人生100年時代の「50代からの婚活」

【3】多くの人が知らない「婚活ブーム」の真実

公開日:2024.10.30

50代婚活連載3回目は、「婚活」がブームになった理由をご紹介します。この先の人生、若い頃とは違う、“楽しく生きるため”の「結婚・婚活」について考えてみませんか?

「婚活」はなぜブームとなったのか?

「婚活」という言葉が生まれ話題になったのは2008年のこと。「婚活」が必要となった“さまざまな社会背景”とは何でしょうか。これを読めば「婚活」の本当の意味が理解でき、ネガティブな印象を抱く人もいなくなるでしょう。

【要因1】長く続く景気の低迷

一つは日本の景気がなかなか良くならないことです。1991年のバブル崩壊以降、会社員=“終身雇用で一生安泰”という保証はなくなり、給料はなかなか上がりません。老若男女問わず、一人で生きていくことが大変な世の中になってきました。

女性は将来の出産・育児、成人するまでの子育てのためにも、より安定した収入を得る可能性がある男性を探す必要が出てきました。

男性は不安定な世の中で、「支えてくれる女性と結婚したい」と一層強く思うようになりました。これは心の支えということもありますが、「自分に何かあったとき、収入が途絶えないよう働いてくれる相手」という意図もあります。

現実、2000年あたりには共稼ぎ世帯が50%を超え、今に至るまで増加し続けています。これは1人の収入で暮らしていくのが厳しい時代となったことを裏づけているでしょう。

さらに補足すると、バブル崩壊のあおりを受けて1996年から数年続いた就職氷河期に、思うような就職ができなかった世代が、結婚適齢期になったのが2000年代後半――。まさに「婚活」ブームと合致します。

つまり、男女ともに、安定した仕事、収入、生活を一人で続けることに不安を抱いている世代だからこそ、自分の生活を補填するような相手を探す必要が出てきたのです。

世の中の状況が不安定になるほど、結婚したいと思う人は増加します。2011年の東日本大震災、2020年の新型コロナウイルスによるパンデミックによって、婚活する人はますます増加したという話は聞いたことがあると思いますが、これぞ、まさにそのことを裏づけているといっていいでしょう。

【要因2】「絶対結婚しなくてはいけない」理由がなくなった

男性の側から話した方がわかりやすいかもしれません。

昭和の時代、男性が働いて収入を得、女性は家庭で家事や育児をするのが、当たり前のように考えられていました。ある意味、役割を分業していたので結婚で完成される家庭の形でした。しかし、今の時代は違います。料理ができなくても外食やコンビニ、などで賄える。洗濯も洗濯機に放り込めばいい。最近ではお掃除もロボットがしてくれる。

収入も上がらず、少ない収入で家族を持つプレッシャーを抱えて生きることを考えたら、とりあえず
一人でいい……。こういう男性が増えてきたのも、社会情勢の変化によるものと考えられます。

では女性はどうでしょう。

昭和の時代、女性は男性と同等の収入を得ることが多くの場合難しく、また、「女性は家庭に入るもの」との考えがあって、「結婚して男性を頼って生活する」のが当たり前のようになっていました。

しかし、1985年に男女雇用機会均等法が施行され、女性が社会進出できるようになり、一人でも生活できるような収入を得られるようになったことで、仕事を生きがいにするという生き方を選ぶ女性も増加。必ずしも結婚する必要がなくなったのです。

結婚を望まない男女が増えたことは、結婚したい人にとっては、候補者が減ったということ。昔は、「結婚はするものだ」という共通認識が強かったため、妙齢の独身異性はすべて結婚相手候補と考えることができました。しかし、日本の人口は減り。結婚したくない異性が増えているということは、ターゲットとなる人が減って結婚の競争率は高くなっているのです。

つまり、確実に欲しいものを手に入れるなら、いつか来るかもしれない運命の出会いを待っているだけではダメなので、結婚願望がある人はすべて、「婚活」が必要となったというわけ。

【要因3】結婚のお世話をする人が減った

昔は、妙齢で独身のままだと、親や親戚、隣人や知人、会社の上司などが、異性を紹介するような人間関係がありました。結婚を目的に人と人をつなぐ――このお膳立てにより多くの人が結婚に至っていたのです。

しかし、時代が変わり、よかれとお世話してくれる人もいなくなってしまいました。 

こうして、結婚したいのであれば自分で相手を探すという行動をしなくてはいけなくなったのです。そのために、お金を払ってまでも、独身の異性と出会うためのさまざまなサービスが誕生。

だから「婚活」は、結婚相手候補と出会うための必要な行動と言っても過言ではありません。

「婚活」も「就活」も同じ。恥ずかしいことじゃない!

「婚活していることを、人に知られたくない」という女性は多いかもしれません。しかし、もはや「婚活」は社会の変化によって自然と必要となった行動の一つ。全然恥ずかしがることではありません。

こう考えてみてください。

今では仕事を探すときに「就活」するのは当たり前ですが、バブル期だったら、企業の方から「ぜひ、うちで働いてください」と声がかかったり自分から必死になって仕事を探さなくても就職ができました。今は、仕事を探すとなるとひと苦労。「就活」をしなくては就職ができません。

結婚も同じこと。特に何もしていなくてもたいていの人は結婚することができましたが、今は違います。

「婚活」は、自分の人生を、自分のチカラで掴もうとする、ポジティブでかっこいい行動といえます。人生100年時代、これから先はまだまだ長いのに、この年だからと諦めている人より何百倍もステキなことなのです!

以前取材した、高い成婚率を上げているカリスマ仲人や結婚アドバイザーは、口々に言っていました。「婚活している」となるべく多くの人に公言した方がいいと……。それは、まわりの人から紹介してもらえる可能性が高まるからだそうです。

「婚活している」と自分で言い続けることで、ステキな人でいたいという思いが言動に表れてくるでしょう。

「婚活」に年齢制限はない――。むしろ、これからの人生を謳歌したいという独身のアラフィフ世代が、今こそ“すべき”ライフワークと言ってもいいかもしれません。

※次回4回目は、「代表的な婚活の手段」について、解説していきます。

取材協力

婚活初心者専門コンサルタント・三島光世さん

婚活業界歴19年。20代・30代向けの結婚相談所「ganmi(眼深)」と50歳以上の結婚相談所「とわ婚」(https://towakon.net/)を展開する株式会社ヒカルヨの代表をつとめる。メディア出演多数。著書に『「普通」の結婚がなぜできないの?』(WAVE出版)、『婚活は「がんばらないほうが」うまくいく』(秀和システム)がある。

清葉アキコ

雑誌編集部に在職していた20年間、「恋愛」「婚活」など女性の生き方に関する企画を多く担当。編集者として25年以上、年間1000人以上の声を聞いてきた取材・分析力や多くの専門家への取材で得た人脈や知識を活かし、恋愛・婚活ジャーナリスト/コラムにストとして独立。女性たちのインサイトに訴えかける恋愛関連記事の制作・アドバイスや、自身の「婚活」経験をもとにした婚活コラムの執筆などを行っている。

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