菅沼薫さんに聞く、50代からのメイク術(36)

目が大きく見える!アイシャドウの塗り方

公開日:2019.04.17

更新日:2022.03.11

前回、アイシャドウによる錯視効果が、目を大きく見せるとお話ししました。そこで今回は、具体的なアイシャドウの塗り方を指南してもらいます。また読者のお悩み、アイシャドウの色選びもまるっと解決。日本人向けの鉄板の色もご紹介します。

アイシャドウはグラデーションに塗るが基本

目を大きく見せる塗り方、というと難しいテクニックに聞こえるかもしれませんが、そんなことはありません。というより、前回「科学的に証明!人を美しく見せるアイメイクの効果」でお話ししたように、この塗り方はプロの経験から生まれたテクニックです。そのため、一般的なアイシャドウの塗り方として定着しています。

目を大きく見せるための基本的な塗り方は、下のイラストのようなグラデーションです。

(1)​​​​​淡い色を瞼から眉尻の方に蝶の羽の形のように上向きに広げる
(2)淡い色の1/3くらいの幅に中間色を塗ってから、境目を上にぼかします
(3)一番濃い色は、目頭から2~3ミリずらし目尻に向かって太く塗る

目もとに近づくほど色が濃くなる自然なグラデーションには、眉から目のキワの空間に奥行きがあるように見せて、眉と目の距離を短く錯覚させる効果があります。

たまに、目のキワの二重の部分だけに濃いめの色を塗っているという人がいますが、それではグラデーションになりません。まぶた(アイホール)にも色をのせ、眉に向かって色が薄くなるようにぼかしてください。眉のすぐ下に色を塗りたくない場合は、アイシャドウを塗っていない肌色を一色目と考えて、目のキワの濃い色までのグラデ−ションにします。

このとき、目尻側のアイシャドウを下に向かって色をのせると目が垂れて見えるので、目尻側は上に向かって幅広に入れるようにしましょう。また、目を丸く見せたいときは、まぶたの中央下側にパール系の明るめの色を乗せると立体感が出ます。

「ブラウン」と「白から黒」はアイシャドウの鉄板カラー

「ブラウン」と「白から黒」はアイシャドウの鉄板カラー

グラデーションを作りやすいカラーの一つが「ブラウン」です。ブラウンはもともと日本人の肌に合う色ですし、濃い茶色から淡いベージュまでがセットになったパレットを使えば、失敗は少ないはずです。

ブラウンのほか、おすすめしたいのが白からグレー、黒につなげるグラデーション。目の下をグレーに?と思うかもしれませんが、日本人の肌の上に白をのせると、地肌の色と重なってブルーグレーがかるので、実は肌なじみがいいんです。細かいパール感のあるものであれば、塗りムラが目立たないので、キレイなグラデーションが作れるはずです。目が大きく見えるのも実感しやすいと思いますので、ぜひ試してみてください。


 

アイシャドウの色に「正解」はない

読者からの質問では、「50代に似合うアイシャドウの色を教えてほしい」という声が多くありました。おそらく年齢に相応しい色、ということだと思いますが、その意味では「この色」という正解はありません。

アイシャドウの色は、ファッションに合わせるのが基本と言われています。また、色は楽しみの要素でもあるので、「この色だから正しい」とか「間違い」はないのです。

ファッションに合わせた色選びが難しい場合は、やはり鉄板カラーであり、どんな装いにも合う「ブラウン」か「白から黒」を選ぶのがベストです。

どんな服装にも合わせられるのが、「白から黒」と「ブラウン」。どんな肌色、服装にも合う鉄板カラーなのです。

また、同じ「ブラウン」でもピンク系の肌には赤みのあるブラウン、オークル系の肌には黄みのあるブラウンが合います。アイシャドウを選ぶときは、同じ色でも肌に合うトーンや色味のものを選ぶようにすると、アイシャドウだけが浮いて見えることはありません。

おすすめのアイシャドウ
 ルナソル ザ ベージュアイズ 全2種 1万1000円(税込/カネボウ化粧品)
写真上の01ニュートラルベージュは、オークル系の人におすすめ。写真下の02ノーブルベージュは、ピンク系の肌の人におすすめ

 

単色アイシャドウの塗り方のコツ

コスメデコルテアイシャドウ
多彩な30色の単色のアイシャドウが揃う。​​​​​コスメデコルテ アイグロウ ジェム 各2970円(税込)
左から、ムーンミスト、ウォームアンバ―、ショコラクラシック

最近注目されているのが単色のアイシャドウ。パウダーだけでなく、クリームのようなテクスチャーのものも多く、重ねていく量を加減するだけで自然なグラデーションができると人気です。

まず薄く広げて全体に塗り、目のきわの方にだけ重ねづけしていけばキレイなグラデーションになるはずです。濃い方からおいて伸ばしていく方法もありますが、あまり慣れていない方は難しいと思います。また濃い色の場合、単色だけで塗っていくのはテクニックが必要で難しいものです。中間色から使い始めてみるといいでしょう。

年齢肌で気をつけたい!アイシャドウの塗り方

アイシャドウを塗るときに気を付けたいのが、スキンケア同様に圧を加えるなどの刺激です。大きな部分を塗る時はブラシ、細かい部分を塗るにはチップが使いやすいと思いますが、もともと目もとの皮膚は薄く、デリケート。

ブラシで摩擦しすぎしたり、圧を加えてチップでこすらないよう気をつけましょう。アイシャドウを塗る場合、まぶたの骨のくぼみをそっと撫でるような優しいタッチが基本。加減が難しい場合は、指先でそっとなぞるように塗るといいかもしれません。

目もとがたるんでいる場合は、皮膚を優しく上に引っ張りあげながら塗ると、キレイに塗れます。

また、目の下の涙袋は、年齢肌の場合たるみやシワが多いのでアイシャドウを塗る必要はありません。目を大きく見せるアイメイクは、アイシャドウだけではありません。

次回は、アイラインの錯視効果と、引き方についてお話しします。

取材・文=田中優子

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菅沼 薫

ビューティ&ライフ サイエンティスト、武庫川女子大学客員教授、sukai美科学研究所代表。日本顔学会会長をはじめ、化粧品成分検定協会理事、日本香粧品学会学術委員などを務める。美容雑誌「VOCE」における化粧品比較実験を長年手掛ける。化粧品と肌のスペシャリストとしてメディアでも活躍中。

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