湯浅慶朗の一生自分で歩く足育塾・8

O脚の原因は足指にあり!ストレッチで症状を改善

公開日:2021.01.20

更新日:2024.08.17

女性によくある足のトラブル「O脚(内反膝)」。ずっとこうだったし、治らないと諦めていませんか? 理学療法士の湯浅慶朗さん(足指研究所・所長)が、O脚の原因と、簡単な足指ストレッチでO脚を改善する方法をご紹介。ビフォア・アフターも必見です!

著者プロフィール:湯浅慶朗

執筆者プロフィール:湯浅慶朗

ゆあさ・よしろう
足指研究所 所長
日本足趾筋機能療法学会 理事長

理学療法士。足指研究所所長。ハルメク靴の共同開発者。理学療法士として高齢者医療に携わるが、治らない現代医療のあり方に疑問をもち、病院を退職。妻のO脚改善をきっかけに足指の研究に入る。一生歩き続けられる体をつくる「ひろのば体操」や「YOSHIRO SOCKS」を考案し、東京大学との共同研究や学会発表も実施。NHK「ガッテン」などにも出演し、著書に『たった5分の足指つかみで腰も背中も一生まがらない!』(PHP研究所刊)など。

O脚が要介護の原因や、変形性膝関節症にもつながるって本当?

要介護の原因・変形性膝関節症にもつながる!O脚とは?

60代以上の女性の悩みとして、常に上位にランクインする「変形性膝関節症(へんけいせい・ひざかんせつしょう)」。

変形性膝関節症とは、体重や加齢などの影響から膝の軟骨がすり減り、膝に強い痛みを生じる病気です。高齢者が要支援になる原因の1位、要介護になる原因の4位が変形性膝関節症を含む関節疾患です。

要支援・要介護の原因である変形性膝関節症を含む関節疾患

変形性膝関節症の症状は、こわばり感から始まり、徐々に正座、しゃがみ込み、階段昇降などで膝が痛むようになります。

徐々に就眠時や安静時にも痛みを感じて、膝を完全に伸ばすことが困難になり、さらに症状が進むと、階段のみでなく平地での歩行にも支障をきたすようになってしまうのです。

日本の変形性膝関節症の患者数(40歳以上)は、レントゲンにより診断される患者数だけでも2530 万人(男性860万人、女性1670万人)いると言われ、膝の痛みなどの症状が出ている方は約 800 万人とされています。

潜在的な患者数(X線診断による患者数)は約3000万人と推定する調査結果もあり、日本人の4人に1人、高齢者の2人に1人が膝の変形があると言われています。

実は、この変形性膝関節症の人の多くがO脚です。

O脚(内反膝、ないはんしつ)とは、膝が外側に曲がり、くるぶしを揃えたときに左右の膝の内側が接しない状態になる下肢の形態異常のこと。O脚の人は、体重のかかる膝の内側の軟骨ばかりが擦り減るため、変形性膝関節症になる可能性が高くなるのです。

O脚(内反膝、ないはんしつ)の症状

O脚の原因は足の筋力低下!足指ストレッチで改善も

O脚の原因の一つが「外反足、がいはんそく」です。これは、足の筋力低下によって、かかとの骨をまっすぐに保つことができなくなり、足が外に倒れて下腿骨(膝下の骨)が外に弯曲(わんきょく)するものです。

O脚の原因は足の筋力低下!足指ストレッチで改善も

O脚のもう一つの原因が、足指の変形(内反小趾、ないはんしょうし)もしくは小指の機能不全による回外足です。小指は足にかかった体重が外に倒れないようにするためのストッパーの役割があるので、小指が使えなくなると、足が外に倒れてしまいO脚になります。

O脚の原因:回外足

つまり、これまでご紹介してきた外反母趾(がいはんぼし)など他のトラブル同様に、足指ストレッチや歩き方で足裏の筋力をアップして、足指の変形を予防・改善することがO脚を治す方法なのです。

【体験談】足指のケアで生まれつきのO脚が改善!

実際、足指の変形の一つ・浮き指を改善させることでO脚が改善することがよくあります。Kさんもその一人。

小学生の頃からO脚に悩まされ、膝の痛みや股関節痛の他、生理痛・腰痛・肩こり・頭痛などの体の不調を抱えていました。

毎日のように痛み止めの薬を使いながら、だましだまし生活を送っていたそう。整体や整骨院にも通っていましたが、一向に症状が改善する兆しは見えませんでした。

しかし、足指を広げるケアを行うと、たった1週間でみるみるO脚が改善し、体の不調もすべて吹き飛んだのです。

足指のケアで生まれつきのO脚が改善!

Kさんは、体の不調の原因が足指にあったことにとても驚いたそう。その後も足指のケアを毎日のように続け、体調に問題なく過ごしているとのことです。

【体験談】60代でも膝の痛みやO脚は改善できる!

Nさんは10代の頃から右膝が悪く、歩くときにはいつも膝がカクカクなることが悩みでした。

病院では変形性膝関節症と診断されましたが、手術をするほどではなかったため、湿布薬を渡されただけで、治療はなかったと言います。

自分自身がO脚であることには気が付いていましたが、どこに行っても改善することはなかったので、60代まで放置していたそうです。

しかし膝の痛みが徐々に強くなり、友人の紹介で私のクリニックに来ました。そして、フットスキャンで足底圧を計測すると、ところどころ足指が地面についていないことがわかりました。

60代でも膝の痛みやO脚は改善できる

Nさんの足指は「浮き指」で、特に小指が地面から離れていたためにO脚になったと予測できました。

そこで、足指ストレッチ「ひろのば体操」と足指矯正ソックス(足指サポーター)「YOSHIRO SOCKS」で足指のケアを行うように指導しました。

すると、2週間ほどですべての足指が地面に着くようになり、人からも歩き方が変わったと言われるようになったそうです。それと同時に、膝の痛みも、歩くときに膝がカクカクする症状もすっかり消えてしまいました。

フットスキャンで足底圧を計測

治療開始前と3週間後の写真を比較

そして、治療開始前と3週間後の写真を比較すると、膝もすっかり閉じて、O脚が改善したことがはっきりわかると思います。

Nさんは、いつもスリッポンタイプの靴を履いていたのですが、治療後は靴の中で足が滑ることがわかるようになり、足をしっかり固定できるタイプの靴に変えたということでした。

O脚が気になるけれど「ずっとこんな脚だったし、もう治らない」と諦めている方も多いともいます。しかし、外反母趾と同様に、脚のゆがみにも必ず原因があります。

KさんやNさんのように、足指ストレッチでO脚は改善できる、という事実をまずは知ってください。そして、変形性膝関節症になってから後悔しないために、早めに対策を始めることが大切です。

次回は「X脚(外反膝)」について、ご紹介します。

構成=竹下沙弥香(ハルメクWEB)

※この記事は2021年1月の記事を再編集をして掲載しています。

■もっと知りたい■

湯浅慶朗

ゆあさ・よしろう 理学療法士。足指研究所所長。ハルメク靴の共同開発者。一生歩き続けられる体をつくる「ひろのば体操」や「YOSHIRO SOCKS」を考案し、東京大学との共同研究や学会発表も実施。著書に『たった5分の足指つかみで腰も背中も一生まがらない!』(PHP研究所刊)など。

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