膝関節の痛みに、運動や治療、手術は必要?

膝が痛い!痛みの症状チェックリストと原因・対処法

公開日:2020/10/21

18

40代・50代頃から膝の痛みに悩む人が増えるよう。「膝が痛い原因は何?」という人のために、変形性膝関節症や関節リウマチなど、症状チェックリストを元に膝痛の原因を解説します。ストレッチや筋トレなど、膝の痛みの予防・セルフケア方法も紹介します。

膝が痛い原因は?
膝が痛い原因は?

なぜ痛むのか? まずは膝の構造を理解しよう!

歩く・立つ・座るといった日常の動作をする上で、膝は重要な役割を担っています。地面からの衝撃を吸収し、脚をスムーズに動かすために、膝は複雑な構造になっているのです。まずは膝関節の構造について見ていきましょう。

膝の構造
膝の構造

膝関節

膝関節は太もも、すね、膝のお皿の骨、それを支える靭帯や筋肉、そしてクッションの役割をする軟骨や半月板でできています。

大腿骨(だいたいこつ)

太ももの骨である大腿骨の下端が、膝の上部になっています。大腿骨は私たちの体を構成する骨のうち、一番長くて大きな骨です。

脛骨(けいこつ)

すねの骨。脛骨の上端が膝の下部になっています。脛骨は体の中で、大腿骨の次に長い骨です。

膝蓋骨(しつがいこつ)

膝の前面の骨。その形から「膝の皿」とも呼ばれています。

軟骨

膝はいうなれば大腿骨と脛骨のつなぎ目であり、そのつなぎ目を上からカバーしているのが膝蓋骨です。3つの骨が接する部分はやわらかい軟骨(なんこつ)で覆われ、膝をスムーズに動かしたり、衝撃を吸収したりする役割を持っています。軟骨は、70%以上が水分でできています。

半月板(はんげつばん)

膝関節の大腿骨と脛骨の間にある三日月形をした軟骨様の組織。膝の内側・外側にそれぞれがあり、膝を安定させたり、歩いたり走ったりしたときのクッションのような役割を果たしています。

靱帯(じんたい)・筋肉

骨と骨をつなぎ膝関節を支えているのが、靭帯や筋肉です。膝は大きく曲げられますが、横には動きません。これも靭帯や筋肉が骨をしっかり支え、動きを制限しているからです。

病院受診の必要はある? 膝の痛みの症状チェックリスト

ひと言で「膝が痛い」と言っても、原因はさまざま。病院で治療の必要があるものと、自宅での運動やストレッチで改善できるものがあります。病院を受診すべき膝痛かどうか判断するために、まずは下記の項目に当てはまるものがないか、チェックしてみてください。

  1. 朝起きて膝を動かすと痛む
  2. 歩き始めるときに膝が痛む
  3. 階段の上り下りのときに痛む
  4. 椅子から立ち上がるときなどに痛む
  5. 正座がうまくできない
  6. 長時間(30分以上)歩くと膝が痛む
  7. 膝を動かすとギシギシ音がする
  8. 膝が腫れている
  9. 膝の内側を押すと痛む
  10. 市販の湿布や鎮痛剤があまり効かない

病気の可能性のある膝の痛み

チェックリストの下から3項目(8~10)に当てはまる場合は、「変形性膝関節症(へんけいせい・しつ・かんせつしょう)」の可能性があります。早めに医師に相談してください。

セルフケアで様子を見る膝の痛み

それ以外項目は、まだ病気の予備軍。膝に過度の負担をかけないようにして、後で紹介する筋トレ(筋肉トレーニング)や運動を心掛け、膝関節のセルフケアを意識してください。

ただし、合計3つ以上の項目に当てはまる場合や日常生活に支障が出ている場合は、念のため整形外科などの病院を受診しましょう。

膝が痛い原因1:変形性膝関節症 

膝が痛い原因1:変形性膝関節症
膝が痛い原因1:変形性膝関節症

変形性関節症は、関節の中でクッションの役割をしている軟骨(関節軟骨)がすり減ることで、関節内に炎症が起きる他、関節が変形することで痛みや腫れを生じる病気です。膝の他、股関節や肘(ひじ)、肩などの関節に生じ、腫れや関節痛を引き起こします。

