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- 良い姿勢・悪い姿勢とは?体の歪みをセルフチェック!
理学療法士・湯浅慶朗さんの著書『たった5分の「足指つかみ」で腰も背中も一生まがらない!』(PHP研究所刊)から、足の機能を取り戻し姿勢改善の方法を学ぶ、全3回の連載企画。まずは、猫背や反り腰などの体の歪みをセルフチェックで確認しましょう。
姿勢の悪さ、腰・膝の痛みの原因は、足にある
背まがりや腰まがり、猫背や反り腰などに悩んでいる方の多くが、腰や背中自体に問題があると思い込んでいます。痛みも同じで、腰痛や股関節痛、ひざ関節痛があると、腰や股関節、ひざに原因があると考えがちです。
ところが、こうした姿勢の悪さや体のあちこちに生じる痛みやしびれなどの原因は、元をたどっていくと足にあるケースが少なくありません。
足は体の重みをしっかり支えながら、体の動きに合わせて重心を移動させ、体をスムーズに動かしたり、バランスを保ったりする役目を果たしています。その役割が十分果たせなくなると、体の重心がずれて姿勢がくずれたり、アンバランスな体勢を支えるために、筋肉や関節に負荷がかかり、痛みやしびれを生じさせたりするのです。
足がそうした役割を担うには、足本来の機能が発揮できなければなりません。ところが、ほとんどの人の足はなんらかの機能不全に陥っています。その理由は、足指が十分に“使えていない”からです。
使えていない足指の機能を取り戻そう
自分の足指を見てみてください。まっすぐ伸びていますか。地面から浮いていませんか。次に、足指を動かしてみてください。開いたり閉じたりが自在にできますか。ギュッと曲げることができますか。
これらのことができなければ、足指が“使えている”とはいえないのです。
足指が“使えていない”と、足の筋肉が衰え、足が変形したり、アーチがなくなったりします。その結果、足で体重を支え、体のバランスをとることができなくなるのです。
本連載では、足の機能を取り戻す方法を紹介するとともに、足指を使って歩くことの大切さを紹介します。姿勢の悪さが気になる方も、腰やひざの痛みがつらい方も、足の変形が気になる方も、まず、足の機能回復に取り組んでみてください。
「年をとってからでは無理でしょう」と思われるかもしれませんが、年齢は関係ありません。
70歳になっても80歳になっても、足のケアに取り組めば、足指が“使える”ようになりますし、足が健康になると、おのずと体のあちこちの痛みやしびれも改善し、姿勢も良くなります。
一生元気で過ごすために、一日も早く、健康な足を取り戻しましょう。
代表的な「不良姿勢」は、猫背と反り腰
腰まがりや背まがりは、長年、悪い姿勢を続けたことで起こります。悪い姿勢の代表例といえるのが、猫背や反り腰です。
猫背は、背骨の中央部分の胸椎と呼ばれる骨が後弯し、丸まった状態を指します。胸椎のカーブが強くなりすぎると、首や背中、腰などに負担がかかり、痛みが出やすくなります。猫背の人は前かがみになり、ひざがまがり、あごが前に出た姿勢になることから、老けて見える原因にもなります(図左)。
一方、反り腰は、背骨の下部分の腰椎と呼ばれる骨の前弯が通常よりも強く、反った状態を指します。反り腰の場合、腰の筋肉が緊張するため、腰痛が起こりやすくなります(図右)。
仙腸関節・腰仙関節のずれが痛みを起こす
背骨の変形は、主に骨盤の傾きが原因で起こります。
骨盤が後ろ側に傾くと背骨が後弯し、猫背になります。逆に、骨盤が前側に傾くと背骨が前弯し、反り腰になります。また、骨盤が左右に傾くと、背骨はバランスをとろうとして、骨盤の傾きとは逆側にまがり、「側弯」(背骨が左右にまがっている状態)になります。
このように(足指の変形が)原因で脚長差が生じたり、重心の位置が踵寄りになると骨盤が傾き、骨盤の仙骨(背骨の下にある骨)と腸骨(骨盤の左右にある骨)の間にある「仙腸関節」や仙骨と腰椎の間にある「腰仙関節」がずれたり、硬くなったりして、腰痛をはじめ、肩や首、ひざなどに痛みやしびれ、足腰に力が入りにくくなるなどの症状を生じさせることがあります。
