頭がぼんやりするのは夏バテじゃなくて脳疲労?

放っておくと怖い、夏に起こりやすい脳のオーバーヒートの防ぎ方

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放っておくと怖い、夏に増える脳のオーバーヒートの防ぎ方

連日の暑さの中で、頭がぼーっとしたり、ミスが増えたり…。もしかしたらそれは、夏バテではなく脳のオーバーヒートのサインかもしれません。夏は脳にとっても過酷な季節。夏の脳疲労の影響や対策について、医学博士の福島忍さんに伺います。

福島忍

監修者

福島忍

医学博士

夏は「脳のオーバーヒート」にご用心

Luce / PIXTA

真夏の暑さの中で、頭がぼーっとしたり、集中力が続かなかったりすることはありませんか?ひょっとしたらそれは、脳がオーバーヒートしているのかもしれません。

脳のオーバーヒート(脳疲労)とは、ストレスや情報過多などによって自律神経に負担がかかり、脳に熱がこもって機能が低下した状態を指します。とりわけ夏は、うだるような暑さや、冷房が効いた室内との温度差に対応するために自律神経が酷使されて、脳の温度が上がりやすい時期です。

医学博士の福島さんは、「実は体の中でもっとも熱しやすいのが脳。そして、もっとも冷めにくいのも脳なのです」と話します。

「脳は自律神経を通して、体内のすべての器官の動きを24時間、365日コントロールしています。その分、負荷が大きくて発熱しやすいのですが、頭蓋骨の中で守られているため、外気にさらして冷やすことができません」(福島さん)

また、夏の暑さに加えて、スマホやパソコンが欠かせない現代は常に情報過多で、脳がキャパシティオーバーになりがち。デジタル機器の長時間使用で交感神経が優位な状態が続き、自律神経のバランスが崩れやすいとも言われます。

スマホ社会は、気づかないうちに脳疲労が溜まっています。

 ・ぼーっとする時間が増えた
 ・集中力が続かない
 ・さっき言われたことを忘れてしまう
 ・やる気が起こらない
 ・スマホの音やバイブレーションの空耳が聞こえる

こういった症状が見られたら、それは脳のオーバーヒート(脳疲労)のサインかも?脳が疲れている可能性があるので、ストレスとなる要因を軽減するケアを取り入れましょう。

なお、脳疲労は夏バテとも症状が似ていますが、夏バテは食欲不振や胃腸の疲れなど、体の疲れも顕著なケースが多いのに対し、脳疲労は「脳の機能低下」につながる症状が中心です。

どちらにしても脳が無関係ということはありませんから、負担をかけすぎないように気をつけましょう。

脳疲労が認知症のリスクを高める?

Yotsuba / PIXTA

脳に熱や疲労が溜まった状態が続くと、認知機能に影響を及ぼす可能性もあります。

「認知症の7割近くを占めるアルツハイマー型認知症の脳内では慢性炎症が生じますが、熱がこもった状態も脳にとってはストレスとなり、炎症の一因となりえます」

「また、脳を酷使すると活性酸素が溜まり、その酸化ストレスによって炎症が起こるとも言われます。アルツハイマー型認知症はアミロイドβというタンパク質の蓄積が原因の一つとされますが、アミロイドβは酸化ストレスによって蓄積が進行すると考えられています。そのため、脳疲労などの酸化ストレスが多い人は、アルツハイマー型認知症を発症するリスクが高まるという指摘もあります」(福島さん)

暑すぎる・寒すぎるといった環境の他、だらだらと動画を見続けるなど情報を受け取り続ける状態も、脳が休まる時間が減り、脳のストレスになると言われています。

脳は、思っている以上にストレスを受けやすい場所。オーバーヒートしないよう、脳の負担を減らす生活を心掛けましょう。

夏こそ心掛けたい!脳のオーバーヒートを防ぐ5つの対策

Graphs / PIXTA

脳のオーバーヒートを予防・回復させるポイントは、環境と自律神経を整えることにあります。福島さんに、夏に取り入れたい具体的な対策を教えてもらいました。

■対策1:エアコンの除湿機能を活用する
湿度が高いと汗をかきにくくなり、体の熱を逃がしにくくなります。

脳に熱がこもらないようにするには、エアコンを使って快適な温度・湿度にすることが大切。自分が過ごしやすい温度に設定し、除湿もかけて、放熱しやすい環境に整えましょう。

もし熱がこもった感じがしたら、一時的に温度を下げて少しクールダウンするのもおすすめ。「エアコンは苦手」「自分の都合だけで設定温度を変えられない」という場合は、首などを冷やすグッズを活用してみましょう。

「首や脇の太い血管を冷やし、冷えた血液を循環させると、脳のオーバーヒートを抑えるのに効果的です」(福島さん)

■対策2:喉が渇いていなくても、意識的に水分補給を
高温多湿な日本の夏では、喉が渇いていなくても脱水症状を起こすことがあります。

主な理由は、湿気のせいで汗が蒸発せず、喉の渇きを感じにくいから。

「脱水状態になると血液の流れが悪くなって、脳や体に熱がこもったまま冷めにくくなり、脳梗塞や熱中症などを引き起こすリスクが高くなります」(福島さん)

