なぜ?皮膚科に行くべき?お腹や体にできるシミの正体

お腹など部位別のシミの原因&予防法!病気の疑いは?

川村郁美
監修者
とみ皮膚科クリニック
川村郁美

公開日:2023.03.03

更新日:2024.08.22

「お腹に茶色いシミができた、急に増えた、たくさんできた……」などお腹や体にシミができる原因やシミの種類・特徴について詳しく紹介!また、新たなシミを防ぐ予防法や病気の可能性があるシミについても解説します。気になるシミは早めに対策しましょう!

監修者プロフィール:川村郁美さん

川村郁美さん

専業主婦から一念発起、アトピーに悩む長男をきっかけに、医師になることを志す。子育てと両立しながら医学部生・研修医時代を乗り越え、念願の皮膚科医に。現在は、病気から美容まで皮膚のお悩みにお応えでき、地元の皆様に愛され頼られるクリニックを目指して、静岡県富士市にてとみ皮膚科クリニックを運営。保険皮膚科と美容皮膚科の両方を大事にしながら、患者と日々向き合っている。

お腹など体にできるシミの種類

お腹など体にできるシミの種類

「シミ」とは、体に濃褐色や薄茶色の色素が現れるものを指し、以下のようにさまざまな種類があります。

ここからは、お腹や胸、背中、手の甲や腕など体にできるシミの種類について解説します。

老人性色素斑(日光黒子)

老人性色素斑(日光黒子)は代表的なシミで、体にできるシミの多くがこのタイプです。紫外線や加齢に伴う表皮細胞の機能低下が原因で、表皮内にメラニンがたまった状態です。

顔だけでなく背中や手、腕など日が当たる部分に多く見られ、最初は小さな円形や楕円形の薄茶色のシミとして現れ、少しずつ色が濃く、大きくなっていきます。

塗り薬やQスイッチ・アレキサンドライトレーザーなどで治療します。

摩擦黒皮症(ナイロンタオル皮膚炎)

お腹や背中などにシミがある場合、摩擦黒皮症の可能性も考えられます。

摩擦黒皮症とは、皮膚が摩擦による強い刺激を繰り返し受け続けることでできる茶色〜黒色の色素沈着のことです。ナイロンタオルの刺激によるものが多いことから、ナイロンタオル色素沈着症やナイロンタオル皮膚炎とも呼ばれます。

  • お腹
  • 背中
  • 肩甲骨
  • 胸元(デコルテ)

摩擦黒皮症によるシミや黒ずみは、上記のように体を洗う際にゴシゴシ強くこすってしまいがちな部分によく見られることが特徴です。

痛みやかゆみなどの症状はなく、ナイロンタオルを使うのをやめれば回復していくものの、一度色素沈着が起こると消えるまでに数か月から数年かかるなど、長い時間が必要になることも。

シミを早く薄くしたい場合は、治療として塗り薬や飲み薬、ケミカルピーリングなどを行います。

炎症後色素沈着

炎症後色素沈着は、やけどやかぶれの後に残ることがある、茶色いシミです。炎症後色素沈着の場合、時間が経つことで少しずつ薄くなり消えていくため、原則として治療は必要ありません。

ただし、強い症状の場合は色が消えるまでに長い時間がかかったり、色が消えずに残ってしまうケースもあります。

炎症後色素沈着も摩擦黒皮症と同様、シミを早く薄くしたい場合は治療として塗り薬や飲み薬、ケミカルピーリングなどを行います。

脂漏性角化症(老人性疣贅)

脂漏性角化症は、老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)とも呼ばれ、加齢に伴う表皮細胞の機能低下が原因です。ターンオーバーが遅れることで古くなった細胞が積み重なり、表皮の厚みが増すことで起こります。

遺伝的要素も高く、20代からできる人もいます。紫外線も発症の原因となります。

少しだけ厚みが増したものから、イボのように大きく隆起したものまで形状はさまざまです。褐色、少し赤くなったもの、肌と同じ色のもの、黒いものなど、見た目にも違いがあります。

