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- 中性脂肪が低いのに太っているのはなぜ?問題点も!
「中性脂肪が低いけれど太ってるのは病気?」「詳しい検査は必要?」など、健康診断で中性脂肪の低さを指摘されて不安を感じている方もいるのでは?中性脂肪が低い原因や問題点、対処法などを解説!中性脂肪値を適正範囲内に収めて健康を維持しましょう。
中性脂肪とは
中性脂肪とは、肉や魚、食用油などの食品中の脂質に含まれている他、人の体脂肪のほとんどを占める物質のことです。
肝臓や皮下、血液中に存在し、単に脂肪と呼ばれることもあります。
中性脂肪は人や動物にとって空腹時の重要なエネルギー源です。また、必須脂肪酸や脂溶性ビタミン(ビタミンA、ビタミンE、ビタミンK、βカロチンなど)の吸収、体温の維持、内臓の保護や固定などに欠かせません。
しかし、取り過ぎたり消化されずに余ったりすると、体内の中性脂肪が増え過ぎて体脂肪として蓄えられ、肥満を招いて生活習慣病を引き起こす原因となる可能性も。
一般的な基準としては、空腹時の血液中の中性脂肪値が150mg/dl以上だと生活習慣病の「脂質異常症」と判断されますが、中性脂肪値が低く、29mg/dl以下の場合も異常値にあたり、「低中性脂肪血症」と判断されます。
なお、血液中に含まれる脂質には「コレステロール」もあります。
中性脂肪と同じ血中脂質であることに変わりありません。しかし、中性脂肪がエネルギー源となる一方、コレステロールは細胞膜を構成したりホルモンや胆汁酸の材料になったりなど、異なる役割を果たしています。
中性脂肪とコレステロールの血液中でのバランスが崩れると、血管が硬くなって弾力性が失われ、心臓や脳の疾患を発症するリスクが高まるといわれているため注意が必要です。
中性脂肪値が低いのに太ってる理由
一般的に、体脂肪が多いと中性脂肪値も高いイメージがありますが、太っているのに中性脂肪値が低いケースもあります。
ここでは、中性脂肪値が低いのに太っている場合に考えられる理由を2つご紹介します。
中性脂肪が肝臓や皮下に多く蓄積している
中性脂肪値が低いのに体脂肪率が高い場合は、中性脂肪が血液中ではなく肝臓や皮下に多く蓄積している可能性があります。
肝臓に中性脂肪が蓄積すると、脂肪肝になる場合も。
脂肪肝とは、肝臓において中性脂肪が占める割合が30%以上になった状態です。標準体重を20%以上上回っている人のうち、20〜30%の割合でみられますが、中性脂肪が低くても脂肪肝になる場合もあるでしょう。
初期の段階だとほとんど自覚症状はありませんが、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患の合併率が高くなります。
肝臓や皮下に中性脂肪をため込みやすい体質
両親も中性脂肪値が低かったり、体質的に肝臓や皮下に中性脂肪をため込みやすかったりなどの場合も、太っているのに中性脂肪値が低いという状態が起こる可能性があります。
特に女性は、男性と比べて皮下脂肪がつきやすいため、痩せていないのに中性脂肪値が低くなる傾向にあります。
生まれつきの体質によって血液中の中性脂肪が基準値よりも低い場合、痩せていると少し動いただけでエネルギー不足となりますが、肝臓や皮下に中性脂肪が多くある場合は、体内の中性脂肪の量は足りているといえるでしょう。
中性脂肪が低い原因と問題点
中性脂肪値が高いと、肥満症やメタボリックシンドロームを引き起こす可能性があるため、そちらにばかり注意が向きやすいもの。
しかし中性脂肪値が低いと、体内のエネルギー源が少なく疲れやすくなることから、低くなり過ぎるのもよくないといわれています。
中性脂肪値が低い場合は、原因と問題点を知っておきましょう。
ここでは、中性脂肪が低い場合に考えられる原因と問題点をご紹介します。
中性脂肪値が低いのはどんな場合?考えられる原因は4つ!