「仙腸関節」や「腰仙関節」のずれや硬さをそのままにしていると、腰痛などに対する治療効果もあまり上がらないため、関節のずれを改善させる必要があります。
良い姿勢ができている人は、0.1%以下
猫背や反り腰は背骨のカーブが強くなりすぎた状態ですが、逆に背骨がまっすぐなら良いのかというと、そうではありません。背骨は、ゆるやかなS字カーブを描くのが理想的であるとされています。
背骨がゆるやかなS字カーブを描いた状態が“良い姿勢”といえます。その姿勢は体のどこにも負荷がかかっていない状態です。この状態は、「ニュートラルポジション」と呼ばれています。
「ニュートラルポジション」とは、具体的には、立ち姿勢を横から見たときに、耳たぶと足の外くるぶしを結んだラインに、1.肩峰(けんぽう=肩関節の先端部)、2.股関節、3.ひざの中心の3点がのっている状態です(図)。
これが、全身の筋肉の緊張が最も小さくなる“良い姿勢”なのです。常に「ニュートラルポジション」を保つことができていれば、「仙腸関節」や「腰仙関節」のずれや硬化も起こりませんし、筋肉や関節に痛みが出たり、骨が変形したりすることはありません。
実際に、「ニュートラルポジション」で立っている人の筋電図をとってみると、波形は小さく、ほとんど変化しないことがわかっています。しかし、姿勢の悪い人の筋電図をとると、波形が激しく変動します。それは、体のどこかに力が入っていて、筋肉が強い緊張状態にあることのあらわれです。そして、その筋肉の緊張が痛みの原因となっているのです。
自分ではそれほど姿勢は悪くないと思っているかもしれませんが、ほとんどの人が「ニュートラルポジション」をとれていません。患者さんの全身写真を撮って、その人の姿勢を確認すると、「ニュートラルポジション」がとれている人は、0.1%以下。1000人に1人もいないのが現実です。
体の歪みをセルフチェックしましょう
外見からわかる体の歪み(ゆがみ)としては、腰まがりや背まがり、猫背や反り腰のように、全身を横から見たときにわかるものと、背骨が左右に曲がっていたり、骨盤が左右のどちらかに傾いていたりするケースのように、全身を正面から見るとわかるものがあります。
自分の全身を真横から見ることは難しいため、誰かに写真を撮ってもらうとよいでしょう。正面から見る場合は、全身を鏡に映して確認します。自分の目で見てわかりにくいときは、家族などに一緒に見てもらい、確認するようにしましょう。
横からのチェック
横から見るときは、「ニュートラルポジション」がとれているかどうかをチェックします。耳たぶ・肩峰・股関節・ひざの中心・足の外くるぶしが一直線で結ばれていれば、良い姿勢がとれており、体に歪みはないといえます。
正面からのチェック
正面から見たときには、肩や腰、両ひざのラインが水平で、左右のどちらかに傾いていないかをチェックします。たとえば、かかとの骨が傾いたり重心が足の外側か内側にずれたりして、骨盤が左右に傾くと、その歪みを肩やひざで補整しようとして、肩やひざのラインも傾き、それに伴い、背骨が左右に弯曲してしまいます。
体の歪みは顔にも出る
体の歪みは顔にもあらわれます。メイクをするときなどに自分の顔を鏡で見て、片側の目が小さい、二重幅が左右で違う、左右の眉の高さが違うといったことに気づいたことはありませんか。こうした左右差は、顔の筋力の衰えが原因だと思われがちですが、根本的な原因は、かかとの骨の傾きや、「外側重心」「内側重心」にあります。
たとえば、左目が右目より小さい人は、右脚よりも左脚のほうが短いことが疑われます。つまり、左足が「外側重心」になっていたり、左足のかかとの骨が傾いていたりして、顔の左側が全体的に下がり気味になってしまっていることが考えられるのです。
そうした人の場合、口角も左側が下がり、ほうれい線も左側のほうが深くなりがちです。あごのラインも左のほうがたるんで見えるでしょう。
顔の歪みのセルフチェック
鏡で自分の顔を見てみましょう。左右の違いに気づきませんか?
