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- 体の歪みの原因は足!足指じゃんけんできない人は注意
理学療法士・湯浅慶朗さんの著書『たった5分の「足指つかみ」で腰も背中も一生まがらない!』(PHP研究所刊)から、足の機能を取り戻し姿勢を改善する方法を学ぶ本連載。今回は足指の機能低下のチェック方法「足指じゃんけん」や体への影響を紹介します。
著者プロフィール:湯浅慶朗
ゆあさ・よしろう
足指研究所 所長
日本足趾筋機能療法学会 理事長
理学療法士。足指研究所所長。ハルメク靴の共同開発者。理学療法士として高齢者医療に携わるが、治らない現代医療のあり方に疑問をもち、病院を退職。妻のO脚改善をきっかけに足指の研究に入る。一生歩き続けられる体をつくる「ひろのば体操」や「YOSHIRO SOCKS」を考案し、東京大学との共同研究や学会発表も実施。NHK「ガッテン」などにも出演し、著書に『たった5分の足指つかみで腰も背中も一生まがらない!』(PHP研究所刊)など。
踏ん張れる足指はパー・グー・チョキができる
前回「良い姿勢・悪い姿勢とは?」の記事でも説明したように、体の中心に重心を安定させ、「ニュートラルポジション」を保つことが、歪まない体を維持することにつながります。
そのためには、体を支える土台である足が地面に接地し、踏ん張れることが重要なポイントとなります。そして、踏ん張れる足とは、足指がしっかり開き、十分伸びている足のことです。
あなたの足指はしっかり開き、十分伸びていますか。さっそく裸足になって足指を開いてみましょう。しっかり開きますか?
「私は毎晩足指パッドを指の間に入れているので、結構開きますよ」と自慢する人もいますが、実際にやってもらうと、きちんと開いていない人がほとんどです。
「足の指が開く」とは、手の“パー”と同じように、パッと足指を開いて、瞬時に“パー”ができなければなりません。しかも、どの指の間隔も同じように開き、手の人差し指が余裕をもって通せるぐらい開いていなければなりません。
また、横から見たときに開いた指がどれもまっすぐ伸びていて、きれいに一直線に並んでいることも重要です。それぞれの指がいろんな方向に傾いてしまっているようでは不十分です。
さらに、「一瞬なら開けます」というのはダメで、開いたまま1分間静止できなくてはなりません。そこまでできて、ようやく“合格”といえます。
“グー”のポイント。踏ん張れる足指はしっかりまがる
足が体を支える安定した土台となるためには、足指が広がるだけでなく、しっかり曲げられることも大事です。
足指を開く練習をする人は多いですが、しっかり曲げる練習のほうはおろそかにされがちです。本来は、曲げたり伸ばしたりが自在にできる必要があります。
足の指の骨は、足の甲にある中足骨から指先に向かって、基節骨、中節骨、末節骨という順番でつながっています。ただし、親指だけは関節が1つ少なく、基節骨と末節骨のみの構造になっています。この基節骨から末節骨までが指の骨です。
足の指は中足骨と基節骨のつなぎ目の部分、親指以外の指の第3関節から曲げられなければなりません。
なぜ、指を曲げることが大事かというと、足指をギュッとまげるときに力が入り、筋肉が鍛えられるからです。足指を開いて伸ばしているだけでは、筋力はつきません。
そして、足指でしっかり“グー”ができると、歩くときに足指全体で地面をつかむことができるようになります。足指で地面をとらえながら歩くことで、足の筋肉が鍛えられ、足裏のアーチも保つことができます。
“チョキ”のポイント。踏ん張れる足指はパワーがある
踏ん張れる足指は、“パー”や“グー”だけでなく、さらに〝チョキ〞もできなければなりません。“チョキ”といっても、ただ親指と人差し指を前後に動かせるというだけでは不十分です。親指と人差し指を前後で勢いよくこすり合わせるようにして、「パチン」と音が鳴るくらいに、強くはじくことができますか?
