人と会うのが憂うつ…年末年始に多い不定愁訴の原因とは?

人と会うのが憂うつ…年末年始に多い不定愁訴の原因とは?

公開日:2025年12月23日

人と会うのが憂うつ…年末年始に多い不定愁訴の原因とは?

人と会う機会が増える年末年始は楽しみが多い反面、心や体の調子が乱れやすい時期でもあります。説明のつかないだるさや気分の落ち込みがあるなら、それは不定愁訴のサインかも。「なんとなくつらい」不定愁訴について、医師の石原新菜さん監修で解説します。

石原新菜
監修者
石原新菜
監修者 石原新菜 イシハラクリニック副院長

原因が特定できない不定愁訴

原因が特定できない不定愁訴
 jessie / PIXTA

人と会う機会が増える年末年始。再会を楽しみにしている人もいるのに、体がだるかったり、日が近づくと何だか憂うつになったりして、会うのが億劫になることはありませんか? 

健康診断などの検査で異常がないのにそうした不調が続くなら、それは不定愁訴かもしれません。

不定愁訴とは、原因となる病気が特定できないのに、さまざまな不調に悩まされる状態を指す医療用語です。症状のあらわれ方は多岐にわたりますが、比較的多くみられるのは次のような症状です。

<不定愁訴で多く見られる症状>

  • 肩こり
  • 腰痛
  • 頭痛
  • めまい
  • 体のだるさ
  • のぼせ
  • しびれ
  • 気分の落ち込み
  • 不安感
  • イライラする

不定愁訴は、一つの症状が長く続く人や、いくつもの症状が併発する人など、症状の出方に個人差があります。

また、症状があらわれるタイミングや持続する期間なども人によって違うため、病院を受診しても医師に相談しにくい、伝えづらいと悩む人が多くいます。

実際に心身の不調を感じているのに、「病気じゃないから…」と我慢してしまいがちなのも、不定愁訴を感じている人の特徴です。

自律神経失調症や更年期障害とは似ているようで違う

自律神経失調症や更年期障害とは似ているようで違う
Luce / PIXTA

原因が特定できない体の痛みやだるさ、不安感といった不定愁訴の症状は、自律神経失調症や更年期障害と混同されやすいところがあります。

しかし、不定愁訴とこれらの症状は、似ているようで違います。

自律神経失調症は、交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで起こる病気。血液検査や心電図検査、超音波検査などで診断することができます。

一方の更年期障害は、女性ホルモンの低下によって身体的・精神的な症状があらわれることです。体の器官の異常による症状ではない点が不定愁訴と似ていますが、更年期障害かどうかはホルモン検査(血液検査)などで診断することができます。

これらの検査で特に異常が 認められなかったのに不調が続く…。そうした場合に、不定愁訴の可能性があると考えられます。

不定愁訴と考えられる3つの要因

不定愁訴の考えられる要因3つ
アン・デオール / PIXTA

原因が特定できない不定愁訴ですが、考えられる要因はあります。 

1. 自律神経の乱れ
内臓の働きや血流、代謝、体温調節など、生命活動のほとんどを調整している自律神経は、体と心のバランスを整える働きを担っています。

自律神経には、活動を促す「交感神経」と、心身をリラックスさせる「副交感神経」があり、生活習慣やホルモンバランスの乱れ、ストレス、心の状態などによって、この2つのバランスが崩れるとさまざまな不調が起こりやすくなります。

現代社会では、多くの人が自律神経の乱れにつながる何かしらのストレスを抱えているといわれるので、それが不定愁訴につながっている可能性があります。

また、何かと慌ただしい年末年始は、特に疲労やストレスが溜まりやすいため、不定愁訴が起こりやすいと考えられます。

2.ホルモンバランスの乱れ

不定愁訴の考えられる要因3つ
タカス / PIXTA

不定愁訴を訴えるのは、男性に比べて女性の方が多い傾向にあります。

特にPMS(月経前症候群)や更年期の人は、ホルモンバランスの乱れから自律神経のバランスも崩れやすく、不定愁訴を起こしやすいと言われています。

3.鉄欠乏(鉄不足)
鉄は体の中にもっとも多く含まれるミネラルで、赤血球の材料になり、全身に酸素を運ぶのを助けます。また、骨や皮膚、粘膜の代謝、神経伝達物質の生成にも関わっています。

このように、生きていくのに必要なさまざまな機能を補助している鉄が不足した状態になると、全身にわたってあらゆる症状があらわれるようになります。

特に更年期は、ホルモンバランスの変化から月経不順や出血量の増加が見られることがあり、これが鉄欠乏の原因になることがあります。

また、外食が続く時期は、食事から摂取する鉄が不足することがあるので注意が必要です。

原因が特定できない不定愁訴ですが、つらい症状を少しでも和らげるために、日常生活の中でできることはあります。そこで後編では、不調を和らげる生活習慣の工夫や、食事について解説していきます。

■取材協力:山田養蜂場 健康科学研究所
 

■監修者プロフィール:石原新菜(いしはら・にいな)さん

石原新菜(いしはら・にいな)さん

イシハラクリニック副院長。秋田栄養短期大学客員教授。ヒポクラティック・サナトリウム副施設長、健康ソムリエ理事、フェムテック・ジャパン理事。主に漢方医学、自然療法、食事療法により、種々の病気の治療にあたっている。クリニックでの診察の他、講演、テレビ、ラジオ、執筆活動と幅広く活躍中。著書に『病気にならない蒸し生姜健康法』『やせる 不調が消える 読む冷えとり』等70冊を数える。

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