湯浅慶朗の一生自分で歩く足育塾・10

足の裏のタコ・魚の目の原因は靴の履き方!治し方は?

公開日:2021.03.14

更新日:2024.01.25

女性に多い足のトラブル「タコ・魚の目」。もしできてしまったら、靴の履き方を見直すことが大切と、理学療法士の湯浅慶朗さん(足指研究所・所長)は言います。「一生歩ける足」を育てるために、「タコ・魚の目」の原因と治し方について伺いました。

足の裏のタコ・魚の目の原因は靴の履き方!治し方は?
足の裏のタコ・魚の目の原因は靴の履き方!治し方は?

足裏トラブル!魚の目(ウオノメ)とタコの違いは?

足の裏や指の付け根など、同じような場所に症状が出る足のトラブルに、「魚の目」と「タコ」があります。

どちらも皮膚の角質化によるものですが、魚の目は中心に芯ができて強い痛みを感じるのに対し、タコには芯がなく痛みもそれほど強くない、という違いがあります。

魚の目(ウオノメ、鶏眼:けいがん)とは?

魚の目(ウオノメ、鶏眼:けいがん)とは?

魚の目とは、長期間圧迫や摩擦などの刺激が加わり続けた事で、皮膚の角質が部分的が厚く硬化したもの。サイズの合わない靴・靴の履き方・歩き方などが、魚の目の原因です。

足の一部に刺激がかかると、皮膚の内部を守ろうとして、角質層が皮膚内部に向かって円錐状に蓄積していきます。これが魚の目の「芯」です。

その形状が魚の眼球に似ている事から「魚の目(ウオノメ)」という名前がついたといわれており、芯の部分が神経付近まで届くと、痛みを伴います。

ちなみに、魚の目は医学用語では「鶏眼(けいがん)」と呼ばれます。これは、ドイツでは「魚の目」ではなく「鶏の目」に似ているとされたため。症状やできる場所により「硬性鶏目」 「軟性鶏目」 「粒状鶏目」 という3種類に分類されます。

タコ(胼胝:べんち)とは?

タコ(胼胝:べんち)とは?

タコとは、皮膚表面の角質が硬くなり、厚く黄ばんで盛り上がった形状になったもの。医学用語では「胼胝(べんち)」と呼ばれます。

タコができる原因も「魚の目」と同じで、足の皮膚表面の角質層が厚くなることですが、魚の目のように芯はありません。痛みはあまりなく、どちらかといえば感覚が鈍くなったと感じる程度です。

外反母趾や浮き指の人は魚の目やタコができやすい

魚の目やタコは、足指の変形や足の機能不全と密接な関係があることが知られています。

外反母趾や親指の機能不全により重心が内側にかかると、親指の外側に魚の目やタコができやすくなります。

一方、内反小趾や小指の機能不全により重心が外側にかかると、小指の外側に魚の目やタコができやすくなります。

外反母趾や浮き指の人は魚の目やタコができやすい

また、「浮き指」や「かがみ指」など、足指の変形が起こった場合も、足の裏の体重が「踵(かかと)・指の付け根・指先」の3点に集中するため、魚の目やタコができやすくなります。

かがみ指では足指の上の関節部分もしくは足指先端に、浮き指では浮いている指の付け根にできやすいという特徴があります。

魚の目やタコができやすい

魚の目やタコができたら靴の履き方を見直すこと!

魚の目やタコができたら、まずは自分自身の足指に変形がないかを探してみましょう。

私の経験上、靴による「圧迫」よりも、「摩擦」による刺激が魚の目やタコの原因になることが多いと感じます。

つまり、スニーカーでもパンプスでも、どんな形状の靴でも足にきちんと固定していれば、魚の目やタコはできにくいということなのです。

そして、靴の履き方と同時に大切なのが、足に合うサイズの選び方。外反母趾や魚の目などで足が痛いと、幅広の靴を選びがちですが、大きすぎる靴は摩擦が起こりやすいのでNG。適切なサイズの靴を選びましょう。

魚の目やタコができたら靴の履き方を見直すこと!

【靴の種類別】靴を足に固定する方法・サイズ選びのコツ

  • スニーカー、ウォーキングシューズ→紐を締める
  • サンダル→調整式のベルトやマジックテープなどで固定する
  • ブーツ→足のサイズの0.5cm大きいものを選び、足の甲のラインを合わせる
  • パンプス→足のサイズと同じサイズか+0.5cmで、幅の狭いものを選ぶ

私はこれまで7万人以上の方の足と靴の履き方を診てきましたが、魚の目やタコができている方で、上記のことをクリアしている人は0人でした。「紐を締めている」と答えた方でも、しっかり固定できている人はおらず、実際には「締めているつもり」だったのです。

「タコができたから」とすぐに靴を変える人もいます。しかし、靴を足に固定しない限り根本的解決にはならないので、まずは靴の履き方を変えることが重要です。

その上で、変形した足指のケアを行うこと。

足の変形は靴やインソールを変えるだけでは難しいというのは、多くの人が経験しているかと思います。

これまでにご紹介してきた足指ストレッチ「ひろのば体操」や、足指矯正ソックス「YOSHIRO SOCKS」などで、足指の変形や機能不全を改善することで初めて、足のトラブルを根本から治すことができるのです。

【体験談】毎日パンプスを履く人でもタコは治せる!