そのうち、変形性膝関節症とは、体重や加齢などの影響から膝の軟骨がすり減り、膝に強い痛みを生じるようになる病気です。

厚生労働省では、変形性膝関節症患者数を約1000万人と推定しており、痛みを自覚していないレントゲン検査の所見上での患者数まで含めると約3000万人にも及ぶといわれています。

罹患率に男女差があり、50歳以降では、女性の方が男性よりも1.5倍~2倍、かかりやすいとされます。

症状

朝起きて歩き始めたときなど、動き始めに膝に違和感を感じる、これが初期の代表的な症状です。他にも、長い時間歩いたときや、椅子から立ち上がるときに違和感や多少の痛みを感じます。しかし、初期のうちは、しばらく休んでいると痛みはなくなります。

症状が進むと、歩くと常に痛みを感じるようになったり、膝を曲げ伸ばししづらくなったりします。

正座ができない、階段の上り下りがつらい、といった症状の他、膝に水が溜まる・腫れる・熱を持つなどの症状も現れます。膝関節の変形が進むとO脚になる場合もあります。

原因

変形性膝関節症の原因は加齢
変形性膝関節症の原因は加齢

変性性膝関節症の最大の原因は、加齢です。膝関節にあるやわらかい軟骨は、年齢とともにすり減ってしまいます。軟骨はほとんど再生しないため、毎日体重を支え、衝撃を受け止めることで、軟骨は少しずつすり減ってしまいます。

軟骨がすり減り、骨と骨の間隔が狭くなると、骨同士がこすれ合うようになるため、炎症や膝の痛みが進行していきます。

その他、骨折や半月板損傷などの外傷、化膿性関節炎など感染症の後遺症として発症することもあります。

対処法・治療法

変形性膝関節症の治療方法は、大きく分けて保存療法と手術療法(外科治療)の2つです。

保存療法

保存治療の第一歩は、まず、膝への負担を減らし、軟骨をできるだけ減らさないようにすること。正座や立ち仕事など、膝に負担をかける行為はできるだけ減らします。また、肥満気味の人は体重を減らすことも効果的です。その他、筋トレで関節まわりの筋肉を鍛える他、靴を履き分けることも膝への負担を減らす効果が期待できます。

痛みが続く場合は、痛み止めや湿布を使う、関節にヒアルロン酸を注射するなどの処置で軟骨を保護します。

手術療法(外科治療)

痛みがひどくなって、日常生活に支障が出る場合は手術(外科治療)が必要になります。初期の段階であれば、内視鏡を使って膝関節の軟骨をクリーニングするだけで済むので、比較的に負担が少なくて済みます。

高位脛骨骨切り術(HTO手術)は、すねの骨(脛骨:けいこつ)を切り取って、膝の角度を変え、膝の内側にかかっていた負担を外側に変える手術です。膝関節はそのまま残るため、リハビリをしっかり行えば、回復後は正座やスポーツも可能になります。

膝が大きく変形して痛みが強く、日常生活に支障が出ている場合には、膝関節を人工関節に置き換える人工関節置換術を行います。近年では人工関節の性能が向上し、15年前後は使用可能となっています。

膝が痛い原因2:関節リウマチ

膝が痛い原因2:関節リウマチ
膝が痛い原因2:関節リウマチ

関節リウマチは、関節に炎症が起きて骨や軟骨を破壊し、関節が変形してしまう病気です。免疫の働きに異常が生じて発症すると考えられていますが、明確な原因はまだわかっていません。

症状

関節リウマチは、関節が腫れるとともに、激しい膝の痛みが出ます。前述の変性性膝関節症とは違って、関節を動かさなくても痛みが出るのが特徴です。男性よりも女性に多く(男女比は1対4)、40代〜50代での発症が多くなっています。

