2024年11月21日

婚活アドバイザー立花えりこが解説!

【55歳からの婚活コラム1】もし夫を亡くしたら

漫画「ねこかわ結婚相談所」で人気の婚活アドバイザー立花えりこの「55歳からの婚活コラム」。1回目は死別後の婚活で、再婚の葛藤や事実婚の現状を解説し、新たな幸せを見つけるヒントを紹介します。

 

パートナーを失った喪失感と婚活の第一歩

 

【ねこかわ結婚相談所 2】オトナ婚活で夫死別の寂しさと決別!の漫画でも取り上げましたが、長年夫婦生活を共にした連れ合いを亡くした時の喪失感は計り知れません。若い頃の死別でしたら、仕事や子育てにがむしゃらになり、結果として「やるべきこと」に救われたという方も多いと聞きます。

でも子どもがいなくて、二人きりで仲よく暮らしてきた夫婦や、専業主婦だった女性、定年退職してこれから妻とのんびりとセカンドライフをと考えていた男性など、パートナーありきの世界で生きてきた人の死別のショックは相当なものです。

突然死なのか、闘病の末の病死なのか、亡くなり方によるところもありますが、心にポッカリと穴が空いて今までできていたことができなくなる人や鬱状態になってしまう人もいるくらいです。

そんな方々にとって、結婚相談所の門を叩くのはとても高いハードルなんです。最初は、マッチングアプリやお見合いパーティーなど、一番手軽そうなものから始める方も多いのではないでしょうか。

再婚への葛藤と「未亡人」という言葉

そして、日本には、「未亡人」という昔ながらの言葉があります。現代では、この言葉も女性蔑視の差別表現だという声もありますが、今の60代以上の方には、いまだにこのような昔の感覚が無意識に残っていて、再婚することに後ろめたさがあるようにも思います。

「亡くなった人に申し訳ない」と、中には不倫をしているような感覚になる人もいるようです。昭和世代特有の女性の奥ゆかしさといえばそうなのですが、それもこれも、まわりに冷ややかな反応をする人が少なからずいるからです。

死別しても亡くなった夫の親戚付き合いや交友関係は、一気になくなるものでもありません。「〇〇さんの奥さん、再婚したんだね」と知られたくない。女性にとっては、世間体を気にして、再婚して苗字が変わることに抵抗がある方もいます。

夫婦別姓が熟年婚活にもたらす可能性

こういう面でも、日本の婚姻制度が「夫婦別性」を選択できるようになれば、もっと熟年結婚も増えるんじゃないか、世間体を気にしてしまう方の入籍のハードルも下がるのではないかと感じています。入籍しても苗字が変わらなければ、女性にとっては山ほどある面倒な手続きを省くこともできます。

過去に、苗字が同じ60代カップルの成婚をまとめたことがあり、その時は「クレジットカードなど名義変更の手間がなくて、随分ラッキーなおまけでした」と大変喜ばれました。

まわりがとやかくいうこと自体がナンセンスだと思いますが、長年、家族を優先してきた女性は、自分のために生きることに戸惑ってしまう方が多いです。それでも、このまま独りで本当にいいのか、後悔しないのかという焦りがあります。

そんな時に「自分の幸せなんだから、これからはもっと自分優先で考えていいんですよ」と背中を押すのも婚活アドバイザーの私の仕事です。

オトナ婚活で注目される「事実婚」という選択肢

死別を経験して、結婚相談所を訪れるシニアの方は、「結婚したい」という気持ちよりも、「寂しい。誰かそばにいてほしい」という思いが先行しているので、入籍や同居のことまで深く考えていないことが多いです。

最終的にどうなりたいかが自分自身でもよくわからない状態なので、そんな気持ちに「事実婚」というワードが刺さるのだろうと思っています。

経済的自立と婚活のタイミング

ただし、結婚相談所に入会する際には、「事実婚」を希望していてもいいご縁があると結局は再婚ルートをたどるカップルが大半です。今回のエピソードのお二人のようにお互いの自宅を行ったり来たりしていくうちにやがては一緒に暮らすようになり、その先に入籍となる流れになることもあります。

そして事実婚を選択できる女性には、一定の条件もあります。ただ「気楽そう」、「お別れしちゃうかもしれないから、入籍はしたくない」という浅い考えではなく、女性が経済的に自立していないと、事実婚はおすすめしません。

死別した人は、どれくらいで婚活をスタートするのかについては、死別経験にもフェーズがあり、動き出せる時期には個人差があります。一年未満で婚活をスタートする人もいれば、気持ちを段階的に整理(ショック→悲しみ→怒り→寂しさ→思い出)してから婚活を始める人もいます。

いずれにせよ、自分のことを気にかけてくれる存在がいる、このありがたさは死別された誰もが特に感じることです。

次回は「婚活のプロが教える・婚活に客観的視点が必要な理由」について紹介します。

※本記事は、実業之日本社「ねこかわ結婚相談所 ひとりよりふたりでいきたい」の内容を抜粋し紹介していきます。

著者=立花えりこ、漫画=ねこまき(ミューズワーク)

【書籍情報】ねこかわ結婚相談所

ねこかわ結婚相談所 ひとりよりふたりでいきたい 」(実業之日本社)

銀座にある「ねこかわ結婚相談所」の⼊会資格は、55歳以上の男女であること。これから先の⼈⽣を新たなパートナーといきたいと思う人々の、心温まるストーリーをお届けします。著者:立花 えりこ、漫画:ねこまき(ミューズワーク)。

 

立花えりこ
立花えりこ

㈱Bゼルム代表取締役。 業界最年少で婚活アドバイザーとなり20年。 20代~シニア世代まで様々な婚活情報をブログ・YouTubeにて発信中。 昨今はシニア婚活有識者として話題。これまでに、2800組以上の成婚に携わった経験を持つ。

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