20代女性のNさんは、以前から足の親指の付け根が出っ張っていて、「外反母趾の形だな」と思っていたそう。痛みがないのでそのままにしていましたが、1年ほど前から急に痛み始め、私のクリニックを訪れました。

Nさんの足をチェックすると、外反母趾だけでなく、全部の足指が丸まった状態の「かがみ指」になっており、特に人差し指と中指の先には、タコができていました。タコのことは、自分ではまったく気がついていなかったそうで、指摘するととても驚いていました。

Nさんにその日から毎日、お風呂上がりに「ひろのば体操」をしてもらったところ、約2か月後には足の痛みが消え、足指の変形も改善。指先のタコもほとんど消えました。

職場ではパンプスを履く規則があるので、以前と変わらずパンプスを履いていたそう。それでも「ひろのば体操」を続けることで、タコを治すことができたのです。

足のトラブルに共通する原因は靴選びと足の筋力低下

これまで、連載「湯浅慶朗の一生自分で歩く足育塾」では、10回に渡り外反母趾内反小趾O脚X脚、魚の目・タコについて解説してきました。

これらの足のトラブルの原因がすべて、足に合わない靴と足の筋力低下(足指の変形・機能低下)にあることが、理解いただけたのではないでしょうか?

そして同時に、足のトラブルは正しい靴の選び方や履き方、歩き方で改善できることも、みなさんは知っています。

以下の5つのポイントを今一度おさらいして、「一生歩ける足」をしっかり育てていきましょう!

「一生歩ける足」を育てる5つのポイント

  1. 靴選び:先端の狭い靴を避け、5本の指が靴の中でしっかり伸びて広がるものを選びましょう。しっかり足を固定できるものが理想です。
  2. 靴の履き方:かかとを踏まないように靴べらを使い、足と靴をフィットさせるために、体重を足に乗せた状態で紐を締めるようにしましょう。
  3. 靴下選び:足指を圧迫するものは避け、足が滑らないような素材を選びましょう。
  4. 歩き方:足はかかとから地面につき、つま先で離れるのが基本です。意識してその歩き方を行うのは難しいため「小股歩き」を心掛けましょう。
  5. よく歩く:足の筋力低下を防ぐためにも、1日6000〜7500歩を目標に歩きましょう。

今回で連載は終了となりますが、折に触れて1回目からぜひ読み返していただければ幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

著者プロフィール:湯浅慶朗

執筆者プロフィール:湯浅慶朗

ゆあさ・よしろう 医療法人 豊愛会 豊北病院 理事。豊北病院附属 通所リハビリテーションセンター長(脳卒中 知覚障害 回復専門リハビリ)。足指研究所 所長。

独自に開発した足指を広げて伸ばす「ひろのば体操」や「矯正用五本指靴下 YOSHIRO SOCKS」を世に広めるべく、全国で講演を行っている。また、リハビリテーションの安全性や効果の検証を目的として、東京大学スポーツ先端科学研究拠点との共同研究や学会発表も実施。NHK「ガッテン」などにも出演し、著書に『たった5分の足指つかみで腰も背中も一生まがらない!』(PHP研究所刊)、『1日5分! 足指をそらすと健康になる』(PHP研究所刊)など。

文=湯浅慶朗 構成=竹下沙弥香(ハルメクWEB)

※この記事は2021年3月の記事を再編集して掲載しています。


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ずっと自分の足で歩ける靴

大人の女性の毎日のために、ハルメクが長い時間をかけて開発を続けたシューズブランドがついに誕生しました。その名も「ずっと自分の足で歩ける靴」。 理学療法士・湯浅慶朗さん監修のもと、足の筋力に働きかけ、歩きやすい足をサポートする、まったく新しいシューズブランドです。

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湯浅慶朗

ゆあさ・よしろう 理学療法士。足指研究所所長。ハルメク靴の共同開発者。一生歩き続けられる体をつくる「ひろのば体操」や「YOSHIRO SOCKS」を考案し、東京大学との共同研究や学会発表も実施。著書に『たった5分の足指つかみで腰も背中も一生まがらない!』(PHP研究所刊)など。

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