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- エンディングノートで終活準備。書き方と必須項目
「終活」は思い立ったときが始め時。まずはエンディングノート(終活ノート)を書いてみませんか? 万が一に備え、葬儀や介護など、自分の希望をまとめて書き留めておくことで、家族や周囲の人に思いを伝えるのに役立ちます。遺言書との違いもチェック!
もしものための、エンディングノート(終活ノート)
「終活」とは、自分の人生の最期に向き合い、身の回りのことを整理することで、最期までの時間を有意義に過ごす活動のこと。
最近は、エンディングノート(終活ノートと呼ばれることもあります)を使って葬儀やお墓の希望を生前に家族に伝える人が増えているようです。
重病になったら告知してほしい? どんなお葬式がいい? どこのお墓に入る?――こうした希望を一つ一つ書き込んでいくものが、エンディングノートです。
「誰でも突然の病気や事故で亡くなったり、意思疎通が難しい状態になる可能性があります。エンディングノートは、もしものときに自分の思いや希望を周囲に伝えるための大事な手段です」
そう話すのは、葬送や介護に関する情報提供や相談などを行っているNPO法人「ライフ・アンド・エンディングセンター(LEC)」理事長の須齋美智子さんです。
2004年にLECが会員向けに作った『もしもノート(R)』は、口コミなどで会員以外にも広まって、これまで25万冊(2018年)を売り上げる異例のロングセラーになっています。
エンディングノートが支持される理由について、須齋さんは「最期まで自分らしく生きたいと願う人たちが、ノートの必要性を強く感じているのでは」と話します。
エンディングノートを書くことで老後の不安解消にも
現在、『もしもノート(R)』の他にも、たくさんのエンディングノートが市販されています。
ノートの中身には多少違いがありますが、自分のプロフィールから始まって、親類や知人の連絡先、財産の状況、そして医療、介護、葬儀、お墓の希望と続き、最後に相続の希望や残された人へのメッセージなどを書けるようになっているのが一般的です。
「よくエンディングノートを買ってきて、机にしまい込んでいる人がいますが、それではお守りにもなりません(笑)。どの項目からでもいいので、書けるところから埋めていくことが大切です。一度に全部書かなくていいし、自分にとって必要のない項目は空白のままでいいんですよ」と須齋さん。
実際に書いた人からは、「漠然とした不安が消え、気持ちが晴れた」「頭の中が整理できた」「家族に対し責任を果たせてすっきりした」という声が寄せられているそうです。
エンディングノートに書くおすすめの項目をチェック!
エンディングノートには遺言書のような決まった形式はなく、「普通のノートに好きなように書いてもらって構わない」と言います。ただしその場合は、大事な項目が漏れないように注意しましょう。
エンディングノートを書くときにおすすめの項目は、次のようなものがあります。
もしものときの連絡先
- 知らせてほしい人(氏名、住所、続柄、連絡先)
- 知らせてほしくない人(氏名、住所、続柄、連絡先)
私の財産
- 不動産(所在、地番、建物番号)
- 預貯金(金融機関、支店名、種類、名義人)
- 株式/公社債(金融機関名、支店名、名義人、銘柄)
- 生命保険/年金保険(保険名、保険会社名、連絡先、契約者名、被保険者名、保険金受取人)
- 借入金/ローン(借入先、借入額、借入残高、毎月の返済、返済方法)
医療のこと
- 病名の告知(病名も余命も告知してほしい/病名だけ告知してほしい/告知しないでほしい)
- 延命治療,尊厳死(延命治療を希望する/希望しない、尊厳死の宣言書や事前指示書がある/ない)
- 臓器提供·献体(臓器提供も献体も希望しない/臓器提供、献体·アイバンクなどに登録している)
介護のこと
- 介護を受けたい人と場所(自宅で家族に/自宅でプロの手で/介護施設/家族に任せる/その他)
- 介護の費用(預貯金/生命保険/家族に任せる/その他)
葬儀のこと
- 葬儀の様式(仏式葬/密葬/家族葬/お別れ会/その他)
- 戒名(法名・法号など。すでにある/付けてほしい/いらない/家族に任せる/その他)
- 葬儀の費用(預貯金/生命保険/家族に任せる/その他)
お墓のこと
- お墓を持っている場合(名称、所在地、連絡先)
- お墓を持っていない場合(お墓を持ちたい→希望する形 /思わない/家族に任せる)
- お墓の費用(預貯金/生命保険/家族に任せる/その他)
遺言のこと
- 遺言書(遺言書の有無、作成日、遺言執行人、保管場所)
- 形見分けの希望(希望がある/家族に任せる)
※ライフ・アンド・エンディングセンター『もしもノート(R)』から主な記入項目を抜粋して作成
エンディングノートは夫婦や家族で話し合って書く
いざエンディングノートを書くとなると、自分のプロフィールなどは気楽に書けても、医療や葬儀の希望など重いテーマでは、なかなか筆が進まないかもしれません。
そこで「できれば夫婦や家族で話し合って書いてほしい」と須齋さんはアドバイスをします。
「終末期の医療や葬儀などの話は“縁起でもない”とされ、家族でも話題にしづらいもの。エンディングノートをきっかけに『今まで口にできなかったことをじっくり話し合えた』という声がよく聞かれます」
また、たとえ日頃から「葬儀はお金をかけず、簡素にしよう」と夫婦で話していても、紙に具体的に書いておかないと、他の家族との間で揉め事になる可能性も。
「ノートを書くことは、いさかいから家族を守ることにもつながる」と須齋さんは言います。
遺言書とエンディングノートの違いは?
ただ、エンディングノートに法的拘束力はありません。特に遺産相続について希望があれば、別に遺言書の作成が必要です。
今一度、遺言書とエンディングノートの違いを確認しておきましょう。
遺言書
- 法的な拘束力がある
- あくまで死後に効力を発揮する
- 作成方法や保管方法に決まりがある
- 内容は基本的に遺産相続のことが中心
エンディングノート
- 法的な拘束力はない
- 介護や医療の希望など生前から役立つ
- 作成方法や保管方法に决まりはなく自由
- 葬儀やお墓の希望、家族ヘのメッセージなど
- 幅広く自分の思いを書ける
一人暮らしの人こそ、エンディングノートが必要!
須齋さんは「一人暮らしが増えている今こそ、エンディングノートの重要性が高まっている」と話します。
「一人暮らしの人は、自分が判断できない状態になったとき、誰に判断を任せるかを指定しておくことがとても大事です。頼れる親戚がいない場合は、日頃から信頼している相手と話し合い、その人に判断をゆだねる旨を記入しておきましょう」
人生の締めくくりを考えながらノートを書くことは、自分の“今”を見つめ直すことにつながります。もしもに備え、今を安心して生きるために、まずはペンを動かしてみては?
■教えてくれた人
須齋美智子さん
すさい・みちこ 1933(昭和8)年生まれ。95年、夫のがん発病をきっかけに葬送について学び、勉強会を開始。2000年NPO法人ライフ・アンド・エンディングセンターを設立。理事長に就任。04年、『もしもノート(R)』刊行。現在も葬送や介護などの勉強会を開催。
取材・文=五十嵐香奈(ハルメク編集部) 撮影=石野明子(人物)
※この記事は、雑誌「いきいき(現ハルメク)」2013年3月号に掲載した記事を、再編集しています。
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