夏は水分補給をおろそかにせず、喉が渇いていなくても意識的に水分を取るよう心掛けましょう。

■対策3:涼しい室内で体を動かす

polkadot / PIXTA

暑い夏は動くのが億劫になりがちですが、長時間同じ姿勢でいると血液の流れが悪くなり、自律神経に負荷がかかります。

「自律神経は、体温や血流をコントロールするシステム。そして、自律神経に指令を出すのが脳です。自律神経に負担がかかると脳も休めない状態になってしまうので、適度に体を動かして、血流を良くすることが大切です」(福島さん)

とはいえ、暑い屋外での運動や激しい運動は自律神経を酷使してしまうので、脳のオーバーヒート対策という点では逆効果。

「夏の脳疲労を和らげるための運動は、冷房が効いた室内での軽いストレッチや、心臓に負担がかからない程度の筋トレで十分です」(福島さん)

1時間に1回は立ち上がって動くようにしたり、水分をこまめに摂取して血液の流れを促進し、「トイレに行く回数を増やす=立ち上がる機会を増やす」だけでも、脳の疲労回復に役立ちます。

■対策4:脳の元気につながる栄養素を取る

pandaful workshop / PIXTA

疲労を回復させたり、脳の酸化を防ぐ食べ物を意識的に取り入れましょう。

疲労の回復では、鶏むね肉がおすすめです。

鶏むね肉には、疲労回復に役立つ成分・イミダペプチド(イミダゾールジペプチド)が豊富に含まれていて、100g食べると1日の摂取量目安である200mgを摂取できます。

また、脳のエネルギー源になるブドウ糖も、疲労回復に欠かせない栄養素。ブドウ糖は炭水化物や甘味料などに多く含まれています。中でも、脳のエネルギー補給という点でははちみつがおすすめ。はちみつに含まれるブドウ糖はエネルギーとして体内へ吸収されるので、素早く脳を元気にしてくれます。

一方、脳の健康を保つためには、細胞の酸化を防ぐことも重要です。酸化を防ぐ食べ物では、ビタミンCやビタミンE、ポリフェノール類など、抗酸化作用のある栄養素を取り入れましょう。

ビタミンCは緑黄色野菜や果物に、ビタミンEはアボカドやゴマ、アーモンドなどに、ポリフェノール類はぶどう、ブルーベリー、緑茶などに含まれています。

「はちみつと同じミツバチ産品のプロポリスも、優れた抗酸化・抗炎症作用があり、脳の健康維持に役立つと注目されている素材です。プロポリスを飲用することで、加齢に伴う認知機能低下の予防と、脳内のアミロイドβの増加によって引き起こされる炎症反応を抑制することが報告されています。暑さで脳がオーバーヒートしてしまうと認知機能に一層影響を与えてしまうので、日頃からプロポリスを飲用して脳の健康を意識するのも一手です」(福島さん)

■対策5:デジタルデトックスをする

タカス / PIXTA

長い時間スマホやパソコンを使っていると、情報が過剰に入ってきて、脳がオーバーワーク状態になります。

また、スマホやパソコンのディスプレイから発生するブルーライトは、私たちが想像している以上に脳の刺激となり、自律神経をかき乱す悪い作用を起こすとも言われます。

猛暑の時期はいつも以上に、「自律神経に負担をかける行動を取っていないか」を振り返ることが大切。スマホやパソコンを使う時間も、意識的に減らしてみましょう。

ついスマホを見てしまう人は、「食事のテーブルにスマホを置かない」「寝る前の1~2時間はスマホを見ない」など、スマホと離れるタイミングを決めておくのがおすすめ。デジタルデトックスをすると脳の負荷が軽減して気分も良くなり、睡眠の質が上がるなどの効果も期待できます。

「なお、『頭がぼーっとする』『集中できない』など、脳のオーバーヒートのサインを感じたら、まずは無理をせず、涼しい場所で休みましょう。その上で、首や脇、足の付け根など、太い血管が通っている場所を保冷剤や冷たいペットボトルで冷やすと、効率よく熱を冷ますことができます」(福島さん)

情報過多でストレス社会と言われる現代では、普通に生活しているだけで、誰でも脳疲労になる可能性があります。

高温多湿な環境×デジタル社会×自律神経の衰えが重なる50代の夏は、脳の疲労を溜めない工夫&回復させるケアが大切。脳が疲れてオーバーヒート状態にならないように、脳のストレスを減らす生活を心掛けましょう。

■取材協力:山田養蜂場 健康科学研究所

■監修者プロフィール:福島忍(ふくしま・しのぶ)さん

山田養蜂場 健康科学研究所 学術情報担当。入社以来、最先端の研究学術情報を集約・発信する業務に従事する他、全国各地の大学との共同研究や自社の臨床研究などにも携わり、ミツバチ産品の効果を明らかにしてきた。医学博士。

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