挙げられま す。- 「秘密証書遺言」
遺言書は自分で作成し、それを公証役場で
保管してもらう方式です。遺言の内容を他の人に見られずに済むのがメリットです。ただし、遺言書は自分で書くので、不備があると無効になる場合もあります。自分にとって納得のいく方式の遺言書を残しておきましょう。
遺言書の書き方2:相続人・相続させる財産を特定して書く
相続人・相続させる財産を特定して書くことが重要です。相続人を特定するには、名前、続柄、生年月日を記します。相続させる財産の特定には、
- 土地:所在地、地番、地目、地籍
- 預貯金:金融機関名、支店名、預金の種類、口座番号
などを明確に記載しておきましょう。
遺言書の書き方3:書き間違えたら…
遺言書の訂正の仕方は、法律で定められています。
自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
(民法968条2項)
端的に言えば、次の通りです。
- 遺言書を書く人が訂正する
- 変更する場所を指示し、変更したことをを付記する
- 付記した部分に署名する
- 変更した場所に印を押す
どこか一つでも欠けてしまうと無効になってしまうので、心配な方は書き直した方がよいでしょう。
遺言書の書き方4:末尾に記すことは…
遺言書の末尾には、遺言書を作成した年月日、署名を明記します。さらに、実印を押印しておくとよいでしょう。
遺言書の書き方は「遺言書の書き方にルールはあるの?」でも解説しています。
終活で必要なこと(4)身の回りの生前整理をしておく
生前整理とは、生きているうちに身辺の整理を行っておくことをいいます。生前整理を行えば、物も心もすっきりしますし、万が一の際に残された家族の負担を軽くできます。ここでは、生前整理の方法について解説していきましょう。
生前整理の方法1:財産目録の作成
生前整理を始める前にやっておくべきこと、それは財産目録を作成することです。財産目録とは、保有している財産の一覧表のこと。これを作成しておけば、「必要だったものを処分してしまった!」というようなトラブルを回避できます。
財産目録の項目には、次のようなものがあります。
- 土地
- 建物
- 預金
- 有価証券
- 宝石や骨董品、車などの資産価値があるもの
- 借入金などの負債
生前整理の方法2:家族に残しておいてほしいものを聞く
自分にとって不要なものでも、家族にとっては必要なものもあります。そのようなものを誤って捨ててしまわないように、生前整理の前に、残しておいてほしいものをあらかじめ家族に聞いておくとよいでしょう。
もし、家族が遠くに住んでいてすぐに聞けない場合は、不用品の箱を作っておいて、そこに入れておき、来たときに中身を確認してもらって、欲しいものを持って行ってもらいましょう。
生前整理の方法3:物を捨てるときのルールを作る
生前整理は、捨てるか捨てないかで迷うことが多々あります。ですので、あらかじめ自分の「捨てる」ルールをつくっておくとスムーズです。
たとえば、「いる」「いらない」「迷ってる」の3つの箱を用意し、どんどん仕分けしていき、「迷ってる」の箱に入っているものは、1年間で使わなければ処分する、などです。
生前整理の方法4:思い出の品の整理方法
捨てにくいものには、手紙や写真など、思い出の品が挙げられます。それぞれの対処法をご紹介しておきます。
- 「写真」
厳選した写真で、1冊だけアルバムを作るとよいでしょう。ポイントは1冊だけにすることです。アルバムに入りきらない写真は処分します。別の方法としては、デジタルデータにして保存しておく方法もあります。
- 「手紙」
手紙や年賀状などは、直近の1枚だけを残して処分。処分する際は、シュレッダーや個人情報保護スタンプなどを活用し、個人情報が漏れないように注意してください。
- 「趣味の物」
趣味で作ったものや、楽器、スポーツ用具などはなかなか手放すことができません。しかし、趣味仲間に譲ったり、フリーマーケットなどを利用して大事にしてもらえる人を探すのがおすすめです。
生前整理の方法5:デジタルデータの整理
逝去した後に気付くこともあり、トラブルにつながりやすいのが「デジタル遺品」。
スマートフォンやパソコンの中に保存されているデータや、ネット銀行やネット証券などの口座、SNSやブログ、オンラインゲームや通販サイトのアカウント、利用料が発生する有料サイトや会員制サイトといった、デジタル機器やインターネット上にある情報です。
見られたくないデータは削除しておくと安心です。また、残しておきたい写真やデータはDVDに焼いておきましょう。会員登録しているサービスのIDやパスワードを残しておくと、解約手続きがしやすくなります。
終活は、自分の現在・過去・未来を見つめること
自分でできる終活として「エンディングノートを書く」「葬儀・墓選び」「遺言書の用意」「生前整理」4つのことを挙げました。
終活をすることで、自分の「今まで」を見つめること、そして、「これから」を考えることができます。早いうちから終活を始めておけば、自分自身も、家族も安心です。さあ、終活を始めましょう!
※この記事は2020年7月の記事を再編集をして掲載しています。
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