オーガニック化粧品だから「いい」は間違い
2018.10.312022年08月03日
菅沼薫さんに聞く、今の自分に合う美容法(8)
化粧品の使用期限は?未開封・開封後の違いと保管方法
化粧品の使用期限は未開封と開封後では異なります。古くなり品質が劣化したコスメやスキンケアアイテムは効果が落ちる、肌トラブルを引き起こすなどの可能性も。菅沼薫さんに正しい保管方法や誤解されがちなパラベンフリー化粧品について教えてもらいました。
化粧品の使用期限の目安一覧
ほとんどの化粧品に、使用期限は記載されていません。ですが化粧品にも使用期限があります。ここからは、化粧品の使用期限の目安をご紹介します。
未開封の化粧品の使用期限
未開封の化粧品は、3年以内に使い切りましょう。一般的に、化粧品は未開封の場合、製造してから3年は製品が分離や変質しないようにつくられていて、その品質をメーカーが保証しています。また、製品には使用期限のかわりに「ロット番号」という数字が記され、メーカーは製造日や製造状況などが判別できるようになっています。
開封後の化粧品の使用期限
製品によっては、開封しても製品の品質が変わりにくいものもあるようですが、開封後は3~6か月で使い切るのをおすすめします。化粧品の成分は多くが水。水は一番腐りやすい物質ですし、開封することで異物が入るなど、製品が変質する可能性があるためです。
食品にも開封後はお早めに、と書かれていることが多いですよね。化粧品も同じと考えてください。
化粧品は製品を見て「いつのもの」とはわからないので、使い始めるのは購入してから2年半まで、開けてからは半年以内に使い切るのが使用の目安です。
試供品の化粧品の使用期限
化粧品の試供品は、もらってからすぐに使わず、旅行用にとっておくこともありますよね。試供品のサンプル化粧品も、基本的に販売されている化粧品と使用期限は同じです。
ただし、容器が簡易的なものになっていることもあるため、1年以内に使い切るようにしましょう。
スキンケア化粧品(基礎化粧品)の使用期限
毎日のスキンケアに使う基礎化粧品は、なるべく鮮度のいい状態で使うことが大切。1シーズンを目安に使い切るようにするといいでしょう。
しばらく使っていなかった場合は、分離や濁り、異臭や変色がないか最初にチェックしてから使用すると安心です。
ファンデーションなどベースメイク化粧品の使用期限
ファンデーション、化粧下地、コンシーラーなどベースメイクに使用する化粧品は、6か月を目安に使いきりましょう。ファンデーションは保管方法によって劣化具合は変わってくるため、使用前に状態を見極めましょう。
パウダーファンデーションの場合、表面が皮脂で固まっていれば劣化しています。リキッドファンデーションは沈殿物、悪臭、分離が見られる場合は使用は避けるようにしましょう。
アイシャドウ・チークの使用期限
アイシャドウやチークなどのポイントメイク化粧品は、古くなって品質が悪くなるとパールやラメの輝きが落ちる、きれいに発色しなくなるなどの変化が見られるようになってきます。6か月を目安に使い切りましょう。
なお、パウダータイプよりも練ったタイプの方が品質が悪くなるスピードが早いため、ひび割れなど目に見える劣化が起こった場合は、捨て時のサインです。
口紅やグロスの使用期限
口紅やグロスは保管状態が適切であれば1年ほどが消費期限ですが、直接唇につける化粧品なのでどうしても雑菌が繁殖しやすくなります。なるべく6か月以内に使い切るようにするといいでしょう。
変色がある、異臭がするという場合は唇が荒れてしまわないよう、使用を避けた方が安心です。
日焼け止めの使用期限
紫外線から肌を守るための日焼け止めは、直射日光の下や温度変化の激しい場所に置かれることが多い化粧品です。
劣化するとUVカット効果が落ちてしまうため、1シーズンのうちに使い切るようにしましょう。紫外線は一年中降り注いでいるため、毎日しっかり紫外線ケアを行うようにすればシミや乾燥対策もでき、無理なく日焼け止めを使い切れます。
真夏用などのSPFの高い日焼け止めは、ワンシーズンで使いきれるように小サイズを購入されることをおすすめします。
ボディローション・ボディクリームの使用期限
肌を潤し、乾燥から守ってくれるボディローションやボディクリームも、化粧品と同様に劣化します。
全身のスキンケアに使用するものなので、悪影響があっては大変です。安全に使用するためにも、開封から6か月ほどで使い切るようにするといいでしょう。
化粧品の品質を保つための防腐剤・安定剤って?