この“チョキ”には、親指のパワーが必要なのです。親指を手前から向こうへ、逆に向こうから手前へ、どちら側からも勢いよくはじかせることができるようになる必要があります。
ちなみに、私は親指と人差し指で、500mLのペットボトルを挟んで、持ち上げることができます。それくらい足の指に力がついていれば理想的です。
特に、親指の役割は重要です。踏ん張るとき最も負荷がかかっているのは親指です。親指でグッと踏ん張れるかどうかがきわめて重要です。歩行においても、足が地面から離れるときの最後の力強い蹴り上げを担っているのが親指です。
体の重心を維持したり、姿勢を整えたり、力強く歩いたりするために、足の親指が自在に動かせることと、力を入れて踏ん張れることが不可欠なのです。親指がその大役を担えるかどうかが、“チョキ”ができるかどうかで判断できるというわけです。
足指の機能が衰えると 筋肉も衰える
自分の足で「パー・グー・チョキ」の足指じゃんけんができるかどうか、試していただけましたか。
おそらく、全部を完璧にできた人はいないでしょう。この足指の動きができないということは、足指の機能が衰えてしまっているということに他なりません。
つまり、1.足指がしっかり開いて十分伸びること、2.足指のすべての関節をしっかり曲げてギュッと握れること、3.足指に力を入れられること、この3つが足指の大切な機能なのです。
それができなくなってしまうと、足でしっかり踏ん張ることができず、体を支える土台としての役割を十分担えないため、重心がずれたり、姿勢をくずしたりする原因になります。
その結果、上体が安定しなくなり、バランスをとろうとして、あちこちの関節や筋肉に負荷がかかって痛みや不調が生じることになりますし、その状態を長く続けていると、腰まがりや背まがりも生じてくることになります。
足指の機能が低下することで生じる問題を少し詳しくみてみましょう。足指が自在に動かない、足指に力が入らない足では、自分の体重を支えながら、地面を蹴って歩くときに必要な筋肉が十分つけられません。
体のどの部分の筋肉にもいえることですが、筋肉は動かしたり、力を入れて緊張させたりしなければ鍛えられないのです。足の筋肉にも同じことがいえます。
動かない足指、力の入らない足指で、ペタペタ歩いても、筋肉は鍛えられません。足指をしっかり動かし、踏ん張ったり、蹴ったりするときにグッと力を入れることが筋肉を鍛えることにつながるのです。
歩くときに、5本の足指でギュッと地面をつかみ、足裏が地面についたあとに力強く地面を踏み返す、その一連の動作によって足の筋力が鍛えられるのです。
足指の機能低下が原因!注意したい足のトラブル
今度は自分の足指をチェックしてみましょう。あなたの足指が広げたり伸ばしたりまげたりが自在にできる、機能性の高い足指かどうかは、その形を見ればだいたいわかります。
足指にトラブルがある人は、かかとが傾いていたり、重心が不安定だったりして、姿勢が悪く、腰まがりや背まがりが始まっている可能性もあります。また、ひざや腰、股関節などの痛みや肩こりのある人もいるでしょう。
足指がしっかり動かないことで、血行障害から冷え性などの症状があらわれているケースも考えられます。
以下は特に注意したい足のトラブルです。自分の足を見ながら、セルフチェックしてみましょう。
外反母趾
外反母趾は、親指が小指側に曲がった状態になり、親指のつけ根の骨が横に突出し、靴に当たって痛みが起こる症状です。足指の機能不全、足裏の筋力の低下などが原因で起こります。
【セルフチェックの方法】
足の内側にボールペンを当てて、親指の爪の部分との間に手の人差し指を入れる。指が1本以上入れば外反母趾の可能性が高い。
内反小趾
内反小趾は、小指が親指側にまがった状態。小指のつけ根の骨が横に突出し、靴に当たって痛みが起こる。足指の機能不全、足裏の筋力の低下などが原因で起こります。
【セルフチェックの方法】
足の外側にボールペンを当てて、小指の爪の部分との間に手の人差し指を入れる。指が1本以上入れば内反小趾の可能性が高い。
浮き指
浮き指(うきゆび)は指が地面から浮いた状態。指で地面をつかめないため、足で踏ん張ることができなくなります。小指と親指に起こりやすい症状です。
【セルフチェックの方法】
足の正面から写真を撮ってみて、爪が見えない指は浮き指。指が浮いていないように見えても、爪が上を向いている浮き指もある。指の下に紙を差し込んでみて、スッと入る場合も浮き指。
寝指、かがみ指(ハンマートゥ)
寝指は、足指が倒れて横を向いてしまっている状態。指で地面をつかむことも、踏ん張ることもできません。小指と薬指に起こりやすく、内反小趾が伴うことも多いです。
かがみ指(ハンマートゥ)は、足指がまっすぐ伸びておらず、指の第1関節が折れまがっていたり、指が下を向いたりした状態です。歩行で体重がかかるときだけ、足指がまがる“隠れかがみ指”もあります。
【セルフチェックの方法】
- 足を上から見たとき、爪が横向きになっていれば寝指。
- 爪が下向きになっている場合は、足の真横から写真を撮って確認します。足の指に、しわやタコができている場合、“隠れかがみ指”の可能性があります。
体の痛みや不良姿勢の原因は、足指の機能低下!
足指の変形以外にも、さまざまな足のトラブルがあります。足指が機能しなくなると、足の筋力が衰えて足裏のアーチが消失したり、足が靴下・靴との摩擦や圧迫を受けて、部分的に角質が厚くなってしまったりします。
足の変形や痛みが悪化すると、重心の位置がずれたり、姿勢がくずれたりします。その結果、足だけでなく、ひざや股関節、腰、肩など、体のいろいろな部分に負荷がかかり、そこにも痛みや変形が生じるようになります。
逆に、肩こりや腰痛、股関節痛、ひざ関節痛、腰まがりや背まがりが、元をたどっていくと、足に原因があったということもめずらしくありません。体に不調が起こると、症状があらわれている部分に原因があると考えてしまいがちですが、根本的な問題がどこにあるのかを突き止めることが重要です。
背まがりや腰まがり、猫背や反り腰を治したい人も、骨盤の傾きによる体の歪みを治したい人も、「O脚」や「X脚」を治したい人も、足指の機能を改善させ、足指をしっかり使って、足の筋肉を鍛えればよいということを改めて強調しておきます。
あなたの腰まがりや腰痛、股関節痛も、もしかしたら足に原因があるのかもしれません。足指の機能低下や足のトラブルがないかどうか、セルフチェックしておきましょう。
次回はいよいよ、姿勢改善に効果的な「足指つかみ」のやり方を紹介します。
※本記事は、湯浅慶朗さんの著書『たった5分の「足指つかみ」で腰も背中も一生まがらない!』(PHP研究所刊)より一部抜粋して構成しています。
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