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- 終活Q&A!気になる「死後の手続き」を専門家が解説
周りの人には聞きづらい終活についての質問に、専門家が回答・解説します。「独り身・おひとりさまの死後の手続きは?」「SNSなどデジタル終活のやり方は?」「自分の死後、ペットの世話はどうする?」など、気になる疑問をまとめた終活ガイドです。
【葬儀・お墓編】おひとりさまの終活、お墓選び
▼答えてくれる人
田中哲平さん
株式会社鎌倉新書「いいお墓」事業部長
Q.身寄りのない独り身です。死後の手続きはどうする?
A.死後事務委任契約や終活支援サービスの検討を。
終活とは、死後に必要になる手続きや片付けを行い、あらかじめ用意しておくことです。
高齢者の孤独死が社会問題となっている現代。生涯独身を通した、配偶者に先立たれた、離婚したなど、さまざまな理由から「おひとりさま」で終活をする人も増えています。
「身寄りのない独り身の人にとって、葬儀、埋葬の手配、親しい人への連絡から、電気・ガス等の停止、生前の医療費の支払いに至るまでの死後事務を誰に託せばいいか悩ましいものです」と田中哲平さんは言います。
その場合、司法書士などと「死後事務委任契約」を結んでおくと安心です。費用は50万円程度からと言われています。
鎌倉新書が提供する「いい生前契約」のように、死後事務に加え、直葬(通夜や告別式を行わない葬儀)や納骨などがセットになった終活サービスも登場しています。
いずれにしても、死後、葬儀やお墓をどうするかを早めに考えておくことが、老後の安心につながります。
Q.義実家の墓に入りたくない!自分のお墓は持てる?
A.形態もさまざま。お墓選びの選択肢が増えています。
実家の墓を墓じまいし、自分たちの代から新たにお墓を契約する人も増えています。
最近では、納骨壇や納骨堂といった室内墓、墓石の代わりに樹木を墓標とする樹木葬、海への散骨などの他、リゾート地にある墓地に埋葬するリゾート葬などもあります。
「リゾート葬は、旅行も兼ねて3世代でお墓参りに行きたいという要望に応えたスタイルです」と田中さん。また、女性専用の納骨堂などもできていて、夫婦でお墓に入らず、“墓友(はかとも)”と一緒に入ることを選択する人もいるそうです。
ただし、新たにお墓の契約をしたら、必ず身内の方に知らせることをお忘れなく!
「新しい墓の存在を遺族が知らないと、一般的なルールにしたがって義実家の墓に埋葬されることになりかねません」
【デジタル終活編】スマホの中身・SNSの情報の処理
▼答えてくれる人
柴田和枝さん
一般社団法人パソコープ 理事、終活カウンセラー
Q.自分の死後、スマホの中身やSNSの情報の処理は?
A.スマホのロック解除方法・パスワードの情報共有を。
「写真や住所録」などスマホに残ったデータや、Facebook(フェイスブック)などのSNSにアップした情報、LINE(ライン)などのコミュニケーションツールは個人情報の宝庫です。
最近は、故人が遺したデジタル機器やインターネット上に残したデータのことを「デジタル遺品」と呼ぶそう。SNSの普及により、デジタル遺品によるトラブルも増えています。
「スマホの中身やネット上の情報は、死後もそのまま残ります。情報流出を避けるため、生前に自分で整理しておくか、遺族が整理できるよう引き継いでおくべき」と柴田和枝さんは言います。
遺族がスマホを開けるよう「スマホのロックの解除方法(パスコードなど)」を伝えておき、併せて「SNSやアプリなどのIDとパスワード」もわかるようにしておくこと。
そうすれば、遺族が故人のSNSやアプリへログインして登録情報などを削除できます。ログインできないと、運営会社に問い合わせるなど遺族の負担が増えてしまいます。
SNS時代は必須とも言える「デジタル終活」。お墓や葬儀の希望などとともに、エンディングノートなどにまとめておくと安心です。
【ペット編】ペットと一緒に入れるお墓やペット信託も!
▼答えてくれる人
服部薫さん
行政書士、一般社団法人ファミリーアニマル支援協会代表理事
Q.ペットと一緒に入れるお墓はある?
