湯浅慶朗の一生自分で歩く足育塾・7

内反小趾とは?原因・症状など外反母趾との違いは?

公開日:2020/12/20

更新日:2021/09/04

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足の健康について足指研究所・湯浅慶朗さんが解説する「一生自分で歩く足育塾」。今回のテーマは、女性によくある足のトラブル「内反小趾(内反小指。ないはんしょうし)」です。外反母趾との違いやセルフチェックの方法、症状の改善方法を紹介します。

内反小趾とは?原因・症状など外反母趾との違いは?
内反小趾とは?原因・症状など外反母趾との違いは?

足のトラブルの共通の原因は、合わない靴と足の筋力低下

長い一生のうちに、一度も足のトラブルを経験しない人は少ないと思います。
かくいう私も20代の頃は、サイズの合わないウエスタンブーツを無理に履き、ひどい外反母趾でした。腰痛にもなり、寝返りやしゃがむ動作も困難な状態。スポーツで筋力をアップさせても、腰痛の改善には至りませんでした。

その後、足指と全身の関係を研究し、日常生活を見直してさまざまな足指のケアを施すと、人差し指に乗りかけていた親指が、以前と比べものにならないほど真っすぐになりました。それとともに、いつしか腰痛も消えていました。

外反母趾などの足のトラブルは、さまざまな体の不調につながることが知られています。

この連載では、これまで外反母趾の原因・症状・予防を解説してきましたが、ここからは少し視野を広げて、女性に多い足のトラブルについて紹介していこうと思います。

外反母趾以外にも足のトラブルはさまざま!

ハルメク読者のみなさんにアンケート調査を実施して「あなたの足の悩みについて、当てはまる項目をすべてお選びください」と聞いたところ、以下のような結果になりました。

  • 外反母趾:43.5%
  • タコ:20.2%
  • 魚の目:18.8%
  • 扁平足:11.2%
  • 開帳足:5.8%
  • 内反小趾:5.4%
  • つかみ指(かがみ指):2.7%

こうした足のトラブルの原因は、それぞれ別のものだと考えている方が多いと思います。しかし実際には、多くの足のトラブルに共通する原因は「足に合わない靴」と「足の筋力低下」にあります。

まずは、これまで解説してきた「外反母趾」と特に関連度が高い「内反小趾」について解説します。
内反小趾とは、足の小指(小趾)が内側に曲がる病気のこと。足の親指(母趾)が小指側に曲がっていく外反母趾ほど一般的ではありませんが、症状と原因は似ています。

放置はNG!小指が動かないと全身の不調につながる

小指が動かないと全身の不調につながる

みなさんは、こんな経験ありませんか。 

  • 長く歩くとスネの外側が張ってくる
  • 何もないところで足首をねん挫してしまう
  • 人にぶつかるとすぐによろけてしまう
  • 足裏の小指側にタコがある
  • ゴルフのときにすぐにスライスしてしまう

実は、これらの原因はすべて、小指が動かないせいなんです。「え?」と思った人は、この後に紹介するセルフチェックで、小指が動くかどうか確認してみてください。

日常的に目にする手の指の場合、動かないとすぐに気付きます。しかし、足の指が動かない場合は、5本指ソックスを履いていない限り、気付きづらいものです。

あなたが朝起きて、手の小指が動かなかったらどうするでしょうか。

すぐに病院に行き「先生、私の手の小指が開かないんです。何かの病気ですか」と尋ねるはずです。医者は「今すぐレントゲンと血液検査をしましょう。もしかしたら脳の病気かもしれないので、CTも一緒に」と答えるかもしれませんね。

では、足指の場合はどうでしょうか。まず、あなた自身が、足の小指が開かないことを気にも留めないと思います。

仮に病院に行って「先生、私の足の小指が開かないんです。病気でしょうか」と尋ねても、「そういったことで、病院を受診しないでください」と追い返される可能性が高いです。

実際、海外の足専門の病院では「あなたね、足の小指は開かないのが普通です」と言われた人もいます。それほど手と足では扱いが違うものです。

しかし、足の指が動かないのを放置するのは危険です。腰痛やひざの痛み、肩こり、頭痛など、全身に慢性的な痛みや不調を引き起こす原因になる可能性が高いからです。

内反小趾につながる足の機能不全をチェック!