化粧品は水や油、界面活性剤、美容成分などでできています。そして、これらが劣化や変質、分離しないよう、ほとんどの化粧品・コスメには防腐剤や安定剤が配合されています。化粧品の品質を一定期間保つために、防腐剤は必要なのです。
防腐剤のうち、特にパラベンだけが悪者にされていて「パラベンフリー」だから安全と思っている人がいるようです。ですが、それは間違い。パラベンはかつての「表示指定成分(※1)」で定められていた防腐剤だったために、そんなイメージが浸透してしまったのかもしれません。しかし毒性が比較的低く、皮膚刺激や過敏症なども少ないといわれています。
「パラベンフリー」の場合、パラベン以外の防腐剤が配合されているケースがほとんどで、アルコール(エタノール)などが代わりに入っていることがあります。「パラベンフリー」=防腐剤無配合ではないことを知っておいてくださいね。
「パラベンフリー」だけでなく「防腐剤フリー」を謳った化粧品は、防腐効果のある成分がまったく配合されていないものと思っている人がいるようですが、必ずしもそうとは限りません。防腐剤が入っていない場合は、量が少ない使い切りタイプか使用期限が短くなるものです。表示をよく確認して、使い方や使用期限表示を参考に選んでください。
オーガニック化粧品は使用期限が短くなるため注意が必要
天然成分のみで作られたオーガニック化粧品は科学的に合成された防腐剤を使っていないため、通常の化粧品よりも早めに使い切るのがおすすめです。
目安としては、開封から3か月以内くらいと考えておくといいでしょう。
使用期限が過ぎた化粧品を使うとどうなる?
使用期限が切れた化粧品は、品質が低下したことで本来持っている効果を十分発揮できない可能性があります。
また、劣化した化粧品は肌をきれいにするどころか、肌トラブルを引き起こす原因となる可能性も。自分の魅力を引き出してくれる化粧品を良い状態で使うためにも、早めに使い切ることを意識しましょう。
化粧品の保管方法のポイント
ここからは、化粧品を保管するときのポイントをご紹介します。
直射日光を避け、風通しのいい涼しい場所に保管
今までお話しした化粧品の使用期限は、あくまでも日本国内の標準的な環境下で保管・使用することを前提にしています。化粧品はとってもデリケート。
高温や高湿、大きな温度変化をきらいます。直射日光が当たる窓際や暖房器具のそばに置くのは避けましょう。温度変化の少ない常温の場所で、できたら20℃前後の風通しのいい場所に置きましょう。
この他、湿気のない風通しのよい場所ならなおベスト。これも食品と同じと考えると判りやすいでしょう。
洗顔後や入浴後すぐにスキンケアをするため、浴室側の洗面台に化粧水を置いてもいいかと質問されたことがありますが、それは大丈夫でしょう。人が洗顔できる室温と湿度でしょうし(笑)、適切な量を使用していれば、化粧水などは3か月~半年程度で使い切るでしょうから。
ただし、水分が容器に入らないように気をつけてください。特にクリームなどには水分(湿度)を嫌うものがあるので、製品によっては、他の場所に置くのをおすすめします。
冷蔵庫に入れても大丈夫?
