菅沼薫さんに聞く、50 代からのメイク術

コンシーラーの使い方~基本&シミ消し編~

公開日:2019.02.20

更新日:2023.09.15

これまで、ファンデーションについて解説してきました。今回はファンデーションで隠しきれない肌の色トラブル解消法として、コンシーラーの選び方を教えてもらいました。年齢肌の多い悩み「シミ」も簡単に目立たなくできる! ぜひマスターしてください。

肌の色トラブルは青・赤・茶色に分けられる

肌の色トラブルというと、ちょっと複雑そうに聞こえるかもしれませんね。でも、その原理は意外にシンプル。シミやクマなどの色トラブルを構成しているのは、青・赤・茶の3つの色素です。

この色素に、別の色をのせることで肌色になじませるのがコンシーラーの役割なんです。まずは、色別の悩みと原因を見ていきましょう。

【青色系のトラブル】……目の下の青グマなど
主な原因は、血液循環の滞り。肌が青くなるのは、皮膚の下の深いところにある血管が滞ると青くなるため。

【赤色系のトラブル】……冬になると赤くなる、炎症で赤くなるなど
赤はまさに血管の色。皮膚の表面に近い毛細血管が拡張することで目立ってしまいます。

【茶色系のトラブル】……シミ、そばかすなど
表皮の基底層にある黒色のメラニンに、基底層より上の表皮(角層など)が乗ることで茶色いシミ・そばかすに見えます。メラニンの量や肌色が、茶色の濃さに影響します。

このほか年齢肌で多い肌色トラブルは、赤と茶の混ざったニキビ跡や、青と茶の混ざった茶グマなどがあります。

 

3色それぞれに、肌色に近づく「消し色」がある

肌の色トラブルの青・赤・茶それぞれに、重ねることで肌色になる色、いわば「消し色」があります。

青=オレンジやオレンジがかったベージュ
赤=黄色や緑
茶=淡いピンクやベージュ

つまり、青グマが気になるなら「オレンジやオレンジがかったベージュ」のコンシーラーを、赤みが気になるなら「黄色や緑のコンシーラー」を塗れば、肌色に近づくということ。

青・赤・茶の2色が混ざっている場合は、それぞれの色を足せばOK。赤と茶の混ざったニキビ跡なら「黄色や緑+ピンクやベージュ」、青と茶の混ざった「茶グマ」には「オレンジ+ピンク」や「ベージュ」を重ねれば、肌色になじんで目立たなくなります。

シミを消す理想的なコンシーラーは、自分の肌色に近づく色

肌トラブルに合ったコンシーラーの色選びについてお話ししましたが、これはあくまでも基本の話。とくにシミの場合は、一概に茶色と言っても、同じ人の顔でもシミによって色味や濃さが違いますし、もともとの肌色は人によって異なるので、「消し色」も人やシミによって微妙に違ってきます。

ごく薄い茶色のシミならファンデーションだけで肌になじんで隠せてしまいますし、やや薄い茶色いシミであれば、ファンデーションの色に近いようなベージュのコンシーラーを重ねるだけで目立たなくなります。ファンデーションに近い色を重ねているので、塗った部分だけが浮いてしまうこともありません。

難しいのは、ファンデーションに近い色では隠し切れない濃いシミの場合。「シミの茶色+ピンク(ベージュ)のコンシーラー」でできた肌色が、もとの肌色になじまないことがあるからです。せっかく茶色が消えても肌から白浮きしてしまうような色を重ねては、違う目立ち方をしてしまうのでNG。このため、「シミの色+コンシーラーの色=自分の肌色」になるような、消し色を見つけなければなりません。

消し色を選ぶときは、ファンデーションと同じように実際のシミ部分にのせ、肌色になじむか試してみるしかありません。茶色のなじみ具合や、肌色からの浮き具合を比べて、シミが一番目立たなくなるものを選んでください。

 

左から(1)何も塗らない状態 (2)ファンデーションを塗った状態 (3)〇ピンクとベージュ系コンシーラーを混ぜ合わせてのせた状態 (4)×ピンクのコンシーラーだけをのせた状態。白く浮いてしまっている
 

左から
(1)何も塗らない状態
(2)ファンデーションを塗った状態
(3)〇ピンクとベージュ系コンシーラーを混ぜ合わせてのせた状態
(4)×ピンクのコンシーラーだけをのせた状態。白く浮いてしまっている

淡いベージュや濃いベージュ、黄みよりのピンクや赤みのあるピンクなど、今はコンシーラーのカラーバリエーションも増えているので、自分のシミと肌色に合う色が見つかるはずです。どうしても単色で合う色が見つからない場合は、複数の色をブレンドしたり、重ね塗りして消し色をつくるのもいいでしょう。
 

コンシーラーのタイプの選び方

コンシーラーにはペンシル、筆、パレットタイプなどがあります。テクスチャーもリキッドタイプから固形のものまでさまざまですが、シミなどにピンポイントにのせる場合は、ペンシルタイプやスティックタイプがおすすめです。

そのまま塗ってもいいですが、上手に塗れない場合は、チップやブラシを使いましょう。指でのせると広がりやすいので気をつけてください。コンシーラーが広がってしまい、せっかくピンポイントにカバーした部分が台無しになってしまいます。

ただし、ファンデーションとコンシーラーの粉体が違うと厚塗り感が出てしまうので、自分が使っているファンデーションと相性のよいものを選んでください。この相性を見るためにも、商品選びは「試してみてから」が大事なのです。
 

コンシーラーを塗る順番はファンデーションの後が正解

コンシーラーで肌の色トラブルを整えてからファンデーションを塗る、そう思っている人も多いようですが、正解は逆。コンシーラーはファンデーションの後に塗ります。これは、塗ったコンシーラーをファンデーションで伸ばしてしまうのを防ぐため。またファンデーションの前に塗ると、ファンデーションで隠せるようなシミまで気になって、無駄にコンシーラーを塗ることになります。ファンデーションで隠せなかったシミにだけピンポイントで色を重ねる、これが基本なので間違えないでくださいね。

塗り方は、伸ばすのではなくシミの上に軽く置くイメージで、トントントンとなじませましょう。力を入れて塗りこまないよう気をつけてください。

ただし、あざや傷跡などを目立たなくするカバー力の高いコンシーラーを塗る場合は、ファンデーションの前に塗ります。色や肌の状態によってはコンシーラーではなく、専用に開発された化粧品を使うとよりキレイに目立たなくすることができます。

「上手く隠せない」と諦めてしまったり、逆に隠そうとファンデーションを厚塗りにしてしまったりと、悩ましいシミ事情。でも、自分に合う消し色さえ見つけられれば、ファンデーションの上に重ねるだけで、キレイに解消できます。ぜひ試してみてくださいね。

次回は、目の下の青グマのカバー&解消方法についてお話しします。

■もっと知りたい■

菅沼 薫

ビューティ&ライフ サイエンティスト、武庫川女子大学客員教授、sukai美科学研究所代表。日本顔学会会長をはじめ、化粧品成分検定協会理事、日本香粧品学会学術委員などを務める。美容雑誌「VOCE」における化粧品比較実験を長年手掛ける。化粧品と肌のスペシャリストとしてメディアでも活躍中。

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