では実際に、あなたが小指を使えているかをチェックしてみましょう。ここでは2つの方法をご紹介します。

方法1:足指じゃんけん「パー」をして手の人差し指が通るか

足指じゃんけん「パー」をして手の小指が通るか

足指を開いて「パー」をしてみてください。開いた薬指と小指の間に、あなたの手の人差し指がスッと通りますか。

ほとんどの人は、足は親指から中指くらいまでしか意識していませんから、薬指や小指は機能が退化して、きちんと動かせなくなってしまっているはずです。

方法2:両足をそろえて体を左右に回転してみる

足の小指が使えていないと、体は大きく回せません。例えば、小指を立てて包丁を握ると腕がすぐに疲れてしまいます。ゴルフでもそうですが、小指を立ててドライバーが振れるでしょうか。

足も手と同様で、小指が使えなければ、ほとんど力が入りません。小指が重要なのは手だけではないのです。

足は、道具こそ持ちませんが、重い体重を支え、自由自在に動き回るために、強い力がかかりますから、健康を保つためには小指がしっかり開くようにしておくことが大切です。

体を回転できた角度で、足の機能不全が進んでいるかどうか、チェックしてみましょう。

  1. 両足をそろえて立ちます
  2. 腕を真横に伸ばします
  3. そのままゆっくり時計回り、反時計回りに体を回転させます

【足の機能不全のセルフチェック結果】

  • 90度以下:要注意レベル
  • 90度くらい:まあまあ
  • 120度以上:とても健康な状態

いかがでしたか。2つともできなかった人は、すでに足の機能不全が起こっているかもしれませんね。

内反小趾の原因・症状は?外反母趾と何が違う?

内反小趾の原因・症状は?外反母趾と何が違う?
内反小趾の人のレントゲン写真(左:健康な足、右:内反小趾)

医師による内反小趾の診断は、小指の変形した角度に基づいて行われます。小指の骨が親指側に10度以上曲がっていると内反小趾と診断されます。

X線によるレントゲン撮影で見ると、小指の付け根(第5中足指節関節)の変形に加えて、中足骨(足の中央の長骨)が外側に傾き、つま先が内側に傾いているのが特徴です。

内反小趾のセルフチェック方法

  1. ボールペンを用意して、少し足を開いていすに座ります。
  2. ボールペンを足の外側に当てると、ボールペンと小指の爪の間に隙間ができます。
  3. 隙間に手の人差し指が一本入れば、内反小趾の可能性が高いと言えます。

内反小趾のセルフチェック方法

内反小趾になると、足の外側に痛みや不快感を引き起こします。足の痛みは靴を履くときにこすれることで発生し、その際に皮膚が傷つくと、感染症を引き起こす可能性もあります。

そういった部分でも、外反母趾と非常によく似ていますし、誰もが内反小趾を発症する可能性があることを覚えておくことが重要です。 

外反母趾と内反小趾の違いは、伸ばされる筋肉の位置

内反小趾の原因についてお話しする前に、まずは外反母趾の原因をおさらいしておきましょう。

適切な靴の選び方や履き方ができずに、「浮き指」や「かがみ指」などによって足の筋力が低下すると、体重の重さで「横アーチ」が崩れて開張足(かいちょうそく)となります。

開張足になると、足の横幅が広がることで、小指の根元から親指の付け根にある母指内転筋(ぼしないてんきん)という筋肉が伸ばされてしまいます。

伸ばされた筋肉は元に戻ろうとする力が働くので、親指を小指の方へ曲げようとします。これが、外反母趾の原因でしたね。

外反母趾の原因

一方、内反小趾の原因は、開張足になった際に、親指の根元から小指の付け根にある小指内転筋(しょうしないてんきん)という筋肉が伸ばされること。伸ばされた筋肉に元に戻ろうとする力が働き、小指を親指の方へ曲げようとするのです。

内反小趾の原因

つまり、外反母趾も内反小趾も、間違った靴選びと足の筋力低下により開帳足になる、という流れは同じで、母指内転筋・小指内転筋のどちらの筋肉が伸ばされるかが違うのです。

軽度の内反小趾は足指ストレッチで対策を!