脂漏性角化症は、液体窒素や炭酸ガスレーザーなどで治療します。

光線性花弁状色素斑

光線性花弁状色素斑は、肩〜背中にかけてたくさんできる花びらのような形をした数mm~1cmほどの茶色いシミです。長時間日光に当たった場合など、日焼けが原因で起こります。

Qスイッチ・アレキサンドライトレーザーなどで治療します。

雀卵斑、そばかす

雀卵斑(じゃくらんはん)とは、いわゆる「そばかす」のことで、直径数mm以下の薄茶色の小さな斑点です。鼻や頬など顔に多く、背中や胸元、腕、肩、手など紫外線が当たる場所にも見られます。

Qスイッチ・アレキサンドライトレーザーやIPL、塗り薬で治療しますが、再発することも多いようです。

扁平母斑

扁平母斑はアザの一種で、日本人の10人に1人に見られるアザといわれており、先天性のものと遅発性のものがあります。

遅発性のものは思春期前後から目立ってくるようになり、胸や肩、腰などにできることが多く、アザの部分の毛が濃くなることもあります。

Qスイッチ・アレキサンドライトレーザーで治療しますが、色が濃くなったり再発のリスクもあるため注意が必要です。

お腹など体の部位別!シミの原因

お腹など体の部位別!シミの原因

シミの原因は、体の部位によって異なる場合があります。

  • お腹や胸……摩擦、衣類の圧迫、皮膚の老化現象、遺伝
  • 首……紫外線、老化、遺伝
  • 背中……紫外線、摩擦
  • 腕・手の甲……紫外線、老化、遺伝

ここからは、体の部位別にシミの原因をご紹介します。

お腹や胸

  • お腹や胸にできるシミ……摩擦黒皮症、脂漏性角化症
  • 原因……摩擦、衣類の圧迫、皮膚の老化現象

お腹や胸など、普段日に焼けないはずの場所にできるシミは、皮膚をこするなどの摩擦や、衣類の圧迫などが原因になっている可能性があります。

お腹は下着やタイツ、スカートやズボンが接触する部分であり、圧迫や摩擦などの刺激を受ける機会が多いため、シミができやすい部位です。

「ブラジャーのサイズが合っていない」「ワイヤー部分が当たって痛い」なども摩擦刺激となり、シミの原因になる可能性があります。弱い刺激だったとしても、毎日繰り返されることで色素沈着につながるため、注意しましょう。

また、皮膚をきちんと洗えていないと、酸化した皮脂による刺激がシミにつながることも。皮膚の老化で生じる脂漏性角化症によるシミの可能性もあります。

  • 首にできるシミ……老人性色素斑、脂漏性角化症
  • 原因……紫外線、老化、遺伝

首は紫外線を浴びやすい場所であるため、紫外線が原因となった老人性色素斑がよく見られます。大量に紫外線を浴びる人は、しっかり予防ケアをしましょう。

背中

  • 背中にできるシミ……摩擦黒皮症、光線性花弁状色素斑
  • 原因……紫外線、摩擦

背中のシミとしては、摩擦が原因で起こる摩擦黒皮症や、日焼けによる光線性花弁状色素斑が多く見られます。

腕・手の甲

  • 腕・手の甲にできるシミ……老人性色素斑、雀卵斑、炎症後色素沈着
    原因……紫外線、遺伝、皮膚の炎症

腕や手の甲は紫外線をよく浴びる部分であるため、老人性色素斑が多く見られます。また、遺伝による雀卵斑が見られることも。

擦り傷や虫刺されなどの皮膚の炎症が原因になった炎症後色素沈着の可能性もあります。

シミは放置すると増える!

お腹など体にできるシミは、顔にできるシミと同じように、ケアをしないと増えていってしまうことがあります。

また、シミは長年放置すると隆起して老人性のイボ「脂漏性角化症」に進展することも。

きちんと対策すればシミの改善も見込め、新たなシミができないように予防も可能です。気になるシミがある場合は、早めに対策を行いましょう。

お腹など体のシミを増やさないための予防法

お腹など体のシミを増やさないための予防法

ここでは、お腹など体のシミを増やさないための予防法をご紹介します。

摩擦や締め付けが起こる衣類を避ける

お腹や胸元のシミは、摩擦が原因で起こる摩擦黒皮症によるシミも見られます。お風呂で体を洗うときにナイロンタオルを使用するのをやめたり、締め付けの強い衣類を避けるなどの対策をするといいでしょう。

