菅沼薫さんに聞く今の自分に合う美容の見極め方(5)

化粧パフ、いつから使っている? 洗い方は?

公開日:2018.09.05

更新日:2023.12.10

パフや化粧ブラシ。購入した時から使いっぱなしにしていませんか? 美容講座第5回は、細菌とカビの巣窟になりやすいファンデーションのパフの洗い方、ブラシの洗い方をお伝えします。また知っておくべき、化粧品の衛生についても教えてもらいました。

ファンデーションのパフは、細菌とカビの巣窟だった⁉

ファンデーションのパフの洗い方

メイクスポンジを使い続けると、どのくらい汚れていくと思いますか?  私が顧問をしているFCG総合研究所で以前に調べた研究結果が、ちょっと衝撃的だったのでご紹介します。

2週間使用したパウダーファンデーションのパフ1枚に、なんと2万個(!)もの細菌が検出されたことがありました。また、使用期間が2週間から1年程度で、未洗浄のものから洗浄して使っていたものなど10枚を調べたところ、すべてのパフから土壌やハウスダストに多く分散するカビが検出されました。

これは、日常生活の中で顔に付着したカビの胞子が、パフに移り繁殖してしまったため。パフはファンデーションだけでなく、肌の皮脂や汗がついた、いわばカビの格好の棲家。そのパフを使うということは、知らないうちにカビを顔に塗っている危険性があるのです。

使用済みバフを培養するとカビだらけに

パフから検出し、カビ分離用の平板培地に付着させ、さらに二次培養を行って分離したツチアオカビ属の一種(出典:FCG LABO 1994 No.104) 
和名:ツチアオカビ  学名:トリコデルマ・ビリデ(Tricoderma viride)  写真提供:㈱エフシージー総合研究所 取締役 川上裕司 博士

培養したツチアオカビ
 

ツチアオカビ

 

メイクスポンジは2週間に1度、中性洗剤で洗う

冒頭からちょっとショッキングなお話で、引いてしまったかもしれまったかもしれません。

ですが、キレイになるためのメイクなのに、菌やカビを顔に塗ってしまっては本末転倒。ここからは、そのメイクスポンジを衛生的に保つ方法について、お話していきます。

抗菌・防カビ効果のあるメイクスポンジも、定期的に洗い、交換しましょう。

今のメイクスポンジの多くは、細菌の繁殖を抑える抗菌や防カビが施されています。ですが、その効果は使用状況によって変わってしまいます。どのようなメイクスポンジでも、2週間に1度は台所用中性洗剤で洗うようにしましょう。

石鹸などアルカリ性の洗剤、消毒剤や漂白剤を使うのは、メイクスポンジの抗菌・防カビ効果を低下させ、素材を傷めるのでおすすめしません。メイクスポンジも硬くなり、肌触りも悪くなります。洗った後、生乾きのままにすると、菌やカビが繁殖しやすくなるので、内側までしっかり乾かすようにしてください。

洗って使う、を繰り返してメイクスポンジの使い心地が悪くなったと感じたら、新しいものと交換を。理想的なのは、表と裏を使って汚れたら、新しいものに取り替えること。今は、安価で使い易いメイクスポンジがたくさんありますので、洗う手間が面倒という方は、2週間を目安に交換することをおすすめします。

メイクブラシも洗う必要があります。

ファンデーションをブラシでつけている場合、ブラシは2週間に1度を目安に中性洗剤で洗ってください。このお手入れは他のメイクブラシも同じです。

空気中に分散したカビや、肌に触れれば皮脂がつくことも。パフほど頻繁に洗う必要はありませんが、定期的に洗って清潔に保つようにしましょう。洗う手間が……という人は、メイクブラシ用のクリーナーを利用するのもよいでしょう。
イプサ

イプサメイクブラシ用クリーナー

クリーナーを含ませたティッシュで、ブラシを拭くだけ! 速乾性が高いので、クリーナーで拭いた後すぐにブラシが使えます。
イプサ ブラシクリーナー 50ml 1650円(税込み/イプサお客さま窓口 0120-523543)

パフだけじゃない!指先の菌にも要注意

ところで、指先に常在菌が多くあることは、"ハルメク”世代ならほとんどの方がご存知でしょう。

料理するときは、きちんと手を洗っていると思いますが、スキンケアの前はどうですか?

基本的には洗顔後すぐにスキンケアすることが多いので、それほど問題ないと思います。ですが、クリームなどをとるときに、容器に指を直入れするのは、ちょっと問題です。

クリーム類は、清潔なスパチュラで取って、肌にのせましょう。

容器に指を入れてしまうと、指先に付着した汚れや菌を容器内に入れてしまうことになります。クリーム類は、必ずスパチュラでとって、肌にのせましょう。もちろんスパチュラは清潔なものを! 使用後は拭くか洗って、使いっぱなしにしないように。使う前にスパチュラを拭けば、なおよいでしょう。

クリームを指で取るのをおすすめしないのには、もう一つ理由があります。爪が少し伸びていると、爪の裏側にクリームがたまってしまいますよね。もったいないからと、ついそれも肌にのせていませんか? 気持ちはとてもよくわかるのですが(笑)、これは本当にやめるべき。爪の裏側は、とても汚れています。クリームと一緒に、汚れや菌などを顔につけてしまう危険性があるのです。

詰め替える場合は、ポンプのチェックも忘れずに

現在は、詰め替え用のスキンケア商品が増えています。経済的な上にエコ! その上、容器の中のパックごと交換できて衛生的ということもあり、利用している人も多いと思います。ですが、詰め替えるときは、ポンプの汚れをチェックするのも忘れないでください。ポンプの先(出口部分)に製品が固まってついていれば、そこに菌やカビが付着していることも。汚れたままのポンプを使い続けないようにしてください。

汚れは放置するほど、不衛生な状態になっていきます。たまにしかファンデーションをつけない人ほど、メイクスポンジやパフの汚れを放置するのは要注意! また、毎日つける人も、日々ちょっとずつ汚れていくので、汚れを感じにくくなりがち。肌を健やかにするためのスキンケア、キレイになるためのメイクです。顔に汚れや菌、カビを塗ってしまった……なんてことのないよう、使うアイテムもキレイに! を心がけてくださいね。

次回、(6)オススメのタイプ、正しいクレンジングとは?

取材・文=田中優子

■もっと知りたい■

菅沼 薫

ビューティ&ライフ サイエンティスト、武庫川女子大学客員教授、sukai美科学研究所代表。日本顔学会会長をはじめ、化粧品成分検定協会理事、日本香粧品学会学術委員などを務める。美容雑誌「VOCE」における化粧品比較実験を長年手掛ける。化粧品と肌のスペシャリストとしてメディアでも活躍中。

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