A.対応施設は増加傾向。「埋葬形式」の違いに注意!
最近、ペットも家族と考える風潮の高まりとともに、ペットと一緒の埋葬に対応する施設(ペット共葬墓)が増えてきました。
ペットのお墓も、基本的には人間のお墓と同様、一般墓や納骨堂、樹木葬などさまざまな種類があります。
「気になる施設へは見学に行き、実際の様子を確認しましょう。特に『埋葬形式』の違いは注意。『一緒に入れる』とうたっていても、実は『同じ区画内に埋葬される』だけで、納骨は人間とペットで別々の場所という場合もあります」と服部薫さん。
また、動物と一緒のお墓に入ることにはさまざまな意見があるため、事前に家族と話し合うのがおすすめです。
Q.飼い主の死後、ペットはどうなるの?
A.ペットの引き取りを委任する「ペット信託」の検討を。
対策の一つには、遺言書に「財産の一部を贈与する代わりに、ペットの飼育をお願いします」と書き残す「負担付遺贈」があります。
「しかし近年、飼い主が病気や骨折等で介護が必要になり、亡くなる前から飼育困難になるなど、遺言書でカバーできない事例も増えています」と服部さんは言います。
そこで今広がっているのが、「ペット信託」という方法。これは飼い主が、行政書士や弁護士などを窓口に、身内など「信頼できる第三者」と結ぶ契約です。
飼い主が死亡、または事前に決めた「飼育できない状態」(要介護や入院など)になったら、その「第三者」が、飼い主から預かっておいた飼育費を「ペットの引き取り先」に支払うというもの。
これなら、飼い主がペットを飼えなくなった時点で有効になり、飼育費が正しく使われているか行政書士や弁護士にチェックをしてもらうこともでき、より安心です。
そもそも「信託契約をする相手や、ペットの引き取り先に当てがない」という方も多く、対応するサービスも増えています。まずは、ペット信託に詳しい団体や行政書士等に相談してみましょう。
【服の処分編】捨てるよりも寄付して社会貢献に役立てる
▼答えてくれる人
今野優子さん
古着deワクチン 広報
Q.服を捨てるのはもったいない!上手な処分方法は?
A.あなたの古着が「社会に役立つ」片付け方があります。
終活の一つとして服を減らしたいけれど、ただ捨てるのはもったいない。そんな人におすすめのサービスが、クローゼットの服を寄付して社会貢献できる「古着deワクチン」です。
「古着の回収キットを1個買うごとに、ラオスなど開発途上国の子ども5人にポリオワクチンが送られる仕組みです」と古着deワクチンの今野優子さん。
使い方は次の通りです。
- 古着deワクチンを購入する。
- 届いた専用回収袋に服を詰める。
- 着払いで発送する。
ワクチンは「認定NPO法人 世界の子どもにワクチンを 日本委員会(JCV)」を通じて届けられ、服は古着として開発途上国で再利用されます。
また、キットの封入作業は国内の福祉作業所で行われ、働く人の賃金アップにもなります。
「サービス開始から2020年までに、累計で235万人分以上のポリオワクチンが寄付され、約1850万着の衣類が再利用されています」と今野さん。
あなたが終活として手放す服が、発展途上国の子どもたちの命を救い、大人たちの雇用を守るかもしれません。
終活は、これからの人生を前向きに生きるための作業でもあります。死後の話=暗い話題だと思っている人も、「いいことをした」と気持ちよく洋服を手放す。まずはそこから、終活を始めてみませんか?
取材・文=三橋桃子、井口桂介、新井理紗(ともにハルメク編集部) イラスト=伊藤ハムスター
※この記事は雑誌「ハルメク」2019年9月号に掲載したものを再編集しています。
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特別版「ハルメク 古着でワクチン」は「古着deワクチン」を運営する日本リユースシステム株式会社と協力し、生まれたサービスです。通常一口につき、ポリオワクチン5人分の寄付となりますが「ハルメク 古着でワクチン」なら、キットを1点購入いただくと、開発途上国の20人の子どもたちにワクチンを寄付できます。衣替えのタイミングでぜひご利用ください。
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