逆に、冷たくて気持ちいいからか? 化粧水を冷蔵庫に入れている人がいるそうですが、「要冷蔵」と指定されている場合を除き、やめた方がいいでしょう。化粧品を肌につけるときは手の平で温めてつける方が良いので、冷蔵庫で冷やすのは逆効果(※第3回参照)。また品質を保つために、冷蔵庫に入れる必要はありません。
今は、なるべく体にイイものを選ぶ時代。日本の化粧品を使うのであれば、涼しく暗い場所に置いて、開けたら半年以内に使うようにすれば、ほとんどの製品は大丈夫。
清潔な状態を保つ
スキンケアクリームなどは、指で直接取らずに清潔なスパチュラなどを使って取り出し、清潔な状態を保ちましょう。パフやメイクスポンジ、ブラシ、チップなどもこまめに洗浄・交換すると、雑菌の繁殖を防げます。
目安としては、週に1回は洗うようにするといいでしょう。専用の洗浄液か、肌に刺激の少ない中性洗剤で洗い、しっかりと乾かすことがポイントです。
しっかりフタを閉める
化粧品は、空気に触れることで酸化します。酸化すると変色や、臭いが変わることがあるため、化粧品のフタは使うたびにしっかり閉めましょう。
化粧品の詰め替えは、空気に触れる機会やゴミが入る可能性が増えるため、劣化を進行させてしまうこともあります。詰め替える場合は、ゴミなどが入ってしまわないように注意しながら行いましょう。
使い始めた日を容器に書いておく
化粧品はいくつものアイテムがあるため、一つ一つ使用期限を覚えておくのは難しいもの。化粧品は製造年月日が外箱にしか書いていないものも多いです。使用期限内で使い切るために、「使い始めた日」を容器に書いておくといいでしょう。
容器に直接書くのは避けたいということであれば、外箱を取っておく、カレンダーなどにまとめて書いておくなどでもOKです。
使用NG!期限切れの化粧品の見分け方
いつ買ったのかわからない化粧品を見つけたら、まずは状態をチェックしてみましょう。以下のような特徴が見られた場合は、使用を避けた方が安心です。
- 変色:白い色が黄色っぽくなっている、透明だった液体が濁っているなど
- 質感・テクスチャー:脂っぽくなっている、ざらついているなど
- 香り・匂い:酸っぱい匂いになっている、購入時とは違う香りがするなど
- 分離:水と油分が分離している
判断が難しい場合は、顔の皮膚と厚さが似ている二の腕の内側でパッチテストをして、問題なさそうか確かめてみましょう。
化粧品は使用期限を守って使うことが大切
化粧品は酸化や劣化が進むため、買いだめではなく少なくなってきたらその都度購入するのがおすすめです。
肌への負担を過度に心配するあまり、「イイ」ことだけをクローズアップした宣伝文句に惑わされないようご注意を。今の自分の肌に合う、使って「気持ちイイ」と思えるものを選んで、使用期限を守って使ってくださいね。
(※1)表示指定成分
1980年に薬事法(現、医薬品医療機器等法)で商品へ表示を義務づけられた102種類の原料に香料を加えた合計103種類。2001年4月から全成分表示が義務付けられたので、現在は「表示指定成分」という言い方はしません。
取材・文=田中優子
※使用期限とは、医薬品・医薬部外品などに主に表示され、開封していない状態で、その期日までに使用することを指し、期限を過ぎた場合は使用しないでほしいという期限を示しています。消費期限は、主に保存がきく食品に表示されています。開封しておらず推奨された保存状態でおいしく食べられる期限を示す言葉です。
■もっと知りたい■
- 香水の使用期限ってどのくらいなの?
- 化粧品って消費期限はないの?
- 化粧品の使用期限ってあるの?
- 1年前の日焼け止めを使っていませんか?
- 化粧パフ、いつから使っている? 洗い方は?
- おすすめのファンデのパフとブラシ、使い方
「菅沼薫の美容講座」トップへ