かぶれやすい人は、通気性のいい素材や服を選ぶのも大切です。

一年中しっかり紫外線対策を徹底する

シミを増やさないためには、しっかりと紫外線対策を行うことが非常に大切です。

紫外線は一年中降り注いでいるため、日焼け止めは毎日塗りましょう。帽子や日傘、UVカット加工のアームカバーや手袋などのアイテムも組み合わせると、より効果的にケアできます。

シミに効果的な食べ物を取り入れる

シミは肌のターンオーバーの乱れも影響しているため、体の内側からケアするのも有効です。

バランスの良い食事に加えて、シミに予防に効果的なビタミンA・ビタミンC・ビタミンEの「ビタミンACE(ビタミンエース)」を取り入れるのがおすすめです。

質の高い睡眠を取る

質の高い睡眠をしっかり取ると、肌のターンオーバーが整いやすくなり、シミのもとになるメラニンの排出が促されます。

寝不足になると肌のターンオーバーに欠かせない成長ホルモンの分泌量が減ってしまうため、良質な睡眠を十分取ることが大切です。

ストレスをため込まない

ストレスは、ホルモンバランスやターンオーバーを乱す原因になります。ストレスをゼロにすることは難しいものですが、ため込まないように注意したり、適度にストレス発散をしましょう。

病気の疑いが考えられる体のシミ

病気の疑いが考えられる体のシミ

シミの中には、病気の疑いがあるものもあります。

お腹にできた茶色いぶつぶつのようなシミ

首や胸、背中、脇、お腹などの茶色いぶつぶつができた場合、癜風(でんぷう)の可能性も考えられます。癜風は、癜風菌という皮膚の常在菌が原因で起こる皮膚感染症です。

サーモン色・白色・淡い黄褐色・褐色・黒に見える斑点が広がり、自覚症状はないか軽度のかゆみがある程度で、「最近、急にシミが広がってきた、増えてきた」と気づくことが多いようです。

汗をよくかく、高温多湿の環境で過ごすことが多い、脂症の肌質である、免疫力が低下しているなどの場合、癜風が起こりやすくなります。

急に大きくなったシミ

小さかったのに急に大きくなったシミは、皮膚がんの一種である「表在型基底細胞癌」の可能性が考えられます。

顔に発生することが多いですが、体の表面のどこでもできることがあります。早期に発見できれば皮膚切除で完治する病気なので、気になるシミがあれば早めに病院を受診しましょう。

ザラザラしているシミ

触ったときに表面がザラザラしているシミ、赤いシミ、形が不規則なシミは、日光角化症の可能性があります。

有棘細胞癌の一歩手前の状態であるため、早めに治療することが大切です。紫外線ダメージが蓄積された高齢者に多く見られ、顔への発生が最も多いですが、手の甲や頭部にも発症します。

爪や足の裏にできたシミ

爪や足の裏といった日に当たらない場所にシミができた場合、皮膚がんの一つである「悪性黒色腫(メラノーマ)」の可能性が考えられます。悪性黒色腫は、60代から高齢になるにつれて多く見られるようになることがわかっています。

お腹にたくさんのシミができた場合は病院に行くべき?

炎症後色素沈着などを除き、原則としてシミが自然に消えることはほぼないため、気になる症状があれば皮膚科を受診しましょう。

特に、急に大きくなったり色が濃くなったり、ザラつきがある、足の裏や爪に気になるシミができたなどのケースは、シミではなく他の病気の可能性も考えられます。早めに皮膚科を受診し、詳しく検査してもらいましょう。

気になるお腹のシミは原因に合ったケアを!

お腹は衣服の締め付けや摩擦が起きやすい部分です。強くはない刺激だったとしても、毎日積み重なるとそれが色素沈着につながることもあるため、注意しましょう。

また、何らかの病気による症状として、シミのようなものが現れている可能性もあります。気になるシミは早めに病院に行くことが大切です。

※効果には個人差があります。試してみて異変を感じる場合はおやめください。

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