- 左右の目の大きさが違う
- 左右の目の位置が違う
- 左右の二重幅が違う(片側のみ一重も含む)
- 左右の眉の高さが違う
- 左右の口角の上がり方が違う
- 左右のほうれい線の長さ、深さが違う
- 左右のほおやあごのラインが違う
- 左右どちらかのたるみが目立つ
目や眉の位置が下がっている側、しわが深い側、たるみの目立つ側の足が「外側重心」になっていたり、かかとの骨が傾いていたりして、骨盤も傾いていると考えられます。
体の歪みからくる生活習慣
さらに、洋服の襟ぐりの垂れ具合が左右で違ったり、ショルダーバッグのひもを肩に掛けたときに片側だけ落ちやすかったり、気がつかないうちにスカートが回って位置がずれていたりといった現象も、骨盤やかかとの骨の傾きが原因で起こりやすくなります。
その他、座るときに脚を組む、横向きで寝るなどの生活習慣も、体の歪みが原因で起こっている場合があります。思い当たる点がある人は、姿勢の見直しが求められます。
体の歪みから生じる生活習慣のセルフチェック
何気なくとっている普段の行動のなかには、ゆがんだ体が原因となっているものがあります。こんな生活習慣をしているとしたら、あなたの体はもう歪み始めているかもしれません。
- 座るときに脚を組む
- 立っているときに片方の足に体重をかける
- ショルダーバッグをいつも同じ側の肩に掛けている
- ほおづえをつくことが多い
- 床に座るときに横座りをする
- 横向きやうつぶせで寝ている
骨盤の左右差があると、それをまっすぐに戻そうとするために、無意識のうちに脚を組んでしまうことがあります。また、肩の高さに左右差がある場合は、バッグのひもがすべり落ちにくい、高い側の肩にショルダーバッグを掛ける習慣が身につきます。
いかがですか。意外と当てはまる項目が多くて驚いた人もいるのではないでしょうか。
次回は、足指の機能低下をチェックする方法と足のトラブルについて紹介します。
※本記事は、湯浅慶朗さんの著書『たった5分の「足指つかみ」で腰も背中も一生まがらない!』(PHP研究所刊)より一部抜粋して構成しています。
著者プロフィール:湯浅慶朗
ゆあさ・よしろう
足指研究所 所長
日本足趾筋機能療法学会 理事長
理学療法士。足指研究所所長。ハルメク靴の共同開発者。理学療法士として高齢者医療に携わるが、治らない現代医療のあり方に疑問をもち、病院を退職。妻のO脚改善をきっかけに足指の研究に入る。一生歩き続けられる体をつくる「ひろのば体操」や「YOSHIRO SOCKS」を考案し、東京大学との共同研究や学会発表も実施。NHK「ガッテン」などにも出演し、著書に『たった5分の足指つかみで腰も背中も一生まがらない!』(PHP研究所刊)など。
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この連載の引用元である『たった5分の「足指つかみ」で腰も背中も一生まがらない!』(PHP研究所刊)では、足指研究所・所長の湯浅慶朗さんが体の土台となる足の機能に注目し、足病医学に基づいて考案した「ひろのば体操(足指つかみ)」や、足指の健康を保つ生活習慣を紹介しています。あわせてチェックしてくださいね(Amazonにて電子書籍も販売中)。
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