きくち体操創始者菊池和子さん、一生歩ける体をつくる6つの大事な習慣とは?

2024年11月05日

90歳!きくち体操創始者・菊池和子さんに聞く

一生歩ける体をつくる6つの大事な習慣とは?

「ハルメク」の人気連載「きくち体操」の創始者・菊池和子さんは、2024年3月に90歳になりました。元気の秘訣は「体を動かすときに、意識を使うこと」なのだそう。具体的にはどんなことを習慣にしているのでしょう。菊池さんに聞きました。

 

菊池和子さんのプロフィール

きくち・かずこ
1934(昭和9)年生まれ。日本女子体育短期大学卒業。体育教師を経て「きくち体操」を創始し、以来50年以上、毎日の授業、ラジオ、テレビ、講演などを通して指導にあたる。神奈川・東京に直営教室を持つ。『「意識」と「動き」で若く、美しく! きくち体操』『立ち方を変えるだけで「老いない体」DVD付き』(ともにハルメク刊)など著書多数。

「最後まで歩ける体」って?

こう見えて、私だって、毎日必死なんですよ(笑)

何歳になっても、川崎の教室まで電車で通いたいし、近所のスーパーで重い荷物を買って帰れる体でいたい。そうして日常生活をつつがなく送れることが「最後まで歩ける体」というものでしょう?

ただ「歩けること」が目的だったり、ただ「歩ける体」ではダメなんです。

きくち体操を始めて10年くらいの頃、知り合いの方がお姑さんに困っていました。認知症だったのですが、足腰は丈夫なのでどこまでも散歩に出てしまうわけです。

私はその話が忘れられなくて。脳こそが大事なんだってつくづく思いました。

人間の体は、動かさないところからダメになっていきます。それはみなさんもご経験でわかっていらっしゃるんじゃないかしら。

動かさなければ、筋肉は衰えますし、血管も弱り血液が流れにくくなります。新鮮な酸素や栄養が細胞に行き渡らなくなるので、内臓も弱っていく。脳も同じだと思うんです。使わなければ衰える。

だから私は、これまでずっと脳で意識して体を動かすようにしてきました。脳で意識して動かせば、体は何倍もよく動いてくれますし、脳もその刺激を受けて何倍も活性化することを実感しています。

大事なのは「十分に体を使えた」という実感

脳で意識して動かすとは、今、使っているところを感じ取りながら動かす、ということです。歩くなら、足の裏が地面をどうとらえているのか、ひざや股関節がどう動いているのか、脳で感じ取りながら歩く。それができれば、2000歩でも十分かもしれません。

世間一般の目安が何歩であろうと、自分で自分の体を感じ取って判断すること。大切にしてほしいのは、歩数や歩く時間ではなく、今日は十分に体を使えたという実感です。

あなたの体のことはあなたにしかわからないんですから、その大事な感覚をいつまでも持ち続けられる脳と体でいてほしいのです。

脳と体をつなげる!菊池和子さんの6つの習慣大公開

毎日の暮らしが充実しているのは、体がスムーズに動くから。そのために体への意識を忘れることはありません。菊池さんが日々行っている習慣の一部を紹介します。自分の体から気を離さないことが、脳と体をつなげることなのです!

習慣1:1日1度天井を見て、普段使わない筋肉を動かす

「体の後ろで両手を組んで胸を開き、上を向きます。あごから首、胸、お腹へとつながる体の前側の筋肉に意識を向け、体を慈しみながらしっかりと使います。飲み込む力も失いません」

習慣2:料理のスキマ時間に指先立ちして、歩く力をつける

「ひざを寄せて立ち、足の指の付け根から曲げて、かかとを上げます。すべての足の指で立てているか、指1本ずつ体重をかけて確認をして、脳と足の指をつないで下半身全体を生かします」

習慣3:気が付いたら手の指を伸ばして、体への意識を忘れない

「指をしっかりと広げた手をテーブルにピタッと置き、手のひらや指がテーブルから浮いていないか、もう一方の手でグーッと伸ばして確認していきます」

習慣4:靴下をはくときは立ったまま。バランス感覚を衰えさせない

「立ったまま靴下をはくのは、片脚立ちをしているようなもの。ひざ、もも、お尻の筋肉が育ち、足の裏、足の指で踏ん張りが利くようになりますよ」

習慣5:いすには、いつでも浅く腰掛け、全身の筋肉を育てる

「座るときはいつもこの姿勢です。全身に意識を向けて、足の裏で踏ん張り、両ひざ、お尻を寄せて背すじをピン。座るだけでも全身の筋肉を使えます。慣れると、この方が楽ですよ」

習慣6:アクセサリーをつけて、脳と指先をつなぐ

「アクセサリーは『面倒だから』とつけるのをやめてしまいがち。でも、手の指先を使えるいいチャンス。意識を向けて指を動かすので、脳が活性化し気持ちも上がります」

次回は、「きくち体操」の中でも家で続けやすい4つの動きを紹介します。

※ケガや病気などで体を痛めている場合は、無理して動かさず医師の指示に従ってください。
※この記事は、雑誌「ハルメク」2024年2月号を再編集しています。

取材・文=岡島文乃、井口桂介(ともにハルメク編集部)、撮影=中西裕人、ヘアメイク=小島けさき


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