初期の症状は、関節のこわばりや腫れ、痛みなど。起床時に手が握りにくい、手足を動かしにくいといった「朝のこわばり」が特徴です。

症状が進行すると関節に炎症が生じ、痛みや腫れが出てきます。さらに進むと骨まで破壊されてしまうこともあります。

原因

関節リウマチは、免疫の異常が原因と考えられています。関節は関節包という袋状の組織に包まれており、関節包の内側には滑膜(かつまく)という膜があります。関節リウマチになると、この滑膜が炎症を起こし、関節の骨や軟骨を破壊してしまいます。

対処法・治療法

関節リウマチは原因が解明されておらず、治療が難しい病気ですが、近年は治療法が格段に進歩し、病気の進行が止まる患者さんも珍しくなくなりました。

関節リウマチの治療目標は、病気が落ち着いて症状がなくなる『寛解(かんかい)』という状態に導くこと。早期に見つけて適切な治療をすれば、早い人だと3か月程度で病状が落ち着くこともあります。

関節リウマチは、早期発見・早期治療が重要です。関節リウマチの発症は血液検査やエコーでわかるので、症状がある方は身近な医療機関で検査を受けることをおすすめします。

膝が痛い原因3:大腿骨顆部骨壊死

膝が痛い原因3:大腿骨顆部骨壊死
膝が痛い原因3:大腿骨顆部骨壊死

太ももの骨(大腿骨)の下端(大腿骨顆部)が壊死してしまう病気が大腿骨顆部骨壊死(だいたいこつ・かぶこつ・えし)です。膝の痛みが強く、寝ているときも痛みを感じることがあります。

症状

歩いているときに突然、膝に激痛が走ります。60歳以上の女性に多く見られますが、壊死が始まっても始めは気付きにくく、レントゲンでもわからないことがほとんどです。症状が進むと、患部が陥没してしまうこともあります。

壊死の範囲が小さい場合は、自然と痛みが軽減することもありますが、多くの場合は歩いたり、運動したりして負担がかかると膝の痛みが強くなっていきます。

原因

大腿骨への血の流れがなんらかの原因で悪くなり、体重のかかる大腿骨の組織が壊死してしまうことで発症します。年齢とともに骨が弱くなっていることが原因の一つと考えられていますが、はっきりとした原因はわかっていません。

対処法・治療法

痛みが弱く、壊死した部分が小さい場合は、保存療法で対処します。

変性膝関節症の場合と同じように、まず膝に負担をかけないようにし、肥満気味の人は体重を減らします。膝まわりの筋肉を鍛える運動療法を取り入れる他、靴に中敷きを入れて膝にかかる負担を軽減します。痛みが強いときには鎮痛剤を使います。

壊死が進行した場合は、手術療法(外科治療)に移行します。手術方法は、自分の骨軟骨を移植する手術の他、変性膝関節症と同じように、高位脛骨骨切り術(HTO手術)や人工関節に置き換える手術などがあります。

運動不足はNG!加齢による膝の痛みの予防策

加齢による膝の痛みの予防策
加齢による膝の痛みの予防策

膝は、何千回、何万回と曲げ伸ばしされ、私たちの体重を支え、地面からの衝撃を受け止めています。加齢とともにクッションの役目を果たしている軟骨が減って弱くなり、膝を支えている筋肉が弱くなることで痛みが出ることがあります。

膝が痛いときは動くのが不安になると思いますが、運動不足などで膝の筋肉が少なくなると、その分、膝への負担が大きくなってしまいます。また、動かないままでいると膝まわりの筋肉の柔軟性がなくなり、かえって痛みが悪化することもあります。

膝の痛みの改善や予防に効果的なのは、ストレッチや筋トレなどの運動です。膝を支える筋肉を鍛えることで、膝の動きが安定し、軟骨にかかる負担を減らすことができます。また、日頃からウォーキングなど負荷の少ない運動を行うことで、筋肉の衰えを防ぐことも大切です。