軽度の内反小趾は足指ストレッチで対策を

原因が同じであれば治し方も同じです。外反母趾同様に、軽度から中等度までの内反小趾は、靴選びの工夫と足指ストレッチなどでセルフケアをすることで、症状を改善できます。

重度の内反小趾の場合は、靴を履くだけでも痛みを伴う場合が多いと思います。靴を履くことができないほど足の痛みが強い場合には、手術をおすすめする場合もあります。

手術では骨の隆起を取り除き、痛みを軽減するために足の骨の位置合わせを行います。

今は、低侵襲の内反小趾手術(からだに負担の少ない患者さんに優しい手術)も開発されており、回復に6か月以上かかった従来の外科的方法に比べてはるかに痛みが少なく、回復まで数週間しかかからない場合がほとんどです。

とはいえ、手術は費用もかかってしまうので、症状が進行しないように早めに対策することが大切です。

体験談:足指ストレッチと矯正靴下で内反小趾が改善!

私のクリニックには、転倒や歩行障害に悩む人たちが毎日訪れます。

2年前からよく転ぶようになり、杖なしでは生活できないという60代女性のSさんは、小指が曲がっていましたが、病院では加齢のせいと言われ、特に治療はなかったそう。

しかし、人にぶつかったり、方向転換をするときに転びそうになったりするため、外出が徐々に少なくなり、体重も減ってしまったそうです。

以前は山登りもしていたSさんも、急激な衰えには勝てません。私のところに来たときには、このまま歩けなくなり、車いす生活になることを覚悟していたそうです。

しかし、足指ストレッチ「ひろのば体操」を行い、足指矯正靴下「YOSHIRO SOCKS」で小指を伸ばした結果、歩行練習を始めてわずか10分後に、杖なしでしっかりと歩くことができたのです。

それを見ていた娘さんも、あまりの体の変化に驚いて、「杖なしでしっかり歩けている!」と喜んでいました。

自宅に帰ってからも1日3回5分ずつ「ひろのば体操」を続けた結果、3か月後には足指の変形も改善して、転倒することもなくなったそうです。

治療前後の小指の変形の比較
治療前後の小指の変形の比較(Before:右22度・左20度、After:右5度・左7度)

加齢のせいにして歩くことを諦める人が多いのですが、実際は足指の変形が原因で転倒につながっていることもあるのです。

自分の足で歩きたいという意志がある限り、年齢に関係なく回復の見込みはあります。

セルフチェックで「要注意」だった人も、 すでに内反小趾の症状がある人も、まずは足指ストレッチ「ひろのば体操」を始めてみませんか?

次回は、O脚の原因についてご紹介します。

執筆者プロフィール:湯浅慶朗

執筆者プロフィール:湯浅慶朗

ゆあさ・よしろう 理学療法士。足指研究所 所長。独自に開発した足指を広げて伸ばす「ひろのば体操」を世に広めるべく、全国で講演や出張講座を行っている。また、リハビリテーションの安全性や効果の検証を目的として、東京大学との共同研究や学会発表も実施。著書に『1日5分! 足指をそらすと健康になる』(PHP研究所刊)、『足指のばし』(マキノ出版刊)など。

構成=竹下沙弥香(ハルメクWEB)


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湯浅慶朗

ゆあさ・よしろう 理学療法士。足指研究所 所長。独自開発の「ひろのば体操」を世に広めるべく、全国で講演や出張講座を行う。リハビリテーションの安全性や効果検証を目的として、東京大学と共同研究も実施。著書に『足指のばし』(マキノ出版)など。https://beauty.yoshiroyuasa.com/

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