湯浅慶朗の一生自分で歩く足育塾・9

1か月で改善!X脚矯正に効果的なストレッチと靴選び

公開日:2021.02.20

更新日:2023.12.05

「X脚(外反膝)」今は見た目だけの問題でも、放っておくとひざの痛みの原因になる可能性も!理学療法士の湯浅慶朗さん(足指研究所・所長)に、X脚矯正におすすめのストレッチや靴選びを聞きました。実際に患者さんが改善した体験談もご紹介します!

X脚矯正に効果的なストレッチと靴選び
X脚矯正に効果的なストレッチと靴選び

著者プロフィール:湯浅慶朗

執筆者プロフィール:湯浅慶朗

ゆあさ・よしろう 医療法人 豊愛会 豊北病院 理事。豊北病院附属 通所リハビリテーションセンター長(脳卒中 知覚障害 回復専門リハビリ)。足指研究所 所長。

独自に開発した足指を広げて伸ばす「ひろのば体操」や「矯正用五本指靴下 YOSHIRO SOCKS」を世に広めるべく、全国で講演を行っている。また、リハビリテーションの安全性や効果の検証を目的として、東京大学スポーツ先端科学研究拠点との共同研究や学会発表も実施。NHK「ガッテン」などにも出演し、著書に『たった5分の足指つかみで腰も背中も一生まがらない!』(PHP研究所刊)、『1日5分! 足指をそらすと健康になる』(PHP研究所刊)など。

X脚にも正常な場合がある?「病的なX脚」との違いは?

X脚の進行:軽度・重度の症状

「ノックニー」とも呼ばれる外反膝(がいはんしつ)は、脚をまっすぐにしたときに膝が角度を付けて互いに接触する状態のこと。

膝を揃えた状態を真正面から見たときに、曲がった脚がアルファベットの「X」の文字に見えることから、X脚という通称で広く呼ばれています。

重度の外反膝変形のある人は、足をまっすぐにしても、足先が触れることがありません。

両脚を揃えて立ったときに、内側のくるぶしはつかないのに膝がぶつかってしまう状態(ニーイン・トゥアウト)であれば、X脚の可能性が高いといえます。

X脚は以前は欧米人に多く見られる症状でしたが、近年では日本人女性にも多く見られるようになってきました。特に、男性よりも女性に多いとされます。

前回解説したO脚と同様、X脚も放置することで、変形性膝関節症の原因になる可能性があります。

また、X脚により足裏のアーチ構造が崩れると、外反母趾や扁平足になるリスクも高まるため、注意が必要な足のトラブルの一つです。

子どもの成長過程でよく見られる「正常なX脚」とは?

実は、軽度のX脚は2歳から5歳までの子どもに見られる症状で、成長するにつれて自然に矯正されることがよくあります。

これらは「正常なX脚」と言うべき症状で、胎児が子宮内で取っていた体位などが原因と考えられています。

足の傾きが左右対称で日常生活に問題がないようであれば、特に治療の必要もなく、7~8歳頃までに自然と矯正されます。

8歳以降もX脚のままであれば「病的なX脚」の場合も

しかし、8歳を過ぎてもX脚のままであり、成長に伴い痛みや足が不安定で日常生活に支障が出る「病的なX脚」の場合には、治療を検討することになります。

特に、くる病などの病気の結果である場合は、年齢とともに状態が継続または悪化する可能性があります。

10歳以上で15~20度以上の変形を伴う重症のX脚の場合は、手術(内反骨切除)も検討します。

また、先天性または原因不明の「特発性X脚」や、シュナイダー結晶性角膜ジストロフィー、高脂血症で頻繁に報告される常染色体優性状態など、他の病気がX脚の原因になるケースもあります。

多くのX脚の原因は足の筋力低下と親指の機能不全!

しかし、X脚の多くはこうした「病的なX脚」ではなく、姿勢や歩き方など「生活習慣によるX脚」であることが知られています。

X脚の原因の一つに「内反足」があります。

内反足とは、足の筋力の低下によって、かかとの骨をまっすぐに保つことができなくなり、足が内側に倒れて下腿骨(ひざ下の骨)が外に弯曲(わんきょく)すること。

つまり、これまで解説してきた、外反母趾内反小趾と同じように、足の筋力低下がX脚の原因になることがあるのです。

X脚の原因:内反足

X脚のもう一つの原因が「親指の機能不全」です。

親指には、足にかかった体重が内側に倒れないようにするためのストッパーの役割があります。この親指が機能不全になると、足が内側に倒れて、下腿骨(ひざ下の骨)が内側に弯曲(わんきょく)します。

この弯曲がX脚の原因になってしまうのです。
 

X脚の原因:親指の機能不全

こうした「生活習慣によるX脚」を予防するためには、足の筋力低下を防ぐ正しい靴選びがとても大切です。

【体験談】X脚が足指ストレッチと靴選びで改善!

Sさんは、20代の頃からX脚でしたが、1年前からひざの痛みが出てきて、変形性膝関節症と診断されました。

あまりの痛みに仕事も辞めざるを得なくなり、座薬と湿布を毎日使用し、2週間おきに関節注射をしていたそうです。

それでも痛みは改善せず、手術するしかないといわれ、他の治療法を求めて相談に来られました。

見ると、足は強度のかがみ指で、バランスをとるためにひざを曲げて立っていました。

Sさんの場合、X脚の原因は靴の選び方にありました。Sさんが履いていた靴は「スリッポン」タイプのもので、靴の中で足が滑りやすいものだったのです。

そこで、足を固定できる紐靴タイプに変更してもらい、「ひろのば体操」や足指矯正ソックス「YOSHIRO SOCKS」で足指伸ばしを実践してもらったところ、1か月後に足の親指のしびれが解消。ひざの痛みも軽減し、座薬と湿布が必要なくなりました。

さらに、3か月後にはかがみ指も治り、ひざを伸ばして立てるようになりました。

矯正インソールでは不十分!O脚・X脚は靴選びが大切

「生活習慣によるX脚」の場合、骨そのものが曲がっていたとしても、時間をかけて足指のケアを行うことで、骨をまっすぐに近づけることができます。

O脚やX脚は、今は見た目だけの問題でも、放っておくと中年期以降、ひざの痛みの原因になったり、変形性膝関節症の原因になることもあります。

若い頃には筋力でひざを支えていたものの、年を取って筋力が低下したり、体重が増加すると、重みに耐えきれずに膝関節の変形が進むためです。

また、自分では対策しているつもりでも、市販のO脚X脚矯正インソールが足に合っておらず、痛みを悪化させていることもあります。

矯正インソールやサポーターは、あくまで足の痛みなどの症状を軽減するためのもの。まずは、根本原因となる生活習慣を見直すことが大切です。

将来後悔しないために、X脚に効果的な足指ストレッチ&足の筋力低下を防ぐ正しい靴選びを始めませんか?

次回は「タコ・魚の目の原因と治し方」をご紹介します。

構成=竹下沙弥香(ハルメクWEB)

※この記事は2021年2月の記事を再編集して掲載しています。

■もっと知りたい■

湯浅慶朗

ゆあさ・よしろう 理学療法士。足指研究所所長。ハルメク靴の共同開発者。一生歩き続けられる体をつくる「ひろのば体操」や「YOSHIRO SOCKS」を考案し、東京大学との共同研究や学会発表も実施。著書に『たった5分の足指つかみで腰も背中も一生まがらない!』(PHP研究所刊)など。

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