ここでは、2つの筋トレ方法をご紹介します。足の筋力をつけることは、介護予防にもつながります。痛みがない人もぜひ挑戦してみましょう。

膝痛に効果的!座って太もも前の筋トレ

膝が痛いときの改善方法:太もも前の筋トレ
膝が痛いときの改善方法:太もも前の筋トレ

太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)を鍛えるトレーニングです。大腿四頭筋は歩くときに重要な役割を果たします。

  1. いすに浅めにすわり、胸を張って、手は太ももの付け根の上に置きます。
  2. 片方の足を伸ばして、かかとを床から少し(1cmくらい)浮かせます。
  3. そのまま5秒キープしたら、力を緩めて下ろします。これを10回繰り返します。
  4. 足を入れ替えて、同じように繰り返します。

痛みを抑えて筋力アップ!寝たまま足上げ

いすに座った足上げトレーニングが楽にできるなら、寝たままの姿勢での足上げトレーニングにもチャレンジしてみましょう!

  1. 仰向けに寝て、左足は膝を立てます。右足は伸ばして、つま先は上に向けます(足首を90度にします)。
  2. 右足を伸ばしたまま、かかとを10cmくらい浮かせます。
  3. そのまま3秒キープしたら、力を緩めて下ろします。これを5〜10回繰り返します。
  4. 足を入れ替えて、同じように繰り返します。

(筋トレ監修:東京大学医学部附属病院22世紀医療センター・松平浩先生)

運動以外の膝痛対策・セルフケアもチェック!

膝が痛いときのセルフケア方法
膝が痛いときのセルフケア方法

ストレッチや筋トレなどの運動の他にも、膝の痛みを自分でケアする方法があります。

運動以外にできるセルフケア1:クッション性が高い靴を選ぶ

膝のセルフケアには靴も重要になります。靴底がすり減った靴を履き続けていませんか? すり減った靴を履き続けると、膝への負担がさらに大きくなります。膝が痛い場合はクッション性が高い靴を選ぶようにしましょう。

運動以外にできるセルフケア2:サポーターで膝を安定させる

膝を支える筋力が低下している場合は、サポーターを使って膝関節を支えて安定させることで、軟骨への負担を減らすこともできます。

膝の痛みの原因となる加齢は避けることはできませんが、筋トレやストレッチ、入浴時のマッサージや靴選びなど、適切なケアで痛みを軽減・予防することはできます。膝関節のケアを積極的に行い、アクティブな毎日を送りましょう。

運動以外にできるセルフケア3:冷えによる痛みは温める

特に冬など寒い時期は、血行不良により膝が痛くなりがちです。冷えにより痛みを強く感じるときは、膝を温めるようにします。お風呂の中で膝をゆっくり曲げ伸ばしすると効果的です。

※セルフケアをしても痛みが続く場合は、我慢せず、早めに医師に相談してください。

■膝が痛い原因・治療法について教えてくれたのは?

かわかみ整形外科クリニック 院長・医学博士
川上洋平さん

 

監修者:川上洋平さん

かわかみ・ようへい 神戸大学医学部卒業。米国ピッツバーグ大学に留学し、膝スポーツ疾患や再生医療を学び、北播磨総合医療センター、神戸大学病院、新須磨病院勤務を経て、患者さんにやさしく分かりやすい医療を提供することを目的に、かわかみ整形外科クリニックを開業。日本整形外科学会専門医、日本リハビリテーション医学会認定医、再生医療学会認定医。英文論文執筆多数。専門は膝関節外科、スポーツ障害、再生医療。


取材協力:かわかみ整形外科クリニック

■もっと知りたい■

ハルメクWEB編集部

雑誌「ハルメク」の公式サイト。50代からも輝く女性の毎日を応援する、暮らしや美容に役立つ記事をお届けします。 無料会員登録をすれば、会員限定記事へのアクセスや豪華プレゼント応募などの特典も!

この記事をマイページに保存

\この記事をみんなに伝えよう/

ページ先頭へ