リボンスター / PIXTA(ピクスタ)

2024年10月23日

人生100年時代の「50代からの婚活」1

【1】「50代婚活」は新しいライフスタイルの一つ

人生100年時代「50歳は人生後半戦スタート地点」。この先、一緒に生きる相手がいたら?若い頃とは違う楽しく生きるための「結婚」を考えてみませんか?50代婚活連載初回は、アラフィフ世代にあえて「結婚・婚活」をおすすめしたい理由をお話しします。

「婚活」は若い女性やモテない人がするものではない!

「婚活」は若い女性やモテない人がするものではない!
miho / PIXTA(ピクスタ)

「アラフィフで婚活だなんて恥ずかしい……」そう思われた方、いませんか?

はい、その考え、古すぎます。

「婚活」という言葉は2008年(平成16年)頃に生まれて広まりましたが、お見合いというシステムや結婚相談所のようなものは昔からありました。ただ、それらは、お家柄がよろしい方々はともかく、「日常で結婚相手を見つけられない人がするもの」という印象が強かったのは事実。

時代は平成になりバブルは崩壊。低収入を理由に結婚を諦める男性が増加。そんな中で女性は、より良い条件の男性と結婚するために積極的にお相手探しをする活動…いわゆる「婚活」を始めたのです。

若い一般女性が「婚活」をするというのが目新しく、社会現象にもなりました。だから、「婚活は若い世代がするもの」というイメージがあるのでしょう。

しかし、今の時代、世代・性別問わず「婚活」はもっと一般的になっています。なぜなら、結婚相手を自力で探すことが難しい時代になっているからです。

長引く不況で給料がなかなか上がらず、バブル期のように合コン三昧の場はないし、コロナ禍を経て知り合いを紹介し合うということも少なくなり、出会いの機会はさらに減ってしまいました。

もはや自ら行動して「婚活」しなければ結婚できない時代……。仕事を探す「就活(就職活動)」と同じ、もはや一般的なことなのです。

アラフィフ世代だからこそ「結婚」。そのための「婚活」

アラフィフ世代だからこそ「結婚」。そのための「婚活」
 ナオ / PIXTA(ピクスタ)

結婚相談所には、ここ10年くらいで50~60代の登録者もかなり見かけるようになりました。中年層、高年層専門の結婚相談所も少しずつ増えています。

表立って「婚活をしています!」とは言わないにせよ、結婚をしたがっている50代以上は、男性も女性も、たくさんいるというわけです。

実際、筆者の周りでも、50代で結婚を決めた方がいます。

ある大手企業で次期役員とも噂されていた女性は、50代半ばで突然婚活を始め、半年で結婚を決めました。今は結婚を機に退社し、在職中に培ったものをベースにフリーランスとして自分のペースで働いています。
     
社会的地位も収入も手に入れたけれど、手に入れられていなかったのは、自分のために使える時間と、生活を共にする相手だった……。そのことに気付き、人生の後半戦はこれまでできなかったことをしようと決意したのだそう。

また、通販関連企業に勤める50代前半の女性は、30歳になる直前に結婚しましたが、夫の浮気が理由で離婚し、シングルマザーとして生きてきました。

自身が50歳という節目に、子どもが成人し残りの人生一人になったとき、どんな暮らしをするのだろうか?と考えたとき、たわいのない話をしながら食事をしたり出掛けたりする相手が欲しいと思うようになった、といいます。

その後、51歳で婚活を始め、近所に住むシングルファーザーと巡り合い、めでたく結婚するに至ったんだとか。

アラフィフ世代の「結婚」は、若い世代とは別物 

花咲かずなり / PIXTA(ピクスタ)

ひと昔前なら、20代で結婚して子を産み育て、40~50代で子育ては終わり、60歳で定年退職したら、あとは趣味などしながらゆったり暮らしているうちに寿命がくる……そんな生活が当たり前でした。

しかし人生100年時代の今、むしろ仕事や家族に縛られない、自分らしく生きることができる後半戦の方が重要視されています。

20代・30代向けの結婚相談所「ganmi(眼深)」と、50歳以上の結婚相談所「とわ婚」の代表をされている婚活アドバイザー・三島光世さんは、こう言います。

「ひとことで結婚と言っても、若い世代とアラフィフ世代では目的がまったく異なります。若い世代は、子どもを作って家庭を築くことが優先されます。だから女性はタイムリミットがあり、子育てができる環境が整えられて優秀な遺伝子を持つ相手を優先して探していきます。男性も同様、なるべく若くて元気な女性に子どもを産んでもらいたいし、あわよくば、かわいい子が生まれそうな相手と結婚したいと思っています。

しかし、アラフィフ世代の場合、出産というタイムリミットや子育てに必要な環境や相手の条件などを考える必要がないため、『自分が人生の後半戦をどう生きたいか』という観点だけで決めちゃっていいのです。

生活を維持するために、仕事をしている人と結婚したいというなら、それもあり。だって、将来の自分の人生に必要な要素だから。退職後など一緒にいる時間が長くなることを考えて居心地のよさを重視したいなら、とにかく性格が合う人を第一優先にして選べばいい」(三島さん)

死ぬ前に「いい人生だった」と思えるかは自分次第

死ぬ前に「いい人生だった」と思えるかは自分次第
 C-geo / PIXTA(ピクスタ)

三島さん自身、子どもを産むという目的ではない結婚をしたそう。

「年齢を重ねていけば、肉親も友人が少なくなり会社も退職します。そのとき、毎日何気ない話をする相手がいると孤立しないし、唯一の家族がいたら支え合える。誰かのために何かをすることは生きがいにもなる。そんな時間を思い出にできれば、どちらかが先にいなくなっても、いい人生だったと思えるような気がするのです」(三島さん)

「いい人生だった」と思えるかどうかは人生の後半戦の過ごし方次第。「今さら結婚なんて……」と頭ごなしに決めつけず、50代に差し掛かってから自分が理想とする人生に「結婚」という選択肢を作ってもいいのかもしれません。

かつて結婚で失敗した人も、若い頃と今では結婚の価値観は変わっていると思います。さまざまなものに縛られない大人ならではの相手選びができる今こそ、「結婚」をもう一度考えてみてはいかがでしょうか?

※次回2回目は、「今は出会えない時代だからこそ、婚活が必要」というテーマで解説していきます。

取材協力

婚活初心者専門コンサルタント・三島光世さん
婚活業界歴19年。20代・30代向けの結婚相談所「ganmi(眼深)」と50歳以上の結婚相談所「とわ婚」(https://towakon.net/)を展開する株式会社ヒカルヨの代表をつとめる。メディア出演多数。著書に『「普通」の結婚がなぜできないの?』(WAVE出版)、『婚活は「がんばらないほうが」うまくいく』(秀和システム)がある。

清葉アキコ
清葉アキコ

雑誌編集部に在職していた20年間、「恋愛」「婚活」など女性の生き方に関する企画を多く担当。編集者として25年以上、年間1000人以上の声を聞いてきた取材・分析力や多くの専門家への取材で得た人脈や知識を活かし、恋愛・婚活ジャーナリスト/コラムニストとして独立。女性たちのインサイトに訴えかける恋愛関連記事の制作・アドバイスや、自身の「婚活」経験をもとにした婚活コラムの執筆などを行っている。

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