菅沼薫さんに聞く、今の自分に合う美容法

50代からのファンデーション選びのポイント

公開日:2018.12.19

更新日:2023.09.06

肌色をキレイに見せてくれるファンデーションは何でできているの? ヨレてしまうのはなぜ? どのタイプを選べばいいの? まずはファンデーションの仕組みを理解しましょう。そうすれば、自分に合ったファンデーションの選び方もわかりやすくなりますよ。

ファンデーションの素は色つきの粉

第19回で高貴な人が、白粉(おしろい)を塗っていたという話をしましたが、この白粉こそがファンデーションの原型。つまり、ファンデーションは粉体をベースにできています。

昔の白粉は、粉を水に溶いて 顔にのせていたため、粉と水がうまく混ざらずまだらになったり、水が乾いて粉だけが残り、肌がパリパリに乾いてしまったそうです。そこから、粉だけが残らないよう、肌が乾燥しないよう、油や保湿剤を入れたりして、肌の上に均一に薄く伸ばせる現在のファンデーションへと進化しました。  

粉の色も昔は白だけだったのが、レンガ色と黄色を混ぜることで、肌の色に近い色へと進化。混ざりにくく分離しやすい水と粉をムラなく混ぜる技術も進歩し、現在のような使用感がいいファンデーションが作られるようになったのです。

ファンデーションがヨレるのは、粉の性質のため

粉の表面は、水は弾くけれど油にはなじみやすい性質をもっています。粉が皮脂と混ざることでヨレが生じるのはこのためです。

ヨレをなくすために、油と適度に混ざるけれど表面は油をはじくよう、粉一つ一つをコーティングする技術が開発されました。「皮脂に強くヨレにくい」ファンデーションができたのは、このコーティング技術の発展のおかげなのです。

ファンデーションの形状の違いは粉の割合

パウダーファンデーション

ファンデーションは、粉の割合によって形状が違ってきます。粉が一番多いのが、パウダーファンデーション。プレストされた、いわゆるコンパクトに入ったタイプです。次いで、スティックファンデーション、クリームファンデーション。

最も少ないのがリキッドファンデーションで、伸びをよくするための基剤が入っています。肌が乾燥しやすい人は、粉が少なめで伸びのよいリキッドタイプを使うと、しっとり仕上げることができます。

50代を過ぎると乾燥肌になるので、クリームや下地で肌を整えてからファンデーションを塗る人が多いと思います。ですが、伸びがよいとされるファンデーションでも、重ねるほどヨレやすく、肌色のムラや毛穴が目立ちやすくなるので気を付けてくださいね。

ファンデーション選びで重視したい4つのポイント

ファンデーションを選ぶポイントとして、形状の他に次の4つが挙げられます。

  1. 肌色の欠点のカバー力 シミやくすみ、肌色のムラを隠し、肌色を明るくする
  2. 毛穴、小じわなど、肌の欠点カバー力 光の反射を利用して目立ちにくくする 
  3. 化粧もち 皮脂への強さ、崩れにくさなど
  4. 塗り心地、使用感

これらの効果や特徴は、メーカーや商品によって違います。個人的に、以前は化粧持ちの花王ソフィーナ、ツヤのコーセー、つけ心地の良さの資生堂というイメージがありましたが、技術の開発と進歩で、もち、ツヤ、つけ心地のすべてにおいて、どのメーカーの商品もよくなっています。

今は、商品の情報もたくさん公開されています。ホームページなどに毛穴を目立たせなくする光の反射のしくみや、皮脂への強さの根拠などが、成分や技法などと合わせてわかりやすく解説されていますので、商品選びの参考にするとよいでしょう。
 

毛穴、小じわを目立てたせないファンデーションの塗り方

ポイント2の「毛穴、小じわを目立ちにくする」ためには、商品だけでなく塗り方も大事です。

ファンデーションを塗る場合、顔の中央から外側に向かって放射状に伸ばす、一方向からの塗り方だと毛穴の中でファンデーションの偏りができるため、光が当たるとむしろ毛穴や小じわが目立ってしまいます。

 

ファンデーションの塗り方

まずは顔の中心から外側に広げ、次いで、顔の外側から中心へ動かします。その時注意するのは、こめかみなどパフの動かし始めの位置にパフを持たない方の手指で押さえて肌が動かないようにすると、肌がヨレずに塗ることができます。そうすることで、毛穴の反対側にもファンデーションが均一に塗布することができます。


毛穴や小じわを隠そうとすると厚塗りになりがちですが、この塗り方なら薄づきに塗っても気にならないはずです。

次回は、ファンデーションの色選びのポイントと、キレイに見える塗り方のコツをお話しします。

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(19)日本女性がファンデーションにこだわる理由

菅沼 薫

ビューティ&ライフ サイエンティスト、武庫川女子大学客員教授、sukai美科学研究所代表。日本顔学会会長をはじめ、化粧品成分検定協会理事、日本香粧品学会学術委員などを務める。美容雑誌「VOCE」における化粧品比較実験を長年手掛ける。化粧品と肌のスペシャリストとしてメディアでも活躍中。

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