隠れた国民病!手指のしびれ・痛みとは?
2025.01.082024年03月19日
早期の薬物治療で寛解を目指す!
関節リウマチとはどんな病気?症状と日常生活のケア法
最近、朝の身支度や朝食準備のときに「手が痺れて動きにくい」と感じたことはありませんか? 関節リウマチは、女性に多く発症のピークは40~50代。関節リウマチの治療はとにかく先手必勝です! まずはセルフチェック、日常生活のケア方法も紹介します。
関節リウマチの原因は免疫の異常!早期治療がカギ
関節リウマチとは、免疫に異常が起こる自己免疫疾患の一つ。本来、自分を守るはずの免疫細胞が、関節の中にある「滑膜(かつまく)」を“敵”と見なして攻撃するようになり、その結果、関節に炎症が生じ、痛みや腫れが出てきます。さらに進むと骨まで破壊されてしまうこともあります。
そのため「関節が変形したり動かせなくなったりして、いずれは歩くこともできなくなる」というイメージが強かった関節リウマチですが、治療法が格段に進歩し、病気の進行が止まる患者さんも珍しくなくなりました。
「効果の高い薬が続々と登場し、リウマチ治療はこの十数年間で劇的に変わりました。痛みなどの症状を取るだけでなく、病気そのものの進行を抑えることが可能になったのです。早期に見つけて適切な治療をすれば、早い人だと3か月程度で病状が落ち着くこともあります」と慶應義塾大学医学部 リウマチ・膠原病内科教授/日本リマウチ学会 理事長の竹内勤さんは話します。
今すぐ確認!関節リウマチの症状チェックリスト
関節リウマチは女性に多い病気で、発症のピークは40〜50代ですが、60代以降で発症することも少なくありません。高齢化に伴い患者数も増加。現在、70〜80万人(※)の患者がいるとされています。
※ 引用元 厚生労働省:リウマチ・アレルギー対策委員会報告書について(2011年8月)
初期の症状は関節のこわばりや腫れ、痛みなど。特に朝起きたときに手が握りにくい、手足を動かしにくいといった「朝のこわばり」が特徴です。
まずは該当する症状がないか、チェックしてみましょう。
こんな症状はありませんか?
- 朝起きたときに関節のこわばりが15分以上続き、この症状が1週間以上続く。
- 全身の3つ以上の関節が腫れ、この症状が1週間以上続く。
- 手指の第2・第3関節、手首、足首、足指のつけ根の関節の腫れが1週間以上続く。
- 左右の関節が腫れ、この症状が1週間以上続く。
上の症状がある人は早めに病院受診を。関節リウマチは、早期発見・早期治療が重要です。
「関節リウマチの発症は血液検査でわかるので、心当たりの症状がある方は、身近な医療機関で検査を受けることをおすすめします。結果が陽性ならリウマチ専門医を受診して、詳しく診てもらうといいでしょう」
早期の薬物治療で8割が治癒に近い「寛解」状態に!
関節リウマチの治療はとにかく先手必勝です。
「関節リウマチは初期ほど関節の破壊が進みやすいので、最初が肝心。抗リウマチ薬で関節の炎症を強力に抑え、骨の破壊が起こらないようにします」と竹内さん。
抗リウマチ薬には多くの種類がありますが、主役になるのは免疫抑制薬と生物学的製剤です。
免疫抑制薬は免疫の働きを抑える薬です。生物学的製剤は免疫の異常を引き起こす物質(炎症性サイトカイン)や免疫細胞の働きを徹底的に抑えこむ切り札的存在。免疫抑制薬が効かない場合、出番となります。
「関節リウマチの治療目標は、病気が落ち着いて症状がなくなる『寛解(かんかい)』という状態に導くこと。治療開始から1年を目途にこれを目指します。現在はこれらの薬を上手に使うことで、8割程度の患者さんが寛解に至るようになりました」と竹内さんは話します。
治療効果を高めるためには、薬といかにうまく付き合っていくかが鍵となります。
「薬は3か月ごとに効果を評価し、効かない場合は別の薬に切り替えます。その患者さんに合った薬を選ぶことが重要です」と竹内さん。
長い間、治療をしているのによくならないという人は、薬物療法に詳しい専門医に診てもらうといいでしょう。
病気と上手に付き合うための日常生活のケア
関節リウマチの症状を和らげるためには、日常生活のケアも大切です。
けがや疲労といった肉体的ストレス、落ち込んだり、くよくよしたりする精神的なストレスも、免疫の働きを活発にし、病気の悪化につながります。
「調子のいいときもあれば、悪いときもあります。あまり心配し過ぎず、自分のペースで病気と付き合うことが大切ですね」と竹内さん。
また、冷えると関節のこわばりや痛みが増しますから、お風呂でしっかり体を温めたいましょう。関節を動かしたり、筋力を強化したりする体操もおすすめです。
日常生活はこんなことを心掛けて!
ストレスをためない
イライラ、クヨクヨは大敵。精神的ストレスは病気を悪化させます。のんびり、ゆったりを心掛け、笑ったり、おしゃべりしたりする楽しい時間もつくりましょう。
寝る前にお風呂で体を温める
体が温まると血行がよくなり、関節のこわばりや痛みも和らぎます。夜寝る前にぬるめのお湯に長めに入り、芯からぽかぽかに。湯冷めをしないよう気を付けて。
リウマチ体操を毎日の習慣にしよう!
「筋肉や腱を鍛えることで関節への負担が減り、関節機能の維持に役立つ」という、リウマチ体操を竹内さんに教えてもらいました。体操の回数は、それぞれ毎日5〜10回ずつ3セットが目安です。
両手で押し合い筋力アップ
左右の手のひらを合わせ、矢印の方向に力を入れて押します。関節を動かさずにできるので、炎症が強いときでもOK。
タオルをはさむ簡単筋トレ
バスタオルを丸めて肘の関節の間に置き、それをはさみ押すように腕を内側にゆっくり縮めます。肘だけでなく、膝の裏にはさんで屈伸しながら押すのも効果的。
太ももの筋肉を強化
いすに座り、膝を伸ばした状態でゆっくり片脚を上げ、そのまま5〜10秒間静止させた後、ゆっくり下ろします。痛みが翌日にも残る場合は、やり過ぎなので運動量を減らしましょう。
監修者プロフィール:竹内勤さん
たけうち・つとむ 慶應義塾大学医学部 リウマチ・膠原病内科教授/日本リマウチ学会 理事長。1980年、慶應義塾大学医学部卒業。同大学病院内科助手、米国ハーバード大学ダナ・ファーバー研究所留学、埼玉医科大学総合医療センターリウマチ・膠原病内科教授を経て、2009年から現職。著書に『患者のための最新医学 リウマチ』(高橋書店刊)などがある。
取材・文=佐田節子 イラスト=浦恭子
※この記事は雑誌「いきいき(現ハルメク)」2012年1月号に掲載された内容を再編集しています。
※効果には個人差があります。試してみて異変を感じる場合はおやめください。
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