中性脂肪値が低い場合、以下の4つが主な原因と考えられます。
過度な食事制限
中性脂肪値が低くなる原因は、1日の食事量を減らし過ぎたり海藻や野菜しか食べなかったりなど、過度な食事制限です。
近年流行している低糖質ダイエットや糖質制限を行っている場合、糖質が不足して備蓄されていた中性脂肪が消費され、結果的に中性脂肪値が低くなっていることが考えられます。
激しい運動
運動をすると、普通に過ごしているときよりも多くのエネルギーが必要です。
アスリート並みの運動をしたなど急激に大量のエネルギー源が必要となった場合、始めは糖質がエネルギーとして使用されますが、激しい運動を継続して行って糖質だけでは足りなくなると、エネルギー源として中性脂肪が消費されます。
肝臓や甲状腺などの病気
過度な食事制限や激しい運動をしていない場合、以下のような肝臓や甲状腺の病気、異常が隠れている可能性もあります。放置すると体に悪影響が及ぶため、早めの対処が必要です。
肝機能の低下によってブドウ糖と遊離脂肪酸肝から中性脂肪が合成されにくくなるため、中性脂肪値が低くなることがあります。
また、中性脂肪値が低過ぎる場合に考えられる病気にバセドウ病やアジソン病などがありますが、バセドウ病やアジソン病は中性脂肪値だけでなくさまざまな検査をして、総合的に判断しなければいけません。
生まれつきの体質
これまで紹介した3つの原因に当てはまらない場合、生まれつき中性脂肪がたまりにくい体質の可能性があります。
中性脂肪は水に溶けない性質を持っていて、アポタンパクと呼ばれるタンパク質と結合して「リポタンパク」という形で血液中に存在しているため、生まれつきアポタンパクが少ない場合、中性脂肪値が低くなることがあるでしょう。
なお、皮下脂肪や内臓脂肪にも中性脂肪は含まれています。血液中の中性脂肪値が低かったとしても、栄養状態が悪くなければ特に問題ありません。
中性脂肪は低過ぎてもトラブルの原因になる
中性脂肪値が多少基準値より低くても、他の検査ですべて異常がなく、特に体の不調がなければ健康上の問題はありませんが、低過ぎる場合は以下のようなトラブルの原因になります。
- 疲れやすい
- ボーッとしてしまう
- ひどい眠気が出る
- 休んでも回復が遅い
- 低体温や手足の冷え
- 免疫力低下
- 抜け毛
- 肌荒れ
- ストレスがたまりやすくなる
- 集中力が低下する
- 出血しやすくなる、血が止まりにくくなる
- 血管の老化が促進されて動脈硬化が進行する
中性脂肪は体内でさまざまな役割を担っているため、低過ぎると体がエネルギー不足になって疲れやすくなったり、しっかり寝ても体力がなかなか回復しなかったりすることがあるでしょう。
また、体温の調節もうまくいかなくなることで、低体温や手足の冷えが起こりやすくなる他、脂溶性ビタミンの吸収が悪くなって免疫力の低下や抜け毛、肌荒れなどが起こる場合もあります。
中性脂肪値が低い状態が続くと、低βリポたんぱく血症や低栄養につながる恐れもあるため注意しましょう。
中性脂肪が低過ぎるときの対処法
中性脂肪値が低過ぎると、さまざまなトラブルが起こる可能性があるため、適切な水準を保つよう心がけることが大切です。
ここでは、中性脂肪が低過ぎるときの対処法を2つご紹介します。
栄養バランスを整える
中性脂肪値が低い場合、基本的に栄養不良であることが多いため、食生活を見直して栄養バランスを整えることが大切です。
まずは1日3食の食事を毎日決まった時間に取ることを心がけます。
そしてご飯やパンなどエネルギー源となる糖質が取れる「主食」、肉や魚、卵などタンパク質が取れる「主菜」、野菜やきのこ、海藻などビタミンやミネラルなどが取れる「副菜」を揃え、それぞれの栄養がバランスよく含まれるよう意識しましょう。
1回の食事に「黄」「赤」「緑」の3色の食材を揃えると、栄養バランスを整えやすくなります。
太りたくないと思っている場合、糖質や脂質を避けてしまいがちですが、適度な中性脂肪を作り出すためにはご飯やパン、麺類などの主食に加えて、適切な量の肉や魚を取ることが大切です。
痩せている人は、一度の食事量が足りていない可能性があるため、毎食ご飯を茶碗1杯程度と主菜を1皿しっかりと食べ、少しずつ量を増やすことをおすすめします。
中性脂肪値が低いということは、体内のエネルギー源が不足している状態です。特に炭水化物を多めに取ると疲れやすさが改善されるでしょう。
反対に中性脂肪が多い場合は、食生活の見直しが重要です。特に、脂肪分の多い食品、糖質の過剰な摂取を控え、バランスの良い食事を心がけましょう。
また、定期的な運動を取り入れることで、体脂肪の燃焼を促進し、中性脂肪の低下に効果的です。ストレス管理も重要な要素です。
中性脂肪値が低い場合も高い場合も、栄養バランスを手軽に整えるには、主食に主菜、副菜が揃った定番の和食がおすすめ。脂質の取り過ぎが気になる場合は、肉よりも魚を優先的に食べるとよいでしょう。
医師に相談する
中性脂肪値が低過ぎる場合、何らかの病気が原因となっている可能性があるため、安易に自己判断せず、まずは異常がないか医師に相談してみることをおすすめします。
医療機関で必要な検査を受けた結果、異常があれば適切な治療を受け、異常がなければ食生活を見直すなどして、中性脂肪値を基準値内に戻すように心がけましょう。
病気ではなく食事制限などが原因で中性脂肪値が低くなっている場合、医療機関で栄養指導を受けることも可能です。
栄養指導では、「何をどれだけ食べればよいか」「これを減らしてこれを増やす」など、具体的な食べ方やメニュー、食品の選び方などをアドバイスしてくれます。
受診の際は、毎日の食事量や内容をメモに記録しておくとスムーズに質問に答えられて便利です。
中性脂肪は適正範囲内に収めることが大切!
中性脂肪と体脂肪は比例しないこともあり、食生活の偏りや遺伝などによって、中性脂肪値が低いのに体脂肪が多く肥満になっている場合もあります。
中性脂肪値が低過ぎる場合、疲れやすかったり免疫力が低下したり、肌荒れが起こったりすることもあるため、中性脂肪値が低いからといって安心はできません。
まずは病気の有無を調べるために医師に相談し、食生活を見直すなどして中性脂肪値と体脂肪を適正範囲内に収めるよう心がけましょう。
※効果には個人差があります。試してみて異変を感じる場合はおやめください。
監修者プロフィール:加藤大也さん
たいや内科クリニック院長。1997年、藤田保健衛生大学(現・藤田医科大学)卒業後、同大学院医学研究科内分泌・代謝内科学修了。2003年4月から同大学医学部内分泌・代謝内科助手を務める。2010年5月、JA愛知厚生連豊田厚生病院内分泌代謝科病棟部長などを経て2022年5月、たいや内科クリニックを開院。藤田医科大学医学部客員講師・医学博士・糖尿病専門医・総合内科専門医・甲状腺専門医。糖尿病、生活習慣病を中心に、日々診療に取り組む。患者さん目線で分かり易